「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - 人知を超えたウイルス

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だれでも歓迎! 編集
―――これは、誰にも気付かれなかった町での―――


―――悲劇の物語―――


男A「状況は?」

とある公園。サングラスをかけた男が、数人と何かを話していた。
公園には数千の人が集まっていた。どうやら彼等はその代表のようだ。
まず男の問いかけに答えたのは、ジャージを着ている体型のガッチリした男だ。

男B「はい、はっきり言って悪化しています。
   難民が毎日数十単位で増えています。食料が持つかどうか……。」

それに続いて、スーツの女が報告する。

女A「仮住居にも限界があります。さらにさっきも、そこで小さな諍いがありました。
   住民のストレスが溜まれば、治安維持も困難を極めるでしょう。」
男A「そうか……。」

どうやらこの場所に集まっているのは、何かの被害者達らしい。
その数や状況からして、天災に匹敵する被害だったのだろう。
そこへ、短パンの女がある提案を出す。

女B「ところで、これ以上の土地の確保は?」
男A「リスクが大きすぎる。上空に建物を建てる方法のを考えた方がマシだ。……あれの数は?」
女A「100ほどです。とても太刀打ちできる質と量ではありません。
   その上、現状を解決できるものは……。」
男B「捜索はしているんですが……やはり……。」
男A「……そろそろ、限界か……?」


???「諦めるぐらいなら、戦おうよ!」


男A「……また君か、タケルくん。」

その声の主は、まだ小学生ぐらいの少年だった。

タケル「ここに居たって、いつか皆死んじゃうんだろ!?
    だったら戦って死んだ方がマシだ!」
女A「もう、大人の話に子どもが入り込まないの!」
タケル「子どもじゃねぇ!オレには『力』があるんだ!あんた達と一緒だ!」
女B「確かにそうだけど……ねぇ?」
女A「どうせ、そんなたいそうな『能力』じゃないんでしょう?!」
男B「それ以前に経験がなさすぎる。返り討ちにあって終わりだ。」


男A「だが、力を蓄える時間もない。」


女A「え……?本気ですか!?」
男A「もはや『子どもだから』などと言っていられる場合ではない。
   相手も正気とは思えないような連中だ。こちらも非情になるべきだろう。」
男B「ッ……、保護したものは全部、望んだ者に渡してあります!」
女B「はぁ!?また勝手にそんな事して……!」
男B「早い方が良いと思ったんだ……!その方が『成長』も早くなると思って……。」
男A「丁度いい。その人達をここへ呼べ。
   そして覚悟があるものだけ、戦おう。」

サングラスの男の声に、タケルは大きな声で返す。

タケル「オレは行くぜ!絶対に!」
男B「戦いに付いて行かなかったら、何のために自分がいるのか分からなくなるんで。」
女B「わ、私も行く!……行きます。」
女A「まったく、みんな死にたがりなの!?」

男A「この中で一番戦力になるのはお前だが……。」
女A「うっ。」
男A「ここの防衛を頼んでもいい。怖がっているなら……。」
女A「い、良いですよ!行きます!死にたがりだけ行かせて、帰ってこなくて困るのはここの人たちですよ!」

目的が決まり、笑みを浮かべるもの、気を引き締めるもの、頭を悩ませるもの……。
また、かつての平穏な日々を取り戻すために……。



男A「全員、明日に備えるぞ!」
一同「「はい!」」



これから、彼らの戦いが始まる――――――









???「『来年の事を言えば鬼が笑う』とは、よく言ったものだな。」


女A「えっ!?」
女B「はぁっ!?」
男B「なッ……!?」

男A「まさか……!?」

声の方を向くと、ビルの屋根に人影が見えた。
よく見ると、ノートパソコンを片手に携えた中学生ぐらいの少年がいた。
その傍らには……得体の知れない、大きく『10』と書かれた、円形のロボットがあった。

