―第35章 夢一夜―
俺はいつもの二人―剛田と委員長だ―を連れて夜の町を散策していた。学期中に高校生が深夜徘徊して良いのかって?……あえてノーコメントとさせて貰おう。
路地に入ったところで何だか嫌な雰囲気に包まれる。≪夢の国≫は『パレード』がきれいな夕方~深夜に現れる。鉢合わせなんかはしたくないのだが―
「ねぇ、あなた達。」
………嫌な予感がする。声の主を確かめるため後ろを振り返るとそこには一人の少女―だいたい16歳前後―が立っていた。
「失礼、何か用か?」
「あなたも夢の国の一員にならない?」
…はい?仰ってる意味が―はっ!今この人≪夢の国≫って言ったよな?まさか…!
「言ってる意味がさっぱり分かんないんだけど?」
「…≪夢の国≫、か。噂には聞いていたが、まさか俺と同年代だったとはね。」
「―じゃあ、まさか……」
「うん、私が≪夢の国≫の契約者だよ。見たところあなた達3人とも契約者だね?もしかしてあなた達も私の邪魔をするの?」
「時と場合によるが、今は全く以ってそんな気分じゃない。俺達は帰らせて貰うぞ。」
「ダメ。あなた達は今から≪夢の国≫の新しい住人になるの。」
彼女の後ろから沢山の着ぐるみが現れ、彼女に付き従う兵隊のようにずらっと整列した。
「じゃあ、行きなさい。」
彼女の一言で着ぐるみは意思を持つかのように一斉に動き出した!
「…ったく、人の言う事は無視かよ!天照!『転移』してくれ!出来るだけ遠くに!」
「わ、分かりました!」バシュン!
逃げる前に彼女が何かつぶやいてた。聞こえはしたが意味がさっぱりだったため、後で考える事にした。
ボソッ「……逃げたって無駄だよ。≪夢の国≫の王様は何処にでもいるんだから。」
―ここは…住宅街?そうか、東地区だな?早速行動を開始する。その前に―
「おい、お前ら起きろ。○ッ○ーや○○○○○ッ○や○○の○○さんに襲われても知らんぞ?」
「「…非常に分かりづらい起こし方をありがとう。」」
「しかし…「≪夢の国≫の王様は何処にでもいる」…どういう意味だ?」
俺が考えをめぐらせていると突然―
「それは言葉通りの意味だよ。ハハッ♪」
後ろからあの甲高い声が聞こえた。振り返ってみると案の定、そこには大きな耳の黒いネズミがタキシードを着て立っていた。
「な、何でミ○キ○がこんな住宅街にもいるんだ!?」
着ぐるみはあっちで全部撒いたはず!なのに何故!?
「だから言ったでしょ?≪夢の国≫の王様は何処にでもいるって。」
「何故お前が此処にいる!?さっきまであっちに…ハッ!そうか、そういう事か。」
「どういう事?」
「醤油うこtぶべらっ!!!!」バキゴキグシャメメタァ!!!
「大体予想がついてただけにそれ程面白くなかったな。」
「どういう事なの?」
「「≪夢の国≫の王様は何処にでもいる」。その言葉の真髄はミ○キーの家にある。」
「…話が見えないからもう少し詳しくお願い。」
「≪夢の国≫の王、多分ミ○キーなのだと思う。ミ○キーの家には世界に散在する≪夢の国≫を行き来するための扉とその鍵がある。」
「それを使って色々な≪夢の国≫に出現できる。だから「≪夢の国≫の王は何処にでもいる」と言われるようになった。違うかな?」
「…半分正解。あなたすごいね。でもまだ半分、≪夢の国≫の王様は一人しかいないけど何処にでもいるの。これが本当の言葉。そして今の王様は私。」
ミ○キーじゃない。なら―まさか!
「あんたが言うその「≪夢の国≫の王様」って言うのはまさかウォルt―」
「それ以上触れるのは禁句だよ?」彼女は俺の話を遮った。
「…まあ、良いだろう。それよりも、今の俺達はお前と敵対する気は毛頭ない。そもそも俺達はフリーだ。『組織』とかからバックアップが来る訳がない。それに…」
「それに?」
「あんたの力は複合的過ぎて今の俺ではどうする事も出来ない。だから―」
「そ、なら私もう飽きたから行くね?でも今度逢った時は必ず住人にしてあげる。≪夢の国≫は誰も拒まないんだから。」
「……それだけは勘弁だな。」
「絶対だよ?じゃあね。」シュルン…ポン!
なんともメルヘンチックな音を立てて消えてしまった。
しかし、なんというか想像を絶する強さだった。最早『組織』でも太刀打ちは―
とりあえず二人と分かれて俺は自宅へ帰る事にした。
月読がネットワーク上で拾ってきた西地区の小学校での≪夢の国≫の戦闘レコーダーでは『組織』の黒服が寝返ったように見えるが―
「…解析の結果、あの黒服達は元々≪夢の国≫の能力で顕現されたものです。」
「「≪夢の国≫にとって不利益な事が生じたら黒服の人がやってくる。」、か。」
聞いていた通り、というかそれ以上のチートだった…。その癖、契約者がまだ年端もいかぬ少女。あれだけの力を使うにしては幼すぎる。
「……さて、これからどうするかな。」
俺はいつもの二人―剛田と委員長だ―を連れて夜の町を散策していた。学期中に高校生が深夜徘徊して良いのかって?……あえてノーコメントとさせて貰おう。
路地に入ったところで何だか嫌な雰囲気に包まれる。≪夢の国≫は『パレード』がきれいな夕方~深夜に現れる。鉢合わせなんかはしたくないのだが―
「ねぇ、あなた達。」
………嫌な予感がする。声の主を確かめるため後ろを振り返るとそこには一人の少女―だいたい16歳前後―が立っていた。
「失礼、何か用か?」
「あなたも夢の国の一員にならない?」
…はい?仰ってる意味が―はっ!今この人≪夢の国≫って言ったよな?まさか…!
