セフィロートの木(Sephirothic Tree)

セフィロト、セフィーロートとも表記する。

カバラにおける精神界を三次元的に図形に表したものに対してつけられた呼称。
旧約聖書に準え、「生命の木」といった呼び名で呼ばれることもある。
この木は、存在的上位のアツィルトから下位のアッシアーまでの4つの世界と、
ケテルから始まる10のセフィラーの連係性を表している。
しばしば「世界樹」と同一視されることもあるが、この木は、概念的な精神世界の総称と体系を示す物であり、
木といっても樹木のような形体をとるものではない(図セフィロートの木簡略図参照)。
カバラでは、我々の世界は最下層のマルクトとして捉えられており、
このセフィロートの木を、マルクトを地表とした「地下に枝を伸ばす樹木」として、抽象的に描かれることもある。

4つの世界は、人知不能な世界(完全なる無)からの放射により生まれた(顕現化した)ケテルから、
ケテルよりの放射から生まれたコックマー・ビナーまでをアツィルト
アツィルトセフィラーよりの放射により生まれた三つをブリアー
ブリアーセフィラーよりの放射により生まれた三つをイェツィラー
イェツィラーセフィラーよりの放射により生まれたマルクトをアッシアーと呼ぶ。
関連的にはアツィルトからアッシアーまでに序列が存在しているように感じられるが、
セフィラーからの神の相の放射は、各界のみに制約されるわけではないので、
各界に各10のセフィラーの相が顕現化し、4界全体としては4重のセフィロートの木を形成する形になっていると考えられる。

個々のセフィラーは、4つの世界でそれぞれが顕現化され、それぞれ支配権を有する存在が違う。
また10個それぞれに惑星(黄道・太陽含む)が関連付けられている。
これらの惑星は天動説的な天体運行により、地球からの距離によって決められており、
マルクトからケテルに至るまでの関係は、マルクトを地球とし、最遠部のケテルには、
天体の運行を司る「プリムム・モビーレ」という広義的に「外宇宙」と採れるものを当てはめている。
それぞれのセフィラーを結ぶ道をパスと呼び、これら22本のパスには、該当するヘブライ文字が当てはめられ、
タロットの22枚の大アルカナとも関連性があるといわれている。



井筒俊彦は、世界を図形としてあらわしたものとして仏教の曼荼羅、易の八卦とセフィロートを比較している。

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最終更新:2005年05月15日 10:56