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連載 - ヤンデレ弟の日常-07

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【♪~ Il giudizio finale sta per essere emesso ~♪】

「…ん、あれ……電話での連絡なんて、久しぶりだなぁ」

 アルバイトの休憩時間中
 かかってきた電話の相手を液晶画面で確認し、彼はそう呟いた
 …ここ一週間メールばかりだったくせに、どうしたのだろう?

【♪~ Nessuno puo emendarsi dal peccato che scorre nelle vene ~♪】

 …まぁ、いつまでも着信メロディを聞いていても仕方ない
 彼は、面倒だな、と思いながら電話を受信する

「はい、どうしたの?」
『…街中に張られているポスターは、確認しましたか?』
夢の国の?うん、知ってるよ。兄さんからも話聞いたし」

 夢の国が何かしようと、自分には関係ない
 …ただ、今まで通り、兄を護るだけだ

『…今度、秋祭りが行われることはご存知で?』
「あぁ、毎年やってるやつでしょ?それが?」
『恐らく、「夢の国」はそれに合わせて、本格的に動き出すでしょう。「組織」としても、それに対抗します』
「……ふぅん?」

 …「組織」の作戦に、自分も組み込まれるのだろうか?
 面倒だな、と彼は考える
 自分は、兄を護るので精一杯なのに
 まぁ、「組織」に力を貸すことも、兄を護る為になるから仕方ないが…
 さて、どんな文句を言ってやろうか

 …そう考えていた青年の予想を、電話の向こうの黒服は裏切ってくる

『ですから……いざとなったら。秋祭りの時期の前に、お兄さんを連れて学校町を離れなさい』
「……え?」

 きょとん、とする青年
 考えていた文句も、全て吹き飛ぶ

「…どう言う風の吹き回し?」
『「組織」の一部が、これを機会に「組織」の反抗勢力を一網打尽にしようとしています。その計画が実行されれば…学校町事態が、地図上から消されかねません』

 …電話の向こうの黒服の声は、つらそうだった
 自分の無力さに嘆いているような
 ……そんな、声

『出来る限り、その作戦を実行させないようにするつもりではありますが……どうなるか、わかりませんから』
「…じゃあ、それが実行されたら。君はどうなるのかな?」
『…………』

 …返事がない
 やれやれ、と彼はため息をついた
 わかりやすい奴め、と思う
 黒服の癖に、考えを読まれるようでは駄目だろうに
 …だが、だからこそ、扱いやすい

「僕、逃げないよ?兄さんが、生徒を置いて町から逃げると思えないからね…だから、僕は逃げられないの」
『…そうですか』
「それとさぁ、死のうとなんて、考えちゃ駄目だよ?」

 こちらの、言葉に
 今度は、あちらが言葉に困っているようだった
 くすくす、彼は笑う

「君がいなくなったら、「組織」を利用しにくいじゃない。それはだぁめ。生きて、僕の役に立ってよ」
『…まったく、あなたという人は…』

 善処します、と答えてきた黒服
 秋祭りに向けた詳しい作戦については、後日改めて連絡する、といって電話を切ってきた

 ……携帯電話を握り緊め、彼は呟く

「…逃げられる訳がないじゃない。兄さんが逃げないのに」

 ……ぎり、と
 強く、強く、携帯電話を握り緊め
 …暗く、呟く

「…父さんと母さんの墓がこの町にあるのに。逃げられる訳ないじゃない」

 その呟きは、あまりにも小さくて、小さくて
 彼自身にすら、届いていなかった






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