湖で…
なかなか帰って来ない二人が気になり、少し様子を見に外に出てみる事にした。
外はうっすら暗くなり始めている。
特にあてもなかったので適当に歩いていたら、郊外の湖まで来てしまった。
郊外という事もあって魔物も出る。その為、普段から滅多に近寄る者はいない。
…のはずが、何か物音が聞こえる!…気がする(弱)
気配を消して音のする方に近づくと、そこにはクロスがいた。
木にもたれて眠っているようだったが、俺が近づき過ぎたのか、こちらに気付いた。
「…」
「…あ、あの…がふッ!」
俺が話し掛けようとした瞬間、先程のダメージがまだ少し残っている後頭部にまたもや何かがぶつかってきた。
今日は不覚をとられてばかりだ…
「貴様、クロスに何してんだ!」
「ぼぼ暴力は良くないっていつも言ってるじゃ…」
「っるせぇよ!!」
振り向くと、奇妙な生き物が二匹いた。
「あの、これは何ですか…?」
「これとか言うなー!!」
「…頭、大丈夫?」
流?
…もしかして、さっきはいきなり人に発砲しといて心配もしなかったくせに(根に持つタイプ)俺の頭の流血を心配してくれているのだろうか?
「あ…」
クロスが近づいてきて俺の頭に軽く触れた。
痛みがひいていく気がする。もしかしてロッカと同じでこの人は
「…僧侶なん…」
「魔法使いです」
「え…でも回復魔法使…」
「このくらい普通使えます」
何故俺の話を最後まで聞かないんだこの人は…
戦士系ではないにしろ、腰に銃携帯してるあたり魔法使いには見えない…
などと心で思いつつも口には出さない気弱な俺。
「…これがティキで、あっちがティキです」
クロスは近くにいた方を一匹抱き上げると自分の上に座らせ、先程の俺の質問に答えてくれた。
…ん?こっちがティキ?あっちは…?
「二人とも私の使い魔みたいなもので…」
話の内容が理解出来ていない俺を無視してクロスは話を続ける。
「ケンです。よろしく…ティ…ティキ…?」
とりあえずティキという名前の方を確認したくて呼んでみる。
「何でテメェとよろしくしねぇとなんねぇんだよ!」
「よろしくお願いします、ケンさん…あ、僕これさっき拾ったんです。ケンさんにあげます」
と、笑顔で俺に毒キノコを差し出す。
失敗した…何故二人共反応するんだ…あげく毒を…
「あ~…そうだ!もうそろそろ夕飯が出来上がる頃かな!早く帰りましょう☆」
と話をそらしてみたものの
「じゃあその時料理してお出ししますね、僕料理は得意なんですよ~」
もう話をそらせない…どうしよう、このままだと今晩の俺の夕飯のサイドメニューは毒キノコだ…
食べてもすぐに解毒剤を飲めばいいんだが、何故俺がそこまでしなくちゃならないんだ…
とりあえずキノコを受け取り、フェザとロッカを探しながら宿屋へと帰る事にした。
歩いてる最中うるさい方のティキ(名前は結局分からず)がいろいろ攻撃を仕掛けてきて大変だったが、小さいので何とか全てかわす事が出来た。
元の姿だったら…(意味深)などとしきりにぼやいていたが、攻撃的な奴に質問出来る程余裕はなかった。
帰ったら毒キノコか…おっちゃん気付いて止めてくれるといいんだけど…
最終更新:2011年07月04日 18:06