初出 1146話
海
マップ。曇っていて見晴らしは悪かった。雲の下では雨が降っているようだ。
コール・モンスターの反応は
デーモンロード・デューク,
デーモンロード・ダッチェスのはずだが、実際には異なっていて、巨神が出現した。どうやら偽装されているらしい。
転生煙晶竜によると
『儂もこの現象は幾つも知らぬ。ここは、危険じゃぞ!』
『新たな世界が生まれる。形を成そうとしている前兆じゃ!』
『各地の歪みがここに集中しておる。いい傾向ではないぞ』
『然りじゃ。そして汝も我も、排除すべき異物と見做されておるじゃろ』
「そもそも歪みって何です?」
『世界を支える力、そして破滅をもさせる。これは表裏一体であるな』
『儂もその力がどこから流れ込んでいるのかは知らぬ。だが1つ、確かな事もある』
『儂のような存在であっても届かぬ領域が確かにある。絶対的な、何かだ』
とのこと。雲海の下で何かが爆発したようなので見ると魔物が、妖怪が、英霊神が、様々な存在が混然一体となっていた。さらに変化が進んでいき、どうやら巨神の骸から何かが産み出されるらしい。
まずは
アストラルドラゴン,
ユニバーサルドラゴン,
ボイドドラゴンが相手となったが、頭部が扁平であったり、胴体が長過ぎたり、酷い奴は多数の尻尾を備えていたり、ヒュドラ系みたいに複数の頭部があったりとおかしい状態。但し、個々の力は過去最強となっている。さらにはもはやおなじみの
弥勒菩薩が襲ってきた。
転生煙晶竜とも因縁があるようで、初めて本気になり、偽装も解け
スモーキードラゴンという種族名が見えた。
紫晶竜よりも大きいが無理をしているようで
アイソトープが魔竜になりかけたときのように全身の各所にヒビ割れのような何かが生じていた。
その後
黒曜竜,
紫晶竜,
金紅竜,
柘榴竜,
翡翠竜,
白金竜,
翠玉竜,
水晶竜,
蒼玉竜らが援軍に駆けつける。
フレイムドラゴン,
フロストドラゴン,
フォレストドラゴン,
ブロンズドラゴン,
クラウドドラゴン,
ブルードラゴン,
ブラックドラゴンらも追従し、悲しいことに苦戦ではなくなってしまった。しかしその後如来なども参戦する事態となるが、
地蔵菩薩,
馬頭観音が介入してきて
弥勒菩薩を消してしまい去ってしまうという最悪の結果に。その後の眼下の雲海には魔力は感じ取れなくなっていた。
弥勒菩薩が如来を率いるなどいろいろおかしな状況であった。
戦闘後は
転生煙晶竜はいけしゃあしゃあと偽装し直し、名持ち竜たちまでごまかすことに成功していた。(1147話)
しかしその所業は先代
紅晶竜の記憶のせいでばれており、疑惑の眼を向けられ、
黒曜竜,
翠玉竜という監視がつくこととなった。(1148話)
本来であれば
闘争の聖地における儀式での
魔神の介入などの不測の事態に対応することに全力を注がねばならない時期に、名持ち竜のほとんどを巻き込んでいる時点で何かあれば
キースの責任は重大とも言えるが、一方で通常のメインクエストである儀式よりも
弥勒菩薩とのこの激突の方が重大なイベントとも言える。
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弥勒菩薩との戦闘 |
《身の程を弁えぬ矮小なる者よ、汝に救いは無きものと思え》
『救いを約束せし存在、だが儂はお前を知っておるぞ!』
転生煙晶竜が吼える!
明らかに転生煙晶竜の反応が違う。
いや、怒っているのか?
《若きドラゴンよ、汝にもまた救いは訪れはしない》
『救いか。それは誰の為のものであろうかの!』
弥勒菩薩の掌が動く。
但し合掌する動きではない。
右手は頬に、左手は下げたままで掌をこっちに向けている。
自然で美しい所作。
弥勒菩薩の表情も変わらない。
口元に笑みが浮かんだまま、だが光の加減でどこか邪悪に見えるぞ!
『求いとはよくも言った! どの時間軸でも何も救おうとしない、それがお前達の正体だ!』
《自らの身を汚しても尚、絶対なる存在に挑む愚か者よ。ここで心身共に滅びよ》
「回復します! 一旦、後退を!」
『いかん! こ奴は抑えておかねばならん!』
「ですが、このままでは不利です!」
『心配は要らん! そろそろ来るじゃろ!』
来るって?
