それに、一番はじめに気づいたのは蛇城が契約している白蛇だった
すぅ、と首を伸ばし、空を見上げ始める
その様子に、実況者の約一名を後で狙撃すべきかどうかわりと本気で悩んでいた蛇城が、白蛇に問う
すぅ、と首を伸ばし、空を見上げ始める
その様子に、実況者の約一名を後で狙撃すべきかどうかわりと本気で悩んでいた蛇城が、白蛇に問う
「……?どうしました?」
「巫女よ、どうやら一雨きそうだぞ」
「雨?……あれ、戦闘フィールドって、お天気変わるんだっけ?」
「巫女よ、どうやら一雨きそうだぞ」
「雨?……あれ、戦闘フィールドって、お天気変わるんだっけ?」
蛇城と白い蛇のやり取りに澪が首を傾げ、頭上を見上げ
「…………え?」
いつの間にか、戦闘フィールドの空、と呼べる高さに、黒い雨雲が出現し始めていた
それも、戦闘フィールド一帯、全てを覆うような……
それも、戦闘フィールド一帯、全てを覆うような……
「……!そちらの白い蛇、水の操作できますか!?」
「可能です」
「可能です」
何かに気づき、慌てた様子の真降の問いかけに蛇城が答えた、その直後
ーーーーーざぁあああああああああああああああああああああ!!!
「あっ」
「やっぱやったか。思いっきり画面見えにくくなるが、仕方ねぇか」
「やっぱやったか。思いっきり画面見えにくくなるが、仕方ねぇか」
実況席で、呑気にそんな声を上げる直斗
戦闘フィールド全体に、強烈なスコールが降り注いでいる
視界も、音も、何もかもかき消してしまう程のそれを発生させたのは、間違いなくザンだろう
彼の「マリー・セレスト号」には、スコールを発生させる能力もあったはずだ
戦闘フィールド全体に、強烈なスコールが降り注いでいる
視界も、音も、何もかもかき消してしまう程のそれを発生させたのは、間違いなくザンだろう
彼の「マリー・セレスト号」には、スコールを発生させる能力もあったはずだ
「神子さん。現場がよく見えない状況でありましたら、そろそろ目隠ししている手を外してくださっても良いかと」
「カメラがサキュバスどアップにしちゃうと言う事故を否定しきれないからまだ駄目」
「駄目でしたら、仕方がありませんね」
「龍哉、もうちょっと粘れ。あと、神子。お前が絵里さんに噛まれそうになっても俺はフォローしないぞ。ポチ辺りに頼め」
「人語理解できる程度に頭いいとは言え子犬に頼れってのもどうよ」
「カメラがサキュバスどアップにしちゃうと言う事故を否定しきれないからまだ駄目」
「駄目でしたら、仕方がありませんね」
「龍哉、もうちょっと粘れ。あと、神子。お前が絵里さんに噛まれそうになっても俺はフォローしないぞ。ポチ辺りに頼め」
「人語理解できる程度に頭いいとは言え子犬に頼れってのもどうよ」
ここまで酷いスコールが振られるとまともに実況は出来ない
龍哉が目隠しを外されたとしても、流石に難しいだろう
………ただ
龍哉が目隠しを外されたとしても、流石に難しいだろう
………ただ
「……おや?何か聞こえましたね」
「え?」
「………だな。何か、鳴き声みたいなのが」
「え?」
「………だな。何か、鳴き声みたいなのが」
微かに、微かに
スコールの音に混じって、何か……
スコールの音に混じって、何か……
雨の音が、視界も何もかも塗りつぶしていく
それでもかろうじて、そのスコールは良栄丸とクイーン・アンズ・リベンジの周辺へは降り注いでいなかった
それでもかろうじて、そのスコールは良栄丸とクイーン・アンズ・リベンジの周辺へは降り注いでいなかった
「ギリギリ、間に合ったようですね」
「助かった。こんだけ酷い雨だと良栄丸も少しヤバイ」
「助かった。こんだけ酷い雨だと良栄丸も少しヤバイ」
蛇城が契約している白蛇が、水を操る力で持って、この辺りのみ雨が届かぬようにしてくれたのだ
ただ、本当にごく狭い範囲のみである。雨を防げているのは
ザンがいる辺りなど、この位置からは全く見えなくなってしまった
ヒトデに襲われたサキュバスもどうなったかわからない
なお、余談ながらヒトデは基本肉食なのだが……死人を出してはいけない試合なので、食われては居ないだろう。多分
ただ、本当にごく狭い範囲のみである。雨を防げているのは
ザンがいる辺りなど、この位置からは全く見えなくなってしまった
ヒトデに襲われたサキュバスもどうなったかわからない
なお、余談ながらヒトデは基本肉食なのだが……死人を出してはいけない試合なので、食われては居ないだろう。多分
「雨か………ソろソろ、動かなけレバ危ないかもシれんな」
「…そうだね。この雨に乗じて、X-No,0が何か仕掛けてくるかもしれない」
「動くべきか。号令をかければ、すぐにでも大砲は発射出来……」
