+ | 「森」 |
"名無しの森"のこと。
深淵樹海、無名森林、暗黒樹林、虚の森など、幾つかの異名で呼ぶ人もいるが、
一貫して「森」と称されることがほとんど。
世界全土に渡って存在する、人族未踏破の超大規模森林。
内部は神妙不可思議な生物、遺構、場所、品々に満ちていて、
多大な危険と同時に、金銀財宝や、それらにも匹敵する価値ある存在の数々が眠っている。
詳しくはこちら。
「森」に満ちる、霧によく似た気体。
人族からすると"普通の霧"と変わらないように見える。
生物がその中に長時間留まると、気分の悪さや吐き気、頭痛などの軽い症状から、
肉体の永久的な変化、獣のような特徴の発現、骨格の変形、全身の痛み、健忘症、自我喪失などの重篤な症状を起こす。 体内に蓄積するため、「森」の近くに住むだけでも少なからず影響が出る。
現段階では体感的にしか理解が及んでいないが、
「温かい霧」と「冷たい霧」が存在しており、後者の方が体に及ばす影響は大きく、 また深部や霧溜まりにそれらが滞っていることがある。
「潮流」を持ち、風や海の流れのような動きを有している。
詳しくは「こちら」
「森」に転がる、古代の超巨大生物、大地生の骸が骨格だけになったもの。
原理は不明だが、「霧」の影響を受けず、「森」の影響下にある獣を退け、漂着物の持つ効果を弱める。 後述の「歌姫」の力によって維持管理されないと、やがて力を失い風化して崩れてしまう。
人族はこの「骨」がある場を拠点に「森」を探索しており、
その骨格の下や周辺に街を築き、暮らしている。
上記の骨の中でも、町や集落を形成するには至らない大きさではあるものの、
森内に点在する、旅の途上の休息地点として使用されるエリア。泊地とも呼ばれる。 その多くに潜森宿が設置され、森を行く者たちの拠点として機能している。
「骨」の有無により小骨と泊地で言い分けられることもあるが、厳密に定義されているわけではない。
「小骨拾い」と呼ばれる、この場のみを専任で歌を捧げて巡る歌姫も存在している。
「骨」の元になった生物。島や山脈ほどに大きく、一種一体の生命体とされている。
その肉の大部分は「森」によって簒奪されたといい、上空からの侵入を防ぐ防衛機構と成り果てている。
理由は不明だが、旧史人族と友好関係を築いており、
各地で信仰対象とされ今も「骨」を通して祀られている。
詳しくは「こちら」
「森」が大陸に跋扈する前、大地生と世界の派閥争いをしていた生命体。
大地生同様に巨大で群れ当時の人族に明確に害をなしていたとされ、 人々はその脅威に恐れ慄くことしかできなかったと言われている。
今は大地生に全て駆逐されたとされ、現在はその骨格さえ存在が遺されていない。
森が荒れること。霧が増えたり、獣が騒いだり、長時間その場に留まると後述の凪場に繋がることもある。
時化場の中心に凪場があり、そこに凪が潜む事が多いとされる。
森をうろつく、強大な力を持つ気まぐれな獣たちの総称。
徘徊獣、彷徨獣、凪の獣、獣災など、様々な呼称があるが、潜森士には「凪」と呼ばれることが多い。 それと言うのも、遭遇時に凪のような、無音無風の静止した空間に入ることが多いからである。
凪場自体は、凪とともに移動しているため、時化を介さずとも現れることがある。
彼らに個体名としての仮名を付けることはできず、
仮に何かしらの呼称があるとしても形容詞で表現するのがやっと。 また、それらに無理矢理にでも名付けを行った者たちの行方はようとして知れず、 その名自体の記録なども一切残っていない。
自然や現象に近いとされ、彼らに楯突くことは激流の流れや暴風に逆らうことにも等しく、
極めて危険かつ崇高なものとして、森の民からは畏怖と畏敬をもって扱われている。
その数は確認されている限りでは少なく、また彼らが自らの意思で人を襲うことはほとんど無いが、
目にするだけ、その気配を察知するだけでも悪影響を受けるような存在もいる。
森の、内郭以外の全て。膨大な広さを持つ。
未だにその全容を確認できた者はおらず、空からの侵入も不可思議な現象によってほぼ完全に阻んでいる。
「霧」の濃い内郭よりも危険度は少ないとされているが、それでも危険な場は少なからず存在している。
森の内側。外郭を超えたその先の内部。
外郭に比較しても危険な生物や現象、場所に満ちており、それだけ価値ある漂着物や遺構が存在している。
一攫千金や大きな名誉を狙って入っていく人族は多いが、無事に帰ってこられる者は極めて少ない。
森の各地、特に骨の近くに点在する、潜森士を始めとした「森」に入る者たち向けの拠点群。
