『ドラえもん』は、藤子・F・不二雄による同名の漫画を原作とした、人気の高い長寿テレビアニメシリーズである。最もよく知られているオリジナル版は1979年から2005年まで放送され、オリジナル版終了から1か月後に開始されたリブート版は現在も放送されている。
しかし、ドラえもんをテレビアニメ化するという試みは、1973年に日本テレビ動画(以前は日放映動画スタジオ、東京テレビ動画として知られていた)が制作したシリーズで最初に行われていた。このシリーズは日本テレビ(日本テレビ動画とは無関係)で1973年4月1日から9月30日まで全26回を放送。各回は2つのエピソードで構成されており、シリーズ全体では52のエピソードがある。
放送打ち切りとその後
このシリーズは視聴率こそ好調で、さらに1年間の延長も検討されていたものの、放送期間中に予算上の問題に直面した。制作スタジオの財政難に加え、テレビ放送中に日本テレビ動画の社長が突然失踪したことで事態は悪化。新社長はアニメをあまり評価していなかったらしく、彼の「もう止めよう」の一言でスタジオは倒産・解散となった。そのため、番組制作に携わった多くのスタッフが(最終2回分の)報酬を受け取れないままとなっている。
日本テレビ動画の解散に伴い、スタジオ内のフィルムリールや備品は負債返済のために売却され、その他の制作資料はゴミとして捨てられるか、灯油で焼却された。日本テレビが意図的に「焼却」を行い、全フィルムを焼失させたという誤った報道もあったが、当時の製作責任者である真佐美ジュン(本名:下崎闊。以下基本的に「真佐美」表記)はこれを否定し、シリーズの制作と運命に関する誤解を払拭した。それでもなお、本編フィルムの大部分は失われたと考えられている。
本作は1970年代を通じて再放送されている。最後に再放送されたのは1979年7~8月の富山県においてだったが、小学館の命令により第9話(第5回Aパート)で突然中止された。放送が始まっていた新アニメ(テレビ朝日版第1期)の評判が本作の存在によって損なわれることや、子どもの視聴者が2つの異なるバージョンを混同することを懸念したためである。これらの時期の録画映像が何らかの形で現存している可能性はある。
藤本弘(藤子・F・不二雄)は、アニメ化を担当したスタジオの選定や、のび太とドラえもんのキャラクター設定の変更に失望していたものの、日本テレビのスタジオ閉鎖に際しては、スタッフに対して何の恨みも抱いておらず、将来的に『ドラえもん』の新たなアニメ化に挑戦できることを願っていたと言われている。
現存する資料
1995年、第18回及び第20~26回のネガフィルムが東洋現像所(現:IMAGICA)に保管されているのが発見された。2003年には、番組の制作責任者だった真佐美が10本のラッシュフィルムを保管していると判明したが、内3本(オープニング・7話・8話)は無音で、オープニングにはクレジットが無い。放送開始前の1972年にはパイロット版も制作されており、こちらも真佐美が所有している。これらは時折、日本のドラえもんファンイベントで上映されているが、制作スタジオの倒産とそれに伴う権利上の問題(権利者の不在)があるため、営利目的で公開することはできない。
エピソードの多くは紛失しており、新聞などのメディアに掲載された静止画のみ現存している。それらのフィルムがどうなったかは不明である。
エピソードの多くは紛失しており、新聞などのメディアに掲載された静止画のみ現存している。それらのフィルムがどうなったかは不明である。
真佐美は2003年にウェブサイト「真佐美ジュンのドラえもん時代」[1]を開設。当時のセル画や設定資料を多数公開した。短期間ではあったが映像も公開しており、その時アップされたオープニング、第2回のエンディング、第3回の予告編が、現在オンラインで入手可能な数少ない番組映像である。
映像ではないが、個人が記録していた録音テープも複数発見されている。
1998年、植田禎明という人物が第36話「くるった腹時計の巻」の音声テープ録音を発見。このテープは「はなバルーン倶楽部」というサイトの運営者「おおはた」に貸し出された。おおはたは1973年版『ドラえもん』に関するサイト「アニメ 旧『ドラえもん』大研究」[2]を運営しており、その中でテープの音声クリップを含むページが作成されたが、その後削除された。
2004年9月3日、日本人高校生「き~ぼ~」が、後に話題となるInfoseekサイト「幻のドラえもんをたずねて…」[3]を開設。同年12月25日、彼は匿名の人物から、オープニングとエンディング、そして野村證券のCMが収録された音声テープを受け取った。サイトは2010年に閉鎖されたが、音声は「internet archive」で聴くことができる[4]。
2010年5月28日、ユーザー「nemoken2000」により、第26回(第51・52話)「ネンドロン大騒動の巻/さようならドラえもんの巻」の音声全編がYouTubeにアップロードされた。
