一日目の夜
現在、丁度日付が変わった真夜中の時分だ
Pナンバー幹部である女性黒服はテレプレゼンス端末の前に立っていた
今しがた長い認証コードの入力を終えたばかりだ
今しがた長い認証コードの入力を終えたばかりだ
「ピエロ」による東区放火の報告が入って既に数時間が経過した
現場からは未だ脅威の鎮圧に完了したという連絡は無い
現場からは未だ脅威の鎮圧に完了したという連絡は無い
「ピエロ」――10月初頭から学校町内での活動が確認された敵対的都市伝説だ
「組織」は彼らを有害存在であると認定し出現の度に実力で排除に当たってきた
だが今夜の連中の動きはどうだ、今までとはまるで違う
あたかも彼ら自身の存在を知らしめるかのような暴挙に出ているではないか
「組織」は彼らを有害存在であると認定し出現の度に実力で排除に当たってきた
だが今夜の連中の動きはどうだ、今までとはまるで違う
あたかも彼ら自身の存在を知らしめるかのような暴挙に出ているではないか
脅威の排除は言うまでも無い
しかし最優先事項は治安維持、非契約者に対する都市伝説の隠蔽だ
現場からアップデートされる報告に鑑みて、恐らく現場レベルの対処では間に合うまい
しかし最優先事項は治安維持、非契約者に対する都市伝説の隠蔽だ
現場からアップデートされる報告に鑑みて、恐らく現場レベルの対処では間に合うまい
暫くの待機の末、M-No.010との通信が確立された
相手の姿が端末に投影される
相手の姿が端末に投影される
「今晩は P-No.6、先程の件ですね」
M-No.010、実質的なM-No.0の“代理人”だ
他ナンバー幹部からMナンバー幹部への連絡役でもある
物腰こそ丁寧だが凡そ誠意なるものを感じさせない黒服、要するにいやなやつと噂されている
他ナンバー幹部からMナンバー幹部への連絡役でもある
物腰こそ丁寧だが凡そ誠意なるものを感じさせない黒服、要するにいやなやつと噂されている
端末前の女性黒服、P-No.6は内心身構えていた
相手は白を黒と言い包める怪人物であると定評のある黒服だ
他のPナンバー幹部からは十二分に警戒しろと忠告されている
相手は白を黒と言い包める怪人物であると定評のある黒服だ
他のPナンバー幹部からは十二分に警戒しろと忠告されている
「その通りです、M-No.010。『角隠し』の展開を要請します」
「角隠し」――それは「組織」が学校町中に設置した「結界」の一種である
主に認知欺瞞型の領域を作り出す人工都市伝説で
非契約者が都市伝説やそれに類する存在を認識できなくなる「結界」である
主に認知欺瞞型の領域を作り出す人工都市伝説で
非契約者が都市伝説やそれに類する存在を認識できなくなる「結界」である
穏健派、中立派が開発を主導し、平時の管理はMナンバーが担当している
その発動には0ナンバーや「上層部」の承認が必要となる筈だが
その発動には0ナンバーや「上層部」の承認が必要となる筈だが
「緊急的な治安維持が求められています
例外措置として学校町の東区限定で『角隠し』の展開をお願いします」
例外措置として学校町の東区限定で『角隠し』の展開をお願いします」
今回の一件に限った例外措置として「角隠し」発動を要請する
これがM-No.010にコンタクトを取った理由である
都市伝説の脅威を一般人から隠蔽する、これは全てにおいて優先されるべき事項だ
これがM-No.010にコンタクトを取った理由である
都市伝説の脅威を一般人から隠蔽する、これは全てにおいて優先されるべき事項だ
必要な承認データ等は申請要旨と共に前もってM-No.010へ送信している
準備は万端だ、何も不備は無い筈である
準備は万端だ、何も不備は無い筈である
「その件なのですが、P-No.6」
モニターに投影された相手は手元のPC端末を操作していた
余談だがM-No.010は通信開始以降、P-No.6と一切目を合わせていない。いやなやつだ
余談だがM-No.010は通信開始以降、P-No.6と一切目を合わせていない。いやなやつだ
「既に要請を受けて、2時間ほど前に東区への『結界』の展開を実施していますが」
「……は?」
「展開完了についても各ナンバーへ通知済みですよ
二度手間ですか。せめて穏健派内で最低限の報告共有は実施頂きたいものですね」
「……は?」
「展開完了についても各ナンバーへ通知済みですよ
二度手間ですか。せめて穏健派内で最低限の報告共有は実施頂きたいものですね」
既に「角隠し」が展開されていた? 2時間前に? つまりこれは無駄足か? 報告は入っていないが?
