人外と人間

ヤンマとアカネ 昆虫・和姦・人間♀

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ヤンマとアカネ 1 859 ◆93FwBoL6s.様

右上足の拳を固め、敵の頭蓋に叩き付ける。
 鈍い手応えの後、頭蓋の穴から溢れた生臭い体液が半身を汚し、漆黒の複眼と共に触覚が外れて吹き飛んだ。次に左下足を回し、胸と胴体にめり込ませる。重たい打撃をもろに受け、やはり黒の外骨格が大きく抉れた。たたらを踏んで後退った人型のクロアリは、人間の足に酷似した両足を同胞の体液で滑らせ、そのまま転倒した。跳ね上がった飛沫は複眼にまで及び、エメラルドグリーンの視界を濁らせた。それを荒く拭い去り、彼女を確認する。
 灰色の瓦礫に腰掛けている彼女は、ジーンズを履いた両足をぶらぶらと揺すりながら、狩りを終えた恋人を見つめていた。その顔は明るく、杞憂や不安は欠片もない。出会った当初は狩りを見るのも嫌がっていたが、今はすっかり慣れている。身長はそれほど高くないが、発育途中の手足は薄い筋肉が付き、Tシャツが張り付いた胸元も控えめに膨らんでいる。廃墟を彷徨ううちにカットジーンズと化したジーンズに包まれた太股は脂肪が付いて丸く、女としての成長の兆しが見える。露出している腕や顔は薄く日焼けしていて、いかにも十代の少女らしい健康的で嫌みのない魅力を生み出していた。髪も瞳も黒く、肌は薄黄色の典型的な日本人だが、目鼻立ちははっきりしていてパーツと配置のバランスは整っている。

「茜」

 胸郭を震わせて発声した昆虫人間は、口を開いて黄色の細長い舌を伸ばし、両前足に付いた体液を舐め取った。

「なーに、ヤンマ?」

 少女、茜は満面の笑みを浮かべ、昆虫人間に付けた愛称を呼んだ。その名の通り、彼の外見はオニヤンマそのものだ。頭部の両側に備わった美しいエメラルドグリーンの複眼、透き通った四枚の羽、黒と緑のストライプになっている長い腹部。進化する最中に特に発達した上両足は逞しくなり、使用頻度の減った中両足は折り曲げて腹部に添い、下両足で直立している。胸部の外骨格は大きく盛り上がり、逆三角形状になっている。その内側には、羽や足を動かすための強靱な筋肉が隠れている。中でも特徴的なのは、細長い腹部だ。硬く引き締まった腹部の下から伸びていて、歩行する際は後方に少し持ち上げている。実際、今も少し持ち上げていた。食糧に有り付けたことが嬉しいので、少しばかり普段よりも角度が高くなっていたが。

「これから喰う」

 トンボの昆虫人間、ヤンマは足元に散らばる十数体のクロアリの死骸を掴み取ると、ぐばりと口を大きく開いた。

「うん、待ってるね」

 茜は背を丸めて両手で頬を支えながら、微笑んだ。ヤンマは彼女の目線を気にしつつ、クロアリの頭部に噛み付いた。ぎち、とクロアリの外骨格が僅かに軋み、鋭い歯が深く差し込まれると、クロアリの頭部は簡単に圧砕して脳髄が散乱した。ヤンマはそれを気にすることもなく、クロアリの頭部を口に収めると、じゅるりと体液を啜ってからもう一体の頭部も拾った。クロアリはこの廃棄都市で繁殖している昆虫人間の中でも、最も数が多く狩りやすいが、味はあまり良いとは言い難かった。だが、今、食べなければいずれ飢える。昆虫人間は体格が大きすぎるので、とにかく量を多く摂取しなければならない。
 盛り上がった背を折り曲げて四枚の羽を下げ、地面に這い蹲って獲物を貪るヤンマの姿に、茜はうっとりと目を細めた。ヤンマの持つ羽に白い日光が反射し、虹色に煌めいている。エメラルドグリーンの複眼も好きだが、羽が一番お気に入りだ。やっぱり、この街に来て良かった。茜は砂埃混じりの熱風に乱された長い髪を押さえ、胸の高鳴りに頬を赤らめていた。
 こんなに素敵な恋人に出会えたのだから。

