名称:〈騎士〉
呼称:《きし》
大分類:ロール系
◆解説
〈騎士〉は、君主に仕える戦士階級であること、あるいはそれに近い立場や在り方であることを表す
サブ職業である。
〈エルダー・テイル〉リリース時から存在する最も古いサブ職業のひとつであり、当初は防御に関連したボーナスが得られるという、古い年代に開発されたコンテンツにありがちな単純な(そして僅かな)数値ボーナスを得られるだけの職業だった。
だが、その後度重なるアップデートを経て、世界各地の貴族や騎士団にまつわる専用の
クエストが追加実装されていき、
〈エルダー・テイル〉の背景世界に深く接続するロールプレイ系のサブ職業となっていった歴史を持つ。
また、後の拡張パックで騎乗システムが追加された際には、騎乗に関する能力や〈騎士〉専用の装備(馬具に専用の紋章をつけられるようになるなど)が追加され、現在では名実ともに「騎士らしい」サブ職業となっている。
◆〈セルデシア〉における〈騎士〉
地方にもよるが
〈セルデシア〉における〈騎士〉とは、「統治する領地を持たない最下位の貴族位」を指す。そして、〈セルデシア〉における騎士団とは、貴族の中で固有の職責を持たない者が所属する組織である。従って無位の男性貴族は基本的にその全員が〈騎士〉となってどこかの騎士団に所属することとなる。
各地に
モンスターがはびこり、騎士団同士がぶつかりあう戦争などめったに起こり得ない世界情勢であること、また戦闘の専門家としては
〈冒険者〉が存在することから、
〈セルデシア〉の〈騎士〉は、軍人というよりは貴族社会の若手集団としての意味合いが強い。領主と領地を守るための武芸や騎乗技術にくわえて、内政等の実務に必要な基礎教養、社交界における礼儀作法、〈騎士〉は所属騎士団でこれらの技術を学んでいくこととなる。
〈騎士〉となり騎士団に所属することとなった若手貴族が、この後辿る道筋は大きく3つに分かれる。
1つめは、自らが統治すべき領地と爵位を得てより高位の〈貴族〉となる道である。もっとも、この世界では前述した世界情勢から、自らの力で新たな領地を切り取ることは極めて困難であり、基本的には長男が父親から代々の領地と爵位を相続するケースがこれに該当する。
2つめは、そのまま〈騎士〉の道を歩み続けることである。貴族の子弟の中でも次男以降の者は、長男が若死にでもしない限り領地も爵位も得られないため、必然的に〈騎士〉を続けることになる。〈騎士〉としての実力や功績が認められれば〈騎士団長〉や〈将軍〉などの上位の役職への出世の道もあるが、無論誰もが〈騎士〉としての栄光を掴めるわけではない。
3つめは、〈騎士〉の身分を捨てて、即ち貴族社会の一員であることをやめて、平民になる道である。教育水準の高さは商人としての強みとなるし、鍛えた体は農業や狩猟等を行う上で役に立つ。貴族社会にこだわらず、新天地に挑む気持ちさえあれば、彼らは様々な分野で活躍をするための地力を持っているのだ。
ヤマトにおいて官吏は平民からの試験登用であるため、その道を目指すものも少なくはない。
このケースの一例としては、マイハマ領主セルジアッド候の娘婿にして
レイネシア姫の父フェーネル=ツレウアルド=コーウェンが該当する。彼は騎士家出身者であったが、自らに戦闘方面の才能が無いことを知り、この領地を守るために内政に携わる仕事をしたいと志して〈騎士〉の位を捨てて平民となった。その後、正規の登用試験を受けて官吏として採用された彼は、民からも貴族からもその信望はあつい。
◆ゲーム時代の〈騎士〉
〈騎士〉は最初期から存在するロールプレイ系サブ職業の代表格として最も有名なサブ職業のひとつである。
いわゆる「剣と魔法のファンタジー」的な世界観である〈エルダー・テイル〉のユーザー層の多くにとって、〈騎士〉というロマンあふれる響きは訴求力があり、古くから人気の高いサブ職業であった。そうした人気や需要に答える形で、拡張パックごとに各地の国家や騎士団に関する〈騎士〉専用のクエストが追加されていったため、現在では容易に遊び尽くせないほど数多くのクエストが存在する。そういった点から、最初期から存在する古いサブ職業でありながら、今もなお根強い人気を誇る花形のサブ職業である。
もっとも、〈騎士〉を選ぶプレイヤーの全てが必ずしもロールプレイ志向のプレイヤーというわけでもなく、中には騎乗関連のボーナスだけを目当てになる者や、〈将軍〉や〈聖騎士〉などの〈騎士〉を基点として派生する他のサブ職業の転職条件を満たすためになる者など、ゲーム的な利益を目的とする者もいる。
〈騎士〉への転職は、専用の転職クエストを達成する形式となっているが、その方法は大きく分けてふたつある。
まずひとつめは、各地を統治する貴族や領主の下で〈騎士〉の位に相応しい功績を立てて、騎士叙勲を受けること。もうひとつは、マイハマの〈グラスグリーブス〉やツクバの魔法騎士団といった各地の騎士団と共闘して友誼を結び、彼らの同胞になること、即ち名誉騎士に認定されることである。
いずれの場合も戦闘を伴うクエストを達成する必要があるが、
メイン職業のレベル上限が50であった頃の難易度なので、レベル上限が拡張された今となってはさほど苦労せずに転職できるだろう。
◆〈大災害〉後の〈騎士〉
〈大災害〉後、〈騎士〉というサブ職業が持つ意味合いは大きく変容した。ゲーム時代はただの設定に過ぎなかった〈騎士〉の位が、現実の
〈大地人〉社会におけるれっきとした地位身分になったからである。
ゲーム時代にプレイヤーが取った行動は、
〈大災害〉後の
〈大地人〉からは歴史的な経緯、あるいは過去として記憶されているため、
〈冒険者〉がどういった経緯で〈騎士〉に転職したかも大きく影響を受ける。どこかの貴族から騎士叙勲を受けたならばその関係性も現実のものとなるし、どこかの騎士団と友誼を結び名誉騎士となったのならば、先方もそのように〈冒険者〉を迎えるだろう。
少なくとも〈大災害〉後の現在において〈騎士〉であることは、特定の〈大地人〉勢力と密な関係になることであり、政治的な問題に巻き込まれることを意味する。〈大災害〉後、〈自由都市同盟イースタル〉の〈大地人〉貴族らは、
アキバの〈
円卓会議〉の代表である
クラスティへの騎士叙勲を検討していた。これは〈冒険者〉を御する首輪として貴族の位を利用しようとした一例であるといえるだろう。
このように〈騎士〉という職業は他のサブ職業以上に政治的社会的な意味合いを帯びるようになったため、〈大災害〉後は〈冒険者〉が〈騎士〉に転職するケースは少なくなった。〈冒険者〉が持つ戦闘力や知識が〈大地人〉社会に与える影響が明らかになったこともあり、〈円卓会議〉と〈自由都市同盟イースタル〉の同盟締結後は、〈大地人〉〈冒険者〉双方ともに叙勲にたいして慎重になったためだ。
一方で、〈神聖皇国ウェストランデ〉では、積極的な〈大地人〉と〈冒険者〉の交流が奨励されていることから、〈大地人〉貴族が〈騎士〉位によって〈冒険者〉を取り込もうという活動が活発となっているようだ。
最終更新:2024年11月05日 16:48