P-No.6の頭から血の気が引き、脚の感覚が急速に薄れていくが、どうにか踏みとどまる
P-No.6の頭から血の気が引き、脚の感覚が急速に薄れていくが、どうにか踏みとどまる
どう返答すべきだ。M-No.010相手に気取られる真似は避けたい
いやそもそも本当に発動されているのかを確認しなければ。Pナンバー幹部へ連絡を取るか?
いやそもそも本当に発動されているのかを確認しなければ。Pナンバー幹部へ連絡を取るか?
P-No.6が遅疑逡巡する中、相変わらずM-No.010はPC端末を注視している
指を滑らせ、数度キーを叩いているようだ
指を滑らせ、数度キーを叩いているようだ
「ちなみにこれはまだ各ナンバーへ報告していないのですが
『角隠し』の発動出力は現時点で平均値の3倍で設定されています
担当チームの採取データが正確ならばこの出力値でようやく実効性を確保できている」
『角隠し』の発動出力は現時点で平均値の3倍で設定されています
担当チームの採取データが正確ならばこの出力値でようやく実効性を確保できている」
どういうことだ? M-No.010は何を言っている?
「チーム主査の所見によると、学校町外では平均値で実効性を確保しえますが
町内だと時間経過と共に出力値を漸次的に引き上げなければ作用有効値に至らない状況ですね
興味深いことに、『結界』発動の段階からこの事象が観察されています
原因は未だ特定できていませんが恐らく外的能力に起因するものかと」
町内だと時間経過と共に出力値を漸次的に引き上げなければ作用有効値に至らない状況ですね
興味深いことに、『結界』発動の段階からこの事象が観察されています
原因は未だ特定できていませんが恐らく外的能力に起因するものかと」
「そ、それはどういう……?」
P-No.6はとりあえず口を挟むことにした
後ろ手で隠し持った携帯端末からPナンバー幹部へ連絡を取りつつ
それを悟らせまいとM-No.010の話す内容へ問いを試みる
小難しいことを言っているが、要するに「角隠し」の出力を上げないと効果が得られない状況だということか?
後ろ手で隠し持った携帯端末からPナンバー幹部へ連絡を取りつつ
それを悟らせまいとM-No.010の話す内容へ問いを試みる
小難しいことを言っているが、要するに「角隠し」の出力を上げないと効果が得られない状況だということか?
「『結界』発動に関して問題が発生しているのであれば、M-No..010! 報告義務があります! ご説明を!」
「そうですね、貴女のような黒服にも理解できるように説明致しますと」
「そうですね、貴女のような黒服にも理解できるように説明致しますと」
M-No.010はP-No.6へ一切目を向けずPC端末の操作を続けている
話をするときは相手の目を見て話せと教えられなかったのだろうか? いやなやつだ!
話をするときは相手の目を見て話せと教えられなかったのだろうか? いやなやつだ!
