「いまの、夢・・・」
あれは確かに、お父さまとお母さまだった。直接は覚えていないけれど、写真を見ているから間違いない。
今の夢はなんだろう。夢にしては、はっきりしすぎていて。
「もしかして、あたし・・・」
そこまで思って身震いをすると、ようやく自分が知らない部屋にいて、自分に何が起きたかを思い出した。
ジャガー人間。黒服の女たち。自分は撃たれたけど、イタルも同じ目に遭わされただろうか?
「イタル!」
慌ててベッドから下りようとして
「いたたっ!」
足に力が入らず、ものの見事に転んでしまった。
直後、部屋のドアが控えめにノックされ、かちゃと軽い音を立ててドアが開いた。
「あ、あの・・・気が、ついた・・・かな」
年格好は中学生くらいの、制服のようなブレザーとプリーツスカート姿の女の子。赤坂紫だ。
黒い服だけど、自分を撃った女の人たちとは少し、いや、だいぶ違うようでノイは少しほっとした。
「き、気分は、どう、かな・・・」
そっと差し伸べられる手はひんやりして、でもどこか優しかった。
「お腹、空いてないかな。痛いところは?」
そういえば、傷も痛いけれどなんだか体中が軋むように痛い。
「3日も寝てたから・・・それで、体が痛いのかも。でも、まだ寝てた方が」
「イタルは?イタルはどうしたの?」
「あたしと一緒にいたの!あたしの・・・!」
勢い込んで尋ねたノイが、急に元気を無くす。
あれは確かに、お父さまとお母さまだった。直接は覚えていないけれど、写真を見ているから間違いない。
今の夢はなんだろう。夢にしては、はっきりしすぎていて。
「もしかして、あたし・・・」
そこまで思って身震いをすると、ようやく自分が知らない部屋にいて、自分に何が起きたかを思い出した。
ジャガー人間。黒服の女たち。自分は撃たれたけど、イタルも同じ目に遭わされただろうか?
「イタル!」
慌ててベッドから下りようとして
「いたたっ!」
足に力が入らず、ものの見事に転んでしまった。
直後、部屋のドアが控えめにノックされ、かちゃと軽い音を立ててドアが開いた。
「あ、あの・・・気が、ついた・・・かな」
年格好は中学生くらいの、制服のようなブレザーとプリーツスカート姿の女の子。赤坂紫だ。
黒い服だけど、自分を撃った女の人たちとは少し、いや、だいぶ違うようでノイは少しほっとした。
「き、気分は、どう、かな・・・」
そっと差し伸べられる手はひんやりして、でもどこか優しかった。
「お腹、空いてないかな。痛いところは?」
そういえば、傷も痛いけれどなんだか体中が軋むように痛い。
「3日も寝てたから・・・それで、体が痛いのかも。でも、まだ寝てた方が」
「イタルは?イタルはどうしたの?」
「あたしと一緒にいたの!あたしの・・・!」
勢い込んで尋ねたノイが、急に元気を無くす。
(なにが妹だ!)
(みんな、お前のせいだ!)
そうだ。イタルも言っていた。そして―あの夢。
あの夢が正しかったなら、あれが本当に、あたしが小さい頃の出来事だったなら。
お父さまは、本当にイタルとイタルのお母さまを捨ててしまったのだろう―あたしが生まれたために。
そして、あの夢の最後。
あの夢が正しかったなら、あれが本当に、あたしが小さい頃の出来事だったなら。
お父さまは、本当にイタルとイタルのお母さまを捨ててしまったのだろう―あたしが生まれたために。
そして、あの夢の最後。
(お父さまも、お母さまも、大嫌いっ!!)
