合わせ鏡のアクマ 23
私の名前は倉田ミカゲ、フリーの幽霊さ!・・・つまり、浮遊霊。
昔から衝動に流されやすかった私はある日、「幽霊になりたい」と思い首を吊って死にました。
いやー、我ながらぶっ飛んだ思考回路と行動力だよね!
そして念願の幽霊になれてハッピーな私。なれたと知った時の空でも飛ぶかというくらいの喜び!!
ただ、なって初めて幽霊にも制約が多く存在することを私は知った。
まず私は空を飛べない。浮遊はできるがそれも地面から10センチ程度までだ。
次に物や人に触れるとき、ただ手の感触だけを与えるというものが私にはできない。
幽霊であることに慣れればできるようになるのかもしれないけど・・・
何かに触れる時は全身を「実体化」させなければならない、これはさほど力を使わないけれど人にぶつかる。
あ、でも声は「実体化」せずに届かせることができるらしい。一度、あくびをしたら近くの人がビックリしてたし。
それと・・・当たり前だけど、生前の友人達に会いづらい。死んだ人間が会いに行けば、必ず騒ぎになる。
いっそ友達も全員忘れてしまえば良かったのに・・・私は、死んだ瞬間とその前後以外は記憶がある。
だから、まだ友人達と会っていない・・・いや、通っていた学校にすら行っていない。
それには友人達に再び悲しい思いをさせそうだからとか、色々理由はあるけれど・・・
昔から衝動に流されやすかった私はある日、「幽霊になりたい」と思い首を吊って死にました。
いやー、我ながらぶっ飛んだ思考回路と行動力だよね!
そして念願の幽霊になれてハッピーな私。なれたと知った時の空でも飛ぶかというくらいの喜び!!
ただ、なって初めて幽霊にも制約が多く存在することを私は知った。
まず私は空を飛べない。浮遊はできるがそれも地面から10センチ程度までだ。
次に物や人に触れるとき、ただ手の感触だけを与えるというものが私にはできない。
幽霊であることに慣れればできるようになるのかもしれないけど・・・
何かに触れる時は全身を「実体化」させなければならない、これはさほど力を使わないけれど人にぶつかる。
あ、でも声は「実体化」せずに届かせることができるらしい。一度、あくびをしたら近くの人がビックリしてたし。
それと・・・当たり前だけど、生前の友人達に会いづらい。死んだ人間が会いに行けば、必ず騒ぎになる。
いっそ友達も全員忘れてしまえば良かったのに・・・私は、死んだ瞬間とその前後以外は記憶がある。
だから、まだ友人達と会っていない・・・いや、通っていた学校にすら行っていない。
それには友人達に再び悲しい思いをさせそうだからとか、色々理由はあるけれど・・・
「今は人を驚かしているのが一番楽しいしね!」
おっと、声が出ちゃった。大丈夫周りには誰もいない・・・
今はまだ友人達と会う気はない。まずはこの幽霊ライフを存分に楽しみたいから!!
「・・・お、私と同じとこの生徒じゃん」
人があまりいない公園を走って通り抜けようとしている一人の少女・・・制服が私のものと同じ、少女。
(なんか見覚えある顔だけど・・・ま、今日の最後のターゲットは彼女で決まり!)
私は幽霊なのに、疲れる。いや幽霊は元々疲れるのかもしれないけれど・・・とにかく、夜は眠らねばならない。
普通は昼間休むのかもしれないけど、私は深夜の怖いニーチャンに声をかける勇気がない。
と に か く !
「実体化」して彼女とは逆方向から歩き出す。
彼女は私に気付き、怪訝な表情をしている・・・よし完璧!
少女とすれ違う瞬間、声をかける。
「あなた、見えtぐぇっ!!」ドスン!
脳天に重い衝撃が伝わり、私の視界は暗転した・・・
今はまだ友人達と会う気はない。まずはこの幽霊ライフを存分に楽しみたいから!!
「・・・お、私と同じとこの生徒じゃん」
人があまりいない公園を走って通り抜けようとしている一人の少女・・・制服が私のものと同じ、少女。
(なんか見覚えある顔だけど・・・ま、今日の最後のターゲットは彼女で決まり!)
