■日本での〈エルダー・テイル〉価格展開
〈エルダー・テイル〉オールインワンパック:基本セット及び、拡張パックの全てが同梱の商品。価格は7800円。
拡張パック:値段は現在までの所、5400円~6200円。
月額料金:1600円
■一回の拡張パックで追加されるもの
◆数百のゾーン
部屋の一室が
ゾーンであることもあるため、この数はそこまで膨大ではない。これは10程度のダンジョン、もしくはフィールドダンジョンを含む。
◆数百のNPC
追加NPC。これはランダム配置の
〈大地人〉が流用されることもある。
◆約二百のクエスト
新しく設定されたNPCから受けることが出来る
クエスト。
◆数百のモンスター
新ゾーンに配置される新
モンスター。これらの中には多くの場合、数十種類の新しいモデリング、モーションを持ったモンスターが含まれる。
◆数百のアイテム
クエストやモンスターから得られる新しい
アイテム。
◆数個のレイドコンテンツ
多くの場合、3~5個のフル
レイドコンテンツと、1~2個のレギオンレイドコンテンツが追加される。
◆追加の特技
レベル上限が拡張される場合は、拡張されたレベルに応じた追加の
特技がデザインされる。
その他、拡張パックは、それぞれのテーマをもち、多くの場合大規模なシステムの拡大をもたらす。騎乗生物や、空中での旅、艦隊戦や、ギルドキャッスルの追加、AIアイテムの追加などが過去に行なわれた。
■日本サーバの五文化圏
◆〈エッゾ帝国〉
現実世界の北海道および青森に相当する範囲の地方名称。
北方の巨人族と絶え間ない戦いにさらされる、北の軍事帝国。人間の征服帝アル=ラーディルが拓いた若い国家でレトロな機械帝国といったイメージ。強力な機械化兵士団を擁していたが、その大半を巨人族に対抗するために辺境へ配置しており、
〈大災害〉後まもなく首都は悪質な
〈冒険者〉によってその軍事力を発揮することなく制圧された。
広大な原野には無数のフィールドと手ごわいダンジョンが数多くあり、冒険の舞台としては人気だったが、
〈大地人〉の生活の場としてはなかなかに厳しい場所である。
〈大災害〉当初、首都ススキノは武装化した
〈冒険者〉の集団に制圧され実質的には無法者〈冒険者〉の支配する帝国と成り果て、多くの〈大地人〉たちはその下で労働を余儀なくされていた。しかし
アキバを離れた
〈シルバーソード〉によって環境が随分改善された。
◆〈自由都市同盟イースタル〉
現実世界の東日本に相当する範囲の地方名称。
(東京都(アキバ、マイハマの都、
シブヤ)、神奈川県(ヨコハマ)、埼玉県(ヒロセの神殿街、ナロウマウント王国)、千葉県(シラハマ)、茨城県(魔法都市ツクバ)、新潟県(カシワザキ雷鳴街、サドの海洋街)、宮城県(タイハク外城、タイハク雲城)、長野県(スワの湖畔市)、福島県(コオリマの街)、群馬県(ソノハラ水門市)、栃木県(ウツルギの神前街)、岩手県(ラワロールの街)、山形県(イワフネの街、城塞都市モガミ)、秋田県(オウウの町)、山梨県(パイドパイパーリア))
本州、東日本を領土とする共同体。都市国家を統べる24人の領主たちの会議(自由都市領主会議)という形で統治を行なっている。筆頭領主は、マイハマの都を治める
セルジアッド公爵。年に数回、
〈エターナルアイスの古宮廷〉で会議を開き、大きな問題の解決に当たるが、それ以外の点では領主が自らの領地を自由に治めるという独立主義を取っている。
〈神聖皇国ウェストランデ〉とはその出自から、険悪ではないものの緊張感を持った政治的関係にある。
〈大災害〉において
アキバには
〈円卓会議〉が設立され、領主会議はこの〈円卓会議〉と条約を結ぶことになり、〈自由都市同盟イースタル〉には新しい時代が訪れた。
◆〈神聖皇国ウェストランデ〉
現実世界の西日本に相当する範囲の地方名称。
(大阪府(
ミナミ)、愛知県、兵庫県、静岡県、広島県、京都府、岐阜県、岡山県、三重県、奈良県、滋賀県、石川県、富山県、和歌山県、福井県、島根県、鳥取県 )
かつてヤマト(ゲーム内での日本列島の呼称)を統治していた〈ウェストランデ皇王朝〉の血を引く
斎宮家、および執政公爵家が統治を行っている。東日本に比べると中央集権的で、古代の貴族政治が色濃くその姿を止めている。
〈大地人〉の政治中枢は
キョウであり、内裏から地方に管理を派遣し治めていた。
〈大災害〉をきっかけにあらわれた
〈冒険者〉濡羽の提案を受け、〈冒険者〉の凶猛な武力を押さえ込むべく大幅な融和政策に方針を転換する。〈神聖皇国ウェストランデ〉の統治機構は
〈Plant hwyaden〉の操り人形と化している、との噂もまことしやかに囁かれている。
現在では斎宮家の率いる神宮派、執政公爵家の率いる元老院派、そして〈Plant hwyaden〉執行部を中心とした皇剣軍派のバランスによって運営されている。
◆〈フォーランド公爵領〉
現実世界での四国に相当する範囲の地方名称。
もともとは〈ウェストランデ皇王朝〉公爵家の一つ、フォーランド公爵が治めていた領地。〈フォーランド公爵領〉と呼ばれ、豊かな自然の恵みのもとに多くの人びとが暮らしていた。しかし、〈第一の森羅変転〉とその後の騒乱のなかで善の種族はほとんど放逐されてしまった。300年前の群発騒乱により、フォーランド公爵家は滅亡、つづいて〈ウェストランデ皇王朝〉自体も滅んでしまったために、現在は支配者の居ないある種の無法地帯となっている。つまり実態に対して正確に表記するならば“元”フォーランド公爵領となる。ただし、現在は〈ウェストランデ皇王朝〉の後継を自認したい〈神聖皇国ウェストランデ〉の政治的思惑により、名称が保たれて、政治的空白地帯として続いてしまっている。
島全体が荒廃しており、かつて人間が生活していた痕跡は多少の遺跡を残すのみとなっている。
〈冒険者〉の拠点も存在しないため、この地で活動する〈冒険者〉は多くない。 僅かに残った遺跡の中でも、規模の大きな
〈ロストブリッジ〉は比較的よく知られているが、他にもフォーランド北東部の港湾施設はほぼその形を保っているため、〈冒険者〉の手で安全を確保し、再整備することで港として機能するのではないかと期待されている。
島に生息するモンスターは、みないわゆる日本の「妖怪」に似た風貌が設定されており、各エリア毎に異なる種族が勢力を伸ばしている。フォーランド島はその大半が山野に占められているが、北部を中心に幾つかの平野部があり、
〈シアヌの廃墟〉をはじめとしてかつて善の種族が生活していた遺跡が多数残っている。これらの領域は
〈黒狸族〉《ブラックラクーン》と呼ばれる人型モンスターが支配する領域となっており、いくつかの遺跡などは再利用すらされているようである。一方でそれ以外の険しい山々は、東部は「天狗」、西部は「牛頭」と称されるモンスターの領域となっていた。しかし
〈大災害〉以降、突如島に現れた火山とともに、今までのどの種族とも異なる爬虫類や恐竜と称しても差し支えない外見のモンスターが生息範囲を急激に拡大している。フォーランド島の勢力図は急激に変化しつつあるが、大型モンスターの跋扈する魔境と化しており領内の詳細な情報を得る手段はほとんどない。
しかしこうした空白地帯であるからこそ、この地には様々な噂が絶えない。曰く、かつて巡礼の徒が歩いたとされる四十八聖地をすべて踏破することで得られる秘宝がある。曰く、全く法則性もなく多様なモンスターが湧き続ける謎の地下迷宮が存在し奥には邪神が封じられている。曰く、この地自体が巨大な幻獣の甲羅であり特定の条件下でそれと召喚契約が結べる、等々。
〈大災害〉以降、世界について、特にフォーランド島に関する情報収集は一段と困難になってしまったが、
〈ノウアスフィアの開墾〉においてフォーランド島に関する要素が追加されたのではないかと、危険な島での情報収集に挑む〈冒険者〉たちも僅かながら存在するという。
◆〈ナインテイル自治領〉
現実世界の九州および山口県先端部に相当する範囲の地方名称。
広いフィールドは自然が豊かで北部を中心に古代国家が栄えていた。そのために魔法遺跡も多く、
〈エルダー・テイル〉中期の名作拡張パック〈炎の贈り物〉では各種ダンジョンを巡り、オーク族との激しい攻防戦が繰り広げられた地域でもある。
〈ナインテイル自治領〉は、ナインテイル伯爵の血を引く九つの商家により自治をされている地域だが、その統治は海上輸送や大陸との貿易に比重を置いていた。政治的には
〈神聖皇国ウェストランデ〉の影響が強い。
長く海上輸送や大陸との貿易によって栄えた背景から、新しい物事を積極的に取り入れる気風がある。このため
〈大災害〉以降、
〈大地人〉が積極的に
〈冒険者〉に働きかけ、契約して護衛や顧問として囲い込むという他地域にはない動きが見られた。
〈大災害〉後はしばらくのあいだ暗中模索の日々を送っていたが、プレイヤータウンである
ナカスの街は、近頃、電撃的に現われた
〈Plant hwyaden〉により統一を宣言され、事実上の制圧を受けている。このためナカスの人口は激減、多くの〈冒険者〉は〈Plant hwyaden〉に組み込まれミナミに移住することとなった。
だが九大商家との利害が一致した一部の〈冒険者〉たちは、監視の眼を逃れて付近に潜伏中だと言われる。ナカスを支配する〈Plant hwyaden〉に対し、〈ナインテイル自治領〉は面従腹背の姿勢をとっている。
〈エルダー・テイル〉日本サーバのサービスが開始された時、プレイヤーがゲームのスタート地点として選べる場所は「アキバの街」だけであった。これは現実の日本で云うと東京の秋葉原の位置に存在する。
しかし度重なる拡張とユーザー人口増加に伴い、このスタート地点は増加し、ゲーム開始時点で選べるようになった。
ゲーム開始地点には「大聖堂」「大神殿」が存在し、死んでしまったプレイヤーキャラクターは一定の時間後、経験値にロスをうけてここで復活をすることになる。
「大聖堂」「大神殿」が存在するのは、スタート地点として選択が出来る都市だけであり、これは現在日本サーバに5つ存在する。
これらは「
五大都市」と呼称される。五大都市は以下の通り。
◆アキバの街
最初のプレイヤー都市にして最大のプレイヤー都市。秋葉原の位置に存在し、
〈大災害〉後もプレイヤー人口1万5千人を保っている。
〈大災害〉直後の混乱は大きかったが、
〈冒険者〉による自治機構
〈円卓会議〉の設立以降は治安も迅速に回復し、商業的な拠点として花開いた。
〈神代〉の遺跡を利用した施設が林立する街並みに、現在1万5千人もの〈冒険者〉と彼らを商売相手とする多数の