単に「宿」と呼ばれたり、泊地と混同されたりもする。
レストラン、喫茶店、酒場、旅館などなど、多くの場合は人の集まる場所の形で作られている。
「小骨」の近傍に存在していたり、あるいは大きな街の中に複数が存在している場合もある。
派閥や所属組合のような立ち位置であり、有名な潜森士を輩出していると宿自体が有名になることも。
「森」から出土する、不思議な力を持った物品の総称。
場所を指してこの言葉が使われる場合もある。
一国の趨勢を傾けるほどの力を持つ品さえ存在するため、多数の国がそれを巡って争うこともある。
また、この星の文明レベルを底上げしたのも、これらの漂着物の影響が大きい。
デメリットのないと断定されたものは高価になる(人族が気付かないうちに何かに影響を出していたりすることはある)。
「森」のみならず、どこかから紛れ込んだ、
効果/効力に変化やデメリットがなく、一定の能力を繰り返し行使できる物品をこう呼ぶ。
漂着物が転じて舶来品とされる場合もあるが、
舶来品は「故障や破損が無ければ機能が一定かつ安定しているもの」を指すため、 基本的にはほとんど無い。
これらもまた「森」の影響を受けているため、真名を見つけることでその能力が向上する場合がある。
地球におけるレンジやラジオなど、そういったものも舶来品にカテゴライズされるが、
森辺の民がそれらの正しい利用方法を理解しているかは極めて微妙なところ。
「森」からの恩寵を賜って生まれてくるとされる、超常的な能力を有した人族のこと。
単純な体力やフィジカル面で強い力を持っていたり、
特定の感覚が無い代わりに鋭敏な感覚を手に入れていたり、説明のつかない能力を持っていることも。 また、通常の人族より強い霧への耐性を有している。
体の一部に鉱石が生えてきたかのような特徴を有しており、素人にも一見してそれだとわかる場合が多い。
時代によっては「忌み子」とされて迫害されていた時期もあったが、
「恵み子」を守り慈しんで育てる団体が生まれてからは、それまでほどの差別は無くなった。 その立ち位置の形成には、ある一人の潜森士が関わっていると言う。
「森」から産み落とされた、人族とコミュニケーションの取れる知性持つ存在。
明確な定義は定まっておらず、どのような存在であるかはハッキリとしていないが、 落とし子を遥かに凌駕する力や、超常的能力を行使できるとされている。
例外もあるが、
その多くは人型を取り、多くの場合で色素の薄い毛髪が特徴的。
「森」の影響を受け、体の一部、あるいは全体に変化が起きた人々の総称。
呼称する際は単に「さぎり/よぎり」と読んだり、それぞれ「さぎりびと/よぎりびと」と呼ぶこともある。
「朝霧」は、「森」の影響を受けて変化した体で物理的な行動を取るにあたって、
動作や行動になんの支障も持たない人々のことを指す。
「夜霧」はその逆で、体に起こった変質が行動の障害となったり、
あるいはその特徴の影響で常に痛みや辛苦をともなう場合の人々のことを指す。
「森」に日常的に接していれば「夜霧」に傾くことはほぼないと言われる。
また「森」に近ければ近いほど「朝霧」側へと傾くとされていて、
これもあり、必然的に森辺の民は「森」への出入りや、その影響を余儀なくされることが多い。
恵み子が、その耐性をも超えるほど霧に曝露した際に変化するとされているもの。
朝霧や夜霧は、どれほどその変化が進んでも人型サイズの範疇で獣化を起こすのが関の山だが、
霧噴は明確に、元々の人族の形を超えて「森」の深奥の獣めいた存在へと変貌する。
彼らのほとんどはもはや人のような思考力を持たずその獣性に突き動かされるようになるため、
橙~青等級の危険度を持つ存在と認定され、積極的に討伐される対象になってしまう。 治療法は未だ不明だが、朝霧/夜霧の変化と同様に、戻す術はほぼ無いと考えられている。
「森」の中の進路。浮標(ブイ)や小骨によって開拓が済んでいる道。
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+ | 職業 |
「森」へ入る人々でも、深奥を目指し、命掛けで開拓を進める人族たち。
行って戻らないことも多いため、地球で言うところの"ダイバー"と訳されている。
ある程度「森」との付き合い方を理解している者は、
その腕前や経験を活かして一種なんでも屋のような立ち位置に収まりがち。
後述する"明星"ともなれば生ける伝説と言える存在となるが、
位が低いほどその立場は社会的にも弱い。
