高速戦隊ターボレンジャーの第48話

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※ ここまでのあらすじは[[高速戦隊ターボレンジャーの第47話]]をご覧ください。 雷雨の中、流星と小夜子が天に向かってひたすらに叫び続けている。 流星「&bold(){我に試練を──っっ!!}」 小夜子「我に…… &bold(){我に試練を──っっ!!}」 流星「もっと強くなって…… ああっ!!」 落雷が2人を直撃。 2人はボロボロになりながらも、再び立ち上がって叫び続ける。 流星「&bold(){稲妻よ──っ!! もっと強く打て──っっ!!}」 小夜子「&bold(){稲妻よ──っっ!!}」 駆けつけた力たち5人も、あまりに異様な光景に言葉さえ出ない。 再び雷雲が光る。 力「危ないっ!!」 力が流星を押しのけた次の瞬間、流星が立っていた場所に雷が落ちる。 地面が爆発。 力「何をしている!! 死にたいのか!?」 流星の胸ぐらをつかんで怒鳴る力。 流星「ええいっ!!」 流星がそれを振りほどく。 流星「試練が…… 俺たちを流れ暴魔にするのだ!!」 小夜子「私たちは、流れ暴魔ヤミマル、キリカとなるのだ!」 流星「貴様たちは、あの極限状態の中で変身した…… 貴様たちにできて、俺たちにできぬわけがない!! ──&bold(){稲妻よ!!}」 小夜子「&bold(){稲妻よ──っっ!!}」 流星「&bold(){もっと強く打て──っっ!!}」 5人を無視して、再び叫び始める2人── #center(){|&br()&big(){&big(){&bold(){流れ暴魔の秘密}}}&br()&br()|} なおも落雷に身を焼く流星と小夜子。 その叫び声に導かれたのか、流れ暴魔カシムもその場に姿を現す。 流星「流れ暴魔に…… 必ず、流れ暴魔に! 変身してみせるぞ──っ!!」 カシム「&bold(){嵐よ──っ!! 去ぁぁれ──っ!! 去れ──っっ!!}」 カシムが手にした杖を振り回し、暴魔力を放つと、たちまち雷雲が消えて快晴になった。 愕然とする流星。 流星「何をする!」 カシム「変身してはならん!」 流星「なんだとっ!?」 カシム「変身してはならんっ! 今のお前たちの、その姿こそが、真の流れ暴魔なんじゃ!」 小夜子「何を言うか! これでは戦えぬ!」 カシム「流れ暴魔とは、戦う者にあらず! 本当は、この世に愛と、平和をもたらす者なんじゃ!」 流星「じじい! 耄碌しすぎたんじゃないのか?」 カシム「光っ!!」 カシムの胸ぐらをつかむ流星を、逆にカシムが一喝する。 カシム「小夜子……」 そして小夜子の肩を優しく抱き、力たちの方にも向き直り── カシム「みんな、聞いてくれ! 今こそ流れ暴魔の真実を教えよう」 流星と小夜子が顔をこわばらせる。 カシム「遠い、遠い昔のことじゃ。暴魔百族が、人間や妖精たちと&ruby(いくさ){戦}を始めた時、1人の傷ついた暴魔を、1人の美しい娘が救ったんじゃ」 回想── 腕から緑色の血を流す暴魔獣を、娘が止血してやっている。 カシム「暴魔百族で一番凶悪な暴魔獣・キメンボーマは、その優しさに驚き、たちまち心を打たれてしまったのじゃ…… その娘は、暴魔の中にも心の通じる者がいることを知ったが、人々はキメンボーマを許さなかった!」 傷ついたキメンボーマを連れて、戦火の中を逃げ惑う娘。 カシム「そこで娘とキメンボーマは、深~い深い山奥へ身を隠し、いつの日か人間と暴魔が、仲良くなれることを願った……」 キメンボーマと娘の間には、いつしか子供が生まれていた。 