〈大地人〉が活動しているため、イースタルで最も活気のある場所といっても過言ではない。しかし経済的な活性化は行動力のある〈冒険者〉とそうでない者の間で格差を生むことにもなっている。
発明ラッシュで生まれた富を今後どのようにコントロールするか、〈円卓会議〉にはまた新しい課題が課せられた。
現在では〈円卓会議〉が自治にあたっている。
◆ミナミの街
第二のプレイヤー都市。
〈神聖皇国ウェストランデ〉に存在する商業と伝統を色濃く残す都市。現実世界での位置は大阪に相当する。
現在、ミナミに住む
〈冒険者〉は全員が単一のギルド
〈Plant hwyaden〉に所属している。〈Plant hwyaden〉は「〈冒険者〉全員の平等」「現実帰還のためすべての力を結集する」といった目標を掲げ、多数のギルドをひとつにまとめ上げた。また、〈Plant hwyaden〉は〈神聖皇国ウェストランデ〉の上層と強いつながりを持っており同盟関係にある。
街の方向性は〈Plant hwyaden〉の幹部〈冒険者〉と有力な
〈大地人〉で構成される
〈十席会議〉という会議によって決定されている。治安と秩序は整然と保たれているが、街は活気に乏しく水面下の問題があることを窺わせる。最近は〈大地人〉の軍隊とも協調し盛んに勢力を広げている。
街は厳格な情報統制がなされており、他の都市からはミナミ内部の情報をほとんど窺い知ることはできない状況にある。
◆ススキノの街
第三のプレイヤー都市。エッゾ西部、イスカル地方に築かれた
〈エッゾ帝国〉の首都。〈エッゾ帝国〉は〈エッゾの帝都〉に存在する。
エッゾにおける
〈冒険者〉の拠点であり、同時に〈巨人族〉の侵攻を食い止めるための防衛基地としての性格も持つ城塞都市。また
〈大地人〉統治の中心として周囲の開拓村を取りまとめる政治機能も有していたが、
〈大災害〉の直後は無法者と化した〈冒険者〉集団によって一時的な制圧状態にあった。その後、アキバからススキノへと本拠を移した大型戦闘系ギルド
〈シルバーソード〉による鎮圧、そして治安維持活動が行われ、現在は平穏を取り戻しつつある。
現地民のあいだで以前から食されているエッゾ芋は〈冒険者〉にも人気があり、バター焼き、味噌汁などさまざまなメニューが生まれている。
現実対応で云えば札幌の位置に存在。
◆ナカスの街
第四のプレイヤー都市。
〈ナインテイル自治領〉に存在する都市。現実対応で云えば福岡の位置に存在する。
アキバや
ミナミのように自治を牽引する巨大ギルドも存在せず、またススキノの様に際立った治安悪化もなかったナカスの
〈冒険者〉たちは、
〈大災害〉後の混乱を長く引きずった。そんな混乱を狙うように、ミナミの単一巨大ギルド
〈Plant hwyaden〉のメンバーが介入、ナカスの〈冒険者〉に対する勧誘活動を強力に推し進めたことで、街の〈冒険者〉はほとんどが〈Plant hwyaden〉に所属することになった。
現在のナカスはミナミ同様〈Plant hwyaden〉の支配下。多くのナカスの〈冒険者〉はミナミへと移住、現在のナカスはミナミから派遣された〈Plant hwyaden〉メンバーが自治を行っている。
しかし一部の〈冒険者〉は〈Plant hwyaden〉の強引な併合のやり方をよしとせず、ナカスの街を奪還すべく付近に潜伏しているという。レジスタンスを組織して抵抗活動を行っているが、これまで目立った成果を上げることはできていない。
◆シブヤの街
第五のプレイヤー都市。この都市成立の経緯は多少複雑であり、第二から第四の都市に比べ
アキバの街に集中しすぎた人口を緩和するためにデザインされた。そのためにアキバの街からほど近い、現実対応で云えば渋谷の位置に設置されている。
もともとポータル都市としてデザインされており、人が集中しやすい
ギルド会館、
銀行、解放市場《マーケット》を敢えて設置せず、その代わりに
〈都市間転送装置〉を多数設置して、他の四つのプレイヤー都市(
アキバ、
ミナミ、
ススキノ、
ナカス)へ常時接続することで、都市機能を賄っていた。
〈大災害〉後は過疎化が進んでおりあえて留まっている
〈冒険者〉は、アキバの賑やかな雰囲気を苦手とするソロプレイヤー、大規模ギルドと距離をとりたい者など、何らかの事情を持つ者が大半。また〈冒険者〉によれば、
〈神代〉のシブヤはヤマトで最先端の文化発信地であったとのことであり、それにちなんで新たな技術や娯楽開発の試みなどを行うギルドがこの街に集う傾向もある。
〈円卓会議〉が設立したアキバの街がごく近くに存在するためシブヤには独自の統治機構は存在しない。街の主だった顔役が〈円卓会議〉と連携しつつ緩やかな寄り合いで街全体に関わることを決定している。
■人口
日本サーバー 約100万人(うち3万が冒険者)
冒険者の男女比は男性が七割、女性が三割(
シロエ談)
■日本サーバーの居住ゾーン
(現実世界の対象位置(未確定)は名称や位置等から予想できる場所)
◆アキヅキの街
〈ナインテイル九商家〉クォーツ家が統治する街。プレイヤータウンに近いこともあり、この街での依頼を起点とするクエストやイベントは多い。
〈大地人〉の街だが、
〈冒険者〉と密接な関係にある街でもある。また、年若い女性領主を個人的に慕う〈冒険者〉も少なからずいるらしい。
現実世界の秋月城跡(福岡県朝倉市秋月野鳥)。
◆アサクサ
アキバに程近い場所にある
〈大地人〉居住区の一つ。古くからの寺院群と、その周囲に作られた商店街が特徴。また飲食店も数多くあり、新しい調理法が普及してからは研究熱心な〈大地人〉達による味の追求が日夜行われている。
現実世界の東京都浅草駅付近。
◆イーグレット城下町
名城と名高いキャッスル・イーグレットの周囲に広がる城下町。革細工や絹が名産で、
シクシエーレの港を通して全国に輸出されている。
現実世界の兵庫県姫路市。
◆イガの隠れ里
ヤマトには、一族や集落単位で権力者に仕え、様々な裏の仕事をこなす集団が存在する。彼らはシノビやニンジャと称され、歴史の闇の中で暗躍してきた。欺きの能力に長けた
〈狐尾族〉がしばしば密偵や間者として重宝される。シノビの間でも〈狐尾族〉の評判は高く、著名なシノビには〈狐尾族〉のものも多い。
ウェストランデの険しい山中にあるというイガの隠れ里は、斎宮家に次ぐ名門貴族、執政家お抱えの
〈狐尾族〉シノビ衆である。伝承によると、理不尽な迫害を受け根絶やしにされそうになった〈狐尾族〉の集落が、執政家に救ってもらった見返りとして、代々仕えるという契約を結んだのだそうだ。
里の人口は決して多くはないが、全員がシノビとしての過酷な訓練を積んでおり、上位のシノビともなると体術だけなら
〈冒険者〉に匹敵し、さらに〈変わり身の一尾〉によって取得した技や術に磨きをかけた達人も存在する。その役目は単なる諜報にとどまらず、各地に存在する危険な魔法の品々を回収し、封印・管理するという重大な任務を任されているところに、彼らに対する執政家の絶大な信頼を見て取ることができるだろう。
また、鍛え抜かれた身体能力と隠密の技を持つ彼らは毒の扱いの達人でもある。イガのシノビには、心身様々な部分に作用する、即効・遅効の毒が伝えられており、
ウェストランデの歴史を動かした少なくない事件が、こうした毒や呪薬によって引き起こされたという。
かつて、外部の人間が幾度となくその毒の調合簿〈イガの蠱毒帳〉を求めて里に忍び込み、あるいは攻め入ったが、ことごとくそれを見つけることもなく、撃退されている。このため、〈イガの蠱毒帳〉など存在せず、口伝えで代々伝承されている薬物知識の総体をそのように呼称しているのではないか、あるいは、イガの長の血脈にしか解けない封印を施されているのだ、など、様々な憶測が飛び交っている。
これまではウェストランデ内部の派閥間抗争のため、ウェストランデの貴族に向けられることの多かったイガの技であるが、〈大災害〉後は
〈Plant hwyaden〉がウェストランデ内の各派閥を束ねたことで、外なる敵へと向けられようとしている。その新たなる標的とは、
〈神聖皇国ウェストランデ〉の前身である〈ウェストランデ皇王朝〉から、〈亜人間〉襲来の混乱にかこつけて許可なく独立した東国の貴族たち、即ち
〈自由都市同盟イースタル〉である。執政派の新たな指令を受け、イガのシノビは〈自由都市同盟イースタル〉とアキバの
〈円卓会議〉の関係に楔を入れるべく、両者の連携役と目されるコーウェン公爵家の人間を狙っているという。
シノビの名門としてヤマトの影に名をとどろかしてきたイガの隠れ里であるが、
〈大災害〉によってその地位は揺らぎつつある。巨大ギルド
〈Plant hwyaden〉による
〈冒険者〉集団の統一と、神聖皇国の政務への介入は、政治的なパワーバランスの急速な変化をもたらし、執政家といえど〈冒険者〉の取り込みに躍起にならざるを得なかった。驚天動地の剣技や魔法を軽々とふるい、たとえ死しても蘇る〈冒険者〉の前には、シノビの能力も霞んでしまう。自らの存在意義を危ぶんだ若いシノビからは、状況を打破する策として封印されたアイテムの解放を求める声も出はじめており、里長たちは苦境に立たされているようだ。
現実世界の三重県伊賀市。
◆イコマ
貴族達の豪奢な屋敷が立ち並ぶ、山中に築かれた宮廷都市。
ミナミから東へ半日ほどの道中を越えた先にある。
〈神聖皇国ウェストランデ〉の政治的中心地であり、かつてヤマトを統一していた国家、ウェストランデ皇王朝皇家の末裔である斎宮家の直轄領でもある。元々は中枢都市キョウへと参内するために用意された別邸であったが、〈ウェストランデ皇王朝〉が〈神聖皇国ウェストランデ〉へと移り変わる中で、別邸としての存在意義を失いこちらが斎宮家および公爵家の本拠地となっている。
古式ゆかしき街並みが美しいこの街は、あらゆる凶邪を祓うとされる霊地、霊峰イコマの参拝客が集う門前街にして、表向きは多くの大地人で賑わう観光地としても知られている。ウェストランデの多くの庶民にとって、イコマ参りは一生に一度はしたい贅沢の一つに挙げられるほどだ。特に、イコマ山の参詣は厄祓い、呪い落としに効果があるとされ、各地から悩める人々が詰め掛ける。
〈イコマ山岳神殿〉を中心にして大通りが東西に走っており、東は
キョウへ、西はミナミへと続いている。山中に存在するにも関わらず、こうした道路整備や生活用水などのインフラも整っており、ここに住まう貴族やその従者、時折訪れる
〈冒険者〉にとっては過ごしやすい街であるといえる。
だが、その代償は
