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連載 - ヤンデレ弟の日常-04

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 ---りぃ、ん
 風鈴の音が響く
 見れば、風鈴を扱っている出店が目に入ってきた
 最近のお祭は、随分と色んな出店が出ているものだ

「…お祭、か」

 コーラのペットボトル片手に人波を掻き分け歩きながら、青年は小さく呟いた
 どこか、懐かしい気持ちに浸る


 あれは、まだ幼稚園か、小学校に入って間もなくの頃だったろうか
 母の悪戯心だったのだろう

『お祭には、ね。死んだ人もやってきているのよ。死んだ人たちは、生きている人達に混じって、お祭を楽しんでいるの』

 そう言った母の言葉を、自分は信じて
 お祭に行くのが、たまらなく怖くなった
 両親に宥められても、怖いから行きたくない、とぐずって
 …そんな自分に手を差し伸べてくれたのは、兄だった

『大丈夫だ。死人なんて、祭にこないし。来ていても、俺がお前の手を引いていてやるから、死者に連れて行かれたりしない』

 兄が、そう言ってくれたから
 …自分は、兄の手をとって、お祭に行く事が、できた
 辺りを見回す
 境内に溢れ帰る人
 確かに、これだけの人が集まっていれば、死者が混じっていてもわからないのかもしれない
 いや、そう言う話から生まれた都市伝説が、混じっていても…きっと、わからない
 まぁ、幼い頃母から聞いた話では、死者たちは祭を楽しんでいるだけで、生きている人間を死の世界に連れて行く、などということはないようだったが
 …話が変形して、誰かを殺す都市伝説になっていない事を祈るだけだ

 今は、一人
 すぐ傍に兄はいない
 もし、兄がそんな都市伝説に引っ張られても、護ってあげられない

「…兄さんを、探さなくちゃね」

 今日は、見回りの当番だと言っていたから
 きっと、この祭の人ごみの中のどこかにいる
 だから、ちゃんと探さなくちゃ
 見つけなくちゃ
 兄を護れるのは自分だけなのだから
 都市伝説からも、人間からも
 自分だけが、兄を護ってやるのだ

 青年はそんな事を考えながら、人波の中に消えていった
 その手に、いつでも蓋を開けられるよう、蓋を緩めたコーラのペットボトルを、手に持ったまま……




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