12月24日 晴れ
明日はクリスマス。
ウィーンのお家に居るときは、いい子にしてると聖ニコラウスっていうサンタさんが来てプレゼントをくれるけど、
悪い子のところにはクランプスっていう悪魔が来て、鞭でぶたれてしまうんだって、いつも脅かされてたんだ!
でも、あたしはどっちも見たことがないの。クリスマス限定の都市伝説なのかなあ?
学校町には、どんなサンタさんがくるんだろ?
明日はクリスマス。
ウィーンのお家に居るときは、いい子にしてると聖ニコラウスっていうサンタさんが来てプレゼントをくれるけど、
悪い子のところにはクランプスっていう悪魔が来て、鞭でぶたれてしまうんだって、いつも脅かされてたんだ!
でも、あたしはどっちも見たことがないの。クリスマス限定の都市伝説なのかなあ?
学校町には、どんなサンタさんがくるんだろ?
12月25日。
ほぼ世界中がクリスマスに浮き立つ一日は、学校町も例外ではなかった。
都市伝説の町、学校町。
クリスマスのそれももちろん例外ではない。
「メリークリスマス!」
「ほっほっほ、メリークリスマス」
大人が子供たちに語って聞かせる、トナカイが曳く橇に乗ったサンタクロース。
ここでは夢物語が現実に―というと、某鼠の国のようで途端に胡散臭くなってしまうが、学校町の現実なので仕方がない。
ほぼ世界中がクリスマスに浮き立つ一日は、学校町も例外ではなかった。
都市伝説の町、学校町。
クリスマスのそれももちろん例外ではない。
「メリークリスマス!」
「ほっほっほ、メリークリスマス」
大人が子供たちに語って聞かせる、トナカイが曳く橇に乗ったサンタクロース。
ここでは夢物語が現実に―というと、某鼠の国のようで途端に胡散臭くなってしまうが、学校町の現実なので仕方がない。
「むっふっふ・・・悪い子はいないかなぁ?」
あからさまに怪しい含み笑いを浮かべたそれは、人の顔に山羊の角、全身毛むくじゃらで腰には大きなベルを下げている。
彼こそ都市伝説「クランプス」クリスマスの日に悪い子供を鞭打つ悪魔。
・・・いや、悪い子に罰を与えるのだから本当は良い奴なのかも知れないが。
「悪い子はいないか・・・早く、早く悪い子を鞭打ちたい・・・はぁはぁ」
自らの存在意義に忠実すぎるあまりか、道ならぬ興奮まで覚えている様子である。
しかし学校町には都市伝説以上に変態が多いので、毛むくじゃらな鞭男がはぁはぁしている程度で警察を呼ばれる心配はない。
・・・いや、悪い子に罰を与えるのだから本当は良い奴なのかも知れないが。
「悪い子はいないか・・・早く、早く悪い子を鞭打ちたい・・・はぁはぁ」
自らの存在意義に忠実すぎるあまりか、道ならぬ興奮まで覚えている様子である。
しかし学校町には都市伝説以上に変態が多いので、毛むくじゃらな鞭男がはぁはぁしている程度で警察を呼ばれる心配はない。
「ノイ・リリス!もう家に入りなさい!」
「いや」
たまたま彼の耳に入ったこの会話が、彼のアンテナに引っかかった!
「いや」
たまたま彼の耳に入ったこの会話が、彼のアンテナに引っかかった!
(大人の言うことを聞かない悪い子だと!?ああ、早く鞭打ちたい!)
彼は息を荒げながらいそいそと、その会話が聞こえてきた家―もちろん新田家―の生け垣にぴったりと張り付いた。
「暗くなるだろう!もうすぐ夕飯の支度も調うのだから、もう家に」
「いやったら、いや」
「暗くなるだろう!もうすぐ夕飯の支度も調うのだから、もう家に」
「いやったら、いや」
(いいぞいいぞもっと反抗しろ!ああ、早くあの少女を鞭打ちたい!どんな風に泣くか!?どんな風に許しを乞うのか!?)