住民達「あ、あいつは……。」「ま、まさかこんな日が……。」「嘘でしょ……?」
   「で、でも1人だぜ?」「リーダー達が追い払ってくれるはず……。」


少年「【鬼】には寿命が見えるらしい。例えば『明日から頑張る』と言って……明日になる前に死んだら?
   いい言葉だ。やれる事はすぐやろう、そう思い知らされる。」


少年の言葉には耳も傾けず、サングラスの男は少年に問いかける。

男A「貴様……!どこから来た!?何故ここが……?」
少年「それはこっちの台詞だ。どう計算しても町の人口と死体の数が合わない。
   そして何度もこの付近で通信機器が途切れる不具合……。
   それで調査を始めたら、ここに信じられない数の人間がいた。
   ……まぁ聞いても教えてくれないよな。」
ロボット「チャリンチャリーン!なんでも知ってる!お前達の居場所も!能力も!
     だから十円玉!よこせ!」

動く度にチャリンチャリンと発言するロボットに向けて、少年は十円玉を弾く。
十円玉は、ロボットの体に空いていた硬貨投入口のような穴に吸い込まれていった。

ロボット「チャリーン!あの男は【バミューダトライアングル】の契約者!
     3つの点で指定した空間を、機械でも人間でも認識不可能な空間へ変換する!」
少年「なるほど……。敵を幽閉するはずの【バミューダトライアングル】を
   逆に自分達の隔離施設に変換すると……。頭がいいな、仲間になるか?」
男A「いいだろう。お前達が我々に降伏し、もう人を襲わないと誓ったら!」
少年「拒否、と。じゃあそれ相応の対応をさせて貰おう。で、出口は……?」

改めてみてみると、この空間の端は暗く、何かが渦を巻いている模様の不思議な壁で囲まれている。

男A「あると思ったか?ここを出るには俺の許可が必要だ!
   知っての通り、ここでは外世界への通信はできない。仲間は呼ばせん!
   俺を信じないなら境界に触れてみろ。この世界の狭間から帰れなくなるだろうがな。」

その言葉を聞き、少年は木の枝を拾っておもむろに境界部分に突き刺す。引き抜くと、先端部分が消えていた。

少年「……狭間へ行くと言うより、蒸発すると言った方が良さそうだな。」



下の方では、現状を上手く呑み込めていなかった男の仲間たちが、やっと理解していた。

男B「そうか!仲間は呼べない、あるのはロボット1機のみ……。」
女B「これなら勝てるんじゃない!?」
女A「ちょっと、相手は子どもよ!?なに倒そうとしているのよ!」
タケル「姉ちゃんこそ何言ってんだ!あいつは『魔王』の直属の部下、『悪魔』の1人だ!」

その言葉が出た一瞬、場の空気が一瞬固まった。
『魔王』と『悪魔』、よくは分からないが、この被害の原因なのだろうか。

女A「えっ……あんな子どもが?」
男B「念のため言っておくが、『悪魔』は全員『魔王』と同級生だという情報もある。」
女B「今まで敵も知らなかったの?」
女A「う……私は……『悪魔』とは違う奴らに襲われたから……。」



改めて『悪魔』と呼ばれる少年を見る。思考はどうであれ、とても強そうには見えない。
その少年は、辺りをぐるりと見渡すと、改めて口を開く。

悪魔「なるほど、仲間を呼ぶのは不可能か。では……。」

すると少年は、男達には見えない辺りで何か作業を始めた。
そしてビルの手すりに、表は赤、裏は青の布をかける。

悪魔「これでよし、と。」
男B「なんだ、洗濯でも始めたのか?」
女A「何かのおまじない?……まさかッ!?」



悪魔「仲間が居ないなら、作ればいい。」

男A「なに!?」



少年が後ろへ下がると、ノートパソコンを開いて左手に持ち、懐からカードを取り出した。

悪魔「ウルヴ……《抜き取る》。インストール!」

するとマントが動き出し、形状を変え、やがて人型のロボットへと姿を変えた。



ロボット2「ヒャッハアアアアアアァァァ祭りだァァァ!」



生まれた瞬間そう叫んだロボットは、そのまま布をマントのようにたなびかせて地に降りた。



住民達「「   あ 、 悪 魔 だ ァ ァ ァ ァ ァ ァ !   」」



   「逃げろォ!」「子どもを隠せ!」「ママ、ママぁぁぁ!」



男A「まさか、この空間内でも転送できたとは……!?」
悪魔「大はずれ。『転送』ではなく『作成』。ある都市伝説によって、さっき生まれたんだ。
   さらにリモートコントロールではなく自律行動。故にこの世界の影響を全く受けない。」
男A「なん……だと……?」