我が子をあやすキメンボーマ。 カシム「やがて子供が生まれた。2人はその子供が、海のように広い心を持った、優しい子に育つことを祈ったんじゃ。それが…… 流れ暴魔一族の始まりなんじゃ」 カシムの言葉の重みに、力たちは言葉を失う。 カシム「流れ暴魔とは、人と暴魔とをつなぐ者なんじゃ。人と暴魔とが、仲良くすること…… それこそが、キメンボーマと美しい娘の願いだったんじゃ」 流星「黙れ…… 黙れっ!! 誰がそんな話を信じるものか!!」 流星がカシムに背を向け、あくまでカシムを拒絶するかのように晴天に向かって叫ぶ。 流星「稲妻よ!! 俺を打てっ…… 稲妻よ──っっ!!」 小夜子「……光っ!」 見かねた小夜子が流星に駆け寄る。 流星「嵐よ来い……!! &bold(){稲妻よ──っっ!! 俺を、変身させてくれ──っっ!!}」 流星の悲壮な叫びは、衛星軌道上の暴魔城に届いていた。 ネオラゴーン「そんなに変身したいか…… よーし、変身させてやろう! ……ズルテン!!」 ズルテンが巨大な壺を持って現れ、ネオラゴーンの目の前に恭しく壺を置く。 ネオラゴーン「ぬふははははは…… 今、出してやる」 ネオラゴーンが杖を壺に向けると、壺の中から粘液のような物体が湧き出てきた。 ズルテン「なんだ、これ!?」 ネオラゴーン「行くのだ…… フフフフフフ……!」 粘液が地球を目指して飛んでいき、そして流星に取り憑く。 苦しむ流星。 小夜子「光っ!!」 カシム「どうした!?」 力「あっ!?」 流星の体が粘液にまみれている。 流星「なんだこれはっ……!?」 粘液はたちまち流星の全身を包み込み、暴魔獣となった。 小夜子「光…… その姿は……!?」 力「流星っ!!」 カシム「もしや、ネオラゴーンが!!」 さらにズルテンが姿を現す。 ズルテン「ひゃはは、いかにも! ただ殺したのではもったいないからな。ネオラゴーン様の手で、暴魔獣ゴムゴムボーマとされたのだってんだ!! かかれぃっ!!」 流星を取り込んだゴムゴムボーマが口から火炎弾を連射。 力「&bold(){ターボレンジャー!!}」 力たちがターボレンジャーに変身しつつ攻撃をかわす。 そこにウーラー兵たちも現れ、たちまち乱戦になる。 イエローターボ「行くぞ、ピンク!!」 ピンクターボ「OK!!」 2人のWキックが炸裂──しかしゴムゴムボーマの弾力ある体に跳ね返されてしまう。 レッド、ブラック、ブルーがターボレーザーを抜くが── 小夜子「やめてっ!!」 小夜子がゴムゴムボーマをかばう。 小夜子「撃たないで!!」 レッドターボ「……撃てない! &ruby(流星){あいつ}はもうヤミマルじゃない…… 無力な姿に戻ったあいつを撃つなんて、できないっ……!」 しかし、ゴムゴムボーマは背後から小夜子を突き飛ばす。 レッドターボ「あっ!」 カシム「小夜子っ!!」 ゴムゴムボーマの口から放たれる光線を浴び、ターボレンジャーのスーツがみるみるうちに腐食していく。 ズルテン「でへへ~、思い知ったか、ネオラゴーン様の恐ろしさ!」 苦しみ、膝をつく5人。 ズルテン「ズルパッチン!!」 ズルテンのスリングショットから放たれる爆弾の爆発がターボレンジャーを苛む。 ズルテン「今だ、行け、ゴムゴムボーマ!」 ゴムゴムボーマが全身から蒸気を噴き出し、猛烈な勢いでターボレンジャーに駆け寄る。 そしてレッドターボに抱き着き、そのまま5人全員を巻き込んで大爆発した。 ターボレンジャーもろとも吹き飛ぶゴムゴムボーマ── カシム「光っ……!」 