〈神聖皇国ウェストランデ〉全体が背負っているといえる。税の一環としてイコマでの労役を課され、一生生まれ故郷に帰れない〈大地人〉はけっして少なくない。また、この街は
〈大災害〉以降一般には知られていない裏の顔を持っている。それは、
〈大地人〉の
〈法儀族〉の収容場としての側面である。
〈神聖皇国ウェストランデ〉と協力関係を結んだ巨大な冒険者ギルド
〈Plant hwyaden〉からの水面下の依頼により、ヤマトの
〈法儀族〉はイコマに移動しつつある。この動きはここ半年くらいの間、秘密裏にではあるが全く新たな技術体系を開発するためのプロジェクトの一環として進行しているのだ。
対象となる〈法儀族〉には多額の報酬が支払われているというが、同意のない者を拉致同然の強引な形で連れて来る場合もあるなど、イコマの闇は暗く深い。
サブ職業(
〈吸血鬼〉のみ?)の離職
クエストを受けられる。
現実世界の奈良県生駒市。
◆イケブクロ
イケブクロは、
アキバ周辺の
〈大地人〉居留地の中でも最大級のもので、
〈ハーフアルヴ〉たちの共同体があることでも知られている。
彼らは〈陽光の塔〉と呼ばれる打ち捨てられた巨大高層ビルの遺跡を中心に住みつき、発掘や研究をしながらひっそりと暮らしており、自分たちを[発掘者]と呼んでいる。やや閉鎖的で、発掘した品物を売りにくる時と必需品の買出し以外には街の〈大地人〉を含む他者と関わろうとしないが、
〈ハーフアルヴ〉への偏見が薄い(もしくは無い)
〈冒険者〉に対しては、遺跡発掘の護衛や戦力として頼りになることもあり、友好的な者が多い。
〈荊の禁書館〉と名付けられた古代図書館のダンジョンが存在し、禁断の知識を求める魔術師などが訪れることも。
現実世界の東京都池袋駅付近。
※〈陽光の塔〉
イケブクロの中心部にそびえたつ60階層にも達する
〈神代〉の巨大高層ビルの遺跡である。ここに住んでいる
〈大地人〉たちは魔物が一切出ない楽園の塔だと言い張っているが、もちろんそんなことはなく、安全と言えるのは地下と8階までのわずかな部分だけである。
地下にはキノコの栽培場、1階は畑になっており、ある程度の食糧を自給できるようになっている。2~3階は
〈冒険者〉の活躍でモンスターがほぼ完全に駆逐されており、魔法の物品の発掘が盛んなエリア。4~7階はすでに「枯れた」遺跡であり、2000人ほどの〈大地人〉たちがここに住んでいる。8階は〈陽光の砦〉と言われる防衛拠点で、ここで「高層の魔物」の侵入を防いでいる。9階より上のフロアは魔物が跋扈しており、危険なため〈大地人〉は立ち入らない。ただし、上の階層ほど強力な魔法のアイテムや財宝が見つかると言われており、〈冒険者〉にとっては狙い目のダンジョンである。
しかし〈陽光の塔〉に住む〈大地人〉は外界との関わりを避ける傾向があるために、この塔での冒険は様々な困難がまちうけている。そのためまずは、何らかの手段で彼らの信頼を得る必要がある。〈陽光の砦〉の兵士たちに混じって魔物と戦ったり、不足しがちな物資を寄付するなどは良いアイデアである。遺跡から出ずに暮らす彼らの奇妙な価値観や風習を理解するのも仲良くなる近道である。
現実世界のサンシャイン60ビル。
◆イズ
〈シュゼン城〉や〈イズ海底火山〉といった中高レベルのダンジョンへの起点として
〈冒険者〉にもお馴染みの街。騎乗動物がいれば
アキバからも日帰りできることと、乱立する温泉イベント施設により多くの〈冒険者〉が訪れる地だったが、
〈大災害〉以降は過疎化傾向にある。
現実世界の静岡県伊豆市。
◆イズモの街
ヤマトの守護者
〈イズモ騎士団〉の本拠地とされる社と、その周辺に広まった門前町。しかし騎士団の社の入口は固く封印され、何人も侵入不可能となっている。
〈大地人〉たちは不安に怯えながらも、騎士団が帰還する日を待ち続けている。
現実世界の島根県出雲市。
◆ウツルギの神前街
いにしえの聖王の霊廟の南に位置する神前町。古
〈アルヴ〉王国時代の街並みがそのまま残っている珍しい街であり、古風かつ厳粛な雰囲気を漂わせている。精強な神官戦士団を擁しており守りは堅い。
現実世界における栃木県にあたる。
クレンディット男爵の領地。
現実世界の栃木県宇都宮市。
◆エイスオの街
ナインテイル九大商家のひとつであるカルファーニャ家が治める街。カルファーニャ家は古くから続く
〈エルフ〉の名家として知られ、街の住人もほとんどが〈エルフ〉。火の山として知られるエイスオ山を臨み、そこに住む熊の祖霊の加護を受けていると伝わる。
彼らは
〈エルフ〉としては例外的に他種族の技術や文化の吸収に熱心であり、中心にそびえたつ〈銀杏城〉(キャッスル・シルヴェリア)は、
〈ドワーフ〉や
〈ハーフアルヴ〉の技師たちによって築き上げられた壮麗かつ堅固な城である。
特産品は野菜と薬草。ここで栽培されている薬草の中には、一般的には栽培法がすでに失われてしまったものも多く、カルファーニャ家はそれらを秘伝とすることで権益を保っている。
現実世界の熊本県熊本市。
◆オウウの街
イースタルも北限に近いところに位置する町。南部の諸領に比して町の規模は小さいが、周辺の厳しい脅威に耐えるよう作り上げられた堅牢な防壁を持っている。主に酪農業が盛んである。
レスター候の領地。
現実世界の秋田県秋田市。
◆オウジ村
アキバからほど近い、
〈大地人〉の集落。村の中心には巨木がそびえており村のシンボルでもある。
この村は
〈狐尾族〉が住民の大半を占めており、彼らが多数派として大手を振って暮らす珍しい村である。村には古の〈狐尾族〉の祖霊を祀った社があり、小さい村ながら、オウジの社は〈狐尾族〉の聖地としてヤマト中で知られている。古の〈狐尾族〉は年に一度このオウジの地に集い、巨木の下で互いの幻術や話術などを比べあって、その階位を決めたとも言われている。
この伝統にちなみ、新年を迎えるオウジ村の祭は賑やかで、各地の〈狐尾族〉がこの村に集結してくる。普段は尾と耳を隠して暮らす人々も、ここでは己を偽ることなく、和やかに笑いあうのである。
この「狐の年取り」の期間中は、華やかな幻術や狐火を使った演舞が競われ、それ目当ての旅人も多い。このとき、オウジ村を訪れる他種族の民は狐の面をかぶる、または身につけるのが慣わしとされている。もしもこれをうっかり忘れると、はめを外した〈狐尾族〉たちに「化かされる」ので注意が必要である。もっとも、たわいない悪戯に合うだけで、深刻な被害を受けるわけではないようだ。
この村の代表は社の祭祀も兼ねており、〈狐尾族〉の中でも一目置かれる存在である。ただ、長年この要職を勤めていた老女が寿命を迎え、現在は成人したばかりの少年がその立場を継いでいる。
〈大災害〉後、
〈冒険者〉の〈狐尾族〉との接触も増えた中で彼の苦労は絶えないようだ。
現実世界の東京都北区周辺。
◆オーディアの街
〈ニオの水海〉の水運基地として栄える商人の街。領主の商業免税政策により売買にかかる税が安く、商人たちが数多く集まる。
キョウが
ウェストランデの政の中心なら、オーディアは商いの中心地といえる。また独自色の強さが保守派貴族たちの反感を買ってもいるらしい。
◆カシワザキ雷鳴街
〈ドワーフ〉の遺跡を利用した三層構造の地下都市。近辺は天候が荒れやすく雷雨が多いことと、この遺跡を建てた〈ドワーフ〉の棟梁が雷のごとき大声だったという伝承の二つから、『雷鳴街』の名が付けられた。
現実世界の新潟県柏崎市。
◆窯の街ガルドクロウ
焼き物を中心とした職人街として有名。街のそこかしこに工房や窯が設置されており、火の絶える日はないとされる。陶器職人のほか刀鍛冶なども集まっており、名品を求める
〈冒険者〉も訪れる。
現実世界の岡山県備前市。
◆カルベの村
(書籍版第8巻p076;Web版066序盤)
◆関門都市ボクスルト
イースタルと
ウェストランデを結ぶ街道上に設けられた城塞都市。堅牢な関所が設けられており、有事の際は守りの要となる。
温泉地としても有名であり、イースタル各地の領主がお忍びで訪れることも。
現実世界の神奈川県箱根町。
◆キョウの都
〈神聖皇国ウェストランデ〉の首都。斎宮家および執政公爵家が住まい、〈神聖皇国ウェストランデ〉を中央集権的に統治している。
基盤の目状をした街並みは都市防衛のための大掛かりな魔法陣を形成しているらしい。東西南北に門を有するが、
〈ヘイアンの呪禁都〉に通じるため封鎖されている。
現実世界の京都府京都市。
◆キヨスの街・廃都オオス
邪悪な巨人族の侵攻で滅んだ〈廃都オオス〉にかわり、オワリ地方の人間勢力の砦となっているのがこのキヨスの街である。堅牢な城壁を持ち、高い戦闘力を持つ
〈冒険者〉も積極的に受け入れている。
〈竜の聖域〉にほど近い土地柄から、竜神信仰が盛んな土地でもある。
現実世界の愛知県清須市。
◆クマノ大社
キシュウ地方南部の鬱蒼たる〈クマノ古森林〉の中に立つ、ヤマト最古とされる神社の一つ。一説にはヤマト建国神話の時代よりここにあると伝えられる。祭神は熊とも烏とも水神とも言われており、その詳細は失われてしまっている。
現実世界の和歌山県熊野本宮大社。
◆クレイサップの廃墟
フォーランド南部の中心都市であったようだが現在は完全に廃墟となっている。フォーランドにはこういった廃墟が少なからず存在しており、修復がなされれば冒険の拠点として利用することも可能だろう。廃棄された
〈妖精の輪〉を見た、という情報もある。
◆コオリマの街
イースタル北部と東部をつなぐ、険しい山に囲まれた城塞都市である。イースタル北部には、
〈七つ滝城塞〉をはじめとする亜人たちの拠点が点在し、また
〈ビャッコの墓標〉などの危険なダンジョンも多いため、このコオリマの街は、初心者を脱してさらに上を目指す
〈冒険者〉にとって、それらのダンジョンに挑むときに拠点となる馴染み深い街であった。
〈大災害〉直後は寂れていたが、
〈円卓会議〉と〈自由都市同盟イースタル〉との交流が始まり、各種クエストが発布されるようになってきたため、往年の賑わいが徐々に戻ってきている。
住人は
〈ドワーフ〉が半数以上を占めている。これは古くからこの地に〈ドワーフ〉族が住んでいたこと、また、武具を初めとする鍛冶の仕事が多いからである。
〈ドワーフ〉たちのタフネスさが、自然と怪物の脅威にさらされるこの土地での居住を可能にしたともいえる。そのためか、他の種族であっても、この街の人々は頑固であったり、大酒飲みな者が多い。
街の建造物は、古〈ドワーフ〉の手による質素ながら堅実で堅牢な建物が多い。石造りの古めかしい町並みは、神代の建物が多いアキバとは趣の違う風景を見せてくれる。同じ〈ドワーフ〉の手による建造物が多いカシワザキ雷鳴街とは、兄弟都市ではないかと考察する歴史学者もいる。