「言ってる意味がさっぱり分かんないんだけど?」
「…≪夢の国≫、か。噂には聞いていたが、まさか俺と同年代だったとはね。」
「―じゃあ、まさか……」
「うん、私が≪夢の国≫の契約者だよ。見たところあなた達3人とも契約者だね?もしかしてあなた達も私の邪魔をするの?」
「時と場合によるが、今は全く以ってそんな気分じゃない。俺達は帰らせて貰うぞ。」
「ダメ。あなた達は今から≪夢の国≫の新しい住人になるの。」
彼女の後ろから沢山の着ぐるみが現れ、彼女に付き従う兵隊のようにずらっと整列した。
「じゃあ、行きなさい。」
彼女の一言で着ぐるみは意思を持つかのように一斉に動き出した!
「…ったく、人の言う事は無視かよ!天照!『転移』してくれ!出来るだけ遠くに!」
「わ、分かりました!」バシュン!
逃げる前に彼女が何かつぶやいてた。聞こえはしたが意味がさっぱりだったため、後で考える事にした。
ボソッ「……逃げたって無駄だよ。≪夢の国≫の王様は何処にでもいるんだから。」
―ここは…住宅街?そうか、東地区だな?早速行動を開始する。その前に―
「おい、お前ら起きろ。○ッ○ーや○○○○○ッ○や○○の○○さんに襲われても知らんぞ?」
「「…非常に分かりづらい起こし方をありがとう。」」
「しかし…「≪夢の国≫の王様は何処にでもいる」…どういう意味だ?」
俺が考えをめぐらせていると突然―
「それは言葉通りの意味だよ。ハハッ♪」
後ろからあの甲高い声が聞こえた。振り返ってみると案の定、そこには大きな耳の黒いネズミがタキシードを着て立っていた。
「な、何でミ○キ○がこんな住宅街にもいるんだ!?」
着ぐるみはあっちで全部撒いたはず!なのに何故!?
「だから言ったでしょ?≪夢の国≫の王様は何処にでもいるって。」
「何故お前が此処にいる!?さっきまであっちに…ハッ!そうか、そういう事か。」
「どういう事?」
「醤油うこtぶべらっ!!!!」バキゴキグシャメメタァ!!!
「大体予想がついてただけにそれ程面白くなかったな。」
「どういう事なの?」
「「≪夢の国≫の王様は何処にでもいる」。その言葉の真髄はミ○キーの家にある。」
「…話が見えないからもう少し詳しくお願い。」
「≪夢の国≫の王、多分ミ○キーなのだと思う。ミ○キーの家には世界に散在する≪夢の国≫を行き来するための扉とその鍵がある。」
「それを使って色々な≪夢の国≫に出現できる。だから「≪夢の国≫の王は何処にでもいる」と言われるようになった。違うかな?」
「…半分正解。あなたすごいね。でもまだ半分、≪夢の国≫の王様は一人しかいないけど何処にでもいるの。これが本当の言葉。そして今の王様は私。」
ミ○キーじゃない。なら―まさか!
「あんたが言うその「≪夢の国≫の王様」って言うのはまさかウォルt―」
「それ以上触れるのは禁句だよ?」彼女は俺の話を遮った。
「…まあ、良いだろう。それよりも、今の俺達はお前と敵対する気は毛頭ない。そもそも俺達はフリーだ。『組織』とかからバックアップが来る訳がない。それに…」
「それに?」
「あんたの力は複合的過ぎて今の俺ではどうする事も出来ない。だから―」
「そ、なら私もう飽きたから行くね?でも今度逢った時は必ず住人にしてあげる。≪夢の国≫は誰も拒まないんだから。」
「……それだけは勘弁だな。」
「絶対だよ?じゃあね。」シュルン…ポン!
なんともメルヘンチックな音を立てて消えてしまった。
しかし、なんというか想像を絶する強さだった。最早『組織』でも太刀打ちは―
とりあえず二人と分かれて俺は自宅へ帰る事にした。
月読がネットワーク上で拾ってきた西地区の小学校での≪夢の国≫の戦闘レコーダーでは『組織』の黒服が寝返ったように見えるが―
「…解析の結果、あの黒服達は元々≪夢の国≫の能力で顕現されたものです。」
「「≪夢の国≫にとって不利益な事が生じたら黒服の人がやってくる。」、か。」
聞いていた通り、というかそれ以上のチートだった…。その癖、契約者がまだ年端もいかぬ少女。あれだけの力を使うにしては幼すぎる。
「……さて、これからどうするかな。」