マントのロボットがサングラスの男にずんずんと近づいてくる。

ロボット2「まずはお前からだアアアアアアァァァ!」

その瞬間、ジャージの男が信じられない速度でロボットに向かって飛び蹴りした。

ロボット2「ぐわァァァ、き、貴様アアアアアアァァァ!」
男B「こいつは自分に任せて、あなたは住民の避難を!」
男A「お前……すまない!」

サングラスの男は、住民達の方へと走っていった。

悪魔「さっきの超身体能力……都市伝説か。まだ残っているのか?」
男B「さぁな。お前達がどうしようと、都市伝説は生まれ続けるんじゃないか?」
悪魔「……まぁいい。要はここにいる全員……。」
ロボット2「皆ゴロしだアアアアアアァァァ!」

マントロボットは狂い叫びながら右腕の刃物を振り回す。
しかし、まるで人間を超えた速度のせいで、その攻撃はジャージの男に届かなかった。

男B「どうした、止まって見えるぜ!」

マントロボットの攻撃を避けながら、男はパンチを繰り出した。
そのあまりの威力に、マントロボットは吹き飛んだ。

ロボット2「ぐおアアアアアアァァァ!?……。」
男B「どうだ!?」

少年は半ば驚いたような顔をしながら、ノートパソコンのキーボードを叩く。

悪魔「驚異の身体能力……速度・パンチ力・キック力全てが人間の限界を超えている……。いや丁度、限界値ほどか。
   待てよ、もし『止まって見える』が事実だったら……身体能力だけでなく五感も高まる都市伝説、それは……。」

少年は上空に向けて十円玉を弾く。そこへ最初からいたロボットが飛び込む。

悪魔「【ゾーン体験】。奴の契約都市伝説はそれで合ってるな?」
ロボット1「チャリーン!正解、【ゾーン体験】!身体能力を極限まで高める!
      攻撃力・防御力・持久力・回避能力、全て上位クラス!」
悪魔「都市伝説化していたとは……。サンプルに貰おうか。」
男B「『サンプル』?何の事だ!?」
悪魔「お前にはどうでもいい事だ。じゃあ、コロさない程度でやるんだぞ。」
男B「は?」

ロボット2「再ッ起ッ……動ォアアアアアアァァァ!」

男が驚いて振り向くと、さっき吹っ飛ばしたマントロボットが立ち上がっていた。

ロボット2「よくもやってくれたなァァァ!お前の血は何色だァァァ!
      お前の血を抜き取って調べてやらアアアアアアァァァ!」
男B「ち、ふざけんな……!……血、赤と青のマント……?まさか、そんなッ!?」



ロボット2「赤と青……どっちが好きだアアアアアアァァァ!?」






悪魔「さてと、避難はどれほど終わったか。」
女B「待ちな!」

次に少年に話しかけたのは、短パンの女だ。

悪魔「おや、どこで会ったか?」
女B「アンタが憶えてなくても、アタシは憶えてる!アンタが目の前で……アタシの妹を……!」
悪魔「あぁ……生憎、コロした人間の事をいちいち憶える趣味はないんで。」
女B「いつかアンタに会ったら、って誓ったんだ。アンタに会ったら……!」



―――この多くの人の家族を引き裂いたバケモノの身体を―――



女B「五体バラバラに引き裂いてやるってね!」



その瞬間、どこからか現れた刃渡りの長い刃物を振りかぶる。

ロボット1「チャリーン!危ない!」

その間に、十円玉のロボットが割って入る。
短パンの女が刃物を振り下ろした瞬間、何も起きていないようだったが……。

ロボット1「あれ、あれれ!腕が!脚が!」

急に十円玉ロボットの腕と脚が外れてしまい、胴体も地面に落ちてしまった。

ロボット1「チャリーン!う、動けない!困った!」
悪魔「おぉ、怖い怖い。五体バラバラ……胴体……これは。」

キーボードで何かを打ち終えると、少年は十円玉をロボットに投げつける。

悪魔「【ダルマ女】。」
ロボット1「チャリーン!正解、【ダルマ女】!どこからともなく刃物を取り出す!
      その刃物は一振りで相手を五体バラバラにできる!身をもって知った!」
悪魔「とても厄介だ。だが既にストックがあるから要らないな。」
女B「『ストック』?どういう意味?まぁ言わなくてもいいけどさ!」