モンスターがあふれる危険な土地ながらもこうした古い建物が今も残っているのは、分厚い城壁と、それ以上に堅牢な
〈黒曜の大盾〉戦士団がこの街を守り続けているおかげ。〈ドワーフ〉製の黒く分厚い鎧を纏い、己の身体よりも重く大きな黒き盾を構える彼らは、この街の、ひいてはイースタル北部の門番と称えられている。街の周囲に目を光らせる歩哨たちの重量感あふれる姿は、コオリマの街の名物のひとつといえるだろう。
最近は、戦いで殺伐となりがちな街の雰囲気を変えるために、音楽をもっと奨励しようという活動が始まっている。そのため、高名な
〈吟遊詩人〉や
〈冒険者〉を招いているようだ。
また、ゲーム時代よりこの地方は積雪の多さで知られ、冬になればスキーなどを楽しむ〈冒険者〉の姿が見られるようになるかもしれない。
現実世界の福島県郡山市。
◆古都ヨシノ
キョウに遷都が行われるまで
ウェストランデの首都であった場所。中心部にある寺院には巨大な神像が座しており、国難の際には動き出して民を救うと伝えられている。桜の名所でもあり、グラフィックの美麗さはゲーム時代からヤマト随一との声が高かった。
現実世界の奈良県吉野市。
◆米どころランバス
米の名産地として名高いイーサ盆地の中心に位置する街で、周辺には一面の田園風景が広がっている。また近郊の金山では高品質の鉱石が掘れるため、米を買い付けに来た商人だけでなく、素材を求める
〈冒険者〉の姿も多く見られる。
◆サイキョウの街
ナインテイル唯一の本州側勢力地であり、有事の際には
ウェストランデへの防衛線としての役割を果たすべく、諸侯のもとから精強な兵が派遣されてきていた。だが、連合部隊ゆえに縄張り意識が強く、ミナミの侵攻の際には連携の不備を突かれた。
◆桜の街ヒロサキ
エッゾと
イースタルの国境をにらむ位置に築かれた〈血桜城〉《キャッスル・ブラッサム》よりアオモリ港にかけて拓かれた城下町。エッゾ行きの船が出ているため人の行き来はそれなりに多く、護衛に
〈冒険者〉が募られることも。
現実世界の青森県弘前市。
◆サザンの街
陸海の交易と漁業により成長した、付近では比較的大きな
〈大地人〉拠点。
現実世界の神奈川県茅ヶ崎市。
◆サドの海洋街
イースタル最大の島であるサドの島に築かれた街。
マイハマからは遠い辺境の地だが、人と物と財が集まる豊かな街である。
サドは近海に優良な漁場をもち海産物の恵みが豊富。巨大な獲物を求めて大海原に挑む漁師も少なくない。また、この街はイースタルの北側の海を通る航路の中継地点であり、東西の商人たちが交わる土地に存在する。そのため辺境とは思えないほどの交易収入と情報の交流点となっている。
さらにこの島はヤマト最大規模の金山をはじめとする、様々な鉱山資源にも恵まれている。一攫千金を求めるものや、貴重な金属を求めるものが集まる街でもある。街のあちこちで、屈強な
〈ドワーフ〉鉱夫たちや、強かな
〈猫人族〉たちを大勢見かけることができる。
この土地の特別な風習として、タヌキの尻尾を模した装飾品をぶら下げるというものがある。それはひとつの伝承に由来する。
『伝説の時代、サドで大きな地震がおこり、地割れから怪物が沸いてきた。村々を襲う怪物たちの前に、一人の〈ドワーフ〉と一匹のタヌキが突如あらわれる。彼らは戦いの末、怪物たちを地中深くに封印した。その後、怪物が出てきた地割れからは金銀財宝が沸いてくるようになり、島は豊かになったという。』
この伝承にあやかり、サドの島ではタヌキを魔払いと商売繁盛のシンボルとしてあがめる風習がある。〈ドワーフ〉の中では「タヌキ」はその体型とあいまってむしろほめ言葉とされているくらいだ。もっともそのせいか、
〈フォーランド公爵領〉の亜人類
〈黒狸族〉とはライバル関係にある。
だが不穏な伝承もある。この地割れから取れる貴金属は封じられた怪物が生み出しているのではないか、と考える魔法学者もいる。事実、坑道にモンスターが沸くことも少なくない。それでも、屈強な〈ドワーフ〉たちはそのような噂など豪快に笑い飛ばし(あるいはビールで洗い流し)、今日も元気につるはしを振るっている。
現実世界の新潟県佐渡市。
◆サナル
(書籍版第8巻p344;Web版073終盤)
◆自由都市イワフネ
サドを経て
ウェストランデへと向かう海洋交易路に通じる街。領主は商業を盛んにするため、特に開放的な政策を取っていることで知られており、他のヤマトにおいては山中に住んでいることの多い少数派の種族の者たちも大勢従来している。非常にオリエンタルな外観をしており、観光地として人気が高い。
スガナ男爵の領地。
現実世界の新潟県岩船郡。
◆シュパロの防壁
北から侵攻してくる〈巨人族〉に対応するべく、石造りの堅牢な砦と長大な防壁を備える。強力な巨人の攻撃により幾度も破壊され、その度に再建を繰り返してきた。
現実世界の北海道札幌市。
◆シュリ紅宮
リュウキュウ地方は鬱蒼としたジャングルで覆われた熱帯となっており、首都であるシュリの街やそこに住む
〈大地人〉も風土に合わせた開放的な建物や衣装を好む。また独特の食文化が発達しており、ヤマト本土では扱われない食材も数多く見られる。
現実世界の沖縄県那覇市。
◆城塞都市モガミ
シズカミの大河を見下ろす高台に広がる城塞化された都市。元々は小さな街に過ぎなかったが、大河の流通を起点に領主が勢力を拡大するにつれてより大きな城塞へと拡大。今では水系のほとんどを治める領主の居城となっている。人口は8000人ほど。
ダルテ候の領地。
現実世界の山形県最上町。
◆シラハマ
イースタルで最も南に位置し、暖かな気候を活かした畜産と漁業で栄える街。
また美しく広がる砂浜があり、そちらを目的に訪れる旅人や
〈冒険者〉も少なくない。
現実世界の千葉県白浜町。
◆スノーウォッチの漁港
ノト地方の海は良漁場で水産業が盛んだが、〈ノト岩窟洞〉を根城にする〈魚竜人〉《イクチオス》集団による被害が後を絶たず、
〈冒険者〉への護衛クエストが多数発注される。特にスノーウォッチ漁港は〈魚竜人〉の被害が大きく、長期契約の〈冒険者〉を求めている。
現実世界の富山県氷見市。
◆スワの湖畔市
〈スワ大社〉の参道を中心に広がる大規模な行商市。〈スワ大社〉の仕切りで定期的に周辺の行商人が集まり市を開く。
〈冒険者〉も同様に行商に訪れる風景が一般化してきたが、
〈大地人〉とのマナーの違いなどの確執も表面化しつつある。
現実世界の長野県諏訪形。
◆聖宮イセ
二柱の大神を祭った神宮を中心とした門前町。〈ウェストランデ皇王朝〉より分かたれた
〈斎宮家〉が住まう場所でもある。街中のいたるところに神宮の分社が建てられており、祈りを捧げる
〈大地人〉の姿が見られる。
現実世界の三重県伊勢市。
◆精霊域:トライファング
チチブの山奥深くに拓かれた聖域および、その門前町を指す。トライファングに至る門は威容を誇り、その名をあらわすように三頭の狼が牙をむいているかのような印象を与える。これが名前の由来となった。
トライファングの歴史は古く、その始まりは〈第二の森羅変転〉以前にまでさかのぼるものの、亜人との戦いの中衰退し、長らく人の訪れぬ廃墟と化していた。トライファングが聖域として復興したのは、今から200年ほど昔にある
〈狼牙族〉の〈神祇官〉が訪れたことによる。以来トライファングは
イースタルに生きる〈狼牙族〉の精神的支柱として広く知られるようになった。そうした経緯から、トライファングでは〈狼牙族〉の修行者や巡礼者の姿が多く見られる。
門前町は規模が小さいながらも活気に溢れている。それはイースタル各地から集まる巡礼者の逗留地というだけでなく、
〈狼牙族〉の傭兵団の補給基地としての機能も果たしているからだ。また、
〈冒険者〉もクエストのために
〈大災害〉以前からこの地を訪れていたため、〈冒険者〉向けの施設も充実している。
現実世界の埼玉県秩父市三峰。
◆千年雪の街バスケタ
〈ナインテイル九商家〉オイドゥオン家の統治する街。活火山である
〈サクヤ媛岳〉の灰で積雪のように白くなった街並みが特徴。ゲーム時代と異なり、火山灰を放置すれば周囲を埋め尽くしてしまうため、火山灰掃除のクエストが頻繁に発注されるようになった。
現実世界の鹿児島県鹿児島市。
◆ソノハラ水門市
ザントリーフ大河上流にある
〈神代〉の遺物〈ソノハラ大水門〉と、その周辺遺跡をもとに築かれた
〈大地人〉の街。
近郊には温泉も湧いており、遺跡の探索で疲れた体を休めることができる。
現実世界の群馬県薗原ダム付近。
◆タイハク雲城・外城
タイハク地方領主の居城および城下町。〈タイハク雲城〉は実戦を想定した堅牢な山城だが、「一体何と戦うつもりなのか」「時勢にそぐわぬ」と揶揄されることも。
〈タイハク外城〉も城下町ながらその名に違わぬ堅牢な城塞となっている。
現実世界の宮城県仙台市太白区。
◆チョウシの街
ザントリーフ大河の河口に位置し、漁業で栄える港街。用水路と平行して走る港があり、河畔の巨大な倉庫群では魚が売られている。商店が5~6はある。
領主をおかず、また城塞化もされていないためモンスター被害に悩まされていたが、最近は気軽なキャンプ地として常駐する
〈冒険者〉が増加して、サファギン鰹節といった新しい名物も生まれている。
現実世界の千葉県銚子市。
◆閉ざされた窓ベイウィンド
遠くユーレッド西部との交易の窓口として作られた貿易港。異国の領事館が多数置かれているが、
〈大災害〉による混乱で本国との連絡が途絶したため孤立してしまっている。内部では、閉鎖中の門を開きヤマトの民に助けを求めるかどうかで意見が分かれている。
◆トリシルティス国
アキバから海岸沿いに馬で数日南下したところにある
〈エルフ〉の国家。
かの国はトゥリビーチェ半島一帯を治めており、半島各地に住む海エルフの氏族と、森エルフの氏族が定期的に長老会議を開き、合議によって国家としての意思決定を行っている。
自然との共存を重んじる〈エルフ〉によって統治されているため、領内は
〈ヒューマン〉のそれと比べ、人工的な田畑や建造物が少ない。
〈冒険者〉や他種族の感覚からすれば、ただの森や海岸線に見えるような土地が広がっている。
こうした環境によるものか、トリシルティス国は、精霊や幻獣が多く棲息している。それらの多くは友好的であり、
〈森呪遣い〉や
〈召喚術師〉が従者と契約を結ぶにもうってつけの場所である。ゲーム時代には、こうしたクエストを受けるため、多くの冒険者がこの地を訪れていた。
