アットウィキロゴ

「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

死神少女は修行中-20.昼休みの会話

最終更新:

guest01

- view
だれでも歓迎! 編集
 授業をぼんやりと聞きながらも、極の視線は窓の外を彷徨っていた。
 「あの日」から一週間。勉強にも読書にも身が入らず、食事もあまり進まない。
「・・・った、新田・・・新田!」
「・・・あ」
 いつの間にか授業は終わって昼休みに入っていた。
 声を掛けていたのは同じクラスの黄昏裂邪。親指をくい、と上げて扉の外を示す。
「2年の奴が来てるぜ」
 見れば廊下から田中カナタがちょいちょいと手招きをしている。
 裂邪に礼を言いやや心許ない足取りで歩き出した彼の背中に、彼がぽつりと呟いた言葉は、極には届かなかった。
「どうしちまったんだ?あいつ・・・」

「チビが帰ってねーんですって?」
 食欲のない極に付き合ってコーヒー牛乳だけの昼食を取りながら例のマタタビオフの日の経過を話した。
「ああ・・・」
 極は言葉を選びながらノイが負傷し、現在療養中であることを告げた。黒服がらみの事は口止めをされているので、その辺りは伏せながら。
「見舞いとか、いーんすか?」
 くしゃっとコーヒー牛乳の紙パックを潰したカナタが極を見上げる。
 そういえば考えていなかった。「『組織』の機密」という事でノイの居場所、
 すなわちο-Noの本拠地について口止めされている事もあるが、その一方でノイの事を考えると気が重かった。

(僕があいつの顔なんか見て、何を言うっていうんだ)
(だってあいつだって、僕に殴られて)
(酷い目に遭ってたのに何もできないで)

「・・・向こうも、僕の顔なんか見たくないに決まってる・・・僕も」
「なんで!?」
 きょうだいでしょ、と見上げるカナタの目を正視できずにぷいっと視線を外す。
「きょうだいは他人の始まり、とはよく云うでしょう」
 俺兄弟いないし、馬鹿だから知らねえっす、と踵を返しかける極の肩を掴んで、やや強引に引き止めた。
「なんかさ・・・上手く言えねぇけど。もったいねーでしょ。せっかく」
「他人のはじまりだと言っただろ!?」
 つい言葉が乱暴になる。

 僕とあいつのことなんか何も知らないくせに。
 兄妹だからなんて一言で済ませられる感情なら、こんなに苦しくなんかない!

「知りませんよ。センパイとチビの経緯なんて。知らないけど」
 一級下の後輩は、怖れも気後れもなく、まっすぐ極を見つめる。
「話したくなけりゃ、話してくれなくていーっすけど」
 でもそれって、チビのせいっすか?あいつが悪いんすか?・・・センパイ、そんな顔してないっす。
「・・・!」
 そんな事は、わかってる。極がぎり、と唇を噛む。
「もういい!」
 カナタを振り払った極の体がよろめき空を泳ぐ。
「せ、センパイ!?」
 そのまま、極の意識は深い闇の底へ沈んでいった・・・

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー