【♪~ Il giudizio finale sta per essere emesso ~♪】
「…ん、あれ……電話での連絡なんて、久しぶりだなぁ」
アルバイトの休憩時間中
かかってきた電話の相手を液晶画面で確認し、彼はそう呟いた
…ここ一週間メールばかりだったくせに、どうしたのだろう?
かかってきた電話の相手を液晶画面で確認し、彼はそう呟いた
…ここ一週間メールばかりだったくせに、どうしたのだろう?
【♪~ Nessuno puo emendarsi dal peccato che scorre nelle vene ~♪】
…まぁ、いつまでも着信メロディを聞いていても仕方ない
彼は、面倒だな、と思いながら電話を受信する
彼は、面倒だな、と思いながら電話を受信する
夢の国が何かしようと、自分には関係ない
…ただ、今まで通り、兄を護るだけだ
…ただ、今まで通り、兄を護るだけだ
『…今度、秋祭りが行われることはご存知で?』
「あぁ、毎年やってるやつでしょ?それが?」
『恐らく、「夢の国」はそれに合わせて、本格的に動き出すでしょう。「組織」としても、それに対抗します』
「……ふぅん?」
「あぁ、毎年やってるやつでしょ?それが?」
『恐らく、「夢の国」はそれに合わせて、本格的に動き出すでしょう。「組織」としても、それに対抗します』
「……ふぅん?」
…「組織」の作戦に、自分も組み込まれるのだろうか?
面倒だな、と彼は考える
自分は、兄を護るので精一杯なのに
まぁ、「組織」に力を貸すことも、兄を護る為になるから仕方ないが…
さて、どんな文句を言ってやろうか
面倒だな、と彼は考える
自分は、兄を護るので精一杯なのに
まぁ、「組織」に力を貸すことも、兄を護る為になるから仕方ないが…
さて、どんな文句を言ってやろうか
…そう考えていた青年の予想を、電話の向こうの黒服は裏切ってくる
『ですから……いざとなったら。秋祭りの時期の前に、お兄さんを連れて学校町を離れなさい』
「……え?」
「……え?」
きょとん、とする青年
考えていた文句も、全て吹き飛ぶ
考えていた文句も、全て吹き飛ぶ
「…どう言う風の吹き回し?」
『「組織」の一部が、これを機会に「組織」の反抗勢力を一網打尽にしようとしています。その計画が実行されれば…学校町事態が、地図上から消されかねません』
『「組織」の一部が、これを機会に「組織」の反抗勢力を一網打尽にしようとしています。その計画が実行されれば…学校町事態が、地図上から消されかねません』
…電話の向こうの黒服の声は、つらそうだった
自分の無力さに嘆いているような
……そんな、声
自分の無力さに嘆いているような
……そんな、声
『出来る限り、その作戦を実行させないようにするつもりではありますが……どうなるか、わかりませんから』
「…じゃあ、それが実行されたら。君はどうなるのかな?」
『…………』
「…じゃあ、それが実行されたら。君はどうなるのかな?」
『…………』
…返事がない
やれやれ、と彼はため息をついた
わかりやすい奴め、と思う
黒服の癖に、考えを読まれるようでは駄目だろうに
…だが、だからこそ、扱いやすい
やれやれ、と彼はため息をついた
わかりやすい奴め、と思う
黒服の癖に、考えを読まれるようでは駄目だろうに
…だが、だからこそ、扱いやすい
「僕、逃げないよ?兄さんが、生徒を置いて町から逃げると思えないからね…だから、僕は逃げられないの」
『…そうですか』
「それとさぁ、死のうとなんて、考えちゃ駄目だよ?」
『…そうですか』
「それとさぁ、死のうとなんて、考えちゃ駄目だよ?」
こちらの、言葉に
今度は、あちらが言葉に困っているようだった
くすくす、彼は笑う
今度は、あちらが言葉に困っているようだった
くすくす、彼は笑う
「君がいなくなったら、「組織」を利用しにくいじゃない。それはだぁめ。生きて、僕の役に立ってよ」
『…まったく、あなたという人は…』
『…まったく、あなたという人は…』
善処します、と答えてきた黒服
秋祭りに向けた詳しい作戦については、後日改めて連絡する、といって電話を切ってきた
秋祭りに向けた詳しい作戦については、後日改めて連絡する、といって電話を切ってきた
……携帯電話を握り緊め、彼は呟く
「…逃げられる訳がないじゃない。兄さんが逃げないのに」
……ぎり、と
強く、強く、携帯電話を握り緊め
…暗く、呟く
強く、強く、携帯電話を握り緊め
…暗く、呟く
「…父さんと母さんの墓がこの町にあるのに。逃げられる訳ないじゃない」
その呟きは、あまりにも小さくて、小さくて
彼自身にすら、届いていなかった
彼自身にすら、届いていなかった