「失礼ですが、どちらさまですか」
気づけば生け垣の向こうで、色素の薄い背の高い少年が、不審そうな眼差しでこちらを見つめている。
気づけば生け垣の向こうで、色素の薄い背の高い少年が、不審そうな眼差しでこちらを見つめている。
「あ!ああいや、ワタシは別に怪しい者では!」
あたふたと鞭を後ろ手に隠す様は、どう見たって怪しいのだが。
「人んちでなにしてんですかこのやろー」
生け垣の上にピンクの髪の少女が立っている。彼女もまた、人の家の生け垣に立つという大変横柄な真似をしているのだが、本人は知っていてスルーしている。
クリスマスらしい深い赤色のベルベットのドレス。その短い袖からはブラウスの長い袖がすらりと伸びている。
そのブラウスの袖口を飾る幅広のレースが、少女が手を振る度にひらひらと揺れた。
「てめー怪しいですよ。とっとと失せろですよ」
しっしっと手で追い払う仕草が、クランプスの癇に障ったのか。
あたふたと鞭を後ろ手に隠す様は、どう見たって怪しいのだが。
「人んちでなにしてんですかこのやろー」
生け垣の上にピンクの髪の少女が立っている。彼女もまた、人の家の生け垣に立つという大変横柄な真似をしているのだが、本人は知っていてスルーしている。
クリスマスらしい深い赤色のベルベットのドレス。その短い袖からはブラウスの長い袖がすらりと伸びている。
そのブラウスの袖口を飾る幅広のレースが、少女が手を振る度にひらひらと揺れた。
「てめー怪しいですよ。とっとと失せろですよ」
しっしっと手で追い払う仕草が、クランプスの癇に障ったのか。
(こ、このワタシに向かってなんという図々しい!この娘も鞭打ってくれよう!)
鞭打つ予定がもう一人増えるとあって、クランプスの興奮はいや増した。
「鞭打ち!鞭打ち!はぁはぁはぁはぁ」
「へ、変質者・・・」
ドン引きで呟いた極の言葉に、幻とクランプスが同時に反応する。
「ふん、やっぱりですよ」
「ふん、やっぱりですよ」
「へっ・・・失礼な!ええい!こうなったら全員まとめて・・・」
「おとなしく、お縄をちょーだいしろですよー!!」
「おとなしく、お縄をちょーだいしろですよー!!」
どかっ、と音がして。
幻のキックがクランプスの脇腹をとらえた。本人はハイキックのつもりだったのだが。
「ぐへえぇぇ!!!!」
「あいたたた・・・思ったより足が上がらねかったですよ」
痙攣する太股をスカートの上から押さえながら幻が手鏡を取り出した。
「悪い子は、鞭打ちだァァァ!」
「これでも食らえですよー!!」
鞭を手に襲いかかるクランプスに向けて、幻の手鏡が煌めいた。
「うぉっ・・・!?」
鏡の表面と、クランプスの身体とが目映く光る。
「幻、イタル、どうしたの・・・わ!」
「何の騒ぎだ!」
「何の騒ぎだ!」
ノイとムーンストラックが駆けつけた時には、既に光も、光に包まれたクランプスの姿も消えていた。
「うん。ばっちりなのですよ」
幻の「魂を盗む鏡」に封じ込められたクランプスは、喚きながら鏡を叩いていたが、やがてすうっと消えてしまった。
「く、くそォ!来年は、来年のクリスマスこそは、この鞭で・・・はぁはぁ」
12月25日 晴れ
今日はクリスマス。
もう寝ないと、聖ニコラウスにプレゼントをもらえないからもう寝なくちゃ。
でも、あたし知ってるんだ。クリスマスのプレゼントは本当はムーンストラックや柳がくれるんだってこと。
でもオトナのユメをこわしちゃかわいそうだから、もう少しだけ、プレゼントはサンタさんが持ってくることにしてあげよう。
メリークリスマス!
今日はクリスマス。
もう寝ないと、聖ニコラウスにプレゼントをもらえないからもう寝なくちゃ。
でも、あたし知ってるんだ。クリスマスのプレゼントは本当はムーンストラックや柳がくれるんだってこと。
でもオトナのユメをこわしちゃかわいそうだから、もう少しだけ、プレゼントはサンタさんが持ってくることにしてあげよう。
メリークリスマス!
END