喫茶ルーモア・隻腕のカシマ
夢の国編・秋祭り2日目(後悔)
夢の国が悪夢から解放された夜
全てが終わった後のことである
全てが終わった後のことである
辺りは静寂に包まれ
少年は疲れ切って眠ってしまっていた
少年は疲れ切って眠ってしまっていた
カシマは片腕で器用に輪を背負うと、隠れているはずのサチへと声を掛ける
「サチ殿、もう出て来ても大丈夫だ」
変わらぬ静寂
返事は無い
「?……まさか……」
「サチ殿、もう出て来ても大丈夫だ」
変わらぬ静寂
返事は無い
「?……まさか……」
「貴方の契約者であれば……」
「?!」
突然の気配に驚くのも束の間
「……ジャックか」
安堵の息を吐く
「……ジャックか」
安堵の息を吐く
「少し先のところで男性と親しげに話していましたよ」
少し棘のある口調でジャック
「親しげに男性と?」
カシマの記憶では、サチに親しい男などいなかった筈である
少し棘のある口調でジャック
「親しげに男性と?」
カシマの記憶では、サチに親しい男などいなかった筈である
──この疑問は程なくして解ける事となるが、それはまた別の話──
「ゆっくりとですが、こちらに向かっている様でしたから問題ないでしょう」
「ふむ、そうか……色々と世話になってしまったな、ジャック」
「ぃ、いえ……私にかかれバッ……コ、この程度のコトッ」
「流石だな……ワタシなどは少年の手を借り、あまつさえ疲弊させて……」
「ふむ、そうか……色々と世話になってしまったな、ジャック」
「ぃ、いえ……私にかかれバッ……コ、この程度のコトッ」
「流石だな……ワタシなどは少年の手を借り、あまつさえ疲弊させて……」
罪悪感を感じている表情の見本になれそうな顔でカシマは云う
「……」
だが、ジャックはそんな顔で迎えられても嬉しくは無い
「……すまない……キミに話す様なことではなかったな」
「その少年……輪のことは知っています」
「?」
「友人です」
「友人?」
怪訝そうにカシマ
「ええ、彼からは……色々な事を……教えてもらっていますから」
カシマの表情を窺いながら、慎重にジャックは応える
「その少年……輪のことは知っています」
「?」
「友人です」
「友人?」
怪訝そうにカシマ
「ええ、彼からは……色々な事を……教えてもらっていますから」
カシマの表情を窺いながら、慎重にジャックは応える
「そうか……」
最近、ジャックの雰囲気が柔らかくなり始めたのは
輪の影響があるのかもしれないとカシマは思う
いや、間違いないと確信すら得た様だった
最近、ジャックの雰囲気が柔らかくなり始めたのは
輪の影響があるのかもしれないとカシマは思う
いや、間違いないと確信すら得た様だった
「彼には良い経験になったのではないでしょうか」
「確かに……だが……本当にこれで良かったのだろうか」
「……」
「あの、黄色いクマのマスコットが優しき言葉を残してくれなければ……
この少年は……相手を斬り続けた少年の心はどうなっていたのだろうか……」
「確かに……だが……本当にこれで良かったのだろうか」
「……」
「あの、黄色いクマのマスコットが優しき言葉を残してくれなければ……
この少年は……相手を斬り続けた少年の心はどうなっていたのだろうか……」
背の少年を気にしながらも、言葉を紡ぐ
「黄色い、クマ……そうですか……あのクマが……優しい言葉を……」
「知っているのか?……あのクマのことを」
「ええ、私がアレの精神を破壊しましたから」
「……そうか……では……」
「知っているのか?……あのクマのことを」
「ええ、私がアレの精神を破壊しましたから」
「……そうか……では……」
カシマは思案する……ただひたすらに深く……
*
「もう、考えるのは……そこまでにしましょう」
思考の海から連れ戻す様に、ふいに聞こえた声は優しい響きを孕み……
「?!」
それを発した者の腕は、柔らかくカシマを抱きしめていた
「時には楽観的に考えても良いのではないですか?……」
───吐息と共に、静かな声が鼓膜を振るわせる
「いや……しかし……」
「理由が必要なら、私が理由となりましょう」
「理由が必要なら、私が理由となりましょう」
───透明で、揺らぎ無く
「……」
「私がアレの精神を壊したから……アレは優しい言葉を残した」
「私がアレの精神を壊したから……アレは優しい言葉を残した」
───言い聞かせる様に
「……」
「それで良いではないですか……今回の結末はもう定められたのですから」
「それで良いではないですか……今回の結末はもう定められたのですから」
静寂……だが、五月蝿いくらいにはっきりと鼓動が聞こえる
「……世話をかけてしまったな……本当に、助けられたよ」
落ち着いたという様子で云う……が、鼓動は高鳴る
「ん~、うるさぃなぁ……」
ゴソゴソとカシマの背で眠っていた少年が身をよじる
「「ぁ」」
一瞬にして空気が凍りつく
バッと腕を解き、距離をとる麗人
そして、その場で直立する軍人
そして、その場で直立する軍人
再び動き出す空気
「ん~?……ジャックぅ?……きょうは、もうつかれたからダメだよ」
「そ、そうだなッ……わ、わ、分かったッ……今夜はこれで失礼するッ」
「う、うむッ……それが良い?……そうだな、それが良いだろうッ」
「そ、そうだなッ……わ、わ、分かったッ……今夜はこれで失礼するッ」
「う、うむッ……それが良い?……そうだな、それが良いだろうッ」
「では、またッ」
「うむ、またッ」
「うむ、またッ」
こうして秋祭り2日目の夜は、あわただしく幕を閉じるのであった