エスパー・フィーバー ◆uOOKVmx.oM
遠くのオデン屋で一人の少女が愚痴を零している。まるで飲んだくれの親父ようだ。
その近くでは少年が鼻歌交じりに鍋をかき混ぜたり、何人かで談笑していたりもしている。
ボーっと立っていると、後から来た少女や少年が横をすり抜けて談笑の輪に加わって行った。
何だか楽しそうだ。何かから開放されたような安堵感、小学校の休み時間のような感覚。
そういえばさっきから紫穂と葵の姿が見えない。二人とも何処に行ってしまったのだろうか。
いつだって一緒だった二人。自分の一部と言ってもいい程、何の遠慮もなく付き合える仲間。
大声で叫ぶが応答は無く、薫は自分一人だけ取り残されたような恐怖さえ感じた。
泣きたくなる恐怖心を深呼吸して振り払い、冷静に周囲を見回すとどうだろう。
目に映るもの何もかもが歪んでいた。コーヒーに垂らしたミルクのように空間が歪んでいる。
それに気がついた瞬間、足元の感触が消えた。奇妙な浮遊感と共に湧き上がる不安感。
プールで溺れたかのように手足をバタつかせるが、何故か超能力が使えず、声も出ない。
そして助けを求めて遠くで談笑している少年達の方へ視線を送り、愕然とする。
首の無い少年少女、薬品で爛れた少女、包丁が刺さっている少年、四肢がバラバラの少年。
楽しげに談笑していたそれらが、一斉に薫の方を向いた。
その近くでは少年が鼻歌交じりに鍋をかき混ぜたり、何人かで談笑していたりもしている。
ボーっと立っていると、後から来た少女や少年が横をすり抜けて談笑の輪に加わって行った。
何だか楽しそうだ。何かから開放されたような安堵感、小学校の休み時間のような感覚。
そういえばさっきから紫穂と葵の姿が見えない。二人とも何処に行ってしまったのだろうか。
いつだって一緒だった二人。自分の一部と言ってもいい程、何の遠慮もなく付き合える仲間。
大声で叫ぶが応答は無く、薫は自分一人だけ取り残されたような恐怖さえ感じた。
泣きたくなる恐怖心を深呼吸して振り払い、冷静に周囲を見回すとどうだろう。
目に映るもの何もかもが歪んでいた。コーヒーに垂らしたミルクのように空間が歪んでいる。
それに気がついた瞬間、足元の感触が消えた。奇妙な浮遊感と共に湧き上がる不安感。
プールで溺れたかのように手足をバタつかせるが、何故か超能力が使えず、声も出ない。
そして助けを求めて遠くで談笑している少年達の方へ視線を送り、愕然とする。
首の無い少年少女、薬品で爛れた少女、包丁が刺さっている少年、四肢がバラバラの少年。
楽しげに談笑していたそれらが、一斉に薫の方を向いた。
「うわぁぁぁぁ―――――!!!」
跳ね起きた明石薫を待っていたのは、光の存在を許さない完全な闇だった。
だた暗いだけなのだが周囲の静けと相まって不気味さを醸し出し、薫を混乱へと導く。
眠っている間に見た夢の内容など覚えてはいない。だが漠然とした不安だけは残されていた。
無差別に開放した念動力が周囲の木々を砕き吹き飛ばすが、闇に遮られてそれを確認できない。
破壊の手応えを感じながらも不安に狩られた薫は、我武者羅に闇の中から飛び出した。
だた暗いだけなのだが周囲の静けと相まって不気味さを醸し出し、薫を混乱へと導く。
眠っている間に見た夢の内容など覚えてはいない。だが漠然とした不安だけは残されていた。
無差別に開放した念動力が周囲の木々を砕き吹き飛ばすが、闇に遮られてそれを確認できない。
破壊の手応えを感じながらも不安に狩られた薫は、我武者羅に闇の中から飛び出した。
「うおっ、まぶしっ!!」
思わず腕で視界を遮る。闇に慣れていた薫の目に、眩しい陽光は強烈だった。
彼女が吸血鬼なら間違いなく灰になって消滅していたことだろう。
周囲の木々を薙ぎ倒したおかげで、森の中だというのに直接日光が降り注いでいたのだ。
薫は眩しさに顔を顰めながら、ゆっくりと明るさに慣れるように目を細く開こうとする。
彼女が吸血鬼なら間違いなく灰になって消滅していたことだろう。
周囲の木々を薙ぎ倒したおかげで、森の中だというのに直接日光が降り注いでいたのだ。
薫は眩しさに顔を顰めながら、ゆっくりと明るさに慣れるように目を細く開こうとする。
その時、上空からの響く音を聞いた。例えるなら高速で飛行する時の風きり音。
反射的に顔を上げた薫の瞳に、眩しい太陽を横切る影が映った。
反射的に顔を上げた薫の瞳に、眩しい太陽を横切る影が映った。
(誰かがいる? 葵?! いやさっきの女か?!)
それは突き穿つ死翔の槍。礼拝堂を崩壊させても勢いは衰えず、遥か彼方へ向けて飛翔する。
何処から来たのか、何処へ行くのか、それは分からない。何故なら――
何処から来たのか、何処へ行くのか、それは分からない。何故なら――
「目が、目がぁ――!!」
直射日光を目の当たりにした薫は、目を押さえてのたうち回っていた。
○ ○ ○
「あんたら、薫と紫穂を知っとんの? 二人に何しよったん?」
ベルカナの首筋には鋭利なガラス片が突きつけられ、圧し掛かった戸棚が動きを封じていた。
いたるところに突き刺さった破片は血を滲ませ、確実に命を削っていくのが感じられる。
分かる範囲であばら骨を何本か、それと四肢も骨折している可能性が高い。
身動きが出来ないので正確ではないが、手足の感覚が失われていないことは幸いだった。
目前の少女のように四肢を欠損してはいないが、問題は首がいつまで繋がっているか。
負傷と束縛に加えてここは閉鎖空間、都合良く助っ人が来ること期待できない。
いたるところに突き刺さった破片は血を滲ませ、確実に命を削っていくのが感じられる。
分かる範囲であばら骨を何本か、それと四肢も骨折している可能性が高い。
身動きが出来ないので正確ではないが、手足の感覚が失われていないことは幸いだった。
目前の少女のように四肢を欠損してはいないが、問題は首がいつまで繋がっているか。
負傷と束縛に加えてここは閉鎖空間、都合良く助っ人が来ること期待できない。
(絶体絶命とは、こういう状況のことですわね)
他人事のようにベルカナは状況分析をしていた。身体に走る痛みが頭を鮮明にする。
今必要なのは泣くことでも怒ることでもなく、僅かな情報から活路を搾り出すこと。
身動きが取れないのだから、他に出来ることが無いと行えばそれまでだったが。
迂闊に口を滑らすと痛い目を見る、今それを身体で思い出させてもらったばかりだ。
素直に情報を吐けば助かるなどとは、新米の盗賊でも考えはしない。
