「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 花子さんと契約した男の話-63

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匿名ユーザー

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 悪魔
 そんな呼び名がしっくりくる動く氷の塊が、襲い掛かってくる
 花子さんの能力で作りだす水の刃は、こいつらが纏っている冷気で、一瞬で氷に変えられた
 …ある意味でこちらの方が攻撃力は高いのかもしれないが、それを使っている俺まで凍りつかされそうで、手放すしかない

「みーーーっ!!」

 すぐそばの公衆トイレから、花子さんはトイレットペーパーや水を引き寄せて攻撃している
 が

「みー!?お水が届かないの」
「……束縛も、すぐに破られるか」

 水は、届く前に凍りつかされる
 トイレットペーパーによる束縛も、すぐに破られる
 ……まいった
 俺達とは、とことん相性が悪い相手のようだ
 どうやって、対応すべきか

 ……童子切安綱を持ってくるべきだったか?
 いや、今は後悔していても、仕方ない
 今は、囲まれているこの状況をどうすべきか、考えるべきだ

 氷の悪魔が、無表情のまま、氷の刃をこちらに振り上げてくる
 その、直後

 氷の悪魔達が、音も立てずに溶けて行った

「み?」
「……翼さん?」

 視界内の氷の悪魔が、皆、同じように溶けていっている
 ……こんな芸当ができる者を、一人、知っていて
 ごく自然に、その名前が出た

「龍一、花子さん、無事だったか」
「みー!」

 当たりだったようだ
 翼さんが、こちらに駆けてくる
 翼さんが契約している「日焼けマシンで人間ステーキ」の効果範囲は、翼さんの視界に納まる範囲すべて
 視界内の氷の悪魔、全てに能力を使ったんだろう

「……すみません」
「気にすんな。お前らの能力じゃ、相性悪いんだろ?」

 ぽす、と、頭をなでられる
 ……確かに、こちらはまだ未成年なのだが…できれば、子供扱いは勘弁してほしい

 そう考えていると……視界の隅に、氷の悪魔が溶けた痕が、目に入った
 …まだ
 少し大きな氷の塊が、残って………!?

「翼さん、後ろっ!」
「……っ!」

 氷の、悪魔が
 バキバキと音を立てて、再生し始めた
 落ちていた、少し大きな氷の塊
 それが、ふわふわと浮かび上がっている
 その塊を核に、周囲の水や水分を集めているようだった
 見る見るうちに、元の姿に戻っていく

「っち!?」

 再び、翼さんの能力が発動した
 再生しかけていた悪魔達は、再び溶け落ちる
 ぱしゃん、と
 人間の心臓程度の大きさの氷の塊が、水たまりの上に、落ちる

 ……翼さんの能力で溶けきらなかった、氷の塊
 壊せるか?
 氷の固まりに足を乗せ……一気に、体重をかける
 ぐしゃり、溶けかけの氷そのもののように、それはあっさりと砕けて壊れた
 足を退ける
 他の氷の塊は、再び浮かび上がりだしたが、砕いたそれは、再生しない

「翼さん、溶かした後に残る塊を砕かないと、いくらでも再生するようです」
「わかった!」

 翼さんの能力で、悪魔達は次々と溶かされていく
 残る核を、花子さんと一緒に、片っ端から破壊していく
 翼さんも、核をどんどん破壊していって

 ……やがて、氷の悪魔達は、全滅した
 後には、氷の悪魔達が持っていた氷の剣だけが残っている……どうやら、これは熱でも溶けないらしい

「よし、ここは片付いたな」
「……本当に、すみません」
「みー、助けてくれて、ありがとうなの」

 改めて、翼さんに礼を言う
 …正直、俺と花子さんだけじゃ、危なかった

 翼さんは、明るく笑って、気にするなと言ってくる
 ……やはり、俺はまだ、この人にさまざまな意味で、敵わない

「とりあえず、龍一。将門様のところに行って、刀受け取ってこようぜ。花子さんの能力で作った水の刀じゃ、あの氷の化け物相手にゃ相性悪いんだろ?」
「みー、かっちんこっちんにされちゃうの」

 わかりました、と頷く
 家に戻って安綱をとってきてもいいのだが……今の俺は、安綱に相応しい存在ではない
 扱えはしないだろう

 花子さんの手を引いて、翼さんの跡をついていく
 ……早く、主たるあの人を護れるように強くならなければ
 せめて、その隣で戦える程度には、強くならねば
 そう、誓いながら






to be … ?






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