「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ドクター-02

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ドクター 02


そこは犬で溢れていた
犬種は様々で、どこにでもいるような雑種から血統書付きの高級種、果てはどうも狼っぽいものやどう見ても人面犬といった代物まで
広いスペースにケージの類は無かったが、雑然と散らかしているような事はなく、トイレや寝床といったスペースはきちんと整えられており、むしろ動物の住処とは思えないほど整然としていた
気ままに吠え、眠り、遊びまわる犬達
そこへ磨き上げられたフローリングを叩く靴音が近付いてくる
「総員、傾注!」
肉声でありながらスピーカーでも通しているかのような大きくよく通る声に、犬達は一斉に顔を上げ集合し整列までして『お座り』の体勢を取る
その統制の取れた動きに男は背筋を伸ばし咳払いを一つすると――その厳しい顔付きを一変させ、笑顔を浮かべ一匹一匹を抱きすくめ撫で回す
「ああお前達は本当に良い子だな。安心したまえ、私がいる限りお前達の生活と安全と自由はきっと保障しよう。良き飼い主が見つかるまで存分に堪能するのだぞ」
頭やお腹を撫で、お手、おかわり、伏せ等々の芸一つ一つを賞賛し、個々に合わせた餌を配膳していく
都市伝説組織『第三帝国』日本支部こと、犬専門ペットショップ『ゲルマニア』
ヒトラーのそっくりさんと近所で評判の気のいい店主が、そっくりさんを通り越して本人だという事を知る者はほとんどいないのであった

「総統閣下、相変わらずの息災っぷりに安心を通り越して逆に心配になりました」
「む、ドクターかね。遠路遥々よく来てくれた」
店のドアを開けて入ってくるなりの部下の態度に、総統は全身犬まみれのまま真面目な表情に戻る
「済まんな、あちこち大変な状況ではあるが……南極や南米の私の下よりは研究と実務を進められると思ってな」
「ええ、ここまでの密度で都市伝説が跋扈してる地域は類を見ません。我々の求める都市伝説医学研究にはうってつけかと」
「密度だけではない、その強力さもだ。そしてその濃さと強大さは次々と別の都市伝説を引き寄せる。当然ながらトラブルも多い」
総統はお腹を撫でられ転がっている仔犬に視線を落とす
「私は外様であるし、大きな干渉を行うべきではない。そもそも私が動けば南極や南米の私も呼応し、事態は大事になってしまうからな。武力介入は避け、別方面からの支援アプローチを考えた訳だ」
「なるほど、流石は閣下。感服致しました……個人的かつ大々的に犬と存分に触れ合い愛でる場を守りたい保守的行動でなかった事を心から安堵します」
その言葉に、ああうんと短く唸り視線を逸らす総統
「ともあれ個人開業という形で診療所を用意してある。当面はそこを拠点としてくれたまえ。必要なものがあれば随時調達しよう」
「御心遣い痛み入ります、閣下。それではこれより任務に移ります」
踵を返し店から出ていこうとしたドクターだったが
「そういえば、こちらの雇った運転手が地元のパトカーとカーチェイスの末にパンツァーファウストをぶち込まれまして。幸い運転手がアレだったので割と無事でしたが。日本の警察は何時からあのような重武装に」
「ああ、何やら何かと物騒な昨今、警察も武装強化が必要だとある警官から個人的に相談を受けてな。町の治安と正義のためにといくらか武器を譲ったのだが」
「なるほど、留意しておきます。失礼致しました」
そう言ってドクターは今度こそ店を後にするのだった


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