情報の重要性と有用性は、上司である盗賊ギルドの女幹部に散々思い知らされていたから。
今必要なのは泣くことでも怒ることでもなく、僅かな情報から活路を搾り出すこと。
身動きが取れないのだから、他に出来ることが無いと行えばそれまでだったが。
迂闊に口を滑らすと痛い目を見る、今それを身体で思い出させてもらったばかりだ。
素直に情報を吐けば助かるなどとは、新米の盗賊でも考えはしない。
情報の重要性と有用性は、上司である盗賊ギルドの女幹部に散々思い知らされていたから。
先ほどの言動からして、目前の少女は森で出会った赤毛の少女の仲間というのはほぼ確実。
思えばあの少女もフォース・エクスプロージョンやフライト、テレキネシスを自在に操っていた。
その同類と考えれば、目前の少女がテレポートやアポートを自在に操れても不思議はない。
思えばあの少女もフォース・エクスプロージョンやフライト、テレキネシスを自在に操っていた。
その同類と考えれば、目前の少女がテレポートやアポートを自在に操れても不思議はない。
(厄介な奴らに目を付けられてしまいましたわね。まったく運が悪いですわ)
だが悲観的な情報だけではない。仲間の情報を欲しがるということはロケーションや
マインド・スピーチといった探知系や念話系の魔法は使えないということだ。
悪魔の中には、魔法のような力を特殊能力として好き放題に使いこなせるタイプも存在する。
彼女らが系統立った魔法を習得しているのではなく、独自の特殊能力だとすれば納得もいく。
マインド・スピーチといった探知系や念話系の魔法は使えないということだ。
悪魔の中には、魔法のような力を特殊能力として好き放題に使いこなせるタイプも存在する。
彼女らが系統立った魔法を習得しているのではなく、独自の特殊能力だとすれば納得もいく。
「なに黙っとんのや、薫と紫穂をどうしたって聞いとんよ?!」
いつもなら一瞬で数時間ほど議論したような検証を行うのだが、待ってはくれないらしい。
たった数秒、返答を遅らせただけで少女が声を荒立てて、ガラス片を首筋に軽く当てる。
薄っすらと血の糸が引かれた。冷静で落ち着いて態度に見えるが、案外そうでもないらしい。
この子も自分と同じように精一杯の虚勢を張っているのだと、そう思うと少し笑みが零れた。
たった数秒、返答を遅らせただけで少女が声を荒立てて、ガラス片を首筋に軽く当てる。
薄っすらと血の糸が引かれた。冷静で落ち着いて態度に見えるが、案外そうでもないらしい。
この子も自分と同じように精一杯の虚勢を張っているのだと、そう思うと少し笑みが零れた。
「ベルカナさん!!」
「――!?」
「――!?」
悲鳴に似たイエローの声に、驚いた少女が視線を向け、ガラス片が首筋から僅かに離れた。
あの子はまだ無事のようですわね。ホッとすると同時に、最悪でも彼女だけは逃がさなければ、
そんな思いが再度込み上げる。それを嘲笑うかのように戸棚は重く圧し掛かっていた。
あの子はまだ無事のようですわね。ホッとすると同時に、最悪でも彼女だけは逃がさなければ、
そんな思いが再度込み上げる。それを嘲笑うかのように戸棚は重く圧し掛かっていた。
戸棚の下敷きになった少女は自分の質問に答えないばかりか、薄っすらと笑みを浮かべていた。
突き付けたガラス片をものともせず、葵を嘲笑っているようにすら見える。
薫や紫穂に何かしたのか、それを思い出して笑っているのか。
葵の脳裏に青髪の少年の死体が浮かび、それが血に塗れた二人の姿に摩り替わった。
恨めしそうにこちらを見つめる頭部だけになった薫と紫穂の姿に。
血液を沸騰させそうなくらいの怒りが込み上げて、ガラス片を持つ手に力が入る。
そうだ、サクッと首筋を掻き切ってしまえばいい。
こんな女、苦痛と苦しみの中で懺悔させればいい。
だが葵の手は動かない。後一歩と言うところで動かせない。
無意識に直接人を殺めることに対する禁忌を感じているからか。
そうではない。求めているのは希望、二人が無事だという希望と確証。
それを得たいがために、彼女は命を奪う数ミリ前で留まっていたのだ。
突き付けたガラス片をものともせず、葵を嘲笑っているようにすら見える。
薫や紫穂に何かしたのか、それを思い出して笑っているのか。
葵の脳裏に青髪の少年の死体が浮かび、それが血に塗れた二人の姿に摩り替わった。
恨めしそうにこちらを見つめる頭部だけになった薫と紫穂の姿に。
血液を沸騰させそうなくらいの怒りが込み上げて、ガラス片を持つ手に力が入る。
そうだ、サクッと首筋を掻き切ってしまえばいい。
こんな女、苦痛と苦しみの中で懺悔させればいい。
だが葵の手は動かない。後一歩と言うところで動かせない。
無意識に直接人を殺めることに対する禁忌を感じているからか。
そうではない。求めているのは希望、二人が無事だという希望と確証。
それを得たいがために、彼女は命を奪う数ミリ前で留まっていたのだ。
「ベルカナさん!!」
「――!?」
「――!?」
背後からの叫び声に葵は驚き振り向く。この部屋にもう一人いるとは計算外だ。
ベルカナが葵に出会った時の衝撃と困惑を今度は葵自身が受けることとなった。
声の主は小さな、といっても葵と同じくらいの少女。この女の仲間か。
汚れたシーツに包まっていたので気がつかなかったのか。
ベルカナが葵に出会った時の衝撃と困惑を今度は葵自身が受けることとなった。
声の主は小さな、といっても葵と同じくらいの少女。この女の仲間か。
汚れたシーツに包まっていたので気がつかなかったのか。
「ベルカナさんに何を!」
激しい敵意を放つ少女を確認して葵の顔色が変わった。
見れば手には何も持っておらず素手。恐れることは何もないはず。
だが葵の注意を引いたのは彼女自身ではない。彼女の周りにあるもの。
小石や砕けた戸棚の破片、割れたガラス片、それら諸々がカタカタと震えている。
室内だと言うのに風が巻き上がるような感覚は、薫が念動力を制御し切れない時の感覚に似ていた。
見れば手には何も持っておらず素手。恐れることは何もないはず。
だが葵の注意を引いたのは彼女自身ではない。彼女の周りにあるもの。
小石や砕けた戸棚の破片、割れたガラス片、それら諸々がカタカタと震えている。
室内だと言うのに風が巻き上がるような感覚は、薫が念動力を制御し切れない時の感覚に似ていた。
「サイコキノやて?!」
サイコキノ(念動力者)は能力がシンプルな分、高い超度を持つ者も多く存在する。