その後に何が起こったか、わからないほど愚かではない、今は、もう。
(あたしの、せいなんだ・・・)
(お父さまが、イタルを捨ててしまったのも)
(そのお父さまが、死んだのも)
みんな、みんな、あたしが
涙が止まらなかった。知らない人の前だから、泣き声こそ出さなかったけど、シーツがみるみる生暖かく湿ってゆく。
「ど、どうしたの・・・!?」
もしやどこか酷く痛むのかと、あちこちをさすってみたりするがその甲斐はなく、紫もおろおろするばかりだ。
その時、紫によく似た黒と赤のうさ耳パーカー姿の少女が、「組織」支給の携帯電話を手に入ってきた。
「保護者さんから定時連絡ー」
ノイの保護者、即ちムーンストラックからは
ノイの容態を問い合わせる電話が、毎日決まった時間に掛かってきていた。
ウラシマや紫はともかく、緋色は少々辟易していたが、
心の奥底ではいささか羨望の念を抱いていた事は、本人もうすうすは気づいている。
「あんた、心配されてんのねえ」
うちの親もまともなら、そうやって電話してくるのかな。
緋色は心の中に僅かに浮かんだ考えを、そもそもまともな親なら
子供のうちから「組織」入りはさせないだろうという自己ツッコミで打ち消した。
ノイは震える手で電話機を受け取る。
イタルのことはともかく、両親のことはムーンストラックも知っているはず。
そもそもノイに「両親は事故で死んだ」と教えたのは他ならぬ彼なのだ。
「・・・もしもし」
「ノイ・リリス!」
気がついたのか、よかったと電話口で泣き出さんばかりのムーンストラックは
彼女がこれから聞こうとしている内容など知る由もない。
「ムーンストラック」
声までが震えてきた。
聞くのが、怖い。本当のことを決定的に知るのは。
でも、気づいてしまった以上。聞かずにはいられない。
自分の罪について。
「ノイ・リリス・・・?」
声が出ず、出せず、黙ったままのノイをいぶかしんだのかムーンストラックの声も幾分か曇る。
とうとう、ノイの喉から震える声が押し出された。
「ど、どうしたの・・・!?」
もしやどこか酷く痛むのかと、あちこちをさすってみたりするがその甲斐はなく、紫もおろおろするばかりだ。
その時、紫によく似た黒と赤のうさ耳パーカー姿の少女が、「組織」支給の携帯電話を手に入ってきた。
「保護者さんから定時連絡ー」
ノイの保護者、即ちムーンストラックからは
ノイの容態を問い合わせる電話が、毎日決まった時間に掛かってきていた。
ウラシマや紫はともかく、緋色は少々辟易していたが、
心の奥底ではいささか羨望の念を抱いていた事は、本人もうすうすは気づいている。
「あんた、心配されてんのねえ」
うちの親もまともなら、そうやって電話してくるのかな。
緋色は心の中に僅かに浮かんだ考えを、そもそもまともな親なら
子供のうちから「組織」入りはさせないだろうという自己ツッコミで打ち消した。
ノイは震える手で電話機を受け取る。
イタルのことはともかく、両親のことはムーンストラックも知っているはず。
そもそもノイに「両親は事故で死んだ」と教えたのは他ならぬ彼なのだ。
「・・・もしもし」
「ノイ・リリス!」
気がついたのか、よかったと電話口で泣き出さんばかりのムーンストラックは
彼女がこれから聞こうとしている内容など知る由もない。
「ムーンストラック」
声までが震えてきた。
聞くのが、怖い。本当のことを決定的に知るのは。
でも、気づいてしまった以上。聞かずにはいられない。
自分の罪について。
「ノイ・リリス・・・?」
声が出ず、出せず、黙ったままのノイをいぶかしんだのかムーンストラックの声も幾分か曇る。
とうとう、ノイの喉から震える声が押し出された。
「お・・・」
「お父さまと、お母さまは、事故で死んだんじゃなかったの・・・?」
「あたしが・・・あたしが殺してしまったの!?」
「お父さまと、お母さまは、事故で死んだんじゃなかったの・・・?」
「あたしが・・・あたしが殺してしまったの!?」
電話の向こうでムーンストラックがひゅっと息を呑む声が聞こえる。
暫くは、どちらも声が出せず、電話機はただ沈黙を伝え続け・・・先に声を絞り出したのは、『保護者』の方だった。
「・・・ノイ・リリス・・・よく聞きなさい」
だが、ぶつりという音が彼の声を伝えることを阻み、電話は完全な沈黙をもって少女と保護者を引き離した。
暫くは、どちらも声が出せず、電話機はただ沈黙を伝え続け・・・先に声を絞り出したのは、『保護者』の方だった。
「・・・ノイ・リリス・・・よく聞きなさい」
だが、ぶつりという音が彼の声を伝えることを阻み、電話は完全な沈黙をもって少女と保護者を引き離した。
(やっぱり、あの夢は本当なんだ)
(あたしのせいで、お母さまもお父さまも死んだ・・・)
(イタルから奪ったお父さまを)
(あたしのせいで、お母さまもお父さまも死んだ・・・)
(イタルから奪ったお父さまを)
(あたし・・・もう・・・帰れない)