私は幽霊なのに、疲れる。いや幽霊は元々疲れるのかもしれないけれど・・・とにかく、夜は眠らねばならない。
普通は昼間休むのかもしれないけど、私は深夜の怖いニーチャンに声をかける勇気がない。
と に か く !
「実体化」して彼女とは逆方向から歩き出す。
彼女は私に気付き、怪訝な表情をしている・・・よし完璧!
少女とすれ違う瞬間、声をかける。
「あなた、見えtぐぇっ!!」ドスン!
脳天に重い衝撃が伝わり、私の視界は暗転した・・・
*
・・・・・・しまった。
「わ、私に後ろから話しかけるからそうなるのよ・・・」
まさか都市伝説に突然話しかけられただけで反射的に投げ飛ばしてしまうなんて・・・
「・・・どうしよ、これ。害はなさそうだけど・・・」
地面で目をグルグル巻きにしている都市伝説をしげしげと眺める。
(なんか、この子見覚えがあるような・・・?)
首を捻って考えるが、思い出せない。・・・あ、ロープみっけ。
「わ、私に後ろから話しかけるからそうなるのよ・・・」
まさか都市伝説に突然話しかけられただけで反射的に投げ飛ばしてしまうなんて・・・
「・・・どうしよ、これ。害はなさそうだけど・・・」
地面で目をグルグル巻きにしている都市伝説をしげしげと眺める。
(なんか、この子見覚えがあるような・・・?)
首を捻って考えるが、思い出せない。・・・あ、ロープみっけ。
「ま、こんなもんでしょ」
都市伝説をロープで縛ってベンチの後ろに置く。早く帰って調べないといけないことがあるのだ。
「・・・『夢の国』」
ボソッとその名前を口にする。おそらく史上最悪の部類に入る強大な都市伝説。
それが、秋祭りの最中に攻撃をしかけてくるという・・・おそらく、街を呑み込む規模で。
その情報を教えてくれた『声』との会話を思い出す・・・
都市伝説をロープで縛ってベンチの後ろに置く。早く帰って調べないといけないことがあるのだ。
「・・・『夢の国』」
ボソッとその名前を口にする。おそらく史上最悪の部類に入る強大な都市伝説。
それが、秋祭りの最中に攻撃をしかけてくるという・・・おそらく、街を呑み込む規模で。
その情報を教えてくれた『声』との会話を思い出す・・・
『・・・ですから、私達『怪奇同盟』にはあなたの力が必要なのです』
「だってさ、妹ちゃん。手伝うくらいはいいんじゃないの?」
夜の墓地で携帯電話を持つ私と、置いてあった黒電話の受話器を持っている妹ちゃん。
××に『怪奇同盟』という都市伝説と契約者達の集団の話を聞き、直接話を聞くためにやってきたのだ。
代表だという『声』は、現在の『学校町』の状況を大まかに伝えてくれた。
いわく、二大勢力である『組織』と『首塚』組織が協力関係を結んだということ。
それが『夢の国』の大攻勢に備えてのことなのだということ。
また、多くの契約者達が『夢の国』と戦う為に準備を始めているということ。
そして・・・『怪奇同盟』でも、『組織』等の援護のために準備をしているということ。
その中でも重要な作戦を決行するのに・・・妹ちゃんの力が必要だということ。
はっきり言って、一度に色々聞かされても整理がつかない。もっと時間がほしい。
でも、その時間は刻一刻と過ぎ去っている・・・秋祭りまで、もう何日もない。
決断は早ければ早いほどいい。しかし、妹ちゃんは決めかねている。
「・・・あの、私が姫さんから離れたら姫さんが危険に晒されるのでは」
つまり、自分がいないことで私を『夢の国』から守れないかもしれない・・・と。
「だってさ、妹ちゃん。手伝うくらいはいいんじゃないの?」
夜の墓地で携帯電話を持つ私と、置いてあった黒電話の受話器を持っている妹ちゃん。
××に『怪奇同盟』という都市伝説と契約者達の集団の話を聞き、直接話を聞くためにやってきたのだ。
代表だという『声』は、現在の『学校町』の状況を大まかに伝えてくれた。
いわく、二大勢力である『組織』と『首塚』組織が協力関係を結んだということ。
それが『夢の国』の大攻勢に備えてのことなのだということ。
また、多くの契約者達が『夢の国』と戦う為に準備を始めているということ。
そして・・・『怪奇同盟』でも、『組織』等の援護のために準備をしているということ。
その中でも重要な作戦を決行するのに・・・妹ちゃんの力が必要だということ。
はっきり言って、一度に色々聞かされても整理がつかない。もっと時間がほしい。
でも、その時間は刻一刻と過ぎ去っている・・・秋祭りまで、もう何日もない。
決断は早ければ早いほどいい。しかし、妹ちゃんは決めかねている。
「・・・あの、私が姫さんから離れたら姫さんが危険に晒されるのでは」
つまり、自分がいないことで私を『夢の国』から守れないかもしれない・・・と。
*
「そんな細かいこと気にしててどーすんのよ!」
バンッと強めに背中を叩く。
「・・・痛いです」
「そーかいそーかい。あのね、私のことなんて気にしなくていいのよ」
叩いた背中をさすってやる。
「私が家の中で寝ててもだーれにも迷惑かかんないし、『夢の国』の侵攻にも関係ない」
でも、と続ける。
「妹ちゃんの力があれば、人を守れるかもしれないんでしょ?