目の前の少女の超度が実戦レベルであったなら、今の葵が正面から勝てる可能性は薄い。
最強超度を誇る明石薫は例外としても、その能力は非常に戦闘向けとされており、
特に逃げ場のない空間では無類の強さを発揮する。正面から相手するのはバカか薫のやることだ。
目の前の少女の超度が実戦レベルであったなら、今の葵が正面から勝てる可能性は薄い。
最強超度を誇る明石薫は例外としても、その能力は非常に戦闘向けとされており、
特に逃げ場のない空間では無類の強さを発揮する。正面から相手するのはバカか薫のやることだ。
「邪魔や、引っ込んどれや!」
超度不明な少女を他の部屋へテレポートさせようとするが、何故か効果が無かった。
間違いなく上方数m、上階の部屋へと送ったはずなのに少女の身には何も起こらない。
何度テレポートさせようとしても、少女は転移する様子もなく葵を睨み付けていた。
そればかりか少女は葵に向かって駆け出そうとする。
間違いなく上方数m、上階の部屋へと送ったはずなのに少女の身には何も起こらない。
何度テレポートさせようとしても、少女は転移する様子もなく葵を睨み付けていた。
そればかりか少女は葵に向かって駆け出そうとする。
「く、来るな!」
少女にテレポートが通じない、それは葵に蕾見管理官の言葉を思い出させた。
『テレポートはね、近い念波で干渉しちゃえば発動しないのよ』
この少女は、そんな高度な技術を持ったエスパーなのだろうか。
咄嗟に近くにあった物、ベルカナに落としたのと同じ戸棚を少女の頭上へとテレポートさせた。
焦ったためか、思ったより少女が小柄だったのか、頭上数十cmに戸棚が現れる。
『テレポートはね、近い念波で干渉しちゃえば発動しないのよ』
この少女は、そんな高度な技術を持ったエスパーなのだろうか。
咄嗟に近くにあった物、ベルカナに落としたのと同じ戸棚を少女の頭上へとテレポートさせた。
焦ったためか、思ったより少女が小柄だったのか、頭上数十cmに戸棚が現れる。
「上ですわ、イエローさん!」
「?! ダイレク、お願い!」
「?! ダイレク、お願い!」
葵はテレポートが完全に封じられていないことに一抹の安心を得た後、驚愕した。
転移させた戸棚が、空中で方向転換して壁に激突したからだ。
ベルカナの声に反応したイエローの巻き起こした突風が、ほんの一瞬だけ戸棚の落下を防ぐ。
それと同時に巨大な――葵よりもイエローよりも巨大な大剣が意思を持った獣の如く飛び上がり、
回転する斬撃で落下物を壁へ叩き付けたのだ。
斬撃の余波で天井や石壁に幾多の傷が付けられ、戸棚は床に落ちて砕けた。
一仕事終えた大剣はイエローの周囲をフワフワと漂っている。間違いない、サイコキノだ。
転移させた戸棚が、空中で方向転換して壁に激突したからだ。
ベルカナの声に反応したイエローの巻き起こした突風が、ほんの一瞬だけ戸棚の落下を防ぐ。
それと同時に巨大な――葵よりもイエローよりも巨大な大剣が意思を持った獣の如く飛び上がり、
回転する斬撃で落下物を壁へ叩き付けたのだ。
斬撃の余波で天井や石壁に幾多の傷が付けられ、戸棚は床に落ちて砕けた。
一仕事終えた大剣はイエローの周囲をフワフワと漂っている。間違いない、サイコキノだ。
「お、大人しくせんか! こいつがどうなっても知らへんで!!」
「この……!」
「この……!」
葵はベルカナに再度ガラス片を突きつけた。期待通りイエローと大剣の動きが止まる。
こんな低脳犯罪者のような台詞など、口にしたくなかったが仕方がない。
まだまだ優位だと自分に言い聞かせ、葵は湧き上がる恐怖心を押さえ込み、イエローを睨み返す。
ゲームに乗るような連中でも仲間は大切なのかと、しかし薫と紫穂はもっと大切なのだと。
お互いに相手の存在を否定しあう。その僅かな膠着を崩したのは階下から響く爆音だった。
こんな低脳犯罪者のような台詞など、口にしたくなかったが仕方がない。
まだまだ優位だと自分に言い聞かせ、葵は湧き上がる恐怖心を押さえ込み、イエローを睨み返す。
ゲームに乗るような連中でも仲間は大切なのかと、しかし薫と紫穂はもっと大切なのだと。
お互いに相手の存在を否定しあう。その僅かな膠着を崩したのは階下から響く爆音だった。
「な、なんや!?」
「なに、この音!?」
「なに、この音!?」
遠くのような近くのような、それでいて城を揺るがすほどの爆発音。
何が起こったのか。周囲に気を配っても、礼拝堂で起こった大爆発を彼女達が知るすべはない。
両者に走った僅かな動揺、お互いが僅かな隙を狙い、そして警戒して二人は再び睨みあった。
何が起こったのか。周囲に気を配っても、礼拝堂で起こった大爆発を彼女達が知るすべはない。
両者に走った僅かな動揺、お互いが僅かな隙を狙い、そして警戒して二人は再び睨みあった。
「ひぃっ!?」
葵が短い悲鳴を上げた。
いつの間にか片腕の自由を取り戻していたベルカナが葵の腕を横から掴んだのだ。
爆音の主でも目の前のサイコキノでもない、無力化したはずの少女に腕を捕まれただけ。
たったそれだけのことだが、ホラー映画の途中で悪戯された子供のように虚を突かれたことと
爆音が連想させたフランドールへの恐怖心が重なり、葵は反射的に手を引っこめるかのように
ベルカナからテレポートで数m離れてしまった。
いつの間にか片腕の自由を取り戻していたベルカナが葵の腕を横から掴んだのだ。
爆音の主でも目の前のサイコキノでもない、無力化したはずの少女に腕を捕まれただけ。
たったそれだけのことだが、ホラー映画の途中で悪戯された子供のように虚を突かれたことと
爆音が連想させたフランドールへの恐怖心が重なり、葵は反射的に手を引っこめるかのように
ベルカナからテレポートで数m離れてしまった。
「今だ、行ってダイレク!」
葵自身が失敗したと認識するより早く、睨み合いの呪縛から逃れた大剣が彼女に迫る。
斬撃を避けるため、今度は緊急テレポートで鉄扉の前まで移動するが、大剣は葵のいた場所の
手前で大きく曲がるとベルカナに乗っている戸棚へと突き刺さった。
そのままフォークリフトのように持ち上げると、大剣は戸棚を葵に向かって投げ付ける。
斬撃を避けるため、今度は緊急テレポートで鉄扉の前まで移動するが、大剣は葵のいた場所の
手前で大きく曲がるとベルカナに乗っている戸棚へと突き刺さった。
そのままフォークリフトのように持ち上げると、大剣は戸棚を葵に向かって投げ付ける。
(あの子、直接戸棚を動かしたり、殴りには来ぃへん? もしかして大きな物は動かせないん?)