 食事を終えたヤンマは、茜の手によって清められていた。
 放棄されて久しい民家を片付けて家具や日用品を運び込んだ住み処に戻り、庭先で水を浴びせられていた。水を被ってしまうとしばらく使い物にならないので、四枚の羽は高く掲げ、庭に出した背もたれのない椅子に座っていた。どこまでも高い空から注ぐ日差しは熱く、外骨格を暖めてくる。変温動物である昆虫人間にとって、日光は欠かせない。それがなければ体温を上げることも出来ず、体温が上がらなければ筋肉の動きは鈍ってしまい、まともな狩りが出来ない。胃に入れたばかりのクロアリが消化されていく感覚を味わいつつ、ヤンマは庭の隅の給水タンクに向かう茜の背を眺めていた。もっとも、それはこの民家に据え付けられていたものではない。崩壊したマンションの屋上から、ヤンマが運び出したものだ。蓋を外して、雨水を溜めている。タンクの中には簡易濾過装置も設置してあるので、飲み水としても使用出来る水だった。二つのバケツに水を汲んできた茜は、鼻歌を漏らしながらヤンマに近付くと、にやっと笑ってバケツを大きく振り上げた。

「そおれっ!」

「うぶばっ」

 突然のことに対処出来なかったヤンマは、僅かに開いていた口からもろに水を飲んでしまい、むせた。

「あ、あか、あかねっ!」

「んー、なあにー?」

 得意げな茜に、ヤンマは首を突き出した。

「綺麗にしてくれるってのは嬉しいが、もう少し優しくしろ!」

「えー、いいじゃん。この方が効率が良いんだから」

 茜が唇を尖らせたので、ヤンマは辟易した。

「俺はそうは思わんが…」

「そ・れ・にぃ」

 茜はTシャツの裾をちらりと持ち上げ、くびれた腰を見せてきた。

「私も一緒に水浴びしちゃおうって思って! 今日は天気もいいしね!」

 悪戯っぽい少女の笑顔に、ヤンマは言い返すことを諦めた。茜と出会ってからは、ずっとこんな調子だからだ。
 今、二人が暮らしている都市は、数年前に廃棄されて住民も引き上げており、この国の政府の手によって封鎖されている。原因はもちろん、昆虫人間の出現だった。突如出現した昆虫人間は人間を捕食する性質を持ち、驚異的な速度で繁殖した。ほんの数ヶ月で都市の人間は三分の一も喰い尽くされ、都市機能は完全に麻痺してしまい、人口も減る一方だった。人間側も爆撃や薬剤散布などの対処を行ったが、昆虫人間の繁殖速度はそれ以上で、とうとう人間は淘汰されてしまった。両者の生存競争で破壊し尽くされた都市を捨てて人間が逃げ出した後は、昆虫人間が新たな支配者として君臨していた。
 そこにいきなり現れたのが、茜だった。他の昆虫人間に狙われているところを助けたのが切っ掛けで、二人は出会った。当初はヤンマも彼女を補食しようと思ったのだが、やたらと気に入られてしまい、付き纏われるうちに行動を共にするようになった。いつかは喰ってやろう、と思っていたが、茜から注がれるストレートな好意にほだされ、今ではヤンマも同じ気持ちになっていた。昆虫が人間に好意を抱くなど、常識的には有り得ない話だが、いざ自分の身に降りかかると信じるしかないのが現実だった。

「ヤンマ」

 茜は椅子に腰掛けているヤンマの下両足の上に跨ると、濡れた複眼に手を滑らせ、水滴を指に付けて口に含んだ。

「ん…。まだちょっと、アリの味がする」

「そうか?」

 ヤンマは刃のような歯が生えた口を開き、進化と共に発達した細長い舌を伸ばし、茜の指先を舐め取った。

「こっちはヤンマの味」

 ヤンマの舌が巻き付いた人差し指を銜え、茜は暖かな舌を彼の冷たい舌に這わせた。

「茜、それは」

 神経に直接訪れる刺激にヤンマが戸惑うと、茜はちゅぽんと音を立てて口から彼の舌を抜いた。

「だって、ここぐらいしか感じてくれる場所がないんだもん。その辺だけ不便だよね、ヤンマって」

「仕方ないだろう。外骨格の触覚は薄いんだ」

 ヤンマは舌を解いて口の中に引っ込め、茜の手に軽く噛み付いた。

「やだぁ、それくすぐったい」

 茜が手を引っ込めようとしたので、ヤンマは顎の力を少し強めて薄い皮膚に食い込ませた。

「水、浴びるんだろ?」

 ヤンマはもう一つのバケツを拾って茜の控えめな胸元に傾けると、生温い水をたっぷりと浴びせかけてやった。茜は体温よりも少し冷たい水の重みに、僅かに身を固くした。透き通った水はTシャツに吸い込まれ、ジーンズにも染み込んだ。腹部と背を伝った水の流れは太股を辿り、股間に流れていき、小水を漏らしたかのように二人の真下に滴り落ちていった。それを見た茜は赤面し、目を伏せた。水の感触に反応したのか、胸の小さな突起は硬く膨らみ、その存在感を示していた。

