「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 不良教師と骨と模型-08

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だれでも歓迎! 編集
  迫ってくる 迫ってくる
  貴方は逃げられない きっと逃げる事ができない

  迫ってくる 迫ってくる
  貴方は逃げられない 貴方は逃げない

  迫ってくる それの気配を感じながら
  貴方は 何を考えているのですか?





                         Red Cape






 積極的に関わるつもりなんざ、毛頭ない
 面倒な事は御免なのだ

 …とは言え
 生徒や、弟が巻き込まれるようであれば、俺はこの件に関わらざるをえないだろうし

 ……それに

「…ったく」
「うー?」

 ぶらん
 俺に持ち上げられたその餓鬼は、きょとんとした表情で…はたして、事態を把握できているか否か
 目の前には、「夢の国」でおなじみのマスコットたち
 ただ、あえて突っ込みたい事は、何故、最近黄色い電気鼠に人気を押されがちな富士額の鼠の首から上がないのだ、とか
 某アヒルにおまるが突き刺さっているんだ、とか
 突っ込み所は大量にある訳だが…
 …間違いなく、これは「夢の国」
 あのチラシで注意を促されていた存在だ
 …そして、このマスコット共は
 どうやら、この餓鬼を獲物にしようとしていたようだ

「うー?………うーうー」

 少年は、己が置かれた状況に、首をかしげている
 思考が、現実に追いついていないようだ
 泣き叫ばれるよりはマシだから良しとしようか

 さて、どうするか?
 この餓鬼を助けたのはいいが…このマスコット連中は、俺たちを見逃してくれるとは思えない
 …ここは、校外
 当然、人体模型も白骨標本も連れて来てはいない

 ……今の自分に、「夢の国」と戦う力は、ない

「…夢の国?うー…?」
「…あぁ、そうだな、夢の国だな」

 じり、じり、と
 夢の国の狂ったマスコットたちが、こちらに迫ってきている
 …取り込もうとでも、言うのか
 その、狂ったパレードの中に
 俺はひとまず、餓鬼を抱えたまま、じりじりと下がる
 最悪、この餓鬼だけでも逃がす事ができればいいのだが

「……うー…違う」

 …ぼそり
 餓鬼が、何やら呟いた


 ピタリ

 まるで、その言葉に反応したように
 マスコットたちの動きが、一瞬止まった


「うー……違う、違う。こんなの、夢の国じゃない!うーうー!」

 うーうーうー!!
 餓鬼が、うーうー騒ぎ出す
 まるで、癇癪を起こしたかのように、うーうーうーうー騒いでいる
 それは、まるで、欲しかった物とは違う物を渡された子供のような…


「うーうーうー!!違う、違う、違う!!夢の国は魔法の国ー!みんなが楽しむ魔法の国!!こんな怖いの夢の国じゃない!こんなの夢の国じゃないっ!!うーうーうーうーうーうーうー!!!」


 それは、拒絶の言葉
 夢の国を拒絶した言葉
 目の前の夢の国は、夢の国ではないのだと言う、否定の言葉

 餓鬼の叫びに、夢の国のマスコットたちの動きが、目に見えて鈍った
 子供の叫びが、「夢の国」の今の姿を否定する、拒絶する叫びが

 本来、子供たちの「夢」を受け止めるはずだった夢の国を
 本来、子供たちに「夢」を届けるはずだった夢の国を、苦しめる


 …今が、チャンスか
 俺は、餓鬼を抱えたまま走り出した
 このまま、「夢の国」のテリトリーから脱出する
 戦う必要などない
 逃げ延びられればいい
 生き延びられれば、それでいい

 マスコットの一体が、苦しみを振り払うように迫ってきた
 どこか間の抜けた、犬のマスコット
 カリブの海賊にでも借りたのだろうか
 海賊が振り回すような剣を手に、それは迫ってきて
 俺に向かって、その剣を振り下ろしてきた


 あぁ、死ねたか?
 この時、確かにそう考えたのだが


 マスコットが振り下ろしてきた剣は、俺に届かなかった
 その剣は、何かによって受け止められ
 ざんっ!!と
 マスコットの腕が、切り落とされた

「………っち」

 多分、マスコット連中や…この餓鬼には見えていないであろうその存在に、俺は舌打ちした
 あぁ、畜生めが
 てめぇは、どうしても、自分の手で俺を殺したいってか?
 自分が到着するまでは
 その時が来るまでは
 …他の連中には、俺を殺させないというのか?

