〈傭兵〉

名称:〈傭兵〉
呼称:《ようへい》
大分類:ロール系

◆解説

 〈傭兵〉は、依頼主に雇われて武力を提供する代わりに報酬を得る職業戦士であることを表すサブ職業だ。
 〈エルダー・テイル〉最初期から存在するサブ職業のひとつであり、当初は攻撃系のステータスにボーナスを得られるだけの職業だった。だが、その後度重なるアップデートを経て、亜人討伐や貴族間の小競り合いなどといった各地の戦況にまつわる専用のクエストが追加実装されていき、〈エルダー・テイル〉の背景世界に深く接続するロールプレイ系のサブ職業となっていった歴史を持つ。
 〈傭兵〉の専用クエストでは、セルデシア世界における最前線、亜人の危機に晒される〈大地人〉や、人類の版図を取り戻そうとする冒険譚が扱われている。各地を転々としながら、血沸き肉躍るストーリーで世界観を楽しめるサブ職業として、〈傭兵〉は高い人気と知名度を誇っている。


◆〈セルデシア〉における〈傭兵〉

 〈セルデシア〉における〈傭兵〉も、我々の世界におけるそれと同様に、依頼主に雇われて戦う兵士を表す職業である。〈大地人〉勢力同士が表だって交戦状態にないヤマトにおいては、〈傭兵〉が戦う対象は人間ではなく、亜人をはじめとするモンスターが主である。このため、多くの〈大地人〉にとって、〈傭兵〉とは〈冒険者〉に近い、戦闘を生業とするフリーの職業戦士というイメージが一般的だ。
 つまり、〈傭兵〉にとって最大の商売仇は〈冒険者〉ということになる。「金を払って武力を雇う」という選択肢で、まず最初にくるのが〈冒険者〉である以上、〈傭兵〉の価値や需要は限られ、隙間産業的な依頼を中心に受注することになる。
 とはいえ、〈傭兵〉の立場が低いのかというと決してそうではない。セルデシアでは職の有無によって能力が規定・制限されるため、一般の村人をかき集めて武器を持たせて即席の戦力にする、といったことが不可能なのだ。こうした世界のルールと亜人がはびこる状況が相まって、「〈大地人〉でも戦闘能力を得られる職」である〈傭兵〉は重要な存在なのだ。
 また、〈冒険者〉は〈大地人〉よりもはるかに強力だが、雇うための報酬は高くつくし、あくまで短期間で依頼を解決して去っていく存在だ。「(〈冒険者〉と比較して)安価な報酬で」「継続的に雇用できる」という点に〈大地人〉の〈傭兵〉の強みがある。
 こうした点から、〈大地人〉の〈傭兵〉の仕事は、身近なところでは酒場の用心棒や商人が雇う護衛や門番から、大規模なものでは自衛が必要な辺境の村などに戦力を提供し自警団を組織する、といったものが主である。また、貴族や領主が率いる正規の騎士団だけでは戦力が不足している場合などに、予備戦力や一時的な増援として雇用されるケースもある。
 〈傭兵〉の多くは、大なり小なりの傭兵団に所属している。フリーの〈傭兵〉は信用を得るのが難しく、また、個人でモンスターと渡り合うのが困難であるため、組織を作るのが効率的なのだ。傭兵団の練度もピンからキリまでで、ごろつきの集まりに毛が生えたようなものから、「軍」に近い精度で作戦行動が行えるものまで様々だ。


