概要
『王后沈清(왕후심청 ワンフシムチョン)』(英題:Empress Chung)は、ネルソン・シン監督による2005年の韓国・北朝鮮合作長編アニメーション映画。
原案は韓国の有名な民話『沈清伝』。盲目の父親の視力を取り戻すべく自らを犠牲にする娘の物語である。
原案は韓国の有名な民話『沈清伝』。盲目の父親の視力を取り戻すべく自らを犠牲にする娘の物語である。
南北朝鮮で同時に公開された最初の映画であり、2004年のアヌシー国際アニメーション映画祭で上映され、韓国でも複数の賞を受賞した。
この映画はネルソン・シン氏の夢のプロジェクトであり、彼自身の会社AKOMアニメーションと北朝鮮のSEKスタジオ(朝鮮4.26漫画映画撮影所)が数年かけて制作した。
あらすじ
時代は李氏朝鮮時代。忠誠心の強い大臣シム・ハックは、悪い官僚の陰謀により目が見えなくなる。娘のチョン(清)はそんな盲目の父に尽くし、貧乏ながらも幸せな暮らしを送っていた。あるとき、供養米三百石を霊廟に供えれば、父の目に光を取り戻せるという迷信を聞く。14歳になったチョンは、米を調達するため、海の神の人身御供となることを決心し、海に身を投げる-。
南北初の合作、「シンプソンズ」「ピンクパンサー」を生み出した(*1)監督が贈る-世界が絶賛-感動の長編ファンタジー
封印
『王后沈清』はソフト化されることなく、ただ姿を消した。この映画に関するネット上の情報は、予告編、サウンドテストアニメーション、いくつかの静止画、そして児童書のコレクションのみである。
ヨハネス・シェーンヘル氏が最近入手した北朝鮮のDVDについて語る際にこの映画について言及した(*2)ことは、韓国内外でDVDが発売されていないにもかかわらず、北朝鮮では発売された可能性があることを示唆する。しかし、さらなる証拠がなければ、北朝鮮で実際にDVDが発売されたかどうかは否定も肯定もできない。
もう一つ注目すべき点は、FilmDooに『王后沈清』のページがあり、ユーザーはプラットフォーム上で映画を視聴したい場合に投票できるということである。
封印の理由
この映画が韓国でソフト化されなかった最も明白な理由は、興行収入が大きく低迷したことである。それだけでなく、金正恩の権力掌握以来、南北朝鮮間の緊張が高まり、韓国メディアに対する北朝鮮の対応と緊張がさらに悪化している。KOAA films(訳注:ネルソン・シン氏が運営する会社)は、人々に北朝鮮との協力関係を思い出させたくないのかもしれない(*3)。
この映画は2021年にちょっとした論争を巻き起こした。当時物議を醸していた韓国の(後の)ファーストレディ・金建希がこの映画で賞を受賞したと主張、それに対しAKOMは彼女と仕事をしたことはないと指摘した(*4)。しかし、彼女とその夫尹錫悦には数多くの論争があるとはいえ、それが映画の封印につながったとは考えにくい。
可用性
興行的には失敗に終わったものの、公開以来、数々の映画祭に出品されている。2007年にはアジア文化遺産月間のイベントの一環として、イースタン・イリノイ大学で上映されたようである。 2009年にはミシガン大学でも上映された。さらに、2019年には平昌南北平和映画祭にも再出品された。また、中国のCCTV-6電影でも放映されたことがある。
(訳注:元記事では触れられていないが、日本では2008年に京都シネマで『シムチョン』として国内初公開され、2009年にもユナイテッド・シネマ前橋で『エンプレス・チョン』の題で上映されている。)
(訳注:元記事では触れられていないが、日本では2008年に京都シネマで『シムチョン』として国内初公開され、2009年にもユナイテッド・シネマ前橋で『エンプレス・チョン』の題で上映されている。)
この映画が北朝鮮のテレビで放映された可能性も否定できない。放映されたとすれば、KCTVか映画専門の万寿台テレビのいずれかだと思われる。また、映画をストリーミング配信している北朝鮮専用のSTB「マンバン(만방)」で放映された可能性も否定できない。ただし、この機器は北朝鮮や、中国の一部のレストラン・バーでのみ販売されている。
2017年には韓国コンテンツ新興院のウェブサイトで『王后沈清』が短期間ストリーミング配信され、少なくとも3000回の視聴回数を記録した。しかし、2019年のある時点でリンクにアクセスできなくなった。
この映画のネガは韓国映画資料院に保管されているようだが、一般公開されていない。統一部のアーカイブにもコピーが保管されているとされるが不確実であり、閲覧可能かどうかも現在のところ不明である。
ソウルの韓国国立中央図書館にも所蔵されていると伝えられているが、オンラインで検索すると書籍のリストしか表示されないため、ラベルの誤りあるいは簡単な要約の可能性がある。(訳注:実際に国立中央図書館で『王后沈清』のDVDを所蔵しており、会員登録すれば5階の北朝鮮資料センターDVD室で視聴可能であることが下記「発見」の数ヶ月前に判明していた。ロストメディアマイナーギャラリーの投稿)
ソウルの韓国国立中央図書館にも所蔵されていると伝えられているが、オンラインで検索すると書籍のリストしか表示されないため、ラベルの誤りあるいは簡単な要約の可能性がある。(訳注:実際に国立中央図書館で『王后沈清』のDVDを所蔵しており、会員登録すれば5階の北朝鮮資料センターDVD室で視聴可能であることが下記「発見」の数ヶ月前に判明していた。ロストメディアマイナーギャラリーの投稿)
発見
2025年10月、この映画の様々なマーケティング資料が日本のYahoo!オークションに出品された。その中には、日本の配給会社に提供された完全版の映像と、英語圏の配給会社に提供された部分的なコピーが含まれていた。YouTubeユーザーのFileast堂氏がこれらを購入し、NoteluとMsozodというユーザーが2つのソースをクリンナップ・結合して復元した。
映画の全編は、2025年12月31日にFileast堂氏によってYouTubeにアップロードされた。(訳注:2026年1月31日頃ネルソン・シン氏の要請により権利者削除、現在は別のユーザーによって再アップロードされている)
※前項で述べた通り韓国国立中央図書館で手続きを踏めば視聴できることが既に判明していたが、現時点で翻訳元のLMW記事に反映されていないことから恐らく韓国国外のロストメディア界隈には周知されておらず、今回ネット上にアップロードされたことで「発見された」という扱いになっているようである。
メディアギャラリー
サウンドテストアニメーション
参考リンク
- Lost Media Wiki-Empress Chung (found Korean animated film; 2005) 翻訳元
- ヤフオクに出品された時のページ①・②
- namuwiki-왕후심청
- Wikipedia-ネルソン・シン