神子が、まるで何かを感じ取っているかのようにそわそわとしている
その様子に気づいた直斗は
その様子に気づいた直斗は
「………………厄介な能力使いやがった」
と、ぼそり、実況のマイクには入らないよう、そう呟いた
その声は、忌々しそうな、今にも舌打ちしそうなものだったが
その声は、忌々しそうな、今にも舌打ちしそうなものだったが
「?何か言った?」
「いや、何も」
「いや、何も」
神子に問われた時には、普段通りの軽い調子の声に戻っていた
そうしながら、神子に告げる
そうしながら、神子に告げる
「とりあえず、さっきからそわそわしてるみたいだけど。この試合終わったらすぐ手洗い行けよ。こういう場で漏らしたら属性付けられるぞ」
「そういう意味でそわそわはしてないっ!?」
「そういう意味でそわそわはしてないっ!?」
力いっぱいの神子のツッコミを軽く流しながら、直斗は試合会場を映し出すモニターに視線を戻した
激しいスコールによって、ほぼ何も見えないも同然の状態が続いているが……
激しいスコールによって、ほぼ何も見えないも同然の状態が続いているが……
「龍哉、今、どんな状態になってる?」
龍哉なら、自分達より多少は見えているであろう
そう判断し、直斗は龍哉に問うた
ようやく、龍哉が神子の目隠しから解放されたおかげで、もう少しマシに実況できそうだ
そうして、龍哉はその問いに答える
そう判断し、直斗は龍哉に問うた
ようやく、龍哉が神子の目隠しから解放されたおかげで、もう少しマシに実況できそうだ
そうして、龍哉はその問いに答える
「そうですね。ザンさんが呼び出していましたエビ型のクラーケンが、エビフライになりましたね」
「「何が起きてる試合会場」」
「「何が起きてる試合会場」」
思わず、直斗と神子の言葉が重なった
本当に何が起きている、試合会場
本当に何が起きている、試合会場
「……まぁ、どちらにせよ。そろそろ決着つくだろ」
「どうしてそう思うの?」
「思ったより時間かかってるし。そろそろ、ザンが焦れてくるだろうからな」
「どうしてそう思うの?」
「思ったより時間かかってるし。そろそろ、ザンが焦れてくるだろうからな」
スペシャルマッチの試合の経緯を思い返す
ザンは「試合の最中に武器を補充していた」のだ
そろそろ、それを使うだろう、と。直斗はそう確信していた
ザンは「試合の最中に武器を補充していた」のだ
そろそろ、それを使うだろう、と。直斗はそう確信していた
次々と特攻し、自爆してくる人形逹をクラーケンの足で防ぐ
ただ、そろそろ決着をつけるべきだな、とザンはそう考え出していた
さて、人形を特攻させまくっている彼女をどうしようか………
ただ、そろそろ決着をつけるべきだな、とザンはそう考え出していた
さて、人形を特攻させまくっている彼女をどうしようか………
ごぅんっ
「あ」
「影守ーーーーっ!?」
「影守ーーーーっ!?」
あっ
何気なくクラーケンの足で特攻を防いだら、クラーケンの足で絡め取ったままだった影守が人形の自爆特攻をもろにくらった
あれ、生きてるだろうか
何気なくクラーケンの足で特攻を防いだら、クラーケンの足で絡め取ったままだった影守が人形の自爆特攻をもろにくらった
あれ、生きてるだろうか
「っく……なんて酷い事を……!」
「会話聞いてた感じ、人形に八つ当たりで自爆特攻させてる時点でお前も酷くないか?」
「会話聞いてた感じ、人形に八つ当たりで自爆特攻させてる時点でお前も酷くないか?」
希の言葉にザンは思わずツッコミを入れた
が、希はそれを華麗にスルー(と言うより聞かないフリ)して、ザンを睨みつけた
が、希はそれを華麗にスルー(と言うより聞かないフリ)して、ザンを睨みつけた
