「ごちそーさまでしたっ!」
けふっ
おいしくおやつを食べ終わた吉静
きちんと、ごちそうさまの挨拶をする
おいしくおやつを食べ終わた吉静
きちんと、ごちそうさまの挨拶をする
「お、食べ終わったか………ん?まだひと箱残っているが、いいのか?」
現在の仕事リストなどをチェックしていた檸檬は、吉静がおやつを食べ終わった後のテーブルを見て、首をかしげた
本日の吉静のおやつは、とあるケーキ店が出している、「本物そっくり海鮮丼」と言うフルーツタルト
吉静の食欲を考えて、数をそろえてきたのだが…
一つだけ、食べずにとっておいていたのだ
…計算を間違えたか?
まさか、ラプラスの悪魔の能力が間違えるはずなど…
本日の吉静のおやつは、とあるケーキ店が出している、「本物そっくり海鮮丼」と言うフルーツタルト
吉静の食欲を考えて、数をそろえてきたのだが…
一つだけ、食べずにとっておいていたのだ
…計算を間違えたか?
まさか、ラプラスの悪魔の能力が間違えるはずなど…
「うん、いーの、これは、明也おにーちゃんにあげるの!」
「………え?」
「………え?」
思わず、作業の手を止める檸檬
……上田に?
と、言うか
吉静が、食べ物を……誰かの為にとっておくために、我慢した?
と、言うか
吉静が、食べ物を……誰かの為にとっておくために、我慢した?
何という奇跡
それこそ、何百億分の一の確率の……
……いやいや、そんな奇跡の無駄遣いはいらないだろう、うん
それこそ、何百億分の一の確率の……
……いやいや、そんな奇跡の無駄遣いはいらないだろう、うん
「珍しいな。いつもなら、食べきってしまうのに」
「うん!頑張って我慢したの!」
「うん!頑張って我慢したの!」
うん、大変と頑張ったのだろう
やはり、奇跡か?
やはり、奇跡か?
「明也おにーちゃん、お仕事、大変なんでしょう?だから、元気を分けてあげるの!」
「そうか、偉いな、吉静」
「そうか、偉いな、吉静」
そっと、吉静の頭をなでてやる檸檬
吉静は、嬉しそうに笑ってくる
吉静は、嬉しそうに笑ってくる
まぁ、あれだ
こうやって我慢できるようになった、と言うことは、吉静も少しは成長してきた証なのだろう
いつまでも、くいしんぼ星人のままでいる訳にもいかないのだから
こうやって我慢できるようになった、と言うことは、吉静も少しは成長してきた証なのだろう
いつまでも、くいしんぼ星人のままでいる訳にもいかないのだから
「………」
…じゅるり
おぉっと、そんな吉静の頑張りを、無にする訳にはいかない
どこまで吉静ががんばれるかも、わからないのだ
どこまで吉静ががんばれるかも、わからないのだ
「じゃあ、これは冷蔵庫にしまっておくからな」
「はーい!」
「はーい!」
残りひとつのタルトが入った箱を手に、キッチンに向かう檸檬
冷蔵庫の奥に、しっかりとしまっておく
上田が帰ってきたら、伝えてやるとしようか
冷蔵庫の奥に、しっかりとしまっておく
上田が帰ってきたら、伝えてやるとしようか
ぱたぱた、部屋に戻り、今度は吉静の口の周りについたままのクリームを拭いてやる
…やれやれ、自分はいつから、世話焼きお姉さんになったのやら
…やれやれ、自分はいつから、世話焼きお姉さんになったのやら
「食べた後は、口の周りもちゃんと拭くんだぞ?」
「はーい、檸檬おねーちゃん!」
「はーい、檸檬おねーちゃん!」
素直で無邪気な吉静
このまま、素直な良い子に育ってくれればいいのだが
………うん、この探偵事務所の濃さに負けずに育ってほしいものである
このまま、素直な良い子に育ってくれればいいのだが
………うん、この探偵事務所の濃さに負けずに育ってほしいものである
「……あ」
「どうした?」
「リュリュ君と、マドレーヌちゃんの分も、残しておけばよかった」
「…………え」
「どうした?」
「リュリュ君と、マドレーヌちゃんの分も、残しておけばよかった」
「…………え」
吉静が口にした、その名前に………檸檬は、思わず吉静を見つめた
見つめられ、きょとん、と首をかしげる吉静
見つめられ、きょとん、と首をかしげる吉静
リュリュ
マドレーヌ
マドレーヌ
その二人の名前は、確か……「教会」の………
「よ、吉静、その、リュリュとマドレーヌと言うのは?」
「お友達なの」
「お友達なの」
尋ねられれば、すぐに答えてくる吉静
………いや、違う
おそらく、その双子との遭遇が、吉静にとって「危険」ではなかったのだろう
吉静にとって危険な事ならば、ラプラスの悪魔の力で予知できたはずなのだ
危険ではなかった
だから、吉静は、あの「教会」「13使徒」所属の双子と遭遇して………友達に、なった?
おそらく、その双子との遭遇が、吉静にとって「危険」ではなかったのだろう
吉静にとって危険な事ならば、ラプラスの悪魔の力で予知できたはずなのだ
危険ではなかった
だから、吉静は、あの「教会」「13使徒」所属の双子と遭遇して………友達に、なった?
「いつ、お友達になったんだ?」
「昨日の、お使いの帰り」
「昨日の、お使いの帰り」
……あの時か
しまった、こんな時なのだ……いくら忙しいからと言って、一人でだけでお使いに行かせるのでは、なかった
しまった、こんな時なのだ……いくら忙しいからと言って、一人でだけでお使いに行かせるのでは、なかった
「そうか、友達ができて、良かったな」
「うん!」
「うん!」
嬉しそうに
嬉しそうに笑う、吉静
嬉しそうに笑う、吉静
今のところ、リュリュとマドレーヌの双子は、吉静にとって危険な存在ではない
……だが
これから、どうなってしまうか?
……だが
これから、どうなってしまうか?
「また、会う約束をしているのか?」
「ううん。でも、きっと、また会えると思うの」
「ううん。でも、きっと、また会えると思うの」
あぁ、無邪気な笑顔
また、出会った時、どうなるか
吉静は、再び、その双子と出会っても……大丈夫なのか?
また、出会った時、どうなるか
吉静は、再び、その双子と出会っても……大丈夫なのか?
(……上田か、サンジェルマンにでも相談すべきなのかもしれないな………それに、彼方にも)
何か、事が起こる前に
もしくは、事が起こってしまった時に………何とかできるのは、きっと、上田かサンジェルマン
だが、彼方に、実の妹に危険が迫っているかもしれない可能性を伝えない訳にもいくまい
もしくは、事が起こってしまった時に………何とかできるのは、きっと、上田かサンジェルマン
だが、彼方に、実の妹に危険が迫っているかもしれない可能性を伝えない訳にもいくまい
あぁ、全く……
「…難儀な役割だな」
「みゅ?」
「あぁ、いや、なんでもない」
「みゅ?」
「あぁ、いや、なんでもない」
小さく苦笑し、吉静の頭をなでてやる
ラプラスの悪魔で全てを予知できるが故に、迫ってくる危険を無視しきれない
少しでも、少しでも、危険は回避したい
少しでも、少しでも、危険は回避したい
この、騒がしくも穏やかな生活を
誰にも、壊させてなるものか
誰にも、壊させてなるものか
そう、強く、強く、願うのだ
to be … ?