答えを言わせる間もなく、女は刃物を振り下ろす。その太刀筋は衝撃波となって少年に襲いかかる。
しかし衝撃波は少年の前で四散してしまった。

女B「えっ!?」
悪魔「家族を殺されたって理由で、オレをコロしていいんなら……テメェ等にもコロされる道理があるぞ?」
女B「な、何……?」
悪魔「おいお前、飛べるだろ?そのまま戦え。手加減しなくてもいいから。」
ロボット1「チャリーン!そうだった!倒すから、たくさんコイン!」
悪魔「仕方ない、5枚でいいか?」

少年はロボットに十円玉を5枚投入する。するとロボットは胴体だけで浮かび上がった。

ロボット1「チャリンチャリンチャリンチャリンチャリーン!分かった!全部分かった!倒す!」
悪魔「ではバラバラにされる前に。」
女B「ま、待ちな!」
ロボット1「チャリーン!体当たり!」
女B「くぅ、邪魔!」

突っ込んでくる十円玉ロボットを受け止め、払いのけるが、ふわふわと浮いているため手応えが感じられなかった。

ロボット1「チャリーン!緊急回避!」
女B「ったく、いちいちうるさい奴ね!……って、え?」

十円玉ロボットが見せた背中に、一瞬女は戸惑った。

女B「(あれ……五十音表?なんであんなものが?)」
ロボット1「チャリーン?疑問あるのか!十円玉があれば答える!なんでも答える!」
女B「誰が敵に!……十円玉?五十音表……質問に、答える……。
   ……まさか、え、でも……。もしそうだとしたら……!?」



ロボット1「十円玉あれば鳥居まで行く!それから質問、答える!」






悪魔「ふむ……どうやら想像以上の数を匿っていたようだ……。逃すと面倒だ。」

ふと少年が足元を見ると、1匹のネズミが走っていた。

悪魔「おや、ネズミか……。この世界が作られた時に出られなくなったのか?
   可哀想に、仲間と離れ離れになったのか……。」

そう言いながら、少年はカードの束を取り出した。

悪魔「まだテストを行っていないのは……丁度いい、これにしよう。
   生物での使用はデータが少ないからな……。」

少年は『道具』を見ているような目でネズミを掴み、ノートパソコンのUSBアダプタから伸びたコードの先端を貼り付ける。
そして少年は、懐から1枚のカードを手に取った。

悪魔「人工都市伝説【ウルヴ】……タグ、《導く》。インストール。」

ノートパソコンに備えられたカード読み取り装置に、そのカードを読み込ませる。
するとネズミは悲鳴を上げながら巨大化し、形状を変え、やがて人型の怪物となった。

怪物「グオォォォオオオオ!!!」
悪魔「おぉ、『拒絶反応(エラー)』ゼロ!スペックも上等。なかなかいいじゃないか。
   さて……肝心の能力は……?」



―――その少年の笑みは……その2つ名に恥じぬものだった―――






男A「早く!ここから避難してください!」

『悪魔』の到来によりパニックになった住人を避難させるべく、
サングラスの男は、【バミューダトライアングル】に出口を作り、そこへ誘導していた。

男A「もっと大きければ避難も進むだろうが……。
   これ以上広げるとバミューダが崩壊する恐れがある。
   頼む、持ちこたえてくれ……!」


悪魔「おや、大変そうだな。」


男が振り向くと、そこには悪魔と呼ばれる少年と……さっきとは異なるロボットがいた。
ロボットは毛むくじゃらで、どことなくネズミのような姿をしていた。
しかし人型である点と、光を放つ目のおかげで、それが生き物でない事は分かった。