小夜子「光──っ!!」 小夜子がゴムゴムボーマを探して森を駆けずり回っている。 やがて満身創痍のゴムゴムボーマを発見。 小夜子「光!」 ゴムゴムボーマに駆け寄ろうとする小夜子をカシムが制止する。 カシム「やめとけ、行くな! 無駄じゃ……」 小夜子「光は…… ヤミマルは、この世で私のたった1人の仲間なのよ!?」 カシムを振り払う小夜子。 カシム「小夜子っ!」 小夜子「ヤミマル、しっかりして! ヤミマル……」 ゴムゴムボーマを抱き起す小夜子。 しかし、ゴムゴムボーマは小夜子を突き飛ばす。 小夜子「ヤミマル、やめて! 私よ、私! キリカよ? キリカなのよ!?」 カシム「危ない! やめろーっ!!」 カシムが小夜子をかばってゴムゴムボーマの前に立ちはだかり、ゴムゴムボーマが吐いた光線をまともに浴びる。 倒れるカシム。 小夜子「ヤミマル、私を忘れたの? 流れ暴魔2人、共に手を取って戦おうと誓った私を!!」 カシム「小夜子……」 そこにズルテンが姿を現す。 ズルテン「にゅっふっふ! ゴムゴムボーマ、小夜子もゴムゴムボーマにしてしまえってんだ!」 ゴムゴムボーマが小夜子に粘液を浴びせたのと同時に、力たちもその場に駆けつける。 粘液にまみれ、苦しむ小夜子。 カシム「&bold(){小ぁぁ夜ぉぉ子──っっ!!}」 カシムが首から提げているペンダントから光線を発射。 光線を浴びて、小夜子の体にまとわりついた粘液が跡形もなく消え去る。 カシム「はぁ──っ!!」 さらにゴムゴムボーマにも公選を浴びせるカシム。 流星の体からゴムゴムボーマが離れる。 小夜子「光!!」 抱き合う小夜子と流星。 小夜子「ヤミマル……」 流星「……キリカ!」 小夜子「ヤミマル……」 安堵するカシム。 だが、次の瞬間、上空から流れ暴魔2人に光線が浴びせられる。爆発── カシム「小夜子!! 光っ……!!」 ネオラゴーン「思い知ったか、ネオラゴーンの力を!!」 光線は、ネオラゴーンが暴魔城から放ったものだった。 煙が晴れる──そこには、変身を遂げた流れ暴魔の姿が。 ネオラゴーン「おおっ!!」 ズルテン「なんだぁ~!?」 力「ああっ……」 カシム「変身してしまった……!」 ネオラゴーン「あのパワーに耐えるとは!」 ヤミマルが天を睨む。 ヤミマル「ネオラゴーン、見たか!! 今こそパワーを取り戻したぞ!! 流れ暴魔ヤミマル!!」 キリカ「キリカ!!」 2人が互いの武器を交差させる。 あくまで戦いをやめないヤミマルを悲しみ、顔を曇らせるカシム。 力「なんという奴だ……」 ヤミマルが気を放って粘液に戻ったゴムゴムボーマを支配し、ズルテンに取り憑かせる。 ズルテン「い、嫌だぁ~っ!!」 ズルテンの体が粘液に覆われて、新たなゴムゴムボーマとなった。 ヤミマル「世界を支配するのは誰か、見せてやる!!」 カシム「違うぞ!!」 カシムがヤミマルの脚にしがみつき、懸命に動きを封じる。 カシム「流れ暴魔は、人と暴魔をこそつなぐ者なんじゃ!」 ヤミマル「……しつこいぜ!」 ヤミマルは必死に訴えるカシムを冷たく見下し、下流に蹴り落とした。 力「カシムっ!!」 川岸に叩きつけられたカシムの体が光を放つ。 はるな「あっ! この姿は……?」 力たちがキメンボーマの姿に戻ったカシムに駆け寄る。 力「もしや、キメンボーマでは!?」 キメンボーマ「……これを」 キメンボーマは力なくうなずくと、力にペンダントを差し出した。 力がペンダントを開けると、その中には少女の写真が。少女の顔は、小夜子に瓜二つ── 洋平「月影 小夜子……!?」 