「やらしいことしないでよ。…虫のくせに」

「その虫に、毎度毎度欲情してんのはどこの誰だよ」

 ヤンマは折り畳んでいた両中足を茜の裸の腰に回したが、三本の鉤爪を薄い肌に引っかけないように外側に曲げた。手加減が出来なかった頃は度々爪先を引っかけてしまい、茜の肌にいくつものミミズ腫れを作ってしまった苦い経験がある。ぐいっと両中足を曲げて茜の体を引き寄せ、密着させる。はあ、と熱い吐息がヤンマの触覚に掛かり、乳房が潰れされた。Tシャツに染み込んでいた水が押されて流れ、新たな水滴がヤンマの胸に伝う。ヤンマは右上足を使い、透けた服を捲った。

「そりゃ、そうだけどさぁ…」

 抵抗せずに上体を反らした茜は、ヤンマの前に膨らみかけの乳房を露わにした。

「下、脱がすぞ」

 ヤンマは右上足の爪先と左上足の爪先で器用にジーンズのボタンを外すと、一気に下着ごと引き摺り降ろした。

「やだもうスケベぇ!」

 薄膜のように水気を含んだ服を剥がされた茜は、腕よりも多少色の白い尻と太股が光の下に曝された。

「服に穴開けて突っ込んだら文句言っただろうが」

 ヤンマは椅子の下をくぐらせて細長い腹部を持ち上げると、生殖器官を伸ばし、茜の生殖器官に触れた。

「ん、ふぁ、あぁ…」

 先程の荒々しい狩りの様子とは打って変わった優しい愛撫に、茜は吐息を弾ませ、ヤンマの胸部に縋り付いた。鋭利なはずの生殖器官で、柔らかく撫でてくる。肌を破らないように、切り裂かないように、慈しみすら込められている。荒々しく狩りを行う彼も素敵だが、ひたすら優しい彼も好きだ。浅く入り口を探りはするが、すぐに奥へは入れてこなかった。まだ、茜の潤いが足りないのだと判断したのだろう。気を遣わなくても良いのに、とは思うが、嬉しいから言わなかった。茜の反応を窺いながら、先細りの生殖器官の先端を動かしていたヤンマは、熱く潤い始めた茜の割れ目の前を突いた。

「あくぅっ!」

 充血した肉の芽を弾かれ、茜の下半身に痺れそうなほど強烈な甘い感覚が駆け抜けた。

「もういいだろ、入れるぞ」

 ヤンマが低く囁くと、茜は目を潤ませながら頷いた。

「うん…入れてぇ…」

 じゅぶ、と粘ついた水音が聞こえ、ヤンマの生殖器官の先端が茜の中に没し、水とは違う熱い液体が伝い落ちてきた。

「ちゃんと、奥までぇ」

 茜が掠れた声を零すと、ヤンマは腹部を曲げ、ずぶずぶと生殖器官を彼女の中へと押し込んだ。

「俺もその方が好きだ。お前の中は、熱いからな」

「ヤンマぁ、好きぃ、愛してるぅ!」

 茜はヤンマの頭部を抱き締めると、エメラルドグリーンの複眼に何度となくキスを落とした。

「本当に、喰わなくて良かったぜ」

 目の前に押し付けられて歪んだ乳房に、黄色い舌を絡み付ける。硬くなった先端をにゅるりと撫でると、反応が増した。熱に浮かされたように腰を動かす茜に合わせ、ヤンマも腹部を動かしてやり、彼女が求めて止まない快感を与えてやる。すると、茜の中に差し込んでいる生殖器官が締め付けられた。と、同時に茜は軽く痙攣し、ヤンマに体重を預けてきた。どうやら、達したらしい。ヤンマの胸に頭を預けてとろりと弛緩している茜の表情を見たヤンマは、生殖器官を引き抜いた。
 生き物としての構造が違うため、ヤンマは達することが出来ない。というより、達してしまったら本当に命取りだからだ。人間大に進化しても、昆虫は繁殖のために生殖行為を行う。生態系はメスが主体であり、オスは遺伝子を運ぶための器だ。だから、生殖行為を終えたオスは間もなく一生を終えてしまい、メスの栄養源として捕食される以外の運命はないのだ。非常に惜しいことだが、生きるためだ。そうは思っていても、陶酔しきった茜を見ていると、達したい気持ちになってしまう。だが、死んでしまえば茜を守ってやることも愛することも出来なくなるので、ヤンマは生存本能と同等の欲求を抑え込んだ。いつのまにか、腹部の精子嚢から生殖器官まで移動していた精子を再び精子嚢に戻し、ヤンマは生温い疲労に身を任せた。
 体の上では、満足した茜が愛おしげにヤンマの名を呼んでいた。







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