悪魔「では、手伝ってやるよ。こいつの力で。」
男A「なに?」

すると、ロボットが動き出し、指笛を吹く。


ロボット3「よぉし野郎ども!進めぇ!地獄まで!」


その瞬間、住民達の様子が変わり、全員が一斉に向きを変えて走り出す。



住民達「「仲間のために死のう。仲間のために死のう。仲間のために死のう。仲間のために死のう。……。」」



住民たちが目指すのは、サングラスの男が用意した出口ではなく、【バミューダトライアングル】の境界だった。

男A「な、何が起こった……!?も、戻れ!出口はこっちだ、そこは、ッ!?」
悪魔「ご名答。お前が最初に説明してくれたよな。境界に触れると……。」

住民達は次々に境界の向こうへと入っていく。
正確には、その先に『世界』はない。待っているのは『無』である。

悪魔「ふむ……。意志が弱い人間を操る能力、と言ったところか……。
   ある程度の意志がある、特に契約者には効いていない……と。」
男A「や、やめろ!止まれ!止まるんだお前たち!」
悪魔「無駄だよ。彼らは『種の保存』という本能のために、自らを犠牲にする道を選んだんだ。
   もっとも、『植えつけられた本能』だけどね。」
ロボット3「逝けェ!どんどん逝けェ!」

男の声も空しく、住民達は止まることなく自らの命を捨てるために走り続ける。

悪魔「良かったじゃねぇか。これで……食料も足りるかもな。」
男A「……!……だぁ!!!」

男が叫んだ瞬間、【バミューダトライアングル】の境界が消え去った。
どうやら外の世界に戻ったらしい。



男A「はァ……はァ……。
   (しまった、奴に仲間を呼ばれまいと慎重に行動するべきだった……!)」

悪魔「……チッ、このままじゃ逃げられる。おい!何とかできるか!?」
ロボット3「了解ッ!」

するとネズミのロボットは指笛を吹き、住民達に命令する。

ロボット3「集合!いいか、今から3~5人1組になって!」






ロボット3「 コ ロ し 合 え ! ! ! 」






住民達「「……うぉおおおおおおォォォォォォ!」」

ロボットの命令に従い、住民達は仲間同士で争いを始めた。
大人も子どもも、男女も関係なく、殴り、蹴り……。

男A「き、貴様……!命をなんだと思っている!?」

男の問いに、少し間を置いて少年が答える。

悪魔「……不完全なもの。命は見ての通り、簡単に終わる。
   その点、こいつ等はいい。簡単に作れて、メンテナンスを怠らなければ永遠に動き続ける。
   特にこいつは忠実だ。媒体が良かったんだな。」
男A「不完全、だと言ったな……。
   たしかに命はロボットのように永遠ではない。だからこそ、大切にしなければならない。
   お前達には分からんのか、命の尊さが……!?」

その瞬間、少年から笑みが消え、男に冷たい視線を送りつけた。

悪魔「……『命の尊さが分からない』……だと?」
男A「心まで機械になってしまい、理性を失ったというなら……諦めるだろう。
   だが同じ人間なら、命の大切さや、分かり合う心が」






悪魔「 ふ ざ け る な ! ! 」



悪魔「お前達によくそんな戯言が言えたな、反吐が出る!
   お前達こそ、命の尊さが分かっているのか!?
   お前は今まで、誰1人見捨てることなく助け続けたと断言できるか!?」







男A「な、なにを……!?」
悪魔「オレが罪人なら……お前達も罪人だ!だからオレ達は……裁き続ける!」



ロボット3「さぁ、やれやれェ!第五班!もっと派手にやらんかァ!第十一班を見習えェ!
      ん、なッ……。」

不意に、ネズミロボットに向かって光弾が放たれた。
光弾が命中すると、ネズミロボットは跡形もなく消え去った。

住民達「「うぉおォォ……。」」
   「あれ、なにやってんだオレ?」「な、何が起こったんだ?」

ロボットが消えたおかげで、住民達も正気を取り戻した。

悪魔「あれは……!?」
男A「来たか……。」

光弾がやってきた元を見ると、そこにはスーツの女が立っていた。
しかし見たところ、それらしい兵器は見受けられない。

女A「大丈夫ですか!?」
男A「すまない、助かった!だが既に多くの犠牲を出してしまった……!」
女A「これは……!?さっきのロボットがやったんですか!?」
男A「そうだ……。」

