「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 赤マントと赤いはんてん-09

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だれでも歓迎! 編集
  これは彼女の記憶
  これは私の記憶


  これは、私たちの、記憶





                Red Cape







 むにに~……アイスハニーミルクお代わりなのですよ~…」

 すぴすぴ
 ふと、目を覚ませば、胸の上から赤いはんてんの寝息
 …また、布団にもぐりこんできたのか

「まったく…」

 苦笑しつつ、その小さな体をそっと抱きしめた
 むにむに、赤いはんてんは眠りから覚めない


 …そして、ふと、考える
 私に、彼女を抱きしめる権利など、あるのか?

「………」

 彼女は、まだあの悲劇から解放されていない
 …そして
 私も、また、あの日の悪夢から、解放されていない



 …賑やかなパレードだった
 しかし、それは悪夢のパレードだった

「あぅあぅ!一時退却なのです!」
「あぁ…!」

 赤いはんてんが、契約者の手をひいて走る
 若い、誠実な青年だった
 彼女に相応しい契約者だった
 あの契約者といる時の彼女は、本当に幸せそうで
 たとえ、何が相手になろうとも、彼女たちには敵わないだろう
 少なくとも、私はそう考えていた

 きっと、彼女たちもそう考えていたのだと思う
 しかし、相手が悪すぎた

「逃がさないよ?」
「----っ!!」

 彼女たちは、あっさりと『夢の国』の王様に追い詰められた
 相手が、悪すぎた
 そして、そこは赤いはんてんのテリトリー外だった

 …全ての条件が、悪すぎた

 『夢の国』の王様が、彼女の契約者に攻撃を加えようとする
 当然、彼女は契約者を護ろうとした
 …しかし

「…え?」

 ぱっ、と
 飛び散る鮮血

 ----赤いはんてんの契約者は、彼女が傷つく事を拒絶した
 代わりに、自分が刺された

「あ………あぁぁ…………!?」
「っ……だい、じょうぶ、かい?」

 血塗れの姿で
 にこり、あの契約者は笑っていた
 首を切り裂かれ、もはや、ほとんど喋る事など出来ないはずだと言うのに
 …それでも、赤いはんてんを安心させようと、笑って

 ぞろり、黒い畸形たちが現れる
 赤いはんてんと、その契約者に止めを刺そうと

 …その前に、とでも言うように
 彼女の契約者は、口を開く

「…君との契約を、解除する」
「----!?」
「……だから。君だけでも、逃げて。生き延びるんだ」

 …あぁ、きっと
 あの契約者は、本当に、赤いはんてんの事が好きだったのだろう
 だから、そんな方法を選んだのだ
 その優しさが、どれだけ彼女の心に傷を残すかも知らずに

 畸形たちの攻撃が届くよりも、先に
 彼女の契約者は目を閉じて……その命の灯火を、消してしまった

 彼女は泣いていた
 その大きな瞳から、涙を溢れさせて
 そして、ぼそり呟く

「…殺してやる」

 ぽつんっ
 黒い畸形に、赤い斑点が浮かびだす

「……っ殺してやる!!!」

 契約者を失った事で、力を弱体化させたはずの、赤いはんてん
 しかし、怒りが、憎しみが、悲しみが、むしろ彼女の力を増大させていた

「殺してやるっ!殺してやるっ!!殺してやるっ!!!殺してやるっ!!!!殺してやるっ!!!!!!」

 ぽつん、ぽつん
 黒い畸形に、マスコットたちに、『夢の国』の王様に
 次々と赤い斑点が浮かび上がり、皆倒れ付していく

 だが、ここは『夢の国』のテリトリー
 倒れた者共は、そのうちまた起き上がるだろう
 彼女には、分が悪すぎる

「…っ逃げるぞ!」
「っ!?放すのです!赤マント、放すのです!!!」

 姿を隠していた私は、赤いはんてんの前に姿を現すと…自身の能力で、彼女の行動を封じた
 一瞬で、その体を麻袋に押し込めると…マントを翻し、姿を消す

 私は赤マント
 人攫いの赤マント
 私はどこにでもいて、どこにもいない
 だから、どこにでも現れることができる


 赤いはんてんと、『夢の国』が戦っていた場所から、遠く離れた場所に、姿を現す
 …ここまで、来れば

「…ぅお!?」

 ばり!!と
 麻袋が突破された
 はんてんを翻し、青いはんてんになった彼女が…私を、睨みつけてくる

「っどうして、邪魔をしたの!?」
「君では、『夢の国』に敵わない。分が悪すぎる」
「どうして!!どうしてよっ!!」

 私の言葉は、青いはんてんに届かない
 鉄拳が、私に襲い掛かる
 …私はそれを避けない
 それを避ける権利は、私にはない

「どうして……っどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして!!!!!」

 ぽろぽろと、涙を流して彼女は泣いている
 契約者を護れなかった、事実に
 その仇をとることすら許されなかった事実に 
 ただただ、涙を流し続けていた

 …彼女の拳が、止まった
 彼女は泣き続けている
 ぼろぼろ、大粒の涙をこぼし続けている

 …彼女が泣いている顔など、見ていたくなかった
 きっと、彼女の契約者も、彼女が泣き続ける事を望んではいなかったはずだ

 …だから
 私は、泣いている彼女に手を伸ばした

「…あそこで、君が命を落とす事を…君の契約者が、望んだと思うかね?」
「………っ」
「彼の事を想っていたならば。生き延びたまえ。『夢の国』を倒す手段が見付かるまで…立ち向かうべきではない」

 …彼女は、がくり膝をついて
 そして、子供のように、泣きじゃくり続けた
 私は、その体を抱きしめる
 そんな権利などない、と知りながら

 優しい契約者だった
 血に塗れていた私にすら、手を差し伸べて…私を、一昔前の赤マントに戻してくれた
 私は、契約こそしなかったが
 赤いはんてんとあの契約者が共にいる様子を、見ているだけで楽しかった
 …それ以上は、何も望まなかったのに
 あの契約者は、赤いはんてんを庇って死んでしまった
 もう、彼女を愛した契約者は、どこにいない






「むにゅ~…」

 すぴすぴ
 眠り続ける赤いはんてん
 小さな体を抱きしめ続けてやる

 …『夢の国』
 この町に、現れたと言うのか
 もし、赤いはんてんが、『夢の国』と遭遇してしまったら…
 ……また、怒りに、我を忘れてしまうのではないか?
 そんな恐怖が、頭からこびりついて離れない

 私には、彼女を護る事すらできないかもしれない
 一昔前の赤マントに戻った私には、戦う力がないのだから

 …だから、せめて
 赤いはんてんが、命を落とさないよう
 『夢の国』と彼女が遭遇してしまったら…遠く遠く、はるか遠くに逃がしてやろう
 そのためにも…彼女から、離れない
 赤いはんてんの重みを感じながら、私はそう、誓った









  貴方の望みを叶えたい 貴方の事を想うから

  貴方に傷ついて欲しくない 貴方の事を想うから


  だから、どうか傷つく事を望まないで
  それが、それだけが
  …………私の、願いです





            Red Cape







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