「しかも、さっき影守に当たったので人形ストックがほぼ尽きた……!なんて事なの……!」
「そら、あんだけ特攻かましまくったら残機なくなるわ」
「そら、あんだけ特攻かましまくったら残機なくなるわ」
自業自得だろう、とツッコミを入れながら、ザンは傍らにブラックホールを思わせる穴を空けた
その真っ黒な空間を見て、希が警戒する
その真っ黒な空間を見て、希が警戒する
「…それ、攻撃には使っちゃ駄目なんでしょ?今回は」
「あぁ、「直接」攻撃に使うのは、駄目だな」
「あぁ、「直接」攻撃に使うのは、駄目だな」
そう、「直接」は駄目だ、「直接」は
……だが、この使い方なら許される
漆黒のその向こう側から顔を覗かせ始めたそれに、希は対応しようとして………
……だが、この使い方なら許される
漆黒のその向こう側から顔を覗かせ始めたそれに、希は対応しようとして………
時は、ほんのちょっぴりだけ遡り
「はぁい、来ちゃった♥」
ようやく、クイーン・アンズ・リベンジと「良栄丸」の辺りまで移動完了したサキュバス
そこにいた面子に、ウィンクを一つ飛ばし
そこにいた面子に、ウィンクを一つ飛ばし
………っぱん、と、銃声が響き渡った
「危なっ!?いきなり撃ってくるなんて大胆……♥」
「……っち、外しましたか」
「……っち、外しましたか」
何があったか、と言えば。蛇城がサキュバスを見た瞬間、問答無用で発砲したのである
残念ながら(?)、サキュバスが支配権を奪い取ったタコ型クラーケンによって防がされたようだが
残念ながら(?)、サキュバスが支配権を奪い取ったタコ型クラーケンによって防がされたようだが
「味方を銃撃するのはどうかと思うんだけど」
「若に見せてはいけない姿をしていたので、今のうちに撃ち落としておくべきだと判断しました」
「若に見せてはいけない姿をしていたので、今のうちに撃ち落としておくべきだと判断しました」
黒服Yのツッコミにもこの反応を返す蛇城
反省している様子はない、と言うより、隙あらばまた撃ち込む構えだ
反省している様子はない、と言うより、隙あらばまた撃ち込む構えだ
「そのタコの支配権、完全に奪い取っているのか?突然、支配権を奪い返され、タコが暴れだすなどということはないだろうな?」
「大丈夫大丈夫、そう簡単に支配権奪い返されるほど、お姉さんは甘くないぞ♥」
「大丈夫大丈夫、そう簡単に支配権奪い返されるほど、お姉さんは甘くないぞ♥」
ゴルディアン・ノットの帽子を抱えた外海に問われ、セクシーポーズとりつつ答えるサキュバス
そう、彼女とて熟練の実力者サキュバスである
一度誘惑して支配権を奪った存在を、そう簡単に奪い返されたりはしない
そう、やる気がなくならない限りは………
そう、彼女とて熟練の実力者サキュバスである
一度誘惑して支配権を奪った存在を、そう簡単に奪い返されたりはしない
そう、やる気がなくならない限りは………
「在処ちゃんにお姉さんの活躍見せなきゃいけないんだもの、無様な姿は晒さないんだから」
「念のため言うが、奥方様……在処様は、会場には来ていないぞ」
「えっ」
「念のため言うが、奥方様……在処様は、会場には来ていないぞ」
「えっ」
蛇城からの容赦なき言葉に、一瞬霧散しかけるサキュバスのやる気
が、ギリギリのところで、サキュバスは耐えた
落ち着こう、淫魔はクールかつ情熱的であれ。会場に来ていなくとも、後で録画映像を見たりとかあるかもしれない。どちらにせよ無様な姿を晒す訳にはいかないのだ
が、ギリギリのところで、サキュバスは耐えた
落ち着こう、淫魔はクールかつ情熱的であれ。会場に来ていなくとも、後で録画映像を見たりとかあるかもしれない。どちらにせよ無様な姿を晒す訳にはいかないのだ
