「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 赤マントと赤いはんてん-13

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だれでも歓迎! 編集
 …カプセルの中の人型の命を奪いながら進んでいく
 赤いはんてんに、こんな事をさせなければいけない事実
 それに、赤マントは悩む
 ……あそこで、エレベーターに乗らなければ良かったのか?
 否、廃ビルに、逃げ込まなければ良かったのだ
 しかし、後悔しても仕方ない
 今は、自分たちが自分たちで在り続けるために…自分たちが、できることをしなければならないのだ

「赤いはんてん、プレゼントですっ!!」

 ぽっぽっぽっぽっぽ
 赤いはんてんが見えている範囲の人型に、次々浮かぶ赤い斑点
 容赦なく命を奪う呪いの奇病

 他のトイレに出没する、「赤」を冠する都市伝説…赤マントや赤いちゃんちゃんこたちと、赤いはんてんは、似ているようでどこか違う存在だ
 他の「赤」を冠する都市伝説が、赤い衣服を纏っているかのように相手を血塗れにさせるのに対し…赤いはんてんは、「はんてん=斑点」と言う語呂合わせから、相手に斑点を浮かび上がらせる
 そして、「赤い斑点=致死性の伝染病」と言う関連から、呪いの奇病を発させるのだ
 伝染性が低くなっているのが、幸いと言えば幸いだろう

 無差別に命を奪える力
 赤いはんてんのかつての契約者は、それを赤いはんてんに使わせないようにしていた
 戦う必要性がある時は、なるべく、青いはんてんの姿で戦わせていたくらいだ
 相手を青痣だらけにする青いはんてんの時の方が、彼女が誰かを殺してしまう確立は低いから

「…赤マント?どうしたですか?」
「………いや、何でもないさ」

 近頃、昔の事を思い出してばかりだ
 自分も歳をとったのだろうか、と若干憂鬱になる

 ……と、その時
 ぞくり
 赤マントの全身を、悪寒が走りぬけた

「---っ!?あ、赤マント!!」
「ぬ……!?」

 …前方から迫ってくるのは、灼熱の炎
 まるで、西洋の竜の口から吐き出されたような、慈悲なき、全ての命を奪う炎
 これは…まずい!?

 赤マントは、ひらり、マントを翻す
 遠くへ
 出来る限り、遠くへ、遠くへ遠くへ!!!
 とにかく、遠くへ移動しなければ
 2人とも、この炎に巻き込まれて、焼き殺されてしまう!?
 「夢の国」の影響下にある中、どこまで遠くへ移動できるかわからない
 しかし、出来る限り、炎から逃れる範囲へ……!!

 視界が赤く染まりあがり
 …その直後
 2人は、夜空に浮かぶ満月を見上げる位置にいた

「……あぅ??」
「…おや」

 …どうやら、地下から、一気に地上へと移動できたようである
 これは、つまり…

「…「夢の国」の影響が、消えたようだな」
「それ、って…」

 そして、傍にあった祭用のスピーカーから、聞こえてくる放送

『悪夢の国は落ちた。各々方始末を着けなさいますよう』

 ……あぁ、そうか
 「夢の国」は倒されたか、正気に戻るかしたのか
 だから、赤マントの空間転移が、本来の力を発揮できるようになったのだ

 人攫いはどこにでもいる
 だから人攫いの赤マントはどこにでも現れる

「……終わっちゃった、ですか」

 ぽつり
 赤いはんてんが、呟いた
 …結局、自分は仇を取れなかった
 そうとでも、考えているのかもしれない
 俯く赤いはんてんを、赤マントはそっと抱きしめる

「……あぅぅ、苦しいのですよ、赤マント」
「あぁ、すまん。しかし、我慢してくれるかね?何故だか、こうしていたい気分でね」
「あぅ、どう言う理屈ですか、それは……でも、まぁ、許してやるのです。私もなんだか、そんな気分なのですよ」

 赤マントの腕から逃れようとしない赤いはんてん
 …彼女の表情を、赤マントは見る事は、できない



 北区、祭会場の一角
 突如現れた赤い衣装を纏った2人は、数分後…現れた時と同じように、忽然と消えた
 悪夢の国と因縁を持ちながら、しかし、その戦いに深く関わらなかった二人
 悪夢の国が倒された時の二人の心境が、どういったものだったのか


 それは、誰にもわからない…





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