それぞれは名乗る際、基本的には「一」「十」「百」……と、頭の数字で名乗り、呼びあうことが多い。
また、潜森隊(ダイバーズ)を統率する者を隊長/鈴持ち(ベルウェザー)と呼ぶ。
詳しくは「こちら」
人族における「森」の極致。最高位。全ての潜森士の憧れの存在。
星(スター)、あるいは明星(モーニングスター)とも呼ぶ。
今ある文明は彼らが集めてきた様々なものによって支えられている。
彼らが今まで形にしてきた名誉が、潜森士全体の外聞を決めていると言ってもよい。
現状は五人しか存在せず、行方知れずの者も居る。
国家から認定された潜森士。軍人に近く、言わば公務員と言ってもいい。
超法規的措置の実行や、独断での断罪が許されている。
星鈴や一部の万人鈴などを始めとした力ある存在を監視しており、
「森」に魅入られて狂気に落ちた潜森士や、 「骨」に悪影響を与える存在や災害にも等しい獣などを追い、処分する役割を持つ。
社会的には多大な名誉をもって任命されるが、
ロマンには勝てず、星鈴の持つ英雄性に勝てるほどの立場は持っていない。
強力無比な漂着物によって武装しているが、彼ら自身もまた漂着物によってその身を蝕まれているらしく、
寿命や思考などの人族としての本質的な部分を操作され、国が自由に運用できる一戦力として使われている。
人族の中の特異種。
能力が一定で効果が人族全体に関わるため、恵み子より立場は上。 大きな「骨」を整備する場合には、それなりの人数で合唱しなければならない。
歌を捧げることで、「森」の侵蝕を受け止めている「骨」の力を取り戻すことができる。
長期間歌が捧げられないと、「骨」はいずれ自壊し「森」の版図を広げる一員となってしまう。
潜森隊について各地を回っている歌姫は「バード」と呼ばれ、後述の小骨拾いとは区別される。
詳しくは「こちら」
正確には職業ではない。ゴロツキなどの落ちぶれた者たちが属する集団。
森に長け、森に潜み、潜森士はもちろん森を通過する行商人や輸送隊などを襲い、生計を立てている。 未熟だったり、名を上げられなかった潜森士が身を窶すことも。
一部を除き、自分たちの実力を把握し、徒党を組んで格下を襲うことしかしないが、
時と場合によっては潜森士と組むこともいとわず、大物を狙って博打を打つこともある。
森の生物や現象より恐れられている集団も存在し、彼らの寄港地や泊地に近付くことは死と同等に扱われる。
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+ | 機関 |
潜森士/森夫/歌姫の区別なく、
それらの職業の者たちが集って立ち上げられる、同業たちの寄り合い。
国家機関に一方的な支配をされぬため、それぞれが権利を主張するための組織でもある。
「森」の警備や管理を司る行政機関だが、
あまり頼りにされている様子はなく、一般の者からは疎まれている傾向にある。
「森」から出土した漂着物や、外海から紛れ込んだ舶来品を筆頭に、
生物やランドマークなど、それらの「真名」を見つけ出すことを目的とした機関。
彼らを通さなければ、漂着物や舶来品を自由に使うことすら許されず、
事実、尋常ならざる力を持った物品を多数抱えているのではないかという黒い噂もある。 |
+ | 用具 |
潜森士の身分証明証。一から万までの区分けがある。
ここに該当しない頂点の存在である星鈴専用の鈴や、国家潜森士の黒鈴も存在している。
外身が字名を表し、内部の玉が真名を表している。
持ち主が死ぬと外側だけを残して空になるが、特殊な状況下においては一時的に音を取り戻すことがある。
海を進むためのパドルやオールを意味する言葉だが、
森においては潜森士たちのトレッキングポールや、武装を意味する言葉。
鈴を取り付けられている場合が多く、その隊のベルウェザー(長)の櫂を見れば、実力が測れると言う。
森の中において道筋を示す唯一の品。
こちらの世界(現実)における浮標と似ており、浮標と浮標間を霧の中に浮かぶ光線として繋ぐ。 (デッドスペースのロケーターみたいなイメージ)
漂着物の中でも、安定した素材によって作り出された一つ。
狂いがちな「森」の中で正確なルートを教えてくれる極めて素敵な案内物だが、
ちょっとした海嘯で揺らぎ流され、破壊されてしまうこともあるため信用のし過ぎは厳禁。
小さな海嘯の影響は受けず、その場に固定されて動かない目印。
希少な素材を素に作られているので量産ができない上、浮標から直接、永久標識の位置まで導くことはできない。 可能な限り小骨や泊地等の中継地点に設置されているが、そうでないものもある。