◆ゲーム時代の〈傭兵〉

 〈エルダー・テイル〉でも最初期から実装されている〈傭兵〉は、数多いサブ職業の中でも人気の高い、定番のサブ職業のひとつだ。
 初期実装サブ職業の例に漏れず、後の拡張パックやアップデートでストーリー性の高い専用クエストが追加され、ロールプレイ系サブ職業としての側面が強まっていった歴史を持つ。特に専用クエストの豊富さは〈騎士〉と並ぶボリュームを誇り、セルデシア世界を遊びつくしたいというストーリー重視のプレイヤーから好評を博している。
 また、騎乗システムが実装された際には、狼のような野性的な騎乗生物を乗りこなす能力も追加され、華麗に軍馬を駆る〈騎士〉とともに、機動力の高いサブ職業という利点も追加された。
 〈傭兵〉への転職は、各地の傭兵団の元を訪れて入団クエストを受けるのが一般的だが、その他にも討伐系のクエストを一定数こなして戦績を重ねることでも転職できる(組織の後ろ盾などなくとも十分な名声と実績があれば一匹狼の〈傭兵〉になれるのだ!)。
 傭兵団への入団は低レベルから可能であるし、討伐実績もゲームをプレイし続けていれば自然に条件を満たしていることが多いため、転職は容易だ。
 初期実装職であること、豊富な専用クエスト、騎乗に関する能力を持つなど、〈傭兵〉は〈騎士〉との共通点が多いが、両者の差は専用クエストの傾向だ。
 〈騎士〉クエストは政治や貴族社会などセルデシア世界の背景設定に関連するものが多いのに対し、〈傭兵〉のクエストの多くは依頼に応じて戦闘をこなすことで報酬を得られるもので、金銭的な利益を得やすい点が大きな違いである。また、〈傭兵〉のクエストには「装備を更新するため、新品の武器を○○個用意してくれ」といった傭兵団から受けられる非戦闘型のクエストもある。もちろん〈傭兵〉自身に装備を製作する能力はないが、これは仲間の生産職と協力してこなすことを意図したものである。このように、同じギルドの仲間や周辺に話が広がっていく部分が、積み重ねられた長編クエストのだいご味だろう。
 駆け出しの頃から転職可能、専用クエストなどのロールプレイ面も充実、しかも金銭的な実入りも良好で、積極的に戦うプレイスタイル向き。こうした理由が〈傭兵〉の人気を不動のものとしているのだ。


◆〈大災害〉後の〈傭兵〉

 〈大災害〉後、〈大地人〉の〈傭兵〉はかつてないほどの需要過多に見舞われた。かつて市場の大半を独占していた〈冒険者〉が、ぱったりと活動を停止し、プレイヤータウンに閉じこもってしまったからだ。
 〈冒険者〉の事情とは無関係に、亜人などの人類の敵は活動を続けたため、護衛役、あるいは害獣の駆除役としての〈傭兵〉は各地で引っ張りだことなった。しかし、この需要過多は〈大地人〉の〈傭兵〉にとって、稼ぎとともに死の危険も跳ね上がる、ハイリスクハイリターンの期間でもあった。目敏い〈傭兵〉はそのリスクを見極めて躍進したが、一方で功を焦って戦死する〈傭兵〉も少なくなかった。
 〈大災害〉後の混乱期を終え、〈冒険者〉が活動を再開するようになってからは、この〈傭兵〉特需は勢いが弱まった。しかし、それでも以前ほど街の外に出て戦闘を行う〈冒険者〉の数が多くないことや、〈妖精の輪〉が自由に使えないことによる移動コストの高騰によって、〈冒険者〉の手が届きにくい辺境の地では、依然として〈傭兵〉の需用は高い。
 こうして需要とともに危険も増大している中で、〈大地人〉の〈傭兵〉の中では、戦力の拡充が喫緊の課題となっている。コネのある〈冒険者〉に依頼して戦術を学んだり、支援を受けて訓練を行なうといった動きが活発化しているのだ。〈大地人〉にとって、戦場は文字通り命がけの場であるため、訓練への意気込みは〈冒険者〉と比べて格段に強い。特にサブ職業が〈傭兵〉の〈冒険者〉は、転職クエスト等でどこかの傭兵団に所属していることが一般的だが、その設定や関係が〈大災害〉後も生きていることから、こうした訓練の指南役として声をかけられる機会が増えている。
 〈大地人〉の〈傭兵〉たちと〈冒険者〉の連携は、新たな需要をも生み出している。たとえば、〈冒険者〉向けには売り物にならないような低レベル向けの装備や薬品などのアイテムも、〈大地人〉の〈傭兵〉にとっては戦力拡充を図る上で貴重なものとなる。
 また、〈冒険者〉側にとっても、各種生産に必要な素材のうち「簡単に手に入るが、量を集めるには手間と人手が必要」といったものを〈大地人〉の〈傭兵〉に外部委託する動きもある。生産系ギルドの中には、〈大地人〉傭兵団とのコネを持つ〈冒険者〉の〈傭兵〉を仲介役として、いち早く正式な業務提携契約を結び、大々的な活動を開始した所もある。
 こうした活動によって〈大地人〉傭兵団の戦力が底上げされることで、〈大災害〉後、戦闘可能な〈冒険者〉が減ったことによる諸問題を、新たに力をつけた〈傭兵〉が補うことが期待されている。今後のセルデシアの治安と人類の生存の鍵となる可能性を秘めている職業、それが〈傭兵〉なのだ。


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最終更新:2022年12月26日 11:18
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