「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ドクター-01

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だれでも歓迎! 編集

ドクター 「来訪者」


日本の道路幅にはやや苦しいサイズの高級外車が、道を占領するように停止する
「ドクター、事件は報告通り片付いているようですが、どうやらまだ残滓が蔓延っているようで」
道のあちこちに蠢くパレードの残り滓を一瞥し、運転手は後部座席に声を掛ける
「ああ、報告によれば既に戦闘能力は殺がれているんだろう? 地元の契約者や都市伝説に任せればいい」
後部座席に座り両脇に女を侍らせた白衣の女が、さして興味もなさそうに手を振る
「ですが、道のあちこちにいてはこの車両では通行できません故」
「ボクは二人を愛でるのに忙しいんだ。そういう事は君と、折角雇ったバイトで片付けてくれたまえ」
「あ、あの……私がやりましょうか? 見たところ力を既に失っているようですし……拾ってもらったご恩もありますから」
ドクターと呼ばれた白衣の女の右隣、季節外れのロングコートに顔を大きなマスクで覆った女が遠慮がちに言うが
「ボクは君を拾ったわけではない、客人として迎え入れたのだよ。その客人に道の掃除を任せるわけにはいかないだろう。当然ながら君もだ」
左隣にいた金髪女性が何か言い出そうと身動ぎしたのを、ドクターは抱きすくめるようにして制する
「というわけでボク達は徒歩で拠点へ向かおう。何、行く道は君が掃除しながら案内してくれるし、護衛はバイトくんがしてくれるんだろう?」
「承知致しました。ではそのように」
運転手がそう言うと、助手席にいた青年が欠伸をしながら面倒そうに車を降りる
「人使いが荒いなぁ……まったくもう」
「それで給金を払っているんだ、きっちり働きたまえ」
「へいへい……つっても、運転手さんだけで片付くと思うんですけどね、こいつらぐらいなら」
総計四人が車を降り、乗っているのは運転手の老紳士のみ
「では失礼いたします」
運転手は軽く頭を下げると同時にアクセルを思い切り踏み込む
タイヤが思い切りアスファルトと擦れ、一瞬の間を置いて砲弾のように車はパレードの残滓目掛けて突っ込んでいった
たちまち撥ね飛ばされ轢き潰され叩き潰され塵となって霧散していくパレードの残滓
だが弱っている相手とはいえ車もまたただでは済まない
バンパーがひしゃげボディーは歪みフロントガラスが砕けボンネットが弾ける
道中の半ばほどの邪魔者を蹴散らしたところで、高級外車は見るも無残な姿と成り果てて横転してしまう
だが――
「墳ッ!」
運転手の老紳士が歪んだドアを蹴破り車の外へ飛び出す
それと同時に何処からともなく飛び出してきたワイヤーが車体に絡み付いてきたかと思うと、スクラップになった車体をあっという間に引っ張り何処かへと消え去ってしまった
そして、元あった場所と寸分違わぬ場所へ空から降ってきたまっさら新品な高級外車――ロールス・ロイス
運転手はすぐさまそれに飛び乗ると、すぐさま暴力運転による無双を再開した
「相変わらずデタラメな使い方しますね、あの人の『ロールスロイスは壊れない』は」
「それが都市伝説というものさ。デタラメな汎用性、成長性があるからこそ、実に面白い」
ドクターはそう言ってにやりと笑う
「だからこそ『総統』閣下が、我らが『第三帝国』が興味を示すというものだよ」
「はあ、俺にはよくわかりませんが」
「まあアレだ、日本の都市伝説は可愛らしい娘が多い。それだけ判ってればまあいいさ、なあミツキ。ああ、日本生まれでなくとも君もチャーミングさメアリー」
そう言って車の中にいた時のように、両手に華を抱くドクター
その華はというと――ミツキと呼ばれたのは三日月のように口の両端が裂けた口裂け女、メアリーと呼ばれたのはその名の通りエイズ・メアリー
華は華でも食肉花と毒花であるが、ドクターは全く意に介した様子もなく二人とイチャイチャしている
「アツアツですねぇ、一人身の俺にはちょっと眩しいですよ」
女性に挟まれた女性という百合の花園にやや辟易とした声を漏らす青年に、ドクターは気にした様子もなく笑いかける
「なに、ボクに遠慮などせずにこの町に滞在中に恋人の一人でも作るといい。人間でも都市伝説でも可愛ければ歓迎しようではないか」
「もし彼女が出来たら絶対ドクターには会わせませんよ、かなりマジで。高確率で食われそうですし、性的な意味で」
青年は溜息を漏らしつつ、既に遠くなりつつあるロールス・ロイスの影を指差す
「そろそろ追いかけないと見失いますよ? 別の都市伝説に遭遇しても面倒です」
「わかったわかった、ボクも早いところ拠点に入り二人とイチャイチャしたいしな。君の意見に従おうじゃないか」
「今でも充分イチャイチャしてると思うんですけどね」
「何を言う! ボクが本気を出したらこんなものでは済まされないさ!」
ふんぞり返るドクターとは対照的に、頬を赤らめて視線を逸らすミツキとメアリーに、青年は更に深く溜息を吐き
「お互いのためにさっさと目的地に向かいましょう。行きますよホント」
四人は無双を繰り広げるロールス・ロイスの後を追い、学校町の何処かへと消えていったのだった


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