整備の要らない「骨」の一種とも言われているが、正体は不明。
また、こちらも浮標と同様に大海嘯などで破壊されてしまうこともある。
潜森士が持ち歩く、海嘯対策用の位置保定アイテム。
キャンプを行う際に使用され、周辺の一定距離間の存在を海嘯から守護する。
"鈴"の名称分けと同様の等級分けがされていて、上のものほど強度の海嘯に耐えられる。
とはいえこれもまた、大海嘯には太刀打ちができないことも多い。 当然消耗品であり、使用中に破損し、そのまま流されてしまうこともある。
多数の種類があり、他世界から漂着してきたと言われるような先進的な錨の存在も語られている。
不安定な「森」の中で、自身の歩んできた道程や出会った事象を可能な限り正確なものとして記録するための日誌。
記録を怠らなければ、霧へ触れすぎたことで自身の仮名の一部が剥がれ落ちたとしても、 その概略を日誌に残すことで保持することができる。
とは言え、残せる形は字や絵などに留まる。記録もいずれ劣化するため、完全に保持し続けることはできない。
原料は森において「生きた木」と呼ばれる存在から取れる樹皮。
「森」において不変のもの、星を基準にして作られた「森」の地図。森星図とも。
海嘯が起きると大きなズレがしばしば起こるため、
特殊な仕掛けによってその場で地図そのものをある程度編集できる機能を持つ物が多い。 |
+ | 現象 |
「森」において時折発生する、地震のようなもの。海震とも。
これが起こると内部がシャッフルされ、生物や人族の位置が滅茶苦茶に狂い、 後述の浮標が引いた道筋も破壊される。
木々の配置や場所さえも吹き飛ばす「大海嘯」も存在している。
かつて、「暮」が襲いかかる様をこのように呼ぶ時代もあったという。
「霧」の影響によって発生する、慢性と急性を問わない体調の変化。
詳しくは「こちら」 |
+ | 森外 |
空に浮かぶ砕けた二つの月。
かつての大地生と暮が生まれた場所だともいう。
時折、その欠片を地表に降らせることがある。
森の縁を巡る長距離列車。
その力は漂着物によって維持されているとかいないとか。
森に付かず離れずの距離感で点在しており、
森の獣や霧避けのため、極端に森に近い駅はほとんど存在しないが、 中央骸のみ比較的近い距離感で建設されている。
整備の手間が非常に大きく、停止している期間の方が長いことも。
「そとうみ」と読む。
この世界における海のことを指す場合もあるが、 基本的には惑星外からやってきたとされる異界の存在に対して向けられる言葉。
森辺においては空から星が降ることは少なくないため、そういう意味でも受け入れられているが、
基本的には「森」側で見つかる漂着物によって他世界の存在が招来されることがほとんどであるため、 高度なテクノロジーによって能動的に惑星間を航行をするような種族についてを指すことはほぼ無い。 |
+ | 特有の言い回し |
大気圏外に浮かぶ、大地生由来の片割れ月の欠片が地上へ落下すること。
この卵殻は「骨」と同様の効果を持つので、歓迎される場合が多い。
人族の活動領域が増える可能性を帯びているので、徹底した監視のもと落下地点が導き出され、
潜森士や黒鈴の派遣によって位置が特定される。
上記と同じように、「暮」由来の片割れ月の欠片が地上へ落下すること。
大規模な災害と同様に考えられており、これが起こると「森」自体も活性化し、 この前後は霧が濃くなったり、危険や海嘯の頻度が増える。
ツララという形容の理由は、暮由来の破片は地表に落下しても消えてしまうことから。
森の中における距離。長さ。
新人以下の潜森士志望のこと。
まずは浅瀬に打ち寄せる砂を集めることから始まるのが由来。
小骨のみを巡る歌姫の総称。
仕事を選ばない歌姫の蔑称。
上記の小骨拾いの内に多くその言葉を向けられる者が居るが、厳密にこの二つは別のもの。
歌姫が「骨」を呼称する際に用いる。
潜森士を含め、森辺の民でこの呼び方を使うものはほとんどが歌姫に限られる。
持ち主が死んだり、紛失され森に残置された潜森士の鈴を拾い、仮初めの立場を形成する潜森士の総称。
蔑称を「フナムシ」というが、海賊の持つ立場にも同様の呼称がある。
潜森において、大怪我や落命などによりに再起不能となったメンバーの鈴を譲り受けること。
「森」に蝕まれきった人族のことをこう呼ぶ。
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