大地「違う。きっとキメンボーマを助けたという、美しい娘だ!」 キメンボーマ「ああ…… 小夜子の母じゃ……」 俊介「なんだって!? じゃあ、月影 小夜子はお前の……」 キメンボーマ「娘じゃ……」 力、洋平、俊介「えっ……!?」 はるな「……だったら、なぜ? なぜ黙っていたの?」 キメンボーマ「いかに暴魔の血を引くとはいえ、わしのような暴魔百族が父と知ったらば、いかにあの子でもショックが大きいと思ってな……」 一陣の風が吹き抜け、枯れ木に残った木の葉を散らしていく。 あたかもキメンボーマの命を散らすかの如く── キメンボーマ「……小夜子を助けてやってくれ…… 流れ暴魔の本当の心を、わからせてやってくれ……」 キメンボーマが力の手を強く、強く握りしめる。 キメンボーマ「頼む…… あの、若い流れ暴魔たちをな……」 それが、キメンボーマの末期の言葉だった。 キメンボーマが杖とペンダントを残して消滅する。 力「キメンボーマ……」 キメンボーマの形見のペンダントを握りしめる力。 その目は、ヤミマルへの怒りに満ちている。 流れ暴魔2人は圧倒的なパワーでウーラー兵の群れを蹴散らし、ゴムゴムボーマを追い詰めていた。 そこに力たちが現れる。 力「ヤミマル!!」 ヤミマル「んっ?」 力「2人ともよく見るんだ…… カシムが2万年間、胸に抱いていたものを!!」 力がキメンボーマのペンダントを開き、小夜子の母の写真を見せつける。 力「カシムの正体こそ、キメンボーマだったんだ。この人は、暴魔獣を初めて愛した人間の娘…… そして、その間に生まれた子供が、キリカ…… 君なんだ! これは君のお母さん…… お母さんなんだ!!」 もう一度、キリカに向けて写真を突きつける力。 力「カシムは君のお父さんだ」 キリカ「嘘だ!」 力「嘘じゃない!! 親子でありながら、君の受けるショックを思って黙っていた…… その気持ちこそ、本当の親心だと思わないか?」 キリカが顔を伏せる。 ゴムゴムボーマから自分を救った時、「小夜子」の名を叫んだカシムの姿がその脳裏をよぎる。 ヤミマル「キリカ! 俺たちの約束を忘れたのか? 2人で世界を支配するという約束を……」 キリカの手を握るヤミマル。 しかしキリカの表情は晴れない。 力たちは、キリカが心を改めることを祈りながら見守っている── キリカ「…………」 キリカがヤミマルから顔をそむける。 力とキリカの目が合う。 力が緊張を解いた、その瞬間── キリカ「……月光剣!!」 キリカの剣から放たれた光線が力たちを襲った。 すかさずジャンプしてターボレンジャーに変身し、流れ暴魔2人を攻撃する5人。 ゴムゴムボーマとウーラー兵が横槍を入れるが、ターボレンジャーはターボレーザーの一斉射撃を浴びせて難なく撃破した。 ズルテンからゴムゴムボーマが離れる。 ズルテン「助かったぜってんだ!」 ズルテンが放り捨てた半固形状のゴムゴムボーマがウーラー兵の1人に取り憑き、新たなゴムゴムボーマとなる。 ズルテン「悪く思うなよ」 そのままレッドに襲い掛かるゴムゴムボーマだったが、GTクラッシュであっけなく倒された。 ズルテン「あらら~! よーし……」 ズルテンがほら貝状の武器を吹き鳴らし、暴魔再生巨大化光線を照射。 ゴムゴムボーマが巨大な姿となって蘇生される。 レッドターボ「ラガーファイター、発進!!」 ターボビルダーの上部ハッチが開き、ラガーファイターが出撃。 レッドターボ「&bold(){変形シフト・ターボラガー!!}」 すぐさまラガーファイターが4つのブロックに分かれ、ターボラガーへと再合体・変形してゆく。 