「『角隠し』の効果が何らかの能力によって干渉を受けています。原因は目下調査中です」
学校町東区
「どういうことなの……?」
「組織」穏健派所属の若い黒服は困惑の表情を隠し切れない
無理もない
先程まで東区の住宅街に放火しようと火器やガソリンの類を持ち込んでいた「ピエロ」共に異変が生じた
彼らは唐突に動きを停止すると、そのまま自分の体にガソリンを浴びせ投身自殺を始めたのである
先程まで東区の住宅街に放火しようと火器やガソリンの類を持ち込んでいた「ピエロ」共に異変が生じた
彼らは唐突に動きを停止すると、そのまま自分の体にガソリンを浴びせ投身自殺を始めたのである
その黒服が契約した挙句“呑まれた”のは、伝承存在「コボルト」
不可逆な解釈歪曲の末、金属や鉱物に魔法を掛けて機能不全に陥れる能力に特化している
それ故に銃火器を使用する相手にとっては最悪の相性である
不可逆な解釈歪曲の末、金属や鉱物に魔法を掛けて機能不全に陥れる能力に特化している
それ故に銃火器を使用する相手にとっては最悪の相性である
「ピエロ」は銃火器を所持している為
黒服とその相棒の能力によって片っ端から銃火器を使用不能に追い込んでいた。のだが
黒服とその相棒の能力によって片っ端から銃火器を使用不能に追い込んでいた。のだが
「どうなってるんだ、おい!」
拳銃を捨ててナイフで首を引き裂き始めた「ピエロ」の一体を凝視しつつ
相棒の「コボルト」が歯を剥き出して唸った
相棒の「コボルト」が歯を剥き出して唸った
「ピエロ」共が一斉に自殺を始めた
遥か前方にいる「ピエロ」の群れはこちらに背を向けて走り去ろうとしていた
遥か前方にいる「ピエロ」の群れはこちらに背を向けて走り去ろうとしていた
「逃亡するぞ!! 追え!! 追撃しろ!! 攻撃の手を緩めるな!!」
別の黒服が怒号を飛ばす。彼は確か過激派所属だ
「コボルト」の黒服も相棒を連れて追撃に加わろうと
逃走する「ピエロ」に向けて走り出そうとした、そのときだ!
逃走する「ピエロ」に向けて走り出そうとした、そのときだ!
「コボルト」の黒服より前方にいる、「ピエロ」目掛けて光線銃を乱射する黒服の前に
空から新手の「ピエロ」が一体、飛び降りてきたのだ! 恐らく電柱の上にでも潜んでいたに違いない
空から新手の「ピエロ」が一体、飛び降りてきたのだ! 恐らく電柱の上にでも潜んでいたに違いない
「ディフェ~~ンス!! ディ~~フェ~~~~~ンス!!」
「貴様っ!!」
「貴様っ!!」
黒服は眼前の乱入「ピエロ」に光線銃を乱射する!
全弾「ピエロ」に直撃しているが、全く効いている様子が無い!
全弾「ピエロ」に直撃しているが、全く効いている様子が無い!
「うひー! 博士の防弾チョッキは最高だンな~~!!
おいぃ黒服! よく聞け!! オイラは勇敢だからなあ!!
仲間のために体張れるんだじぇエエ~~!! 食らえ!! 特製『ピエロ』爆弾!!」
おいぃ黒服! よく聞け!! オイラは勇敢だからなあ!!
仲間のために体張れるんだじぇエエ~~!! 食らえ!! 特製『ピエロ』爆弾!!」
一瞬だった、「ピエロ」の頭部が炸裂した!