この他、第24話「男は力で勝負するの巻」と前述した「くるった腹時計の巻」の音声クリップもオンラインで視聴可能。
1998年、植田禎明という人物が第36話「くるった腹時計の巻」の音声テープ録音を発見。このテープは「はなバルーン倶楽部」というサイトの運営者「おおはた」に貸し出された。おおはたは1973年版『ドラえもん』に関するサイト「アニメ 旧『ドラえもん』大研究」[2]を運営しており、その中でテープの音声クリップを含むページが作成されたが、その後削除された。
2004年9月3日、日本人高校生「き~ぼ~」が、後に話題となるInfoseekサイト「幻のドラえもんをたずねて…」[3]を開設。同年12月25日、彼は匿名の人物から、オープニングとエンディング、そして野村證券のCMが収録された音声テープを受け取った。サイトは2010年に閉鎖されたが、音声は「internet archive」で聴くことができる[4]。
2010年5月28日、ユーザー「nemoken2000」により、第26回(第51・52話)「ネンドロン大騒動の巻/さようならドラえもんの巻」の音声全編がYouTubeにアップロードされた。
この他、第24話「男は力で勝負するの巻」と前述した「くるった腹時計の巻」の音声クリップもオンラインで視聴可能。
オープニング曲「ドラえもん」とエンディング曲「ドラえもんのルンバ」のフルバージョン、及び挿入歌「あいしゅうのドラえもん」と「ドラえもん いん できしいらんど」もYouTubeにアップロードされている。
現存する映像が公開される可能性についてメールで尋ねたところ、真佐美氏から次のような返信があった。
アメリカのドラえもんファンの皆様へ
メールありがとうございます。
1973年に日本テレビで『ドラえもん』を放送していました(「NTV Doraemon」と「Old Dora」は、日本では「ドラえもん'73」と呼ばれています)。長い間、完全に忘れ去られたものと思っていました。そこで2003年にウェブサイトを作ったのです。番組の映像を観たいというメールをたくさん受け取ったので、ユーザー名とパスワードの登録が必要な会員専用ページを作り、オープニングとエンディングをアップロードしました。数分後、そのページにアクセスできる誰かが両方の映像を別のページ(2ちゃんねる)にアップロードしたと聞き、すぐに自分のサイトから映像を削除しました。ほんの一瞬しか公開しなかったにもかかわらず、今ではYouTubeや他のサイトに溢れています。
アップロードしたことで法律上の問題に巻き込まれ、現在解決に向けて対応中ですが、そのため、今後は映像をオンラインにアップロードすることは控えます。ただし、研究を目的とした講義などで利用できるように提供することはあります。
『ドラえもん』が放送されている間は、映像を公開することができません。ご理解いただければ幸いです。
真佐美ジュン
エピソードリスト
各話タイトルは全て「~の巻」で統一されている。
凡例:現存…完全な映像が現存 一部紛失…不完全な映像が現存 紛失…行方不明
凡例:現存…完全な映像が現存 一部紛失…不完全な映像が現存 紛失…行方不明
| 話数 | 題名 | 放送日(1973年) | 状況 |
| - | パイロット版 | 未放送 | 現存(真佐美保管) |
| 第1話 | 出た!!ドラえもんの巻 | 4月1日 | 紛失 |
| 第2話 | ペコペコバッタ大騒動の巻 | 4月1日 | 紛失 |
| 第3話 | 屋根の上のすてきな子の巻 | 4月8日 | 一部紛失(真佐美保管) |
| 第4話 | のび太のご先祖さんの巻 | 4月8日 | 一部紛失(真佐美保管) |
| 第5話 | キューピットですきすき作戦の巻 | 4月15日 | 紛失 |
| 第6話 | 弱味をにぎれの巻 | 4月15日 | 紛失 |
| 第7話 | ねずみに弱いねこもあるの巻 | 4月22日 | 一部紛失(真佐美保管) |
| 第8話 | ガキ大将をやっつけろの巻 | 4月22日 | 一部紛失(真佐美保管) |
| 第9話 | おせじ鏡の巻 | 4月29日 | 現存(真佐美保管) |
| 第10話 | パパとママの結婚記念日の巻 | 4月29日 | 紛失 |
| 第11話 | のろいカメラの巻 | 5月6日 | 紛失 |
| 第12話 | 宝くじ大当たり作戦の巻 | 5月6日 | 紛失 |
| 第13話 | 決闘!のび太とジャイアンの巻 | 5月13日 | 紛失 |
| 第14話 | わたしは誰でしょうの巻 | 5月13日 | 紛失 |
| 第15話 | アベコンベ騒動の巻 | 5月20日 | 紛失 |
| 第16話 | おばけ屋敷の謎の巻 | 5月20日 | 紛失 |
| 第17話 | クイック・スロー大作戦の巻 | 5月27日 | 紛失 |
| 第18話 | のび太は雨男の巻 | 5月27日 | 紛失 |
| 第19話 | ウルトラミキサーの巻 | 6月3日 | 紛失 |
| 第20話 | ねがい星流れ星の巻 | 6月3日 | 現存(真佐美保管) |
