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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

死神少女は修行中-前章.死を携えし少女-d

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「ここにいるよ」
 慄然とした柳が周囲を見渡しても、目に見えての周囲の変化はない。
 ただ、周囲に漂う「死」の気配がなお一層強くなるのは感じ取れた。

「ノイ・リリス!」
 大声で少女を呼ばわり駆けつけたのは、長身に暗めの色のスーツを纏った赤毛の男。
「ムーンストラック」
「家から居なくなったと思ったら!心配させるのではない!」
 帰るぞとノイの手を取ろうとする男の手を、ノイが振り払った。
「やだっ!!」
「ノイ・リリス!我が儘を言うのではない」
「やだ、やだ!!あたしだって・・・あたしだってテレビにあるみたいなお外に行ってみたい、お友だちとあそびたい、学校に行ってみたい!
・・・どうしてあたしはみんなだめなの?」
 大粒の涙を青い瞳一杯に溜め、柳たちが止める暇もなく、ノイは駆け出して行ってしまった。
「待ちなさい・・・!」
「待って下さい」
 身を翻し掛けたムーンストラックを、柳が制した。
「あの子を外に出しづらい理由は、一緒にいて解りました。でも・・・それでも可哀想です」
 せめて時間を限って、大人の厳重な監視のもとでいいから、外に出してやってはどうかという柳の提案は、一言の下に却下された。
「・・・それで万一人死にが出た場合、貴様はその命とあの子の将来に対して責任が取れるのか」
 柳には返す言葉もない。あの少女の将来に対してなら責任を取れても
 失われた命に対しての責任など誰にも取りようがないではないか。
「家を脱走したあの子を保護してくれた事には感謝する。
だがお前の同情の為にあの子の未来を台無しにするようなことは出来ん」
 厳しく言い捨て、今度こそムーンストラックが駆け出した瞬間

「やだ!やめてぇ!!」

 ノイの悲鳴が響き、柳も弾かれたように、声の方向へ向かって駆けた。

 カニを埋めた木陰から少し離れた、開けた河原。
 何人かの少年たちが、小さな手を上げて身を守ろうとするノイに、てんでに石を投げつけているのを見て
柳は全身の毛が逆立つほどの怒りを瞬時に覚えた。

「やだやめて、いたいっ!!」
「こいつ知ってる!町外れのオバケ屋敷にいるの見たぞ!」
「家の人がみんなオバケにとり殺されちゃった家だろ?」
「こいつもチビだけど、きっとオバケだぞ!」
「やっつけろ!」
 地元の悪童共らしい少年は口々にノイを罵ると、わあわあと歓声を上げて石を投げつけた。
 すでにノイの子供らしくふっくらした、滑らかな腕には幾つもの青あざが出来ている。
『やめろ!!』
 ほぼ同時に駆けつけたムーンストラックがノイを石礫から守るように抱きかかえ、柳は少年達を怒鳴り飛ばした。
「こんな小さな子に何してるんだ!!」
「何だよ、お前」
「なーんだ、中国人じゃん」
「化け物退治のじゃまするなよ!」
「中国に帰れー!」
 柳にも石が飛んできたものの、それが却って幸いして、ノイに投げられる石の数は減る。
 が・・・ノイの怪我を確認しようとのぞき込んだムーンストラックは
 彼女の瞳から常の活発な光が消えていることに気がついた。
「ノイ・リリス?」

(痛いの、やめて、いじめないで)
(ヤナギとムーンストラックにらんぼうしないで)
(お外ってホントにコワいところなの?)
(ずっとずっと、たのしみにしてたのに)
(キライキライキライ。つまんないお家も、コワいお外もキライ)

「みんな、みんなだいっキライ!!!!」

 ノイの絶叫と共に、驚いて飛び立とうとした鳥たちがばたばたと地面に落ちる。
 川は細波が連なり膨れ上がって川岸を打ち、何十匹もの魚が腹を見せて打ち上げられた。
「ノイちゃん!」
「ノイ・リリス!」
 ムーンストラックがノイを揺さぶり声を掛けるが、青い瞳は焦点が定まらず、おそらく何も見えていない。
 明るかった川辺は光すらが死んだかのような薄暗がりと化し、少年たちの悲鳴が上がった。
「ヨハン!おい、しっかりしろよ!おい!」
「い・・・息してない、ぞ」
「死んでる!」
「・・・うわあぁぁ!本物の化け物だあ!」

「キライ、キライ、キライ・・・」

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