砕けながら飛来する戸棚を危なげなくテレポートで回避しつつ、そんなことを考える。
危惧したよりも超度が低いか、自分と同じように能力を制限されているのかは分からない。
他に分かることは室内にある武器として扱えそうな物が底をついたこと、巨大な剣を自在に操る
サイコキノには迂闊に接近できないことくらいだ。
ベルカナに駆け寄るイエロー、そして空中の大剣が番犬のように葵を威嚇していた。
危惧したよりも超度が低いか、自分と同じように能力を制限されているのかは分からない。
他に分かることは室内にある武器として扱えそうな物が底をついたこと、巨大な剣を自在に操る
サイコキノには迂闊に接近できないことくらいだ。
ベルカナに駆け寄るイエロー、そして空中の大剣が番犬のように葵を威嚇していた。
「……セコい真似しくさってからに!」
葵はギリギリと鳴らしながら親の仇のようにイエローを睨み付けた。
飛び回る大剣の余波で部屋の物品は砕かれ、床は台風が通った後のように散らかり放題だ。
それが意味するところは、武器になりそうな物を奪われたというだけではない。
床一面に散らばった破片は、サイコキノにとって絶好の凶器に早変わりするのだ。
室内で四方八方から襲われれば、今の自分で逃げ切れるものではない。
飛び回る大剣の余波で部屋の物品は砕かれ、床は台風が通った後のように散らかり放題だ。
それが意味するところは、武器になりそうな物を奪われたというだけではない。
床一面に散らばった破片は、サイコキノにとって絶好の凶器に早変わりするのだ。
室内で四方八方から襲われれば、今の自分で逃げ切れるものではない。
そしてもう一人の少女。サイコキノではなく、あっさりと押し潰された方だ。
弱いのは当然だが、あの状況で腕を掴んできた。それは、ただの悪足掻きだとは思う。
だがもしサイコキノと組んでいるエスパーだったら。そう一度意識すると疑心暗鬼になってしまう。
戦闘向きでなければテレパスか、でなければサイコメトリーか。
寄り添って立つイエローとベルカナの姿が、薫と紫穂の姿とダブった。
怒りに任せて飛び掛かかり、寄り添う二人を八つ裂きにすらしたくなる。
だが薫と紫穂を助けるまで無茶は出来ない、してはいけないと自己を押さえつけた。
弱いのは当然だが、あの状況で腕を掴んできた。それは、ただの悪足掻きだとは思う。
だがもしサイコキノと組んでいるエスパーだったら。そう一度意識すると疑心暗鬼になってしまう。
戦闘向きでなければテレパスか、でなければサイコメトリーか。
寄り添って立つイエローとベルカナの姿が、薫と紫穂の姿とダブった。
怒りに任せて飛び掛かかり、寄り添う二人を八つ裂きにすらしたくなる。
だが薫と紫穂を助けるまで無茶は出来ない、してはいけないと自己を押さえつけた。
「覚えとれよ! あんたら必ずギッタンギッタンにしたるわ!」
ドラマに出てくる関西風ヤクザのような捨て台詞を残して、葵は室外へとテレポートした。
「え、退いてくれた……良かった……」
静まり返った部屋の中で、サイコキノと誤認されたイエローが安堵の息を漏らしていた。
○ ○ ○
葵は城内を次々とテレポートを繰り返してゆく。寝室、私室、書斎、書庫その他もろもろ。
二人組のエスパーとはいえ片方は重症、部屋に出口は一つしか無く、遠くにはいけない。
城内にいるスカーレット(姉)に見つかれば、弄り殺されることだろう。
薫と紫穂のことを聞き出せなかったのは辛いが、仕方がない。
どうせ本当の事を言うとも限らないのだから、最初から躊躇せず殺せばよかったのだ。
あんな二人組にどうこうされる薫と紫穂ではないだろう。今はそう信じるしかない。
二人組のエスパーとはいえ片方は重症、部屋に出口は一つしか無く、遠くにはいけない。
城内にいるスカーレット(姉)に見つかれば、弄り殺されることだろう。
薫と紫穂のことを聞き出せなかったのは辛いが、仕方がない。
どうせ本当の事を言うとも限らないのだから、最初から躊躇せず殺せばよかったのだ。
あんな二人組にどうこうされる薫と紫穂ではないだろう。今はそう信じるしかない。
(でも、あいつら見逃してええんか?)
少年の惨殺死体が脳裏に浮かぶ。今は、まだ、薫と紫穂に何もしていないのかも知れない。
だが、これから、何かするかも知れない。あの少年のように惨殺するかもしれない
だが、これから、何かするかも知れない。あの少年のように惨殺するかもしれない
(とーぜん、見逃したらアカンよなぁ)
葵は手当たり次第に目に付いた部屋に入ると中の家具を廊下へとテレポートさせていた。
既にベルカナ達のいた部屋の前には、ベッドを二つばかりテレポートさせ逃げ道を奪っている。
5分ほどで次々と近くの部屋から家具が、先程の部屋前へと積み上げられていった。
葵の悩んでいたのではない。
薫と紫穂の情報を聞き出さずに、あの少女達を殺すことを自分に納得させていたのだ。
既にベルカナ達のいた部屋の前には、ベッドを二つばかりテレポートさせ逃げ道を奪っている。
5分ほどで次々と近くの部屋から家具が、先程の部屋前へと積み上げられていった。
葵の悩んでいたのではない。
薫と紫穂の情報を聞き出さずに、あの少女達を殺すことを自分に納得させていたのだ。
(逃げ場はないで。防げるもんなら防いでみい)
山と詰まれた家具と、開いた形跡のない鉄扉。
その二つを前にした葵は深呼吸して心を落ち着かせて、静かに呟いた。
その二つを前にした葵は深呼吸して心を落ち着かせて、静かに呟いた。
「死にさらせ」
質量という名の兵器を矢継ぎ早に部屋内へテレポートさせた。
たった三十センチの高さから落とすだけでも、重量だけで徐行する車並の破壊力を持つ。
無数の部屋から掻き集められたそれらが一つの部屋へ放り込まれるまで、一分も掛からなかった。
たった三十センチの高さから落とすだけでも、重量だけで徐行する車並の破壊力を持つ。
無数の部屋から掻き集められたそれらが一つの部屋へ放り込まれるまで、一分も掛からなかった。
普段ならこの程度の連続テレポートなど造作もないのだが、今はやけに疲れる。
葵は乱れた息を整え、静かになった部屋の中へとテレポートした。
確認したかった。二人は死んだだろうか、もし生きていても重症は逃れないだろう。
もし生きていたなら、もう一度だけ薫と紫穂のことを聞いてみよう。
漠然とそんな事を考えていた。もしかして防がれたかも、そんな不安も心の隅にあった。
葵は乱れた息を整え、静かになった部屋の中へとテレポートした。
確認したかった。二人は死んだだろうか、もし生きていても重症は逃れないだろう。
もし生きていたなら、もう一度だけ薫と紫穂のことを聞いてみよう。
漠然とそんな事を考えていた。もしかして防がれたかも、そんな不安も心の隅にあった。
「ゴホッ、ゴホッ、やったんか?」
部屋の中は埃が舞い上がって凄い事になっていた。
もう少し待ってから入ればよかった、そんな事を考えつつ周囲に気を配る。
万が一、サイコキノが生きていても対処できるように細心の注意を払って死体を探す。
もう少し待ってから入ればよかった、そんな事を考えつつ周囲に気を配る。
万が一、サイコキノが生きていても対処できるように細心の注意を払って死体を探す。
(凄い埃やなぁ、ん?)
宙を舞う埃は眩しい日光の中に、プランクトンのような幕を作っていた。
だがどこか変だ。小さな窓には鉄格子が嵌っていたはず、その影がないのだ。
壁際までテレポートすると鉄格子を外された小窓を見上げた。
だがどこか変だ。小さな窓には鉄格子が嵌っていたはず、その影がないのだ。
壁際までテレポートすると鉄格子を外された小窓を見上げた。
(逃げられた? あんな所から?)
暫し愕然とするが、すぐに気を取り直す。絶対に逃がしはしない。
自分の黒星はチルドレンの黒星、薫と紫穂がいないからと言って負けるわけにはいかない。
そう心に誓った時、足に妙な感触を覚えた。まるでケーキを潰したような柔らかい感触。
恐る恐る視線を向けると、ドロリとした奇妙な形に拉げた物体が目に入る。
家具に潰された人間の頭が、浜辺で割られるスイカのように砕け、潰れ、飛び散っていた。
その内容物の上に葵は立っていたのだ。右か左かも分からない眼球が虚空を見つめていた。
自分の黒星はチルドレンの黒星、薫と紫穂がいないからと言って負けるわけにはいかない。
そう心に誓った時、足に妙な感触を覚えた。まるでケーキを潰したような柔らかい感触。
恐る恐る視線を向けると、ドロリとした奇妙な形に拉げた物体が目に入る。
家具に潰された人間の頭が、浜辺で割られるスイカのように砕け、潰れ、飛び散っていた。
その内容物の上に葵は立っていたのだ。右か左かも分からない眼球が虚空を見つめていた。
「――――!!」
込み上げる嘔吐感を両手で押さえて無理やりに飲み込む。
覚悟はしていたが、覚悟だけでどうにか出来るものでもない。
己の意思に反して残された片膝がガクガクと笑い、身体をその場に投げ出す。
改めて潰れた頭部を見れば、頭部に青い毛髪が残っていた。これはさっきの少年の生首か。
直接殺したのが自分ではないと少し安心する反面、恨めしい表情の生首がクチャっと
潰れる様を想像して葵は身悶えた。
覚悟はしていたが、覚悟だけでどうにか出来るものでもない。
己の意思に反して残された片膝がガクガクと笑い、身体をその場に投げ出す。
改めて潰れた頭部を見れば、頭部に青い毛髪が残っていた。これはさっきの少年の生首か。
直接殺したのが自分ではないと少し安心する反面、恨めしい表情の生首がクチャっと
潰れる様を想像して葵は身悶えた。
(こ、この子はもう、ええよ……え?)