男と女は少年に目を向けるが、その視線も気にせず少年は熱心にキーボードを叩いていた。

悪魔「光弾……消滅……やはりデータが足りない。ならば。」

少年はズボンのポケットから、小さな本を取り出す。
それにまたノートパソコンから伸びたコードの先端を貼り付け、カードを読み込ませる。

悪魔「ウルヴ……《解る》。インストール!」

その瞬間、本が巨大化し、形を変え、人型になっていった。

女A「何度作っても……!」
ロボット4「ふむふむ、依頼はあの人の、ってわぁー!?」

喋る間もなく、ロボットは跡形もなく消し飛んだ。

女A「無駄よ。何度出したって私が消し飛ばしてあげる。」
男A「感謝する。お前がいなかったら、被害が大きくなっていただろう……。」
女A「え、いや、その、わ、私が早く駆けつけていれば被害が抑えられたのであって、
   決してあなたの責任では……。」

スーツの女が何故かあたふたしているのを横目に、少年はキーボードを叩き続ける。

悪魔「……協力感謝する。」
女A「……は?」
悪魔「さっきお前が攻撃したのは戦闘用じゃない。情報収集用のウルヴだ。
   そして元々組み込まれていた発信機のおかげで、
   さっき消されたはずのやつが2,500kmの地点にいる事が分かった。」
女A「え……そんな……!?」
悪魔「それに併せて、ネズミの方の位置情報も確認できた。ここから遠くない場所の地下だ。
   しかしそっちは完全に停止した。つまりただ物体を遠方に飛ばすだけでない可能性がある。
   そこで、さっきのやつが転送される前と、転送されている間に『理解した』情報を基に再計算させてもらった。」

女は、何を言われているのかが理解できなかった。
しかし漠然と、恐怖が体全体を包む感覚に襲われた。

悪魔「あの時放った光弾は強力な磁場になっていて、生身で受けるとそのエネルギーに耐え切れない。
   さらに空間移動時にまず亜空間へ転送されるが、そこは絶対零度の世界。
   どちらにせよ、媒体にネズミを使用していたあいつは助からなかった。」
女A「……!?」
悪魔「強力な磁場で転送、転送した生命体の異常、そして金属なら無事という法則……。
   そこから導き出される都市伝説はたった1つ……。」

悪魔「   【フィラデルフィア計画】   ! 」

女A「そんなッ……!?」
男A「そこまで、一瞬で理解したというのか……!?」
悪魔「さらに、過去にもうちの部隊が奇妙な死を遂げている事を確認した。
   上に何もないところからの落下死、土に埋まった状態で発見など……。
   そいつらの担当がこの付近で、発見された場所も丁度ここから半径2,500km。
   全部お前の仕業だな。」
女A「くっ……!」
悪魔「しかし、さっきの本のやつはピッタリ地上に転送されていた。
   敵に同情しての行為なら、今までの犠牲者への対応がおかしい……。
   つまり……お前はその力を完全に制御できていない!」

ロボット1「チャリーン、その通り!【フィラデルフィア計画】は転送の力!
      あらゆる物体を転送できる!でも鉄に包まれていないと、転送中に大変になる!
      そしてコントロール難しい!あいつは小さなものしか正確に運べない!」
ロボット2「あぁ、面白そうじゃねぇかァ!血の色見てやろうかァァァ!」

すると、向こうからロボット達がやってくる。……見慣れた人間を担いで。

ロボット2「おらアアアァァァ!」
男B「ぐゥ!?か、は……」
ロボット1「チャリーン!」
女B「うっ!くぅ……。」

ロボット達はジャージの男と短パンの女を地面に落とした。
ジャージの男は既に傷だらけで、ジャージが真っ赤に染まっていた。
短パンの女は、ジャージの男ほどではないが打ち身で青痣だらけだった。



悪魔「全く、加減の分からない奴らだ…。」






―――「後編」へ続く




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