| 第21話 | ふしぎなふろしきの巻 | 6月10日 | 紛失 |
| 第22話 | のび太のおばあちゃんの巻 | 6月10日 | 紛失 |
| 第23話 | 大リーグの赤バットの巻 | 6月17日 | 紛失 |
| 第24話 | 男は力で勝負するの巻 | 6月17日 | 現存(真佐美保管) |
| 第25話 | ガチャ子登場の巻 | 6月24日 | 紛失 |
| 第26話 | おしゃべりくちべにの巻 | 6月24日 | 紛失 |
| 第27話 | すきすきカメラの巻 | 7月1日 | 紛失 |
| 第28話 | 天の川でデイトしようの巻 | 7月1日 | 紛失 |
| 第29話 | へんなロボットカーの巻 | 7月8日 | 紛失 |
| 第30話 | ニコニコせっけんの巻 | 7月8日 | 紛失 |
| 第31話 | おれ署長のだいりの巻 | 7月15日 | 紛失 |
| 第32話 | さあ夏だ!スキーをやろうの巻 | 7月15日 | 紛失 |
| 第33話 | 成績表はいやだなあの巻 | 7月29日※ | 紛失 |
| 第34話 | 自分のかげをつかまえろの巻 | 7月29日 | 紛失 |
| 第35話 | 潜水艦で海へ行こうの巻 | 8月5日 | 現存(真佐美・IMAGICA保管) |
| 第36話 | くるった腹時計の巻 | 8月5日 | 現存(真佐美・IMAGICA保管) |
| 第37話 | キャンプ騒動の巻 | 8月12日 | 紛失 |
| 第38話 | 忘れな草って何だっけの巻 | 8月12日 | 紛失 |
| 第39話 | クーラーパラソルの巻 | 8月19日 | 現存(IMAGICA保管) |
| 第40話 | いつでも日記の巻 | 8月19日 | 現存(IMAGICA保管) |
| 第41話 | 宿題おばけが出たの巻 | 8月26日 | 現存(IMAGICA保管) |
| 第42話 | お天気ボックスの巻 | 8月26日 | 現存(真佐美・IMAGICA保管) |
| 第43話 | ぼくに清き一票を!の巻 | 9月2日 | 現存(IMAGICA保管) |
| 第44話 | まんが家修業の巻 | 9月2日 | 現存(IMAGICA保管) |
| 第45話 | すてきなガールフレンドの巻 | 9月9日 | 現存(IMAGICA保管) |
| 第46話 | 花いっぱい騒動の巻 | 9月9日 | 現存(IMAGICA保管) |
| 第47話 | そっくりクレヨンの巻 | 9月16日 | 現存(IMAGICA保管) |
| 第48話 | 静香の誕生日の巻 | 9月16日 | 現存(IMAGICA保管) |
| 第49話 | 宇宙飛行士になりたいの巻 | 9月23日 | 現存(IMAGICA保管) |
| 第50話 | まいごマゴマゴ大騒動の巻 | 9月23日 | 現存(IMAGICA保管) |
| 第51話 | ネンドロン大騒動の巻 | 9月30日 | 現存(IMAGICA保管) |
| 第52話 | さようならドラえもんの巻 | 9月30日 | 現存(IMAGICA保管) |
※7月22日はプロ野球オールスター戦中継の為放送中止。
補足情報
- 原作に5話だけ登場したアヒル型ロボット「ガチャ子」がシリーズ後半のレギュラーキャラとして登場している。本作以降アニメからは姿を消したが、テレ朝版第2期の1エピソード(*1)で一瞬だけ再登場を果たした。
- 2000年代初頭に「日テレ版ドラえもんの画像」として出回った「のび太がドラえもんに洗面器を渡しているセル画」は偽物である。真佐美ジュンは「仕上げ関係の人で、外注さんあたりの人が、面白半分に作成した」ものではないかと推測している。参考:なんですか?と言う ご質問へのお答え
- 1973年のピンク映画『ドキュメントポルノ 続・痴漢』の1シーンに、第27話「すきすきカメラの巻」の映像が30秒ほど映っている(*2)。ニコニコ動画のリンクはこちら。修正はかかっているが視聴の際は一応注意。
メディアギャラリー
OP映像
第2回のED映像(第3回の次回予告付き)




外部リンク
- The Lost Media Wiki:Doraemon (partially found first-adaptation anime series; 1973) 元記事
- テレビドラマデータベース:ドラえもん(ドラえもん(日本テレビ版))
- Wikipedia:ドラえもん (1973年のテレビアニメ)
- ジジ氏のTwitterアカウント 各エピソードの詳細を解説している
- [1]真佐美ジュンのドラえもん時代 2018年4月26日時点のアーカイブ
- [2]はなバルーン倶楽部:アニメ 旧『ドラえもん』大研究
- [3]幻のドラえもんをたずねて… 2018年7月27日時点のアーカイブ。入るとOP曲のmidiファイルがダウンロードされるが無害
- [4]internet archive:ドラえもん日本テレビOPとEDオーディオエピソード7アニメーションの静止画