閃光が視界を焼き尽くし、衝撃が大気伝導で「コボルト」の黒服の全身を叩いた
悲鳴を上げて黒服は転倒、相棒が咄嗟に前へ飛び出し黒服の身を庇う
閃光が視界を焼き尽くし、衝撃が大気伝導で「コボルト」の黒服の全身を叩いた
悲鳴を上げて黒服は転倒、相棒が咄嗟に前へ飛び出し黒服の身を庇う
「大丈夫かおいっ!! クソッ! 黒服巻き込んで自爆しやがった!!」
爆発音により悲鳴を上げる聴覚が相棒の悪態を辛うじて拾い上げる
眼前の惨事に、黒服は倒れたまま戦慄していた
眼前の惨事に、黒服は倒れたまま戦慄していた
同じく、東区
「それが“スイッチ”だ、押すなよ?」
「……自動で起爆するわけでは無いようだな」
「……自動で起爆するわけでは無いようだな」
「ピエロ」の引き起こした喧騒は、今や無数の爆発音へと変わりつつある
だが日頃から閑静な東区の住宅街は普段と変わらず静まり返っていた
まるで初めから「ピエロ」の暴動など無かったかのように
だが日頃から閑静な東区の住宅街は普段と変わらず静まり返っていた
まるで初めから「ピエロ」の暴動など無かったかのように
当然である
この町は「組織」の手で都市伝説的な脅威から保護されている
「結界」もしくはその他の能力で都市伝説存在を非契約者から隠蔽し
黒服や子飼いの契約者によって害悪となる都市伝説や契約者を駆逐する
それが「組織」常套の手法である
この町は「組織」の手で都市伝説的な脅威から保護されている
「結界」もしくはその他の能力で都市伝説存在を非契約者から隠蔽し
黒服や子飼いの契約者によって害悪となる都市伝説や契約者を駆逐する
それが「組織」常套の手法である
「それが『ピエロ』の、多分どっかに接続されてる。脳みその中かな?」
「いや、恐らく口腔の何処かだ」
「いや、恐らく口腔の何処かだ」
だが今夜は珍しく長引いた
加えて「組織」による完全鎮圧ではなく「ピエロ」側が自発的に撤退したようだ
「組織」側が経験の浅い人材ばかりを現場へ投入したのか、「ピエロ」に相応の実力があったのか
あるいはその両方か
加えて「組織」による完全鎮圧ではなく「ピエロ」側が自発的に撤退したようだ
「組織」側が経験の浅い人材ばかりを現場へ投入したのか、「ピエロ」に相応の実力があったのか
あるいはその両方か
いずれにせよ「組織」所属でない彼らにとっては些末事である
「これか、骨に絡みついているな」
彼らは今、東区住宅街の路地裏にいた
この時間は元から人通りが無い場所で、その上「組織」の隠蔽工作も効いている
この時間は元から人通りが無い場所で、その上「組織」の隠蔽工作も効いている
「これだ、臭いが甘い」
「『爆発キャンディ』、多分ビンゴだ」
「形状的には『わたパチ』のようだな、爆発する『わたパチ』なんて聞いた覚えが無いが」
「まあ……、契約者の力量次第で外見はいくらでも加工できるだろ」
「『爆発キャンディ』、多分ビンゴだ」
「形状的には『わたパチ』のようだな、爆発する『わたパチ』なんて聞いた覚えが無いが」
「まあ……、契約者の力量次第で外見はいくらでも加工できるだろ」
マスクを外した「口裂け女」が今しがた「ピエロ」から摘出した物質を検めていた
装着された外科用青手袋の上に、真っ赤に染まった綿状のそれが乗っている
装着された外科用青手袋の上に、真っ赤に染まった綿状のそれが乗っている
直下の壁面に半ば立て掛けられるように安置されているのは生殺しの「ピエロ」の一体
周辺には「口裂け女」が生成したと思しきメス数本、そして大小様々なハサミが散乱している
脊髄の各所を執拗に破壊して行動不能にしたとはいえ、確認は手早く済ませたいところだ
周辺には「口裂け女」が生成したと思しきメス数本、そして大小様々なハサミが散乱している
脊髄の各所を執拗に破壊して行動不能にしたとはいえ、確認は手早く済ませたいところだ
やや距離を取ってスーツを着崩した男が佇んでいた
壁面に背を預けたまま“解体”の一部始終を漫然と観察している
壁面に背を預けたまま“解体”の一部始終を漫然と観察している