「…そうだね。この雨に乗じて、X-No,0が何か仕掛けてくるかもしれない」
「動くべきか。号令をかければ、すぐにでも大砲は発射出来……」
黒が、大雑把にザンがいた方向を見据えながら、そう口にした………その時
「……ッマスター!5時の方向だ!」
この大雨の中でもかろうじて見えるのか、それとも経験からくる勘か
黒髭が、己の契約者たる黒へと警告を飛ばした
その警告に、黒は黒髭が告げた方向へと向き直り
黒髭が、己の契約者たる黒へと警告を飛ばした
その警告に、黒は黒髭が告げた方向へと向き直り
「撃ち方用意っ!!………撃てぇ!!」
黒が司令を出したその瞬間、クイーン・アンズ・リベンジに無数の船員が現れた
それらは大砲を構え、黒が見据える方向へと砲撃を開始する
それらは大砲を構え、黒が見据える方向へと砲撃を開始する
ーーーーークルァアアアアアアアアア
スコールによる轟音の向こう側から、何かの鳴き声が、響き渡る
一瞬だけ、ゆらり、と、巨大な影が見えた
一瞬だけ、ゆらり、と、巨大な影が見えた
「…おい。ありゃシルエットから見てシーサーペントだぞ」
「シーサーペント、と言っても形状色々いるからなんともいえないが……それっぽいな」
「シーサーペント、と言っても形状色々いるからなんともいえないが……それっぽいな」
黒髭と栄は、見えたそれをシーサーペントである、と判断した
先程の20門もの大砲の砲撃で、それにどの程度ダメージが入ったかはわからない
ひかりもまた、微かに見えるシーサーペントと思わしきシルエットに攻撃しようと………
先程の20門もの大砲の砲撃で、それにどの程度ダメージが入ったかはわからない
ひかりもまた、微かに見えるシーサーペントと思わしきシルエットに攻撃しようと………
「……栄!」
と
栄しかいないはずの良栄丸の操舵室の中から、別の男の声がした
数人がぎょっとしてそちらを見ると、操舵室の中にあった大きな箱の蓋が開いており、そこから男が顔を出している
栄しかいないはずの良栄丸の操舵室の中から、別の男の声がした
数人がぎょっとしてそちらを見ると、操舵室の中にあった大きな箱の蓋が開いており、そこから男が顔を出している
「深志?お前、見つかったらヤバいから隠れてろって………」
「もうバレた!「メガロドン」がザンの闇で防がれ始めてる。それと、あのシーサーペントっぽいクラーケンの他に、もっとドラゴンよりの顔のクラーケンがこっちに向かってきてる!まだ少し遠くてはっきり見えないが、他にももう一体!」
「もうバレた!「メガロドン」がザンの闇で防がれ始めてる。それと、あのシーサーペントっぽいクラーケンの他に、もっとドラゴンよりの顔のクラーケンがこっちに向かってきてる!まだ少し遠くてはっきり見えないが、他にももう一体!」
栄から深志と呼ばれたその男が、そう警告した
その発言内容に、気づいた者が数名
その発言内容に、気づいた者が数名
「「メガロドン」の契約者か」
「あぁ、そうだ……召喚使役型とバレたから、ザンが遠慮なく闇で「メガロドン」を攻撃し始めたんだろ。視覚は共有できるが、ダメージ共有はないからな」
「あぁ、そうだ……召喚使役型とバレたから、ザンが遠慮なく闇で「メガロドン」を攻撃し始めたんだろ。視覚は共有できるが、ダメージ共有はないからな」
近づいてくる影に関しては、「メガロドン」との視覚共有で確認したらしい
今も、深志は視界を半分、「メガロドン」と共有し、何匹もの視界を切り替えて状況を確認し続けていて
今も、深志は視界を半分、「メガロドン」と共有し、何匹もの視界を切り替えて状況を確認し続けていて
その「メガロドン」の一体が、巨大なハサミによって切り裂かれ、消える
ヒトデ型クラーケンと共にサキュバスに襲いかかっているザリガニ型クラーケンとはまた別に、はさみを持つ個体………エビ型クラーケンが、ゆっくりと良栄丸へと近づいていっている
ヒトデ型クラーケンと共にサキュバスに襲いかかっているザリガニ型クラーケンとはまた別に、はさみを持つ個体………エビ型クラーケンが、ゆっくりと良栄丸へと近づいていっている
別方向、良栄丸の真下からは、翼を持たぬ巨大な竜の姿をしたクラーケンが
さらにもう一体、先程クイーン・アンズ・リベンジの砲撃を受けたシーサーペント型クラーケンが
それぞれ、良栄丸へと襲いかかろうとしていて
さらにもう一体、先程クイーン・アンズ・リベンジの砲撃を受けたシーサーペント型クラーケンが
それぞれ、良栄丸へと襲いかかろうとしていて
……そして、さらにもうひとつ、クラーケンとは別の攻撃手段をいつでも放てるように構えて
さてどう動くか、と、ザンは笑った
さてどう動くか、と、ザンは笑った
to be … ?