一体、何が?
その意味は分からない。
分からないけど、何か策があるのか?
《煩わしき事だ。だが、これで終わる》
『ヌッ?』
『来たか!』
異変は弥勒菩薩の遙か頭上で既に起きていたようだ。
真っ黒な渦が生じていて、そこから何かが来る!
それは柱のような何か。
幾条も弥勒菩薩の全身に浴びせられている!
アレ、ブレス攻撃か?
弥勒菩薩は合掌する事が出来ず、しかも体勢を崩しているぞ!
『全く、遅いわ!』
『黒曜竜! 門を固定出来るか?』
『もうしている! だが長続きはせんぞ?』
『翠玉竜、それに水晶竜も門の維持に回れ!』
『『了解!』』
『小さき友よ、我等が前へ出る! 一旦、下がるが良い!』
『煙晶竜殿も!』
「魔竜を先に掃討します! 巨神を抑えててくれますか?」
『儂は気にするな。いや、邪魔はせんでくれんかな?』
『そこまで。彼等への手出しは無用です』
《問答をするつもりはない。去れ!》
弥勒菩薩が凄まじい速度で合掌する!
しまった。
跳ばされるのか?
だが、何も起きない。
《邪魔するか!》
『ここは苦界でもあります。救いは必要なのです』
地蔵菩薩様が錫杖を軽く振ると、涼やかな音が奇妙に響いた。
次の瞬間、弥勒菩薩の姿は消えてしまう。
「あのー」
『彼等の介入は新たな歪みを生むでしょう。ですがそれを修正してもまた世界は歪むのです』
『それでも尚、追わねばならぬ』
『間に合えばいいのですが』
地蔵菩薩と馬頭観音がドラゴン達を一通り眺め、最後にオレを見た。
多分、笑ったのだと思う。
どこまでも優しげな笑顔の地蔵菩薩様。
厳めしいままの馬頭観音様。
あの、挨拶はいいですから。
オレの獲物はどこですか?
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マップ中央付近には力があつまっているらしく、歪みもある上に地脈の流れも作為的でおかしいと
黒曜竜,
翠玉竜らも感じ取っていた。雲海の下に下りるとそこは砂浜の無い磯の海岸線だった。そこには悪天候の中、光を発している灯台があった。ぱっと見は人魂は見えないが、岬の横に穿たれている洞窟があった。
その狭さゆえにようやく監視のドラゴンを撒くことができ、洞窟に入るとそこは青の洞窟のような美しい場所であった。洞窟の出入り口から差し込む僅かな光が海面ではまるで宝石の
サファイアのように青白く光り輝いて見える。先には腰まで海水がある天井が低い広間に出た。人魂は人魂は広間の中央、海の中に沈んでいた。
ポータル解放戦は、
殯の宮の時の
転生煙晶竜と同様、名持ちドラゴンは当然のように不参加だが、見ることもできないようだ。しかし地脈を通じて把握はできるらしく観戦していたらしい。せっかくのチャンスに浮かれた
黒曜竜,
翠玉竜はその後
召魔の森にまでついて来た。もちろんその周囲の骨のある魔物たちの存在を気に入ることとなる。(1149話)
1197話では
フィーナらを連れて
ヘヴィーアーマーズ・オンライン出現後の
S1W15に赴くための合流地点として利用。
海魔の島の秘密を守るための措置であった。
キースにとってはすでに日常の巨神たちが出現してくるが、その他の者たちには地獄であった。さらには
S1W15との境界付近には
テスカトリポカも混じるようになっていた。
ヘヴィーアーマーズ・オンライン隔離後の1207話で再訪した時も曇っていて小雨模様だった。出現モンスターはいい具合に強化されていた。
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ポータルボス戦開始・終了インフォ |
《新たな世界に宿る僅かな光》
《これは希望》
《そして絶望の始まり》
《常世の美はここに宿る》
《神ならぬ者に光を消し去らせる訳に行かぬ》
《ここより去れ》
《さもなくばここで滅びよ!》
《世界にまた夜が来る》
《それは絶望》
《そしていずれ希望の朝を迎えるであろう》
《だがそれは今では無い》
《そして神ならぬ者に朝は訪れぬのだ》
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最終更新:2016年09月29日 00:53