この地には、古の〈エルフ〉と大精霊との悲恋を描いた伝承が残されている。かつて荒ぶる陽の精霊に捧げられた人身御供の〈エルフ〉がかの精霊の怒りを慰め、この地に穏やかな気候と清浄な太陽の恵みをもたらしたというのである。彼女が精霊に捧げた杜鵑草(ホトトギス)にちなみ、この国はトリシルティスと呼ばれるようになったとされている。
一説には、この国のどこかに、陽の精霊を封じた廟が隠されているという。
〈エルフ〉国家の例に漏れず、閉鎖的なところのあるトリシルティス国であるが、現在は氏族〈動きし同胞ら〉の長、
ユーミアが〈冒険者〉と長老衆の仲立ちに努め、友好的な関係が結ばれつつある。
現実世界の神奈川県逗子市。
◆ナラシノ廃港
ザントリーフ戦役時の、
クラスティ率いる先遣隊の上陸地点。
現実世界の千葉県千葉市。(書籍版第4巻巻末付録地図p345)
◆ナロウマウント王国
アキバの北西、馬で数日の距離にあるナロウマウントに存在するヤマト東部最大の
〈エルフ〉王国。丘陵地帯に生い茂った森や、清浄な湖として著名なスフィアレイクなど、風光明媚な自然に半ば埋もれるように都市が築かれており、典型的な〈エルフ〉の居留地と言える。
〈エルフ〉の常として
〈ヒューマン〉とは距離を置く傾向にあり、
〈自由都市同盟イースタル〉から再三の参加要請があったにも関わらず、現在も中立を保ち続けている。これは無用な戦乱に巻き込まれるのを避けるための方針であるが、それは決して彼らが臆病であったり、戦う能力に欠けていることを意味するものではない。ユニコーンやペガサスといった幻獣を友とするナロウマウントの[森林衛士](ウッドレンジャー)たちは、自らの領域を侵す外敵に対する情け容赦のない戦いぶりで知られている。
閉鎖的と言われるナロウマウントの〈エルフ〉たちだが、勇気と名誉を重んじる気質が強く、
〈冒険者〉や他種族であっても勇気ある振る舞いや武勲を示した者は〈拓きし者〉《ディ・ストラーダ》と呼ばれ、「名誉ある余所者」として尊敬される。
また
〈大災害〉を経て〈冒険者〉の料理技術が流入し、この地に根付く〈エルフ〉の伝統料理と融合して新たな名物料理も生まれている。特に天蓋焼きと呼ばれる菓子は地元産の栗の実がふんだんに使われ、ここでしか食べることができない逸品。
現実世界の埼玉県狭山市。
◆パンナイルの街
ヤマトでも珍しい
〈猫人族〉の領主が治める
〈ナインテイル自治領〉の西側にある街である。領主の一族であるリーフトゥルク家は、交易商人から始まり、〈ナインテイル九商家〉のひとつまで登りつめたたたき上げの一族である。そのため、商売に精を出すことを推奨している。〈猫人族〉の領主であること、実力主義であることが合わさり、ナインテイルでも特に〈猫人族〉が多い街となっている。
田園風景の広がる平野の中に築かれた街は、縦横に水路が張り巡らされ、領主の城も広い堀に囲まれているだけの平坦なもので、街壁や城壁に相当するものは存在しない。沼沢地を灌漑することで開いた土地ゆえの特徴である。
長雨による水害が街をたびたび悩ませるが、その豊かな水量はナインテイル有数の米どころであるこの街を支えており、経済の基盤を担っている。もうひとつ目立つのは、
鍛冶師やからくり師の工房が多いことだろう。これは、好奇心旺盛な領主の一族が、代々職人たちを街に招いてきたからである。そのため、珍しい細工物や、からくり仕掛けを学ぶものならば一度は訪ねたい街とされている。
〈冒険者〉にとっても、特定のサブ職業において重要なクエストを受けられる街として知られ、領主の気前よさからか報酬も豪華であると評判である。
今代の領主はさらに焼き物に興味があるらしく、西のユーレッド大陸から職人を招き、皿などを焼かせているらしい。独特の艶やかな模様が描かれた絵皿は、その派手さから商人たちに人気を博している。
現実世界の佐賀県佐賀市。
◆パリモフ大寺院
キョウの都からはるか西にある、古びた石造りの寺院。かつて、古王朝の帝をたぶらかしウェストランデを危機に陥れた狐の幻獣(ユーレッドから渡ってきた、など様々な説がある)を石と化してこの地に封じ、鎮めの寺院を建てたという伝説がある。めったに人が訪れることなく、神官たちは世捨て人同然にひっそりと暮している。
寺院の神官たちは黙しているが、幻獣は完全に滅びたわけではなく、石になった今も周囲に呪いと瘴気をまき散らす機会をうかがっている。鎮めの巫女と呼ばれる
〈狐尾族〉の女性が儀式を行い、呪いをその身に移して浄化することで、外の世界に災いが及ばないようにしている。呪いの石があること、および浄化の儀式はともに門外不出の秘密であり、彼らが外界と関わろうとしないのも秘密が漏れるのを恐れての事である。
鎮めの巫女は、器として呪いをその身に受けねばならないため、純真無垢な〈狐尾族〉の少女が代々選ばれる。過酷な儀式ゆえか、彼女らは短命な傾向にあり、災いを漏らさないために幼い少女を犠牲にせねばらないことに忸怩たる思いを抱える神官もおり、他の方法で呪いを浄化する研究が続けられている。
◆ヒタチの街
近隣の山々からの豊富な木材・鉱物資源により、冶金・造船といった産業で発展した街。
街の周辺では廃棄坑道が複雑に絡み合った広大なダンジョンの入口が方々に口を開けており、うっかり迷い込むと大変危険である。
現実世界の茨城県日立市。
◆ヒロセの神殿街
幸運を司る星神を祀る神殿街。街全体を巨大な儀式魔法陣とすることで強大な〈炎の魔神〉を封じている。
夏の時期には封印が弱まるため、魔法陣の維持に必要な触媒を調達する依頼が
〈冒険者〉に出される。
現実世界の埼玉県狭山市廣瀬神社周辺地域。
◆フォーブリッジの街
山間の盆地に築かれた城塞都市で、
アキバから
カシワザキ方面へ抜けるルートの中継点に当たる。近隣の〈ハルナの森〉にはサワープラムの木が多く、その実を使った果実酒やピクルスが特産品として有名。サワープラムは花も美しく、開花シーズンには多くの人が訪れる。
8月のゴブリン遠征において襲撃の危険があった街。
現実世界の群馬県前橋市。
◆マイハマの都
〈自由都市同盟イースタル〉最大の
〈大地人〉居留地。繊細な鋼細工による巨大高架歩道や空中庭園、そしてヤマトで最も美しいと評される白亜の宮殿〈灰姫城〉《キャッスルシンデレラ》など、
〈神代〉の遺跡を再利用した印象的な建造物がいくつも存在する。マイハマの周辺にもこのような「生きた」遺跡が多く、ゲーム時代から中級
〈冒険者〉用のクエストが多数存在した。
都市内だけで約三万、支配権を確立している周辺の村落を含めるとその人口は約八万に達する。海に面した都であることから漁業や海運業などが活発であり、特に海運で得られる利権は、都市および公爵家の力の背景となっている。
当代の支配者は
セルジアッド=コーウェン公爵。コーウェン公爵家は〈ウェストランデ皇王朝〉から続く名家として、この地に君臨している。
アキバからは馬で二日ほどの距離にあり、〈冒険者〉と最も距離の近い〈大地人〉都市のひとつである。またこの街の地下には大規模な遺跡が存在しており、ゲーム時代にはクエストの舞台にもなっていた。
〈大災害〉以降は未探索地域の存在も明らかになり、ここを訪れる〈冒険者〉の数は増加傾向にある。商業設備も整っており〈冒険者〉には馴染み深い街である。
アキバから近い〈大地人〉都市として、アキバに比べればその速度は多少緩やかではあるが、〈大地人〉の歴史の中ではありえぬほど急速な発展と転回の時期にある。コーウェン家は〈自由都市同盟イースタル〉の筆頭領主としてこの歴史的大波を乗り越える重責を感じていて、その為に最善を尽くしているが、大小様々なトラブルがこの領地を襲っている。
それらトラブルから民を守るのがマイハマを守り続ける近衛騎士団
グラスグリーヴスである。魔物が跳梁跋扈するこの世界で、イースタル屈強の騎士団と称えられ、コーウェン家に絶対の忠誠を誓うグラスグリーヴスの存在は、マイハマの人々に安らぎを与えている。
現在ではアキバの街との間に〈輸送船ネレイデス〉が就航し物資の運搬を行っている。それに伴い港の拡張工事なども実施され多数の技術者が募集されている。
現実世界の千葉県舞浜駅付近。
◆マサキの廃墟
ボロボロに朽ちた廃城。誰も住んでいないはずだが、夜になるとあちこちに鬼火が灯って見えるという。また、この城の近辺には飛行能力を持つモンスターが大量に生息しており、これらが海を越えて
ナインテイルの市街まで飛来することもある。
現実世界の丸岡城跡(愛媛県西宇和郡伊方町中浦)。
◆マツドの村
マイハマに程近い
〈大地人〉の村。数多くのポーションの材料となる薬草の栽培が盛んなほか、
〈ドワーフ〉の鍛冶工房が置かれており、村の規模に比して戦略上の重要度は高い。
現実世界の千葉県松戸市。
◆マヴァル廃港
セトの群島地帯を渡って
フォーランドへ至るルートの玄関口であったと思われるが、すでに廃墟と化している港。今では〈海竜〉をはじめとするモンスターの巣窟となっており、船などで近づこうものならあっという間に海の藻屑となる。
現実世界の愛媛県今治市。
◆魔法都市ツクバ
イースタル東部に位置する街。学問ギルドの勢力が強く、魔術と学問の街としてイースタルのみならずヤマト全体に知られている。
〈神代〉より残る建造物の跡地をそのまま利用した、区画整備による整然とした街並みが印象的。
〈大災害〉以前は魔術に関わるクエストやアイテムが豊富に用意されていたため、魔法職の
〈冒険者〉にはなじみが深い都市でもあった。また、
〈鷲獅子〉《グリフォン》に騎乗した衛兵団が常駐していることでも有名。
都市中央部には「学院」と呼ばれる大小40ほどの塔が連なった大規模な研究施設が存在する。これらの塔も
〈神代〉の遺跡を利用したものであり、それぞれが学院内で部門わけされた学術ユニオン、およびその下部にあたる無数のユニオン群によって管理されている。ここに属する研究者たちは〈大災害〉以前よりクエストを介して〈冒険者〉と有形無形の関わりがあり、最近では〈冒険者〉の持つ技術の研究や相互に技術を供与し合うようなケースも増えつつあるらしい。また、公的には存在を否定されているものの、闇の魔術組織も少なからず存在し、非合法な技術研究などを行なっていることは「学院」内では暗黙の事実とされている。
知恵と知識を重んずる気風の強いことから、他所のような差別を受けることが少ないとされるツクバには
〈ハーフアルヴ〉も数多く暮らしている。種族的な魔法装置への親和性が魔術の研究に適していること、そしてツクバの中心機関たる「学院」において、その教授職の少なくない席を〈ハーフアルヴ〉が占めていることも、〈ハーフアルヴ〉への偏見を持つ者が少ないことの証左といえる。
