リーディアお姉ちゃんみたいに伸ばした髪も切ったし、分ける方向も変えて、ピンも一つに変えたんです。
わたしはリーディアお姉ちゃんみたいに優秀じゃない所詮混ざりものだから。リーディアお姉ちゃんとは違うから。別であることがわかりやすいように。
わたしが優秀でない"外れ"だとわかったときのはなし。
あれは□月□日のことです。
わたしは周りに言われていたのもあってミネルヴァに選ばれると馬鹿みたいに信じていた、選ばれるのが当たり前だと信じ込んだ幼稚で馬鹿な子供で。
けれど儀式本番、そうはなりませんでした。わたしはあの場の声で、期待外れであると突きつけられたのです。「リーディア・テレジオ様はミネルヴァ様の御加護を、カーティア・テレジオ様はミネルヴァの聖獣からの御加護を授かることができました」その後来ていた人々のの言葉は、突き刺さるように聴こえてきました。「あの家から混ざりものがでたんですって!」「姉は優秀な癖にな!」「妹は出来損ない!姉は優秀なのに!」他にも沢山の声が耳に突き刺さりました。
その時はお姉ちゃんの心配そうな顔を見て安心しました。けど、期待外れの混ざりものであることは変わるわけなかったんです。それが結果なんですから。変わるわけなかったんです。
そのあと、一人で出歩く日がありました、けど今まで仲良くしていた大人が話しかけてこなくなりました。いえそれはマシな方で、一部は近くでわざと聞こえるように、事実を突きつけました。「あーあれが不出来な妹か」「ミネルヴァ様に選ばれふと思ってたのにねぇ、優秀なのは姉だけか」等々。「気にしないで」と言っていた方もいらっしゃいましたけれど、心象を上げたいように、上辺だけのようにしか聞こえなかったんです。
そうして、期待外れは期待外れだと自覚したわけです。そして、リーディアお姉ちゃんとは違うと理解したわけです。だからお姉ちゃんと決別する意味で髪を切り、分ける方向を変え、ピンも一つにしました。
そして、お姉ちゃんとはできるだけ話さないようにしました。話しかけられても、混ざりものだからと逃げて。
ある日ディー・コンセンテスに姉に引っ張られて行くことになりました。逃げようとしたものの力強く引っ張られて仕方なく行くことにしました。そして、入ることになりました。けれど、これではウケが悪いらしいので巫女の時、わたしはあの日以前を被ることにしました。馬鹿みたいに元気で信じて疑わなかった。昔の今は軽蔑するわたしを被ることにしました。少し前までそうだったんです、表向きを作るだけなら簡単でした。高めの声をだして、笑顔を見せれば良いだけですから。
けれど入ったからと言って友人を作るつもりはありませんでした。これ以上仲良くなってまた巫女と混ざりものを比べられるのはごめんでしたし、例え同じ混ざりものでも家のことに巻き込むのはごめんでしたから。それに周りに嫉妬するのも嫌でしたからあまりかかわらないようにしました。
こうして出来たのが今のわたしです。周りと縁を切り、仕事は仕事とわりきる。髪を切り、馬鹿みたいに明るいのを演じるだけの、リーディアお姉ちゃんとは違う期待外れの混ざりもの。