と、茶番を切り上げ、真面目にこの状況をどうすべきかとなった、その時
「………あ?」
「黒髭、どうかしたのか?」
「…今、爆音がしなかったか?」
「黒髭、どうかしたのか?」
「…今、爆音がしなかったか?」
直ぐ側の音しか聞こえない…どころ、その音さえかき消しかねないスコールが降り注ぐ中、黒髭が何やら聞きつけた
そして、その音は彼にとって聞き覚えのある、馴染みのある音であり
そして、その音は彼にとって聞き覚えのある、馴染みのある音であり
直後、この場にいる全員が悪寒を感じた
びちびちっ、と、タコ型のクラーケンがビチビチと暴れだす
びちびちっ、と、タコ型のクラーケンがビチビチと暴れだす
「っきゃ!?あれ、どうしたの?」
サキュバスが問いかけるが、タコ型クラーケンは人語を話すことはできない
代わりに、びっちんびっちん足で海面を叩き、何かを訴え……その足の動きが、おかしい
何か、痺れているような
代わりに、びっちんびっちん足で海面を叩き、何かを訴え……その足の動きが、おかしい
何か、痺れているような
「痺れ………まさか!」
深志が慌てて、辺りを泳がせていた「メガロドン」と視界を共有した
近場を泳がせていた「メガロドン」の視界が、それを捕らえる
近場を泳がせていた「メガロドン」の視界が、それを捕らえる
「げ……っ栄、今すぐ「良栄丸」をこっから移動させろ!」
「無茶言うな。海水がなくなった分、スピードが落ち……っ!?」
「無茶言うな。海水がなくなった分、スピードが落ち……っ!?」
しゅるり、と
何か、半透明の細いものが「良栄丸」に絡みついてきた
黒服Yと蛇城が絡みついてくる触手のようなそれを銃撃するが、後から後から伸びてくる
何か、半透明の細いものが「良栄丸」に絡みついてきた
黒服Yと蛇城が絡みついてくる触手のようなそれを銃撃するが、後から後から伸びてくる
「なにこれ!?」
「クラゲ型のクラーケンだ!サキュバスに吸われた後放置されてんのかと思ったら、一旦引っ込めて召喚し直しやがったんだな!?」
「クラゲ型のクラーケンだ!サキュバスに吸われた後放置されてんのかと思ったら、一旦引っ込めて召喚し直しやがったんだな!?」
澪の叫びに応える深志
そういえば、サキュバスに生気を吸われ放置されていたはずだったのだが………スコールが降り注ぎ始めて以降、姿が見えないと思ったらそういうことなのだろう
スコールに紛れて、接近してきていたらしい
触れた瞬間に相手を痺れさせるであろうその触手から、「良栄丸」に乗り込んでいる面子は距離を取る
そういえば、サキュバスに生気を吸われ放置されていたはずだったのだが………スコールが降り注ぎ始めて以降、姿が見えないと思ったらそういうことなのだろう
スコールに紛れて、接近してきていたらしい
触れた瞬間に相手を痺れさせるであろうその触手から、「良栄丸」に乗り込んでいる面子は距離を取る
「…でも、このお船を沈めるだけのパワーはないのかな?」
エビフライ型クラーケンがびたーんびたーんと己の進撃を封じる氷を破壊しようとしている様子を横目で見つつ、ひかりはクラゲ型クラーケンの触手の様子に首を傾げた
そう、どうやら、「良栄丸」を沈めるようなパワーはクラゲ型クラーケンにはないらしい
もしも、沈められるのならばこれだけ絡みつかせた時点でとっくにやっているはずだ
では、このクラゲは何の為に?
そう、どうやら、「良栄丸」を沈めるようなパワーはクラゲ型クラーケンにはないらしい
もしも、沈められるのならばこれだけ絡みつかせた時点でとっくにやっているはずだ
では、このクラゲは何の為に?