キリヴァ侯の領地。
現実世界の茨城県つくば市。
◆ユフインの温泉街
ナインテイル有数の温泉街として有名な町。
フォーランドから時折飛来するモンスターに手を焼いているため、飛び道具や魔法の使用できる
〈冒険者〉は歓迎される傾向がある。需要の高さから〈弓職人〉も多く、掘り出し物が見つかることもある。
現実世界の大分県由布市。
◆〈宵待つもの〉たちの村
イースタルのどこかにあるという名も知れぬ
〈ハーフアルヴ〉の隠れ里。獣も通わぬ山奥にあるとも、船を寄せ付けぬ岩礁に囲まれた無人島にあるとも言われている。村人たちは友好的で、迷い込んだ旅人などにも親切にしてくれるため、この集落が持つ裏の顔に気付く者は少ない。
彼らは、「宵闇の姫」なる忘れられた
〈アルヴ〉の姫君の末裔として、自らを〈宵待つもの〉(エノテラン)と呼び、彼女を半ば神格視して崇めている。姫がいつか復活し、迫害されている〈ハーフアルヴ〉たちを救済してくれるのだと信じているのである。
〈宵待つもの〉たちの信じる救済は「
〈アルヴ〉を滅ぼした人間に復讐し、〈アルヴ〉の血を引く〈ハーフアルヴ〉だけの楽園を築く」という過激なもので、それゆえ村人たちは自らこの秘密を語ることはない。あなたの泊まった村の人々が、深夜に何やら奇妙な集会を行うのを見てしまったならば、そっと立ち去ることを強く勧める。秘密を知られた彼らが、邪魔するものを排除すべく強硬手段に出ない保証はないのだから。(ある旅行記に記された真偽不明の情報。著者はその後行方不明になった)
◆陽光の街ヒュウガ
〈不死鳥〉の加護があると伝承にある
ナインテイル南部の街。ヒュウガ近辺は天候が安定しており晴れの日が非常に多い。絶え間無い陽光を受けて一面に咲き誇る〈ヒムカの花畑〉の美しさは
〈大災害〉以前から名所と名高い。
現実世界の宮崎県日向市。
◆ヨコハマ
イースタルでも随一の貿易港として栄える港湾都市。同じく海運が盛んな
マイハマとは長年のライバル関係にあり、時に争い、時に協力して、イースタルの繁栄を支えてきた。伝統的に商人たちが作る組合の発言力が強く、領主たる貴族といえど、彼らを無視することはできない。特に、組合の信任を得て任命され、港の管理を行う港湾長(ハーバーマスター)は巨大な権限を有 しており、この街の影の領主とも言われている。
ヨコハマは、イースタルの中でも特に
〈猫人族〉が多い都市でもある。人と物が流れる中継地点であるこの街は、好奇心旺盛で気ままな〈猫人族〉にとって居心地のよい場所なのだろう。
この街の港には
〈ナインテイル自治領〉、
〈神聖皇国ウェストランデ〉、
〈エッゾ帝国〉など、各地からの貿易船が寄港する。各国の商人たちの拠点となる商館も数多く、街並みの様子は様々な文化がモザイクのようにちりばめられており、区画を一つ移動するだけで、全く異なる情緒を見せる。特に、ユーレッド大陸東部からの移民が暮らすエリアである〈ミッドフラワーブロック〉のオリエンタルな風情は、
〈冒険者〉にも人気の観光地。移民たちの多くは気さくで親切だが、中には大陸で罪を犯して逃げてきたおたずね者や、麻薬や禁制品の密貿易に手を染める闇商人などもおり、取り締まりにあたる港湾長の手を焼かせているようだ。
また、この街には、
〈猫人族〉による運送屋の互助組織
〈猫の手組合〉《キャッツ・ハンド》の本拠地が存在している。〈猫の手組合〉に加盟した貿易商人は、ヤマト各地で専用倉庫の利用や一部
宿泊施設での便宜を受けることができる。このため、加盟手続きのためにヨコハマを訪れる〈猫人族〉の商人は引きもきらない。加盟には様々な試験が課されることが多く、ヨコハマでは〈冒険者〉たちが試験突破の手助けを求められることも多い。
この街には、ヤマト各地から多様な人と物が集まってくる。珍しい(そして刺激的な)出会いを求めるならばうってつけの街だといえるだろう。
現実世界の神奈川県横浜市。
◆ラワロールの街
タカミ川に接する都市。イースタル東北部を南北に貫く大河に沿っているため、内陸部と南部との流通の重要な中継点として発達した水運と商業の街である。
〈冒険者〉のみならず、バリエーションに富んだ
〈大地人〉の商人達を見かけることのできる街である。
現実世界の岩手県花巻市。
◆ロマトリスの黄金書府
とある神官が発見した遺跡建築の上に築かれ、古今東西のあらゆる書物が集まると言われるカガ地方の文化街。〈黄金書府〉とはその知識財産の価値を評しての呼び名とされる。都市の下にあるという大書庫遺跡には未発掘の知識が大量に眠っている。
現実世界の石川県金沢市。
◆ロンガのオアシス
広大な
〈ロンガ砂漠〉に点在するオアシス。そこを渡り歩くキャラバントレーダーが砂丘での活動拠点になる。時折オアシス自体が移動してしまうこともある。
◆ワラビの村
〈大地人〉の暮らす村の一つ。特産品は〈乙女のベリー〉と呼ばれる果実。
付近には怪物が跋扈する森があり、
〈冒険者〉に退治の依頼が頻繁に回ってくる。
現実世界の埼玉県蕨市。
■日本サーバーのダンジョン
◆〈天戦船(あまのいくさぶね)〉
半ば水没した巨大な古代の戦艦が島のようになっている場所。貴重な古代遺物を発掘するため甲板部分には居住区も設けられたが、戦艦内部から湧き出た機械系モンスターによりダンジョン化してしまった。伝承によればこの船はまだ動くらしいが…。
◆〈イツクシマ海上神殿〉
古の神具が収められているというダンジョン。周囲には異様な数のモンスターが発生するる浅瀬が広がっており、辿り着くまで一苦労。入念に準備をしてもなお「並みのレイドよりもよほど難しい」というのが一般的な
〈冒険者〉の評価である。
現実世界の広島県厳島神社。
◆〈隠神(いぬがみ)の城〉
廃墟となった城に犬系のモンスターが多数住み着いている地上ダンジョンゾーン。天守閣に巣くうとされるボスモンスター
〈隠神刑部〉には未だ詳細情報がない。一説にはこの城だけでなく、
フォーランド全てのモンスターをまとめるボス的な存在とも言われている。
現実世界の愛媛県松山城。
◆〈イヌシマ水城〉
ウェストランデに名を轟かせた海賊が根城にしていた要塞。現在は
〈サファギン族〉を中心としたモンスターの出現するダンジョンとなっている。時折海賊の宝らしきアイテムが発見されるため、トレジャーハンティングスポットとしても有名で、一攫千金を狙う
〈冒険者〉も少なくない。
現実世界の因島水軍城(広島県尾道市因島中庄町)。
◆〈ウエノ盗賊城址〉《ウエノローグキャッスル》
アキバの北側に位置する
〈神代〉の遺構が集合している地域。
朽ちた遺構が整然と並び、荘厳な神殿を思わせる空間だが、夜になれば
〈大地人〉のならず者や亜人が集まる危険地域と化す。
この場所を拠点とした盗賊団の夜盗行為はアキバを目指す行商を度々襲撃しており、周囲の治安の悪化にもつながっていることから、
〈円卓会議〉自警団の重点的な巡回地域ともなっている。
現実世界の東京都台東区上野。
◆〈英雄陵〉
〈新皇の帰還祭〉の舞台となる、古の英雄が祀られた墓所。ダンジョンボスはヤマト最強の怨霊の一角。祟り神として畏れられながらもイースタル方面の守り神として篤く信仰される一面もある。
現実世界の東京都千代田区将門塚。
◆〈王城貫路〉
旧東京を貫くトンネル状の巨大な地下通路。
〈ウエノ盗賊城址〉〈書庫塔の林〉〈王城〉〈ヨヨギが原〉の地下を貫いている。うまく利用すると様々な場所への近道となるため、危険を承知で護衛をつけ、この道を選択する
〈大地人〉の行商人もいる。
地中幻獣ワームの巣をあちこちに抱え、最深部は中堅の
〈冒険者〉をいともたやすく殲滅する難易度を持っている。
現実世界の東京地下鉄千代田線。
◆〈オキノ島〉
通称〈妖怪島〉。島ひとつがフィールド型ダンジョンとなっているこの島は、いわゆる「妖怪」をモチーフにした独特のモンスターが多数出現する。入口付近には
〈冒険者〉相手のショップもあるのだが、なんと店員も妖怪であり、ダンジョンというよりアトラクション施設のような趣すら感じられる。
現実世界の隠岐諸島。
◆〈悔恨の修道院〉
リョービ高原のカルスト台地を超えてさらに山地に分け入ると、引退した
〈暗殺者〉が懺悔に訪れるという修道院がある。修道院はダンジョンとなっており、最奥部まで到達できれば奥義を得るための
クエストを受けることができるらしい。
◆〈海底トンネル〉
本州とエッゾ本島を結ぶ海底トンネル遺跡。ダンジョン扱いのためモンスターも出現する。構造は単純だがそれゆえに逃げ場も少なく、十分な実力がなければ突破は難しいとされる。
〈ライポート海峡〉の地下トンネル。40レベルもあればソロでも通り抜けられる。
(書籍版第7巻巻末付録p358)
※原作小説本文中の
〈Z五三九〉に相当すると思われる。
現実世界の青函トンネル。
◆〈火雷天神宮〉
雷を操るヤマト最強の怨霊が守る神殿様のダンジョン。〈神皇の帰還祭〉の舞台の一つ。恐るべき怨霊であると同時に、学芸や弓術など様々な分野に秀で、その守護神としても地元の
〈大地人〉たちに崇められている。「願掛け」と称して全滅前提でボスに挑む
〈冒険者〉もいたとか。
現実世界の大宰府天満宮。
◆〈火竜のすり鉢〉
火山起源の巨大なカルデラ地形が口を開けており、その中央火口周辺がフィールド型ダンジョンとなっている。火山だけに、炎と関係するモンスターが多数出現し、火口の中には山の主とも言われる
〈溶岩竜タツノミコト〉が待ち受けている。生半可な装備では一瞬で消し炭にされてしまう。
現実世界の熊本県阿蘇五岳。
◆〈カンダ用水路〉・〈アキバ下水道〉
〈エルダー・テイル〉最初期に実装されてから何度かの拡張を経て、現在は
アキバの地下部分からカンダ方面に広がる地下水道ダンジョン。難易度的には初心者用に分類される。
都市伝説から抜け出してきたような様々なモンスターが出現し、その中でも最大のものは白く巨大な
〈下水白鰐〉《ホワイト・アリゲーター》である。
〈大災害〉後はその足場と視界、何より環境の悪さから攻略難易度は跳ね上がっている。自分の生身で好き好んでここに入ろうという
〈冒険者〉は激減。ただし街の地下という立地から、用水路経由で様々な紛失物がこのダンジョンに落ちてしまうことが多く、探し物の依頼は絶えない。また廃墟の床が壊れて
〈大地人〉や〈冒険者〉が意図せずこの迷宮に迷い込むこともあり、様々なトラブルの元となっている。
現実世界の丸の内線。
◆〈キムンカムイの牙城〉
超大型エッゾヒグマ
〈キムンカムイ〉をリーダーとする凶悪な熊型モンスターの群れが徘徊するフィールドダンジョン。みだりに踏み込めば命はない。