少年の頭から視線を逸らそうとした先に、まだ人の姿をしている少女を見つけた。
壁際にいくつか積み重なった家具の隙間に助けられているようにも見える。
逃げようとして間に合わなかったサイコキノか、もう一人の方か、両方か。
壁際にいくつか積み重なった家具の隙間に助けられているようにも見える。
逃げようとして間に合わなかったサイコキノか、もう一人の方か、両方か。
(あれだけやってまだ生きとるんか? 悪運の強いやっちゃな。でもウチの勝ちや。
薫と紫穂を傷つけるような奴は、ウチが全部排除したる)
薫と紫穂を傷つけるような奴は、ウチが全部排除したる)
○ ○ ○
「え、退いてくれた……良かった……」
静まり返った部屋の中で、サイコキノと誤認されたイエローが溜め息を漏らした。
助かったと思うと同時に、相手の子を傷つけないで済んだという安堵も含んでいるのだろう。
助かったと思うと同時に、相手の子を傷つけないで済んだという安堵も含んでいるのだろう。
「あ、ベルカナさん、大丈夫ですか?!」
「ええ大丈夫。ありがとうイエローさん、助かりましたわ」
「だ、だって血がこんなに……」
「出血しているので大袈裟に見えますけれど、幸い軽傷ですわよ。冒険者にはよくある事です」
「ええ大丈夫。ありがとうイエローさん、助かりましたわ」
「だ、だって血がこんなに……」
「出血しているので大袈裟に見えますけれど、幸い軽傷ですわよ。冒険者にはよくある事です」
体中から血を流し、全然大丈夫そうには見えないベルカナが平然と言い放った。
それでも心配するイエローを「大丈夫」の一言で黙らせる。精一杯の虚勢。
本当は立っているだけでも辛い、だがここでイエローに弱気を見せるわけには行かない。
それでも心配するイエローを「大丈夫」の一言で黙らせる。精一杯の虚勢。
本当は立っているだけでも辛い、だがここでイエローに弱気を見せるわけには行かない。
「あの子、一体――」
「シー!」
――ゴトッ、ゴトッ
「シー!」
――ゴトッ、ゴトッ
喋りかけたイエローの口をベルカナが塞いだ。
鉄扉の向こうで何かが動くような、何か置かれたような音だった。
鉄扉の向こうで何かが動くような、何か置かれたような音だった。
(出口を塞がれましたか。となると次は―――)
冒険者もモンスターや討伐相手を洞窟や室内に閉じ込める事がある。
その後に取る代表的な方法は二つ。増援や準備万端にしての再侵攻、もしくは焼き討ちだ。
この状況で見逃してくれると考えるのは楽観的過ぎるだろう。
もしも自分が彼女のように無制限にテレポートを使えるのなら、即席で効果的な戦法は一つだ。
それに相手がテレポートを使うのでは、ここで普通に逃げても直ぐ追いつかれてしまうだろう。
その後に取る代表的な方法は二つ。増援や準備万端にしての再侵攻、もしくは焼き討ちだ。
この状況で見逃してくれると考えるのは楽観的過ぎるだろう。
もしも自分が彼女のように無制限にテレポートを使えるのなら、即席で効果的な戦法は一つだ。
それに相手がテレポートを使うのでは、ここで普通に逃げても直ぐ追いつかれてしまうだろう。
「急いで逃げないといけませんわね。イエローさん、小窓の鉄格子を斬れますか?」
「うん、多分。ダイレク、お願い」
「うん、多分。ダイレク、お願い」
ふわりと舞い上がった魔剣が、まるで鉄格子がチョコレートであるかのように軽く切断した。
明かり取りの小窓は小さいが子供なら、小柄なイエローなら何とか通れるだろう。
それを確認したベルカナは荷物から首輪と一枚のコインを取り出し、イエローの手に握らせた。
明かり取りの小窓は小さいが子供なら、小柄なイエローなら何とか通れるだろう。
それを確認したベルカナは荷物から首輪と一枚のコインを取り出し、イエローの手に握らせた。
「あなたはそこからお逃げなさい。私は多分すぐ戻ってくるあの子を引き止めてみます」
「え? やだ、そんなのやだ! 一人で逃げるなんて、ベルカナさんまでいなくなったら僕――」
「あらあら、何を勘違いしているのかしら。それは後であなたを探すための目印ですわよ」
「でも――」
「え? やだ、そんなのやだ! 一人で逃げるなんて、ベルカナさんまでいなくなったら僕――」
「あらあら、何を勘違いしているのかしら。それは後であなたを探すための目印ですわよ」
「でも――」
納得のいかないイエローの口に、ベルカナは人差し指を当てて言葉を封じた。
イエローの耳元で時間がないこと、自分に勝算があること、二人一緒だと危険なことを
適当に含ませ、とびきりの笑顔を見せて、彼女に一人で逃げることを承諾させた。
純真なイエローを言いくるめるなど、闇市で値切るよりも容易いことだった。
イエローの耳元で時間がないこと、自分に勝算があること、二人一緒だと危険なことを
適当に含ませ、とびきりの笑顔を見せて、彼女に一人で逃げることを承諾させた。
純真なイエローを言いくるめるなど、闇市で値切るよりも容易いことだった。
「うふふ。私のいない間、悪い子に騙されちゃ駄目よ。あなたは素直すぎですからね。
ダイレク、イエローのことをお願いね」
ダイレク、イエローのことをお願いね」
飄々と騙している本人が警告をする。自分が一緒にいる間は騙されてもいいのだ。
少女を頼まれた魔剣はクルクルと戸惑ったように回転していた。
少女を頼まれた魔剣はクルクルと戸惑ったように回転していた。
「はい……でも本当に大丈夫ですか……本当にまた――」
「大丈夫、魔法使いのお姉さんを信用なさい。じゃあ、また後で」
「……また、後で」
「大丈夫、魔法使いのお姉さんを信用なさい。じゃあ、また後で」
「……また、後で」
意を決めたイエローが小窓から城外へ飛び出す。下が水とはいえ城の四階、十分危険な高さ。
だがシルフェのフードが風を巻き上げ、彼女の身体を押し上げると足元にダイレクが滑り込む。
魔剣に乗った彼女は、まるで風の波でサーフィンでもするかのように空を駆けて行った。
だがシルフェのフードが風を巻き上げ、彼女の身体を押し上げると足元にダイレクが滑り込む。
魔剣に乗った彼女は、まるで風の波でサーフィンでもするかのように空を駆けて行った。
(さて、私も悪足掻きをしますか)
ベルカナは少し躊躇した後、拾ったガラス片を胸元から下へ滑らせ、一気に衣服を切り裂く。
まだ男に見せた事のない白い肌、揺れるほどない小振りな胸は流れ出る血と傷に汚されている。
幸いにして幾多の裂傷は致命的ではない。だが服と共に傷口から追い出されたガラス片達は
更なる流血の花を置き土産としていった。治療せずにいれば長くは持たない。
このまま時間が立てば鮮血で編んだドレスで着飾ることになるだろう。
傷の重さを知りつつも、ベルカナは下着をも切り裂いて一糸纏わぬ姿を晒した。
お調子者の貧弱盗賊が覗いていないかと少し背筋が寒くなったが、服を脱いだからだろう。
まだ男に見せた事のない白い肌、揺れるほどない小振りな胸は流れ出る血と傷に汚されている。
幸いにして幾多の裂傷は致命的ではない。だが服と共に傷口から追い出されたガラス片達は
更なる流血の花を置き土産としていった。治療せずにいれば長くは持たない。