 リスの姿をしたマスコットが二体、腕を切られてうめく犬を尻目に襲い掛かってきた
 しかし、それらも、「あれ」に切り捨てられていく

 走る
 とにかく、走る
 「あれ」は俺を死なせない
 自分の手で殺したいのだからと、己以外の存在に俺を殺させようとしない
 迫ってくる連中は、「あれ」に任せればいいだろう
 その間に…俺達は、逃げられる



「うー?逃げられた?」
「……らしいな」

 ……疲れた
 が、ここまで走れば、もう問題はないだろう
 「夢の国」に遭遇してしまっていたのは、夕方頃
 …そろそろ、空が暗くなり始めている
 ちらり、餓鬼の様子を見た
 とりあえず、落ち着いているようだ
 …花子さんくらいか、それよりも幼く見える外見なのだが…結構しっかりとしているようだ
 ぱ、と手を離し、下ろしてやる

「お前、一人で家に帰れるか?」
「うー!帰れる!僕、ちゃんと帰れる!」

 うーうー!
 そう言って、携帯電話を見せてきた餓鬼
 …なるほど、その気になれば、家に連絡も可能か
 多分、さんざ親に怒られるだろうが
 ………と、言うか、最近はこんな小さな餓鬼でも携帯を持っているのか
 時代は変わったもんだ

「そうか。それじゃあ、気をつけて帰れよ」
「うー!気をつける!うーうー!」

 くるり
 俺は、その餓鬼に背を向けた
 あの心配性の弟を心配させないよう、さっさと帰ろうとして

「…うー…………でも、不吉」

 ぽそり
 餓鬼が呟いたその言葉に
 思わず、足を止めた

「おにーさん、不吉……おにーさんの後ろ、不吉、不吉!うーうーうー!!」
「…不吉?」
「うー!首、危ない!不吉不吉不吉!うーうーうーうー!」

 俺の方を、じっと見て
 餓鬼は、そう訴えてくる
 す、と俺の後ろを指差して
 見えていないはずのそれを指差して…宣言する

「死の呪い、狙われてる………不吉、うーうー!」
「………」

 …ごそり
 俺は、懐からタバコを取り出した
 それを咥え、ライターで火をつけ…

「………あぁ、知っているさ」

 と、そう答えた
 う?と、こちらの反応に、餓鬼はきょとんとして
 …俺は、その間に、さっさとこの場を立ち去る事にした

「……………」

 首筋をさする
 「夢の国」は随分と強大な都市伝説だ
 だからこそ、「あれ」を出し抜く可能性も考えていたのだが
 ……駄目だった、か
 まぁ、死にたい、という願望がある訳でもないが

「…怯えて、神にでも祈ってガクガク震えてろ、ってか?」

 ………冗談じゃない
 来るなら、さっさと来い
 その時が、てめぇの最後だ
 俺は、逃げも隠れもしない
 てめぇを殺す為に、てめぇを見つけ出し、死の宣告を受けたのだ
 さっさと来い、俺を殺しに来い

 その時が、俺の最後ではなく………てめぇの、最後だ



「………うー」

 じ、と
 少年は、白衣を着た男が立ち去っていく後ろ姿を見つめる
 少年には、はっきりと見えていた訳ではないが…感じ取れた
 あの男の首を狙う、不吉な存在を

 しかし、あの男は、それを知っていると言っていた
 ならば、問題はないのかもしれない
 自分は、あの存在を指摘した
 不吉だと、そう教えた
 …あとは、彼の問題なのだ

 てちてち、少年は帰路に着く
 そうしながら、携帯で……いくつかの掲示板に、書き込みをはじめた
 少年には、戦う力はなかった
 少年が契約している都市伝説には、他の都市伝説と戦えるような力はない
 ……だから
 少年は、戦えない代わりに、自分ができる、精一杯の事をするのだ
 少年は、同じ「組織」の仲間たちが大好きだから
 だから、仲間の為に、できる事をするのだ

 それは、噂の操作
 「夢の国」に、弱点を作ってやる
 うまく行くかどうかは、わからない
 賭けのようなものだが…やってみる価値は、あるだろう

 さぁ、忙しくなる
 掲示板への書き込みだけじゃない
 自分ができることを…自分はこれからたくさんたくさん、やっていかなければならないのだ!!




 うーうー、知ってる?「夢の国」!「夢の国」のお話!
 僕は知ってるよ。知らないなら教えてあげる。うーうー!

 …夢の国の着ぐるみの中の人は、奇形なんだって
 夢の国では、子供を捕まえて、臓器を取り出しちゃうんだって
 夢の国に不利益な事をいうと、黒い服の男の人がやってくるんだって

 きひひひひひっ、怖いよね?
 そんなの、「夢の国」なんかじゃないよね?

 そうだよ、「夢の国」は僕らに夢をくれる場所だ
 「夢」をくれる為に対価は必要だけれども、確実に夢を与えてくれる
 それは、「悪夢」なんかじゃない、輝ける夢じゃなきゃいけない

 わかるかな?
 そんな怖い噂、「夢の国」なんかじゃない
 だから、ね、そんな怖い「夢の国」に襲われそうになったら、こういえばいいのさ

「お前たちなんて、「夢の国」じゃない!!」

 ってね
 そうすれば、あいつらは苦しむはずさ
 「夢の国」であるはずなのに、それを否定されるんだから
 自己の存在を否定されて、苦しむのさ
 その隙に逃げればいいんだよ

 そうそう、これ、みんなにも教えてあげてね?
 みんなで知っていれば、大丈夫
 みんなで対策法を知っていれば、襲われたって、大丈夫だからね
 きひひひひひひひひひひひひっ!!!







 「夢の国」はいつ気付く?
  「本当の王様」の願いに

  元あるべきだった、あの姿を
  はたして、「夢の国」はいつ気づく事が出来るでしょうか?





                            Red Cape










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