さすがの〈巨人族〉もエッゾに住む熊には手を焼いているらしく、各地で二者が戦っている姿が目撃されている。
現実世界の北海道カムイヌプリ。
◆〈巨神工廠〉
古
アルヴ文明時代の戦争で用いられたという巨大ゴーレム生産工廠の廃墟。施設のほとんどは機能停止しているが、未だに地中奥深くから機械の駆動音が聞こえてくるという噂が絶えない。最奥部には「白い巨神」が眠り続けると伝えられているが…。
◆〈巨人の都〉
川をせき止めて湖を作り、そのそばに街を築いたという伝承が残る〈巨人族〉の街。街ではあるがそこに住むのは皆〈巨人族〉であり、人類が入り込めば即座に囲まれ棍棒で叩かれることになる。
◆〈砕かれた天塔〉
かつて天に至るべく築き上げられた塔の残骸。先史文明のものと思しき用途不明の機械部品の残骸が採れる。古代に製造されたであろう機械系のモンスターが塔の残骸を守るかのように多数徘徊しており、戻ることのない主の帰還を今も待ち続けている。
現実世界の種子島宇宙センター。
◆〈クラマ山〉
キョウの鬼門に位置する山々に無数の鳥居が立ち並ぶ、和風テイスト溢れる巨大ダンジョン。〈天狗族〉による謎かけが随所に設置されており、力任せではクリアできない構成となっている。最奥に鎮座する
〈大天狗〉の試練をクリアできれば天狗ゆかりの
アイテムを入手出来る。
現実世界の京都府鞍馬山。
◆〈光輪洞〉《クリスタルケイブ》
いたるところに鍾乳石がぶら下がり、静謐な空気が満ちる鍾乳洞穴。中心部にそびえる巨大な鍾乳石柱は名所としても有名。その昔、光の剣士がこの洞窟で瞑想し心の曇りを払って奥義を開眼した、という伝承がある。洞窟内部には、その際に切り倒されたという巨大な鍾乳石柱もある。
現実世界の山口県秋芳洞。
◆〈サマイクルの砦〉
カムイの森の中心にあるとされ、未だたどり着いた者がいないとされる〈サマイクル〉の砦。
『サマイクル』とは
〈古来種〉の英雄とも精霊とも言われているが詳細は明らかではない。
◆〈シンジュク地下道〉
シンジュクの地下に張り巡らされたダンジョンゾーン。出現する敵は弱く、地下道として利用されることが多かった。
現在は〈ベヒーモス〉襲撃により壊滅したシンジュク地上部分から逃げ延びた
〈大地人〉が、ところどころでキャンプを張っている様子が見られる。
◆〈スワの古神殿〉
湖に半ば沈むようにして建つ、既にその名を忘れられた古の神の祭壇。地上部分は浸水し既に廃墟と化しているが、隠し通路から進入できる地下部分には半人半蛇の亜人
〈ナギ族〉が神殿を築いており、彼らが崇拝する大蛇が目覚める時を今も待ち続けている。
現実世界の長野県諏訪湖。
◆〈セイラーの死廃街〉
大量のゾンビが出現するダンジョン。
レベル20~30相当の狩り場と
ハーフレイドゾーンから成る。
現実世界の『琵琶湖クルージングモール ピエリ守山』(滋賀県守山市今浜町)。
◆〈七つ滝城塞〉《セブンスフォール》
オウウ地方に横たわる深い〈闇の森〉《ブラック・フォレスト》の最深部に存在する、
〈緑小鬼〉《ゴブリン》族の城塞。大量の〈緑小鬼〉が出現する場所で、雑魚と侮ればその圧倒的な数の暴力の前にすりつぶされることとなる。
現実世界の秋田県七滝。
◆〈ダイシロード〉
フォーランド島は
〈大地人〉が住んでおらず、
〈冒険者〉にしても
〈妖精の輪〉で目的のダンジョンやエリアに向かうだけだったために、特に注目されることの無いエリアだった。結果として容易にアクセスできなくなった現在では、設定やフィールドについて未確認になったままの噂が大量に残されたままになっている。
その多くは
〈大災害〉以前から
クエストや
アイテムのメッセージにわずかな設定や関係がほのめかされており、
〈クンパールの社跡〉の最深部に眠る秘密と強大な天狗にまつわる
大規模戦闘や、
〈剣鋒タローグ〉のいずこかに存在する隠れ里から始まるクエストといった大規模なイベントがいつか発生すると期待されているのである。
そんな噂話の中でも特に有名なものと言えばこの〈ダイシロード〉があげられる。かつて
〈神代〉の時代、フォーランドに作られたとされる巨大な魔法技術の遺構である88か所のパワースポットを巡るためのルートとされており、〈冒険者〉の間ではこの88か所のパワースポット全てを巡ると絶大な力を得ることができるという噂が存在している。
さらには「本当に効果を得るためには何度も回る必要がある」や、「逆順に行けばさらに強い効果を得られる」といったオマケも含めると関連する噂は無数に存在している。
もっとも、現在のフォーランドは秘境ともいえる濃密な山林の合間をわずかに街道の名残が通っている程度で、その街道では妖怪をはじめとする強力なエネミーが跋扈しているため〈ダイシロード〉巡りを完走するのは超高難度である。そもそも、88か所存在するというパワースポットの正確な位置についても何か確固たる情報が得られているわけではない。さらには〈大災害〉以降、フォーランドではモンスターの分布が大きく変化しているらしいという噂もあり、最終的に〈ダイシロード〉を完走した場合にどんな報酬が得られるのか、そもそも〈ダイシロード〉というクエストは存在するのか、全てが伝説の分厚いベールに覆われたままとなっている。
現実世界での四国遍路。
◆〈テルクミの城塞〉
武者型の亡霊が闊歩する古代城塞。政争に破れ落ち延びてきた剣士セゴードが築いたとされ、彼はこの城塞で追ってを返り討ちにした後、
ナインテイルに戻り政敵をも討ち果たしたという。彼の子孫が後のオイドゥオン家を興すこととなった。
現実世界の奄美群島。
◆〈時が眠る島〉
ヤマト最南端に位置する孤島がそのままダンジョンとなっている。ジャングルに覆われたこの島は、
〈トリケラトプス〉などの恐竜型モンスターが多数出現する秘境だが、それだけに行き来に手間がかかりすぎ、好んで訪れる
〈冒険者〉はめったにいない。
現実世界の西表島。
◆〈ナカノモール〉
〈神代〉の大型建築物の廃墟。内部は通路と小部屋が規則的に並ぶ構造で、小部屋一つ一つが玄室となっている。
出現するモンスターは弱く、初心者向けの稼ぎダンジョンとして利用されるが、迷いやすい構造のためマッピングを怠ると後々後悔することになる。
シロエが
〈三日月同盟〉の若い子と一緒に行ったというダンジョンゾーン。
現実世界の中野駅近く。
◆〈パイドパイパーリア〉
道化師
〈メイザース・パイドパイパー〉が支配する都市。地上ダンジョン扱いだが、同時に
〈大地人〉やモンスターがショップなどの施設を開いており実際に利用できる。それ以外のモンスターは襲ってくるし、〈大地人〉の反応も何処か不自然。何もかもちぐはぐで、底知れない不気味さを感じさせる。
現実世界の山梨県笛吹市。
◆〈化け猫屋敷〉
パンナイルの街の北側にたたずむ寂れた屋敷。街の住人ならば知らぬもののない有名ダンジョン。
古い屋敷は内部がダンジョン化しており、多数の猫型のモンスターのほか、アンデッドまでもが徘徊している。屋敷内部は狭い通路と小部屋で動きにくく、さらには奥へ行くほどに強力な敵が出現するため、退き時を見誤って全滅する
〈冒険者〉は少なくない。また屋敷各所には怨念から生み出された呪いのトラップ群が仕掛けられており、危険度をさらに跳ね上げている。
逆に言えば、入り口付近に留まっていれば、ほぼ無害な猫型モンスターと戯れられる。このため
〈大災害〉以前より癒しを求める〈冒険者〉が屋敷の庭などに入り浸る姿が見られていた。
ボスは巨大な化け猫である。かつて領主に仕えていた
〈猫人族〉が濡れ衣で処刑された時、その妻が夫の無念をはらすため化け猫に成り果てた。噂では、未だに「パンナイルの領主」を呪い続けているのだという。その噂の虚実は不明だが、現領主であるリーフトゥルク家の人々も、そしてパンナイルの街の住人たちも、この件については硬く口を閉ざしている。
◆〈ビャッコの墓標〉
悲劇的な最期を遂げたと伝わる若武者の亡霊が彷徨う廃城。亡霊たちは未だ落城を知らず城を護り続けており、踏み込んだものに容赦ない攻撃を加える。
〈大災害〉以降、最深部に辿り着き彼らの戦いを終わらせることができた
〈冒険者〉はまだ現れていない。
現実世界の福島県白虎隊士の墓。
◆〈不死の街トヨタ〉
かつてこの地を治めていた領主が己の不老不死の研究のために滅ぼした街が丸ごとダンジョンとなったゾーン。自らをアンデッド化し
〈不死王〉となった領主の下、強力なアンデッドがひしめく不浄の地。
レイドコンテンツ
〈天地冥動〉の舞台としても有名。
現実世界の愛知県豊田市。
◆〈ヘイアンの呪禁都〉
数年に一度封印が解かれる〈スザクモン〉より進入できるダンジョン。内部には無数の落とし穴が掘られ、地獄より溢れ出した強力な〈鬼族〉が徘徊する、文字通り鬼のような難易度を誇る。クリア報告もごく僅かである。
現実世界の京都府平安神宮。
◆〈マイハマ地下道〉
マイハマの都の地下に存在する謎の通路。かなり複雑な構造となっているが、構造を把握できればマイハマ各所にすばやく移動できるらしい。
◆〈魔皇殿〉
〈神皇の帰還祭〉の舞台としてヤマトの各地に配置されたダンジョンの一つで、最奥にはヤマト最強の怨霊の一角が待ち受ける。ダンジョンそのものの難易度も然ることながら、そこに辿り着くまでの道のりが困難を極める。
現実世界の崇徳天皇白峯陵(香川県坂出市青海町)。
◆〈ミドラウント馬術庭園〉
巨大なコロシアムに似た外観を持つ馬術庭園。周辺には野生動物以外の凶悪なモンスターが出現しない。
マイハマの北方5km程度の位置。8月の遠征で、駐屯地が築かれた。
現実世界の千葉県中山競馬場。
◆〈幽幻の深層〉
海上にランダムに出現する蜃気楼から入ることができる海中ダンジョン。通路や部屋の配置は毎回変化し、壁や床も朧げで水中を歩くような感覚におちいる。出現する海洋系モンスターはどれも食材としての価値が高く、上級回復薬の素材となる〈深層の幽水〉も採取できる。
現実世界の富山県富山湾。
◆〈妖蚕の魔穴〉
海岸沿いに開いた風穴郡に芋虫系モンスターが多数住み着く。奥深くには〈女王〉と呼ばれる存在がいるとも噂される。なお、これらの芋虫類が吐き出す糸は丈夫な上に魔力との相性がよく、布素材としては最高級のものとなる。
◆〈ラグランダの杜〉
ザントリーフ中央部、
チョウシの街の西部に位置するパーティ向けダンジョン。
〈燃え盛る悪霊〉《バーニングデッド》をボスとする自然洞窟と、
〈邪悪な神像〉《イビルアイドル》をボスとする地下神殿に分岐しており、地下神殿のほうが難易度が高い。