このまま時間が立てば鮮血で編んだドレスで着飾ることになるだろう。
傷の重さを知りつつも、ベルカナは下着をも切り裂いて一糸纏わぬ姿を晒した。
お調子者の貧弱盗賊が覗いていないかと少し背筋が寒くなったが、服を脱いだからだろう。
どうせ自分の裸を晒すわけではないから全裸でもいいか、そう考えていたのだが、
やはり気恥ずかしさを感じ、汚れが少ないシーツを身に纏う。
服を切り裂いた行為に特に意味はない。ただ脱ぐ時間が惜しかっただけだ。
脱ぎ掛けで死ぬなんて、全裸で死ぬよりも恥ずかしい。
切り裂いた衣服は、見つからないように砕けた戸棚の影へと放り込んだ。
装備品もまとめてランドセルに放り込み、丈のランドセルと一緒に投げ出す。
やはり気恥ずかしさを感じ、汚れが少ないシーツを身に纏う。
服を切り裂いた行為に特に意味はない。ただ脱ぐ時間が惜しかっただけだ。
脱ぎ掛けで死ぬなんて、全裸で死ぬよりも恥ずかしい。
切り裂いた衣服は、見つからないように砕けた戸棚の影へと放り込んだ。
装備品もまとめてランドセルに放り込み、丈のランドセルと一緒に投げ出す。
(後は気力と――運次第ですわね)
ふとイエローに幸運を呼ぶコインを渡したことを思い出す。
後で居場所を探すロケーション用だったが、彼女が自分の幸運を持ってくのなら悪くない。
イエローに吹き込んだように勝算はある。多くて一割か二割。上手くいけば一石三鳥な作戦。
問題は生存率が五割以下と予想できる上に、生き延びても後は運任せ、他人任せなことだ。
それでも高確率で足止めになることを考慮すれば、悪くはない作戦だと思う。
他の方法も考えたが、正面から迎え討てる相手ならイエローを先に逃がしたりはしない。
後で居場所を探すロケーション用だったが、彼女が自分の幸運を持ってくのなら悪くない。
イエローに吹き込んだように勝算はある。多くて一割か二割。上手くいけば一石三鳥な作戦。
問題は生存率が五割以下と予想できる上に、生き延びても後は運任せ、他人任せなことだ。
それでも高確率で足止めになることを考慮すれば、悪くはない作戦だと思う。
他の方法も考えたが、正面から迎え討てる相手ならイエローを先に逃がしたりはしない。
(上手くいったら御喝采)
ベルカナは自分の腕にガラス片を突き立てた。鋭い痛みが頭に響く。
多少回復したとはいえ残りの精神力は少ない、というかハッキリ言って足りない。
魔法を使った後に気絶しては元も子もないのだが、そもそも魔法が発動するかも怪しい。
だからといって諦めるわけにはいかない。足りなければ搾り出す。無理矢理にでも。
ベルカナは残された経験点を精神力へ注ぎ込むかのように、痛みで意識を支えて詠唱した。
多少回復したとはいえ残りの精神力は少ない、というかハッキリ言って足りない。
魔法を使った後に気絶しては元も子もないのだが、そもそも魔法が発動するかも怪しい。
だからといって諦めるわけにはいかない。足りなければ搾り出す。無理矢理にでも。
ベルカナは残された経験点を精神力へ注ぎ込むかのように、痛みで意識を支えて詠唱した。
――シェイプ・チェンジ
それは術者を全く別の存在に変身させる魔法。ベルカナの小柄な身体が、手足が縮んでゆく。
長い栗色の髪は赤みを帯びて短く、発展途上と言い張る小振りな胸もまな板へと萎む。
一瞬で女性を感じさせていたベルカナの肢体は、二次性徴期前の少女のものへと変貌した。
長い栗色の髪は赤みを帯びて短く、発展途上と言い張る小振りな胸もまな板へと萎む。
一瞬で女性を感じさせていたベルカナの肢体は、二次性徴期前の少女のものへと変貌した。
(長くは……意識が……持たない……か)
少女の綺麗な腕にガラス片を突き立て、ベルカナは辛うじて己を現実へ縛り付ける。
先程の魔法でベルカナの精神力は限界を迎えていた。
一瞬でも気を抜けば、死神に根こそぎ意識を刈り取られ、そのまま目覚めない事だろう。
姿を変えてからどれだけ経過したか。数秒か、数分か? 霞む意識では分からない。
何も無い空間から戸棚が、本棚が、ベッドが現れては床に叩き付けられてゆく。
思ったよりも早く、もしくは遅くあの少女が準備万端で殺しに来たのだ。
先程の魔法でベルカナの精神力は限界を迎えていた。
一瞬でも気を抜けば、死神に根こそぎ意識を刈り取られ、そのまま目覚めない事だろう。
姿を変えてからどれだけ経過したか。数秒か、数分か? 霞む意識では分からない。
何も無い空間から戸棚が、本棚が、ベッドが現れては床に叩き付けられてゆく。
思ったよりも早く、もしくは遅くあの少女が準備万端で殺しに来たのだ。
(やはり……そう……来ました……か)
歯を食い縛って虚空を睨みつけるも視界は霞み、身体は糸の切れた人形のようにへたり込む。
姿勢を支える余力も無く、別の世界へ旅立つ意識を未練がましく引き止めるので精一杯。
あの程度の怪我など『ベルカナの身体』ならば苦しみはしても大事は無い。
誤算だったは『変身した少女の身体』にとっては大怪我だったということ。
手足と共に傷口も縮んだので出血は多少抑えられているものの、貧血を起こすには十分だった。
姿勢を支える余力も無く、別の世界へ旅立つ意識を未練がましく引き止めるので精一杯。
あの程度の怪我など『ベルカナの身体』ならば苦しみはしても大事は無い。
誤算だったは『変身した少女の身体』にとっては大怪我だったということ。
手足と共に傷口も縮んだので出血は多少抑えられているものの、貧血を起こすには十分だった。
『き、君はまだこっちに来ちゃいけない! 頑張ってくれ!』
幻聴か、城戸丈の声が聞こえたような気がした。
そんなことは言われなくても分かってる。だからあなたは安心して眠りなさい。
目の前の床に転がっている城戸丈の首に向かって、そう視線で答える。
空元気でも声を出せる余裕は残っていない。
そんなことは言われなくても分かってる。だからあなたは安心して眠りなさい。
目の前の床に転がっている城戸丈の首に向かって、そう視線で答える。
空元気でも声を出せる余裕は残っていない。
頭上から襲い来る凶器に残された全ての気力を叩き付け、そしてベルカナは意識を失った。
○ ○ ○
「何があったん!? しっかりせい! ウチや、葵や!」
葵は折り重なった家具の隙間にいた少女へ必死に呼びかけていた。
彼女の頭には、先程までの物騒な考えなど微塵も残っていない。
家具の山から少女を助け出し、力一杯に抱きしめていた。
なぜなら、その少女は人を殺してでも守ろうとした大切な仲間だから。
見間違えるはずは無い。明石薫だ。親よりも長く付き合っている仲間。
彼女が何故ここにいるかなど、深くは考える余裕は無かった。
抑えていた色々な感情が、最も大切な仲間と再会できたことで爆発していたのだ。
彼女の頭には、先程までの物騒な考えなど微塵も残っていない。
家具の山から少女を助け出し、力一杯に抱きしめていた。
なぜなら、その少女は人を殺してでも守ろうとした大切な仲間だから。
見間違えるはずは無い。明石薫だ。親よりも長く付き合っている仲間。
彼女が何故ここにいるかなど、深くは考える余裕は無かった。