「恐らくもう一方は脳みそに接続されてる。デッドマンスイッチさ
こんな芸当が出来る奴は限られてくる。そこらの契約者じゃ無理だよ」
こんな芸当が出来る奴は限られてくる。そこらの契約者じゃ無理だよ」
外灯から路地裏に差し込む微かな光を頼りに「ピエロ」の“解体”を行った
連中の奥歯には“スイッチ”が仕込まれており
歯茎に埋められた頭髪状の線は首筋へ仕込まれた『爆発キャンディ』に接続されている
“スイッチ”を入れれば『爆発キャンディ』が「ピエロ」の頭部ごと爆破する。そんな具合だ
連中の奥歯には“スイッチ”が仕込まれており
歯茎に埋められた頭髪状の線は首筋へ仕込まれた『爆発キャンディ』に接続されている
“スイッチ”を入れれば『爆発キャンディ』が「ピエロ」の頭部ごと爆破する。そんな具合だ
『爆発キャンディ』にはもう一本の接続が確認でき、恐らくそれは『ピエロ』の脳と直結している
不発の状況で『ピエロ』が殺害されると同時にこの『爆発キャンディ』も消滅する。恐らくはそういう設計だろう
にしても、情報流出対策として考えても奇妙なほど手が込んでいる
不発の状況で『ピエロ』が殺害されると同時にこの『爆発キャンディ』も消滅する。恐らくはそういう設計だろう
にしても、情報流出対策として考えても奇妙なほど手が込んでいる
「何故このタイミングで『ピエロ』が」
「さあな、俺にも分からん。社長も考えあぐねてたよ」
「聞江さんの具合は」
「寝込んでる。連日連夜うなされてたらしい」
「ふむ……」
「さあな、俺にも分からん。社長も考えあぐねてたよ」
「聞江さんの具合は」
「寝込んでる。連日連夜うなされてたらしい」
「ふむ……」
接続されている導線をまとめて引き千切ると
「口裂け女」は男に綿状の『爆発キャンディ』を押し付ける
男は汚物を扱うかのように裏返したビニール袋で受け取った
「口裂け女」は男に綿状の『爆発キャンディ』を押し付ける
男は汚物を扱うかのように裏返したビニール袋で受け取った
「『狐』と関わっているとは思えん。『ピエロ』からは奴の気配が微塵も感じられなかった
それに『狐』の戦略からして、こんな『ピエロ』連中を駒とするようなリスクを犯すとも考え辛い」
それに『狐』の戦略からして、こんな『ピエロ』連中を駒とするようなリスクを犯すとも考え辛い」
「社長も同意見だったよ。『狐』の学校町潜伏に当ててやって来たって線はあるかもしれないけど
しかし本気で潰しに来たんならこんな挑発めいた小出しするかね?」
しかし本気で潰しに来たんならこんな挑発めいた小出しするかね?」
「口裂け女」は暫しの沈黙の末、ハサミを生成した
把手をスピンし逆手に持ち直すと「ピエロ」の脳天へ一気に刺し込んだ
一瞬体が震えた直後、「ピエロ」の全身が弛緩する
把手をスピンし逆手に持ち直すと「ピエロ」の脳天へ一気に刺し込んだ
一瞬体が震えた直後、「ピエロ」の全身が弛緩する
「ルルとカモミは」
「構わず逃げろって伝えたけどさ、社長をサポートするって意地張ってる」
「敵戦力が不透明すぎる。正直戦り合う真似は避けてほしいんだが」
「アンタからもなんとか言ってやれよ、闇子さん」
「まだやることがある」
「構わず逃げろって伝えたけどさ、社長をサポートするって意地張ってる」
「敵戦力が不透明すぎる。正直戦り合う真似は避けてほしいんだが」
「アンタからもなんとか言ってやれよ、闇子さん」
「まだやることがある」
青手袋を打ち捨て、マスクを着け直す
男も壁面から身を起こした
男も壁面から身を起こした
「何も起きなきゃいいけどね」
「絶対に良からぬことが起きる。確信がある。だから私が来た」
「絶対に良からぬことが起きる。確信がある。だから私が来た」
男と「口裂け女」は路地裏を後にした
遺された「ピエロ」の躯は消滅光に呑まれ、やがて世界に還元された
遺された「ピエロ」の躯は消滅光に呑まれ、やがて世界に還元された
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