「まるで、ここから移動させないために絡みついているような……」
そう、口にしたのは誰だったか
その言葉が最後まで続く前に、クイーン・アンズ・リベンジ、「良栄丸」、そして黒いドラゴンと化していたゴルディアン・ノットの真上に、漆黒の闇が生まれる
触れたものを容赦なく吸い込み消し去るその闇の向こう側から、何かが、無数に………
その言葉が最後まで続く前に、クイーン・アンズ・リベンジ、「良栄丸」、そして黒いドラゴンと化していたゴルディアン・ノットの真上に、漆黒の闇が生まれる
触れたものを容赦なく吸い込み消し去るその闇の向こう側から、何かが、無数に………
「…あれは、まさか」
「クイーン・アンズ・リベンジが放った大砲の弾!?」
「クイーン・アンズ・リベンジが放った大砲の弾!?」
そう、黒と黒髭が容赦なくザンに向かって撃ち込みまくっていた大砲の弾
ザンの能力で闇の向こう側に吸い込まれていたそれらが、一斉に姿を表して
希相手にやったように、大砲の弾は容赦なくザンへの挑戦者逹に降り注いだ
ザンの能力で闇の向こう側に吸い込まれていたそれらが、一斉に姿を表して
希相手にやったように、大砲の弾は容赦なくザンへの挑戦者逹に降り注いだ
厄介な連中は一箇所に集まっていたようである
召喚しなおしたクラゲ型クラーケンで「良栄丸」の動きを封じ、そこに吸い込んでストックしておいた大砲の弾を返しまくる
これで、「良栄丸」は落ちるだろう
大砲の弾だけで落ちなかったら、他にも過去に吸い込んだ攻撃を放出していけばいい
召喚しなおしたクラゲ型クラーケンで「良栄丸」の動きを封じ、そこに吸い込んでストックしておいた大砲の弾を返しまくる
これで、「良栄丸」は落ちるだろう
大砲の弾だけで落ちなかったら、他にも過去に吸い込んだ攻撃を放出していけばいい
「あとは、あそこに合流していない、まだ潜んでる奴一人ずつ見つけて落としていけば終わるだろ」
そうじゃなくとも、これだけのスコールだ
運が良ければ、もう落ちているだろう
このエリアから回収されていないところを見るに、まだ気絶していないらしい影守の方も、もう少し強めにクラーケンに絞めさせて落とせば………
運が良ければ、もう落ちているだろう
このエリアから回収されていないところを見るに、まだ気絶していないらしい影守の方も、もう少し強めにクラーケンに絞めさせて落とせば………
「っと」
「が!?」
「が!?」
ザンへの奇襲を試みた小さな人影が、イカ型クラーケンの太い足に叩き落された
ずっと、気配を潜ませ攻撃のチャンスを狙っていたらしい
ザンが攻勢に転じた様子を見て、今仕留めなければ挑戦者側は勝てない、と踏んだか
叩き落された、忍びのような服装の人影は、そのまま地面へと落下していって
ずっと、気配を潜ませ攻撃のチャンスを狙っていたらしい
ザンが攻勢に転じた様子を見て、今仕留めなければ挑戦者側は勝てない、と踏んだか
叩き落された、忍びのような服装の人影は、そのまま地面へと落下していって
ぺふしゅるんっ、と
イカ型クラーケンの足に、そっと抱きとめられた
イカ型クラーケンの足に、そっと抱きとめられた
スコールがゆっくりと晴れていく
「…………やりやがった」
ぽつり、呟いたザンの右肩
そこに、小さな苦無がざっくりと、突き刺さっていた
そこに、小さな苦無がざっくりと、突き刺さっていた
【戦技披露会 スペシャルマッチ ザンへ一撃を加える事に成功しました 挑戦者側の勝利です!】
to be … ?