抑えていた色々な感情が、最も大切な仲間と再会できたことで爆発していたのだ。
「起きろや薫! あいつらにナニされたん!? 返事せぇよ!」
必死に薫へ呼びかけるが、意識の戻る気配は一向に無い。
薫はシーツ1枚の他は何も身に着けておらず、拷問でも受けたのか全身が傷付いていた。
腹部や手足の一部は腫上がり、左腕には抉ったような深い傷が残されている。
鋭い物で刻まれたような無数の裂傷は身体のいたるところに見られたが、幸い葵の知識でも
応急処置の可能な程度のものだった。楽観は出来ないが命に別条は無いだろう。
薫はシーツ1枚の他は何も身に着けておらず、拷問でも受けたのか全身が傷付いていた。
腹部や手足の一部は腫上がり、左腕には抉ったような深い傷が残されている。
鋭い物で刻まれたような無数の裂傷は身体のいたるところに見られたが、幸い葵の知識でも
応急処置の可能な程度のものだった。楽観は出来ないが命に別条は無いだろう。
それなのに薫の意識は戻らなかった。
平らな胸にそっと手を当てるとトクン、トクンと温かい生命の鼓動を感じられる。
生きている、その穏やかなリズムは葵の心を落ち着けていく。
そうだ。薫や紫穂が死ぬわけない。大丈夫、すぐに紫穂も見つかる。
なぜなら薫は見つかったのだから。そして自分と薫の二人が探すのだから、すぐに見つかる。
平らな胸にそっと手を当てるとトクン、トクンと温かい生命の鼓動を感じられる。
生きている、その穏やかなリズムは葵の心を落ち着けていく。
そうだ。薫や紫穂が死ぬわけない。大丈夫、すぐに紫穂も見つかる。
なぜなら薫は見つかったのだから。そして自分と薫の二人が探すのだから、すぐに見つかる。
「相変わらず、アンタはねぼすけやなぁ。ええわ、ウチが守ったるからゆっくり寝とき」
腕に抱いた薫の頬を軽く指先でつつく。普段は騒々しいが寝顔は天使のように可愛らしい。
葵は薫の体を優しく拭う。バベルの制服を着ていたはずなのに、シーツの下は何故か全裸だった。
あの二人にどんな酷い事をされたのだろう。もう少し遅かったら、そう考えただけでも恐ろしい。
偶然ここに気が付かなかったら、今頃は青髪の少年のようにされていたのだろう。
あの少女がバベルの制服を知っていたのは、薫を脱がして酷い事をしたからだ。
猟奇殺人のイメージから、あの二人に性的な暴行を受ける最悪の事態を思い浮かべて――
しまいそうだったが、葵の乏しい性知識では薫が二人にセクハラしている姿しか浮かばなかった。
とにかくあの二入が薫に酷い事をしたに違いない。
葵は薫の体を優しく拭う。バベルの制服を着ていたはずなのに、シーツの下は何故か全裸だった。
あの二人にどんな酷い事をされたのだろう。もう少し遅かったら、そう考えただけでも恐ろしい。
偶然ここに気が付かなかったら、今頃は青髪の少年のようにされていたのだろう。
あの少女がバベルの制服を知っていたのは、薫を脱がして酷い事をしたからだ。
猟奇殺人のイメージから、あの二人に性的な暴行を受ける最悪の事態を思い浮かべて――
しまいそうだったが、葵の乏しい性知識では薫が二人にセクハラしている姿しか浮かばなかった。
とにかくあの二入が薫に酷い事をしたに違いない。
「起きたら一緒に紫穂を探そうな。ウチらなら直ぐ見つかるに決まっとる。
そんで三人揃って、あの女達をぎったんぎったんに仕返ししたろうな」
そんで三人揃って、あの女達をぎったんぎったんに仕返ししたろうな」
自分の腕に抱いている薫が、殺意を向ける相手ベルカナ本人だとは想像もしていなかった。
○ ○ ○
その頃『本物』の明石薫はというと――
「あっちゃー、こっちに飛んでったと思ったんだけどな。」
飛翔するゲイボルグを人影と勘違いした薫は、槍の飛んでいった方向、南へ向かっていた。
湖上でキョロキョロと周囲を見回すが、湖の周辺に人影は見当たらない。
視力が完全に回復する前に無理して追いかけたため、あっさりとゲイボルグを見失っていたのだ。
湖の中に、ダムに飲み込まれた廃村のような街を見つけた薫は、ジーッと湖底を見つめる。
少し顔を水に突っ込んで探して見てみたが、すぐに飽きた。
湖上でキョロキョロと周囲を見回すが、湖の周辺に人影は見当たらない。
視力が完全に回復する前に無理して追いかけたため、あっさりとゲイボルグを見失っていたのだ。
湖の中に、ダムに飲み込まれた廃村のような街を見つけた薫は、ジーッと湖底を見つめる。
少し顔を水に突っ込んで探して見てみたが、すぐに飽きた。
「水の中に人がいるわけないよなー。向こう岸に降りたのかな……ん、なんだありゃ」
波も少ない湖上を静かに漂う赤い宝石に薫は首を傾げた。なんで宝石が浮いているんだろ?
それは見る者を安心させるような柔らかな光を発して、薫の視線を静かに受け止めていた。
それは見る者を安心させるような柔らかな光を発して、薫の視線を静かに受け止めていた。
【E-6/湖上(飛行中)/1日目/昼】
【明石薫@絶対可憐チルドレン】
[状態]:ぐっすり眠って疲労は回復。右足打撲。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、バレッタ人形@ヴァンパイアセイヴァー
[思考]:何だろ、これ? さっきの影は何処に行っちゃったんだろ?
第一行動方針:葵や紫穂を探す。二人に危害を加える奴は容赦しない
第ニ行動方針:とりあえず、あの女(ベルカナ)に仕返しをする
最終行動方針:ジェダをぶっ飛ばして三人で帰る
[備考]: 湖上のローザミスティカ(翠星石)を発見しました
上空を南に飛んでゆくゲイボルグを人影と誤認した上、見失っています。
(横に投げて太陽光が城内に入ったのでゲイボルグを南方向きに投げたと判断しました)。
【明石薫@絶対可憐チルドレン】
[状態]:ぐっすり眠って疲労は回復。右足打撲。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、バレッタ人形@ヴァンパイアセイヴァー
[思考]:何だろ、これ? さっきの影は何処に行っちゃったんだろ?
第一行動方針:葵や紫穂を探す。二人に危害を加える奴は容赦しない
第ニ行動方針:とりあえず、あの女(ベルカナ)に仕返しをする
最終行動方針:ジェダをぶっ飛ばして三人で帰る
[備考]: 湖上のローザミスティカ(翠星石)を発見しました
上空を南に飛んでゆくゲイボルグを人影と誤認した上、見失っています。
(横に投げて太陽光が城内に入ったのでゲイボルグを南方向きに投げたと判断しました)。
【F-3/城外(空)/1日目/昼】
【イエロー・デ・トキワグローブ@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:擦り傷多少、破ったシーツを身体に巻きつけた、深い悲しみ
[装備]:シルフェのフード@ベルセルク、魔剣ダイレク@ヴァンパイアセイヴァー
おみやげのコイン@MOTHER2
[道具]:スケッチブック、基本支給品、首輪@城戸丈、
[思考]:ベルカナさん……大丈夫ですよね? 絶対また会えますよね?
