巨人(Giant)

 人間よりも大きな、人間の姿をしている種族。または、個体。

 巨人は、その大きな姿に比例して力が強く、人間では歯が立たない。北欧神話では、巨人は神々とさえ、まともに対抗できるし、神々と対等に婚姻関係を結ぶこともある。また、世界そのものになってしまうほど体が大きい巨人もいるし、富士山に腰掛ける巨人もいた。
 しかし頭は神々より上というわけでは必ずしもなく(プロメテウスのような例外はもちろんあるが)、力のみで人間を押し切っている物語も多い。とくに民話では、知恵のある若者に巨人が騙されて退治されてしまう話が好まれている(「長靴をはいた猫」や「ジャックと豆の木」が有名)。

 体の大きさだけではなく、頭が複数あったり、腕が何本もあったりすることもある。これは、自然の偉大さを表現しているものだと考えられている。

巨人の名前(種族、民話の中の無名の巨人)

名前 つづり 簡単な説明
ティタン Titan ギリシアの巨神族。ゼウスたちの親でもある。
ティタネス? Titanes ティタンの女性。
ギガス Gigas 大地から生まれた巨人。脚には蛇のうろこがあった。
ヘカトンケイル Hecatoncheir 100の腕と100の頭を持つ巨人。
キュクロプス Kyklops 一つ目の巨人。ヘパイストスの部下。
ユミル ymir 北欧神話の始祖なる巨人。
ムスペル? Muspel 北欧神話の火の巨人。
ヨトゥン Jötunn 北欧神話の霜の巨人族のこと。
イーテン、エント Eoten、Ent 古英語における巨人のこと。
エッティン? Ettin スコットランド民話のなかの巨人。
フリームスルス Hrímþurs 北欧神話の霜の巨人族。
ベルグリシ? Bergrisi 北欧神話の、山の巨人族。
ギューグ? Gýgr 北欧神話の女巨人。
トゥルサス Tursas フィンランドの水の巨人。
リシン、スクリームスリ Risin、Skrimsli フェロー諸島に伝わる巨人。
リーゼ? Riese ドイツ語で巨人のこと。
ヒューネ? Hüne リーゼの同義語。
フェンク? Fenk オーストリアの巨人。人間に好意的。
トロール Troll 北欧の怪物。巨人であることが多い。
トロールコナ? Trollkona トロールの女性。魔術に長ける。
フォモール fomor アイルランド伝説の巨人族。海から来た。
フォール Foawr イギリス・マン島の巨人たち。
ブラン? Bran the Blessed ウェールズの巨人。かつてブリテン島を治めていた。
カウル? Cawr ウェールズの巨人のこと。
ジャイアント? Giant イギリスの民間伝承に登場する巨人たち。
タルタロ Tartaro バスク地方の森の巨人。
ウオルコ Uorco イタリアの人食い鬼。
オーグル? Ogre フランスの鬼。シャルル・ペローの造語。
ネフィリム Nephilim 旧約聖書に登場する巨人族。天使と人間の間に生まれた。
アナキム? Anakim 旧約聖書の巨人族。パレスチナ地方に住んでいた。
デーウ Dēv イランの巨人族。もとは悪魔である。
ラークシャサ? Rākśasa インドの人食い巨人。スリランカに住んでいた。
ハントゥ・ティンギ? Hantu Tinggi ボルネオの森の巨人。
ハルス Halus 台湾の先住民タイヤル族の伝説に登場する巨人の男性。
ワタンマホン Watan Mahung 台湾の先住民セデック族の伝説に登場する巨人の男性。
だいだらぼっち? 大太法師 日本の巨人。各地の山を作ったといわれる。


参考文献
健部伸明『幻獣大全I モンスター
ティタン(26頁) ティタネス(31頁) ギガス(56頁) ヘカトンケイル(62頁) キュクロプス(66頁) ユミル(91~93頁) ムスペル(499頁) ヨトゥン(86頁) イーテン(86頁の他333頁「グレンデル」の項) エント(86頁 巨人の意味が先だから!) 「エティン」(143頁) フリームスルス(90頁) ベルグリシ(110頁) ギューグ(103頁) トゥルサス(97頁) リシン(112頁) リーゼ(119頁) ヒューネ(126頁) フェンク(139頁) トロール(148頁) トロールコナ(158頁) フォモール(214頁) フォール(230頁) カウル(234頁) ジャイアント(254頁) タルタロ(284頁) ウオルコ(305頁) オーグル(311頁)

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最終更新:2022年07月27日 00:42