---りぃ、ん
風鈴の音が響く
見れば、風鈴を扱っている出店が目に入ってきた
最近のお祭は、随分と色んな出店が出ているものだ
風鈴の音が響く
見れば、風鈴を扱っている出店が目に入ってきた
最近のお祭は、随分と色んな出店が出ているものだ
「…お祭、か」
コーラのペットボトル片手に人波を掻き分け歩きながら、青年は小さく呟いた
どこか、懐かしい気持ちに浸る
どこか、懐かしい気持ちに浸る
あれは、まだ幼稚園か、小学校に入って間もなくの頃だったろうか
母の悪戯心だったのだろう
母の悪戯心だったのだろう
『お祭には、ね。死んだ人もやってきているのよ。死んだ人たちは、生きている人達に混じって、お祭を楽しんでいるの』
そう言った母の言葉を、自分は信じて
お祭に行くのが、たまらなく怖くなった
両親に宥められても、怖いから行きたくない、とぐずって
…そんな自分に手を差し伸べてくれたのは、兄だった
お祭に行くのが、たまらなく怖くなった
両親に宥められても、怖いから行きたくない、とぐずって
…そんな自分に手を差し伸べてくれたのは、兄だった
『大丈夫だ。死人なんて、祭にこないし。来ていても、俺がお前の手を引いていてやるから、死者に連れて行かれたりしない』
兄が、そう言ってくれたから
…自分は、兄の手をとって、お祭に行く事が、できた
辺りを見回す
境内に溢れ帰る人
確かに、これだけの人が集まっていれば、死者が混じっていてもわからないのかもしれない
いや、そう言う話から生まれた都市伝説が、混じっていても…きっと、わからない
まぁ、幼い頃母から聞いた話では、死者たちは祭を楽しんでいるだけで、生きている人間を死の世界に連れて行く、などということはないようだったが
…話が変形して、誰かを殺す都市伝説になっていない事を祈るだけだ
…自分は、兄の手をとって、お祭に行く事が、できた
辺りを見回す
境内に溢れ帰る人
確かに、これだけの人が集まっていれば、死者が混じっていてもわからないのかもしれない
いや、そう言う話から生まれた都市伝説が、混じっていても…きっと、わからない
まぁ、幼い頃母から聞いた話では、死者たちは祭を楽しんでいるだけで、生きている人間を死の世界に連れて行く、などということはないようだったが
…話が変形して、誰かを殺す都市伝説になっていない事を祈るだけだ
今は、一人
すぐ傍に兄はいない
もし、兄がそんな都市伝説に引っ張られても、護ってあげられない
すぐ傍に兄はいない
もし、兄がそんな都市伝説に引っ張られても、護ってあげられない
「…兄さんを、探さなくちゃね」
今日は、見回りの当番だと言っていたから
きっと、この祭の人ごみの中のどこかにいる
だから、ちゃんと探さなくちゃ
見つけなくちゃ
兄を護れるのは自分だけなのだから
都市伝説からも、人間からも
自分だけが、兄を護ってやるのだ
きっと、この祭の人ごみの中のどこかにいる
だから、ちゃんと探さなくちゃ
見つけなくちゃ
兄を護れるのは自分だけなのだから
都市伝説からも、人間からも
自分だけが、兄を護ってやるのだ
青年はそんな事を考えながら、人波の中に消えていった
その手に、いつでも蓋を開けられるよう、蓋を緩めたコーラのペットボトルを、手に持ったまま……
その手に、いつでも蓋を開けられるよう、蓋を緩めたコーラのペットボトルを、手に持ったまま……