第一行動方針:城から離れる
第二行動方針:レッド達と合流し、このゲームを破る方法を考える
第三行動方針:丈の友人と合流し伝言を伝え、協力を仰ぐ
第四行動方針:丈の首輪を調べる。または調べる事の出来る人間を探す。
基本行動方針:ゲームには絶対乗らない
参戦時期:2章終了時点(四天王との最終決戦後。まだレッドに自分の正体を明かしていない)
[備考]:魔剣ダイレクのソードエレメンタル系は魔力を必要とするため使用不可
魔剣ダイレクとシルフェのフードを併用して飛行中(風で跳んで、ダイレクで滑空を繰り返し)
イエローの進行方向は次の書き手さん任せです
【イエロー・デ・トキワグローブ@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:擦り傷多少、破ったシーツを身体に巻きつけた、深い悲しみ
[装備]:シルフェのフード@ベルセルク、魔剣ダイレク@ヴァンパイアセイヴァー
おみやげのコイン@MOTHER2
[道具]:スケッチブック、基本支給品、首輪@城戸丈、
[思考]:ベルカナさん……大丈夫ですよね? 絶対また会えますよね?
第一行動方針:城から離れる
第二行動方針:レッド達と合流し、このゲームを破る方法を考える
第三行動方針:丈の友人と合流し伝言を伝え、協力を仰ぐ
第四行動方針:丈の首輪を調べる。または調べる事の出来る人間を探す。
基本行動方針:ゲームには絶対乗らない
参戦時期:2章終了時点(四天王との最終決戦後。まだレッドに自分の正体を明かしていない)
[備考]:魔剣ダイレクのソードエレメンタル系は魔力を必要とするため使用不可
魔剣ダイレクとシルフェのフードを併用して飛行中(風で跳んで、ダイレクで滑空を繰り返し)
イエローの進行方向は次の書き手さん任せです
【F-3/城の一室/1日目/昼】
【野上葵@絶対可憐チルドレン】
[状態]:左足損失、超能力の連続使用による疲労、安堵感
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、懐中時計型航時機『カシオペア』@魔法先生ネギま!、飛翔の蝙也の翼@るろうに剣心
ベルカナのランドセル(基本支給品、黙陣の戦弓@サモンナイト3、返響器@ヴァンパイアセイヴァー)
[思考]:良かった。薫が無事でホンマに良かった。
第一行動方針:薫はウチが守ったる
第ニ行動方針:薫と一緒に志穂を探す
第三行動方針:レミリアかフランドールに出くわしたら、逃げる
第四行動方針:逃げた変質者(ベルカナとイエロー)は必ずぎったんぎったんにしたる
基本行動方針:三人揃って皆本のところに帰りたい
[備考]:ベルカナが変身した明石薫を本物だと思い込んでいます。
イエローをサイコキノ、ベルカナも何らかのエスパーと認識しました。
なお二人が城戸丈を猟奇的に殺害し、薫に暴行をしたと思っています。
【野上葵@絶対可憐チルドレン】
[状態]:左足損失、超能力の連続使用による疲労、安堵感
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、懐中時計型航時機『カシオペア』@魔法先生ネギま!、飛翔の蝙也の翼@るろうに剣心
ベルカナのランドセル(基本支給品、黙陣の戦弓@サモンナイト3、返響器@ヴァンパイアセイヴァー)
[思考]:良かった。薫が無事でホンマに良かった。
第一行動方針:薫はウチが守ったる
第ニ行動方針:薫と一緒に志穂を探す
第三行動方針:レミリアかフランドールに出くわしたら、逃げる
第四行動方針:逃げた変質者(ベルカナとイエロー)は必ずぎったんぎったんにしたる
基本行動方針:三人揃って皆本のところに帰りたい
[備考]:ベルカナが変身した明石薫を本物だと思い込んでいます。
イエローをサイコキノ、ベルカナも何らかのエスパーと認識しました。
なお二人が城戸丈を猟奇的に殺害し、薫に暴行をしたと思っています。
- テレポートについて
葵のテレポートは有効活用すると「装備取り上げ」や「石の中にいる」が強力過ぎと判断し
「意識のある参加者(&身に着けている所持品)は当事者の同意無しでは転移不可」として描写しています。
「意識のある参加者(&身に着けている所持品)は当事者の同意無しでは転移不可」として描写しています。
修正
【偽明石薫(ベルカナ=ライザナーザ@新ソードワールドリプレイ集NEXT)】
[状態]:気絶、明石薫に変身中。左腕に深い切り傷、全身に打撲と裂傷(応急手当済み?)、
あばら骨数本骨折(他も骨折している可能性あり)、出血による体力消耗
[装備]:全裸(シーツを羽織っている)、
[道具]:なし
[思考]:気絶中(ベタだけど記憶喪失のふりでもしようかしら)
第一行動方針:明石薫のふりをして、この場を切り抜ける
第二行動方針:イエローと合流し、丈からの依頼を果たせるよう努力はする(無理はしない)
第三行動方針:仲間集め(イエローと丈の友人の捜索。ただし簡単には信用はしない)
基本行動方針:ジェダを倒してミッションクリア
参戦時期:原作7巻終了後
[備考]:制限に加え魔法発動体が無い為、攻撃魔法の威力は激減しています。
変身魔法を解除した場合、本来の状態(骨折数箇所、裂傷多数、他)に戻ります。
鉄扉に魔法が掛かっている為、ベルカナ以外は解呪か扉を破壊するかしないと開きません。
【偽明石薫(ベルカナ=ライザナーザ@新ソードワールドリプレイ集NEXT)】
[状態]:気絶、明石薫に変身中。左腕に深い切り傷、全身に打撲と裂傷(応急手当済み?)、
あばら骨数本骨折(他も骨折している可能性あり)、出血による体力消耗
[装備]:全裸(シーツを羽織っている)、
[道具]:なし
[思考]:気絶中(ベタだけど記憶喪失のふりでもしようかしら)
第一行動方針:明石薫のふりをして、この場を切り抜ける
第二行動方針:イエローと合流し、丈からの依頼を果たせるよう努力はする(無理はしない)
第三行動方針:仲間集め(イエローと丈の友人の捜索。ただし簡単には信用はしない)
基本行動方針:ジェダを倒してミッションクリア
参戦時期:原作7巻終了後
[備考]:制限に加え魔法発動体が無い為、攻撃魔法の威力は激減しています。
変身魔法を解除した場合、本来の状態(骨折数箇所、裂傷多数、他)に戻ります。
鉄扉に魔法が掛かっている為、ベルカナ以外は解呪か扉を破壊するかしないと開きません。
- 「シェイプ・チェンジ」について
明石薫に変身しています。持続時間は永続(本人の任意で解除)で精神以外は完全に薫です。
超能力もコピーされていますが、経験不足なので消耗は激しい上、使い分けは出来ません。
超能力もコピーされていますが、経験不足なので消耗は激しい上、使い分けは出来ません。
≪096:セイギとギセイ/DOMINO | 時系列順に読む | 099:霧中逃避行 ~Panic Hopper~≫ |
≪096:セイギとギセイ/DOMINO | 投下順に読む | 098:隠密少女≫ |
≪082:世の中捨てたものじゃないから | 明石薫の登場SSを読む | 109:出会いはいつも最悪で≫ |
≪084:籠の中の鳥達 | イエローの登場SSを読む | 118:迷走≫ |
野上葵の登場SSを読む | 108:使用上の注意をよく読んでください≫ | |
ベルカナの登場SSを読む |