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連載 - 無垢なる支配者と蜘蛛-10a

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 ヘンペルの言葉を、イクトミは静かに聞いていた
 そして

「…暦を殺せ、ねぇ?」

 小さく、笑う

「嫌だね」

 あっさりとした返答
 いつものヘラヘラとした笑いをうかべながら、イクトミはヘンペルに「否」を突きつけた

「だぁれが、お前のいう事なんざ聞いてやるかよ。俺ぁお前の事が嫌いなんだ」
『個ノ好キ嫌イデ判断スベキ問題デハナイ事ハ、オ前モワカッテイルダロウ?』
「嫌なもんは嫌だ。かわいい女の子殺すなんざ俺にゃできねぇし、第一、俺ぁトリックスターだぜ?殺すなんてできる訳ないだろ?」

 へらへらと、どこまで軽く返すイクトミ
 本気か、嘘か、冗談か、どこまでが真意であるかを悟らせないかのように

「見逃してくれるの?」
「エーちゃん相手に話し相手になってくれたことある恩もあるしな」

 暦の言葉に、にんまり笑うイクトミ
 …イクトミの返答に、衛悟と咎利が少し、ほっとしたようにも見えた

『愚カナ……神トシテ、ソンナ考エ方デイイノカ、オ前ハ』
「俺ぁ好きで神やってる訳じゃねぇ、それに……守るべきものを護れなかったものが、いつまでも神を名乗ってる方がおかしいんだよ」

 それに、と
 イクトミは、暦に視線を向けた

「大丈夫だって、暦なら、何とかできるさ。俺はこいつらならどうにかできるって、そっちに賭けるぜ」
『……「奇跡」ニ縋ルトデモ言ウノカ。今度コソハ大丈夫、キットウマクイク…一番良イ方向ヘト進ムト言ウ、奇跡ニ』
「駄目か?」

 ヘンペルの苦言にも、イクトミは肩をすくめるだけだ
 それは、「暦ならうまくやってくれるだろう」と言う信頼と、「暦ならうまくやってくれるはずだ」と言うそんな希望と、二つが入り混じっているようにも感じる

「…なぁ、暦」

 向けられる視線
 それは、「トリックスター」の視線か
 それとも、「神」の視線か

「人の子よ」

 その、声が
 透明な声へと変わる
 トリックスターの声から、神の声へ

「お前は、一つの世界を捨て、また別の世界を選んだ。今後、たとえ、どんな運命がお前を待ち構えていようとも、それを後悔しない覚悟はあるか?」

 そして、と
 透明な声が続く

「…悲劇と惨劇が、その先に用意されているとして。それらを、たとえどんな手段を使おうとも…再び、一つの世界を捨て、新たな世界へと渡ってでも、それに抗うと言う覚悟はあるか?」

 それは
 たとえ、再び失敗しても、また時間を巻き戻してやり直す覚悟があるか
 そして、その巻き戻しによって、ヘンペルが言ったように生まれるはずだった命を消し去り、死すべき定めの者を呼び戻すと言う、その業を背負う覚悟があるのか、と
 それを、問いかけている

「………私は」

 それに、暦が答えようとした時
 再び、周囲があの暗闇の世界へと変貌した
 今度は、イクミはいない
 ただ、ハッピー・ジャックの姿だけが、見えた

「…君には、さ。やり直す力がある。いいじゃない。別に、気に食わないなら、やり直しても。その程度で「冒涜者」だなんて呼ばれたって、気にする必要ないよ………それよりも、勝手に僕達を生み出して、その先に悲劇と惨劇を用意して弄ぶ連中の方が、ずぅっとずぅっと冒涜者だと思わない?」

 きひひっ、とハッピージャックが笑う
 青年の姿で、しかし、どこか少年のような笑い

「僕達には、無数の未来と言う名前のカケラが用意されている。だから、僕らはそれの中で、好きなのを選んだっていいじゃない。君も、そうすればいいんだよ」
「…それで、誰かの命を踏みにじる事に、なっても?」
「その覚悟があるから、君は一度、巻き戻したんだろ?」

 だから、と
 ハッピー・ジャックは続ける
 暦の背中を、後押しするように

「他の連中が君の考えを否定しても、僕はそれを肯定するよ………頑張ってね。僕は見てることしかできないけど……まぁ、その気になればちょっとくらいの幸運をプレゼントするくらいは、できるから」

 きひひひっ、と、彼はまた、笑って
 ……そして
 その笑みは、直後、どこかほの暗い物へと、変わって

「……あんな連中の悪魔の脚本に、どうか、負けないで」

 そう、ハッピー・ジャックが告げた直後…視界が、元に戻る
 イクトミが、暦の答えを待っている

「…私は」



 そして
 彼女は、答えを口にする










to be … ?








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