遠近の攻撃手段を持つアンデッドエネミーが数多く徘徊しており、力押しでの攻略は難しい。パーティ連携の練度が戦果に端的に現れる、訓練に適した「初心者向けダンジョン」とされている。2つのエリアはそれぞれ別のレベル帯に対応しており、自然洞窟エリアをクリアできる頃には、地下神殿にも行ける実力になっている。
〈円卓会議〉が新人強化合宿の場所としたのを契機に知名度が上がり、様々なギルドが訓練場所として利用している。
現実世界の千葉県成田山新勝寺。
◆〈ワタツミの龍王宮〉
海中神殿をイメージしたダンジョンで、龍の浜の近くにひっそりと立つ古びた社が入口となっている。社周辺や龍の浜は
フォーランドに住み着くドラゴン種が頻繁に飛来する危険地帯。もちろん神殿内部のも水棲モンスターや〈海竜〉類が多数出現する。
現実世界の高知県海津見神社。
■日本サーバーのフィールド
◆〈オクタマ山林〉
自然由来の様々な素材や、食材になりうるモンスターが出没する地域。自然豊かで、ここでしか取れない珍味もあるため、一日過ごせば一人くらいは
〈冒険者〉を見かける。
〈離枝イノシシ〉《リーシーボア》や
〈走り松茸〉《マツタコニド》が出現する。
現実世界の東京都奥多摩。
◆〈カミナス用水〉
夏季合宿で、PTを組んでの屋外戦闘訓練が行われた。
現実世界の茨城県神栖市。
◆〈サカワ地方〉
水が豊かな農業を中心とした地帯である。
〈大地人〉の小さな集落が点在して主に米や麦を作っている。
エネミーの種別は自然(ネイチャー)系が中心で、森や山間部に生息する野犬や猪、植物モンスターが多い。
現実世界の神奈川県小田原市酒匂。
◆〈サキタカ地方〉
アキバからみて北西に馬で数日、
〈フォーブリッジの街〉の西部に広がる広大な山林の、さらに奥地にあるのが「秘境」とも呼ばれる〈サキタカ地方〉。周辺に広がるうっそうとした深い森の中には、下生えに隠された泥沼がいくつもあり、気づかずに泥沼にはまりこみ、そのまま帰らぬ人になる狩人が後を絶たない。
文明から隔絶された環境ゆえに獣や植物は豊富であり、とくに湿地帯では珍しいキノコ類が多数採集できる。森を抜けた奥地には険しい岩山もあり、鳥系の大型モンスターが生息しているほか、森林地帯全域で自走する植物モンスターの姿が見られる。
現実世界の群馬県高崎市。
◆〈シーマーシュの祭壇跡〉
ナロウマウントの北東に位置する広域開放型
ゾーン。
現在の祭壇跡は湿地帯の中に、朽ちた柱や祭殿、参道跡が残るのみ。エネミーが闊歩する危険地帯となっている。
かつてこの祭壇には水と火の大精霊が合祀され、付近一帯の地に豊穣を約束していた。人々は精霊へ供物を捧げ、祭を行って敬意を示し、その恩恵を受けていた。
この関係が破綻したのは、人の側の欲が原因だった。ある
〈召喚術師〉《サモナー》が、精霊を古
アルヴの生み出した禁忌の術式によって隷属させ、今以上の恩恵を得んとしたのだ。
この企みを止めたのは、人柱として精霊に捧げられた少女だった。彼女は祭壇から持ち出した、契約の楔である笛を吹いて隷属術式から精霊を解放し、精霊とともに姿を消したのである。これにより精霊と人との決定的な対立は免れたが、この地から精霊の加護は失われ、肥沃だった地は荒れ果てた。それ以降、この地は大精霊の統率を失って暴走した精霊が彷徨し、瘴気を含んだ水が溢れだして湿地となった。
このゾーンは精霊系のエネミーが多く出現するため、契約条件を満たすために
〈召喚術師〉が訪れることの多い場所であった。また、この地で精霊系エネミーを倒すと、ごく稀に〈シーマーシュの横笛〉というアイテムを入手できる。かつて人柱の少女が大精霊を呪から解放した笛の写し身されるこの消耗品アイテムは、使用すると一度だけ、水と火の大精霊を召喚できる。召喚者は、大精霊に力を示すか供物を捧げるかを選択でき、レイドエネミーである大精霊を打倒するか、彼らが求める多様な供物を制限期間内に捧げることで、希少なアイテムを得ることができる。このため、この
クエストを目当てにシーマーシュを訪れる
〈冒険者〉も多かった。
〈大災害〉後は、高い知性を持ち、長く人の営みを見てきたとされるこの地の大精霊から、貴重な伝承を聞けるのではとも期待されている。
現実世界の埼玉県川口市からさいたま市にわたる見沼。
◆〈書庫塔の林〉
アキバからゲートで移動できる隣接ゾーン。
〈神代〉の廃墟を包むように木々が立ち並んでおり、比較的小型のモンスターが徘徊する。
古い書店や図書館、研究所の跡地などが散在し、幾つかのダンジョンゾーンにも繋がっている。また、敵が弱く魔法書や秘術書をドロップすることが多いので、駆け出しの
〈冒険者〉には美味しい稼ぎ場所として有名。
これらの廃墟で入手できる「本」は
〈大災害〉以降中身を読み取ることが可能となったため、意外な発見の契機になることもある。
〈大地人〉の学者を連れた
〈円卓会議〉の調査団が編成されることもあり、そうした際には護衛として少なくない〈冒険者〉の手が必要となる。
現実世界の神田神保町の古書店街。
◆〈スモールストーンの薬草園〉
アキバ北西部に広がる荒廃した庭園。
時の賢王が疫病に苦しむ民のため、己の別荘の庭園で各種の薬草を育てさせたのが始まりとされる。現在は荒廃し、植物系モンスターが多く徘徊する場所となっている。中には無害な植物に擬態したモンスターもおり、油断は禁物。
貴重な薬草系アイテムが入手できることから、
〈調剤師〉や
〈薬師〉の
〈冒険者〉がよく足を運んでいる。大手生産系ギルドや
〈大地人〉医師から、この地に自生する植物の採取が依頼されることも多い。
小規模なゾーンではあるが古代の遊戯施設を含むため、周辺の廃墟とは違い地形が変化に富んでいて戦闘が難しい。
現実世界の小石川薬草園。
◆〈テンプルサイドの森〉
〈テンプルサイドの街〉の西側に広がる
ゾーン。
〈堕ちた天空の寺院〉《フォーリンテンプル》を中心に東西南北の4つのゾーンに分かれる。
北:街に最も近く、広葉樹の生い茂るゾーン。(レベル20台のモンスター)
モンスター:〈魔狂貉〉《マッド・ダイア・ラクーン》、〈ミミズク熊〉《ホーンド・オウルベア》
東:〈スカファの水源地〉(現実世界の 井の頭池周辺)(レベル30台前半のモンスター)
モンスター:〈赤醜豚鬼〉《レッドオーク》
西:(現実世界の 井の頭自然文化園)
南:〈胞子の海〉巨大な粘菌のような植物が生い茂るゾーン。
レベル30弱の巨大な蟲系モンスターが徘徊する。
(現実世界の 井の頭恩賜公園)
『
ログ・ホライズン外伝 櫛八玉、がんばる!』(原題:『
辺境の街にて』)に登場。
◆〈パリドピークの墓所〉
シブヤの西部に広がる古の墓所。亜人間や魔獣との戦いで命を落とした兵たちが弔われる無銘の墓標が並ぶ。
墓所内は月齢によって出現するモンスターが変化し、満月の夜には活性化した〈墓所漁り〉や
〈屍食鬼〉《グール》などが闊歩する危険な地域と化す。定期クエストのボスは
〈墓場漁り〉《ドゥームスカベンジャー》。
このため月に一度、溢れ出したモンスターが周囲に被害を及ぼさないよう、
〈円卓会議〉から討伐を依頼された
〈冒険者〉が定期的に派遣されている。
◆〈フジ樹海〉
凶悪なモンスターが出現する広大なフィールドゾーン。
◆〈ペルシド・ガーデン〉
アキバと
マイハマをつなぐ街道沿いに存在する鬱蒼とした森林地帯。
かつては
〈アルヴ〉の魔導士が実験場として築いた庭園だったが、事故で魔法が暴走する。その結果、様々な草木が植生を無視して繁茂し、木々が生い茂る内部には魔法で改造された植物型エネミーが闊歩する緑の魔境と化している。また、庭園入口エリア周辺には仮眠状態の
〈歩行樹〉《トレント》が多数生息しており、春になると薄桃色の花を咲かせるため観光目的で訪れる
〈冒険者〉も多い。
現実世界の東京都江東区清澄公園。
◆〈メイニオン海岸〉
ザントリーフ半島でも有数の美しい白砂の海岸線。夏季合宿で低レベル
〈冒険者〉の戦闘訓練が行われた。
現実世界の千葉県九十九里浜。
◆〈メトロポル環状陸上橋〉
アキバを中心として円を描くようにそびえ立つ、陸上に存在する橋。
〈神代〉の遺構であり、橋の上は精緻に舗装されている。所々朽ちてはいるが未だ通行に支障はない。
この地では朽ちかけた〈神代〉の機械が見つかることもあり、魔導機械系エネミーも出没することから、
〈機工師〉たちが再利用可能な素材や部品を求めて訪れることもある。
また一部の
〈冒険者〉はこの場所を「シュトコウ」と呼び、速度を追い求める者の聖地として崇めている。
〈黒剣騎士団〉や
〈グランデール〉などは定期的にこの場所で愛用の乗騎を駆り、互いの技術と勇気そして速度を競い合っているらしい。
◆〈ロストブリッジ〉
現実世界において、四国と本州とをつなぐ橋のひとつである瀬戸大橋は、
〈セルデシア〉世界においては〈ロストブリッジ〉と呼ばれる旧世界の遺跡となって存在している。橋自体は崩壊した状態であり、移動経路として使用することは不可能。よって
ウェストランデと
フォーランドの間を徒歩によって内海を渡って移動することはできない。
〈大災害〉以前は、
〈妖精の輪〉を用いたテレポート移動でフォーランドへ移動することができたため、このような物理的な断絶は冒険者にとっては何の問題にもなっていなかった。しかし〈妖精の輪〉の使用が難しくなった現在においては、フォーランドへのアクセスは難しいものとなっている。もちろん、遺跡となった橋沿いに船や何らかの飛行生物などの移動手段を持っているならば、戦闘などの危険をくぐり抜けさえすればフォーランドへと向かう事は可能である。
また、〈ロストブリッジ〉周辺の内海は
〈サンノウ群島〉と呼ばれ、ある程度慣れた
〈冒険者〉が慎重にコースを選んで移動する分にはそこまでの危険はない。そのため内海を探索するグループも存在している。彼らは情報を求めて郡島内にわずかに残る漁村や多くの島々を巡り、時としてこれまで未発見だったダンジョンや宝を見つけることもあるようだ。
一方で、
モンスターの巣窟であると見なされているフォーランドまで向かう者ともなると現在でも非常に珍しい。それでもフォーランドにまつわるあらゆる噂の真偽を確かめるため、あるいは環境が急速に変化しつつあるという島の情報を集めるため、この危険な島へと乗り込む〈冒険者〉もわずかながら存在しているようだ。
なお、崩壊した橋の再建については、
〈大災害〉以前に運営より「将来〈ロストブリッジ〉の再建に関わるイベントが実装される予定」という内容のアナウンスがなされていた。しかし具体的な情報が出てくる前に〈大災害〉が起き、詳細は明かされないままとなってしまっている。
現実世界の瀬戸大橋。
最終更新:2024年01月28日 10:00