だったら私のことなんていっそ忘れてドーンとやっちゃいなさい!」
「姫さん・・・」
妹ちゃんがいない私は、一般人となんら変わりはない。
でも、そんな私でも人の背中を後押しすることはできる。
「というか、やりなさい。契約者としての命令よ!」
「別に私達ってそういう関係じゃないんですが・・・ま、いいです」
妹ちゃんが笑い返す。
「それじゃあ、手を貸しましょう。具体的になにをすればいいんですか?」
『ありがとうございます。まず、あなたには山の隠し神と一緒に山で待機していてください」
「『神隠し』事件の、あの神様とですか?」
『はい。それでなにをやるのかということですが・・・・・・』
バンッと強めに背中を叩く。
「・・・痛いです」
「そーかいそーかい。あのね、私のことなんて気にしなくていいのよ」
叩いた背中をさすってやる。
「私が家の中で寝ててもだーれにも迷惑かかんないし、『夢の国』の侵攻にも関係ない」
でも、と続ける。
「妹ちゃんの力があれば、人を守れるかもしれないんでしょ?
だったら私のことなんていっそ忘れてドーンとやっちゃいなさい!」
「姫さん・・・」
妹ちゃんがいない私は、一般人となんら変わりはない。
でも、そんな私でも人の背中を後押しすることはできる。
「というか、やりなさい。契約者としての命令よ!」
「別に私達ってそういう関係じゃないんですが・・・ま、いいです」
妹ちゃんが笑い返す。
「それじゃあ、手を貸しましょう。具体的になにをすればいいんですか?」
『ありがとうございます。まず、あなたには山の隠し神と一緒に山で待機していてください」
「『神隠し』事件の、あの神様とですか?」
『はい。それでなにをやるのかということですが・・・・・・』
そう、妹ちゃんも立派に戦いに役立とうとしている。××も勿論戦うという。
戦闘能力などない私が役に立つには・・・情報戦しかない。
『怪奇同盟』も独自のネットワークで情報を集めているが、それにも穴はできている。
そんな穴を少しでも埋めるため・・・ネットを介しての掲示板や、自らの足で情報を得る。
ほんの少しでもいい・・・彼等の、役に立ちたい。その為には・・・
「遊んでいる暇は無いのよ、それじゃあね」
遅れてしまった分を少しでも取り戻すため、姫さんは走る。
彼女は知らない。この時、縛り上げた都市伝説が何であったかということも、
この後、帰宅した彼女に父親がまとわりついてその頭に見事なハイキックを決めることも。
なにも・・・・・・知らない。
戦闘能力などない私が役に立つには・・・情報戦しかない。
『怪奇同盟』も独自のネットワークで情報を集めているが、それにも穴はできている。
そんな穴を少しでも埋めるため・・・ネットを介しての掲示板や、自らの足で情報を得る。
ほんの少しでもいい・・・彼等の、役に立ちたい。その為には・・・
「遊んでいる暇は無いのよ、それじゃあね」
遅れてしまった分を少しでも取り戻すため、姫さんは走る。
彼女は知らない。この時、縛り上げた都市伝説が何であったかということも、
この後、帰宅した彼女に父親がまとわりついてその頭に見事なハイキックを決めることも。
なにも・・・・・・知らない。