レッドターボ「&big(){&bold(){セットアップ! ターボラガー!!}}」 ターボラガーが巨大ゴムゴムボーマの前に舞い降りた。 レッドターボ「バトルボール、キックオフ!!」 ラグビーボール型爆弾・バトルボールを取り出し、巨大ゴムゴムボーマめがけて蹴りつけるターボラガー。 巨大ゴムゴムボーマはヘディングでバトルボールを返すが、ターボラガーもバトルボールを上空へトス。 そのまま跳躍し、電撃的なスパイクを巨大ゴムゴムボーマに叩き込む。 バトルボールが巨大ゴムゴムボーマの口の中に納まる。 すかさずパンチ、キックの連続攻撃を繰り出すターボラガー。巨大ゴムゴムボーマは手も足も出ない。 レッドターボ「ラガージャンプ!!」 最後に大きく飛び上がり── レッドターボ「&big(){&bold(){スクリューラガーキ──ック!!}}」 エネルギーを込めた両足蹴りで巨大ゴムゴムボーマを粉砕した。 力たちはキメンボーマの杖を墓標として砂浜に立て、花を手向けた。 キメンボーマ(小夜子…… 海のように、広~い心を持った、優しい子に育つんだぞ……) 力「キメンボーマよ。必ず君の気持ち、ヤミマルとキリカに伝える」 決意を新たに、水平線を見据える5人。 その後ろ姿を、キリカがじっと見つめる──。 #center(){|CENTER:&br()ついに、ヤミマルとキリカも変身した。&br()だが、同時にキリカは、思いもかけぬ出生の秘密を知った。&br()果たして、その胸に去来する思いは?&br()&br()誰も、うかがい知る術もなかった……。&br()&br()|} #center(){|BGCOLOR(#000006):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&big(){&bold(){つづく}}}&br()&br()|} ※ この続きは[[高速戦隊ターボレンジャーの第49話]]をご覧ください。
※ ここまでのあらすじは[[高速戦隊ターボレンジャーの第47話]]をご覧ください。 雷雨の中、流星と小夜子が天に向かってひたすらに叫び続けている。 流星「&bold(){我に試練を──っっ!!}」 小夜子「我に…… &bold(){我に試練を──っっ!!}」 流星「もっと強くなって…… ああっ!!」 落雷が2人を直撃。 2人はボロボロになりながらも、再び立ち上がって叫び続ける。 流星「&bold(){稲妻よ──っ!! もっと強く打て──っっ!!}」 小夜子「&bold(){稲妻よ──っっ!!}」 駆けつけた力たち5人も、あまりに異様な光景に言葉さえ出ない。 再び雷雲が光る。 力「危ないっ!!」 力が流星を押しのけた次の瞬間、流星が立っていた場所に雷が落ちる。 地面が爆発。 力「何をしている!! 死にたいのか!?」 流星の胸ぐらをつかんで怒鳴る力。 流星「ええいっ!!」 流星がそれを振りほどく。 流星「試練が…… 俺たちを流れ暴魔にするのだ!!」 小夜子「私たちは、流れ暴魔ヤミマル、キリカとなるのだ!」 流星「貴様たちは、あの極限状態の中で変身した…… 貴様たちにできて、俺たちにできぬわけがない!! ──&bold(){稲妻よ!!}」 小夜子「&bold(){稲妻よ──っっ!!}」 流星「&bold(){もっと強く打て──っっ!!}」 5人を無視して、再び叫び始める2人── #center(){|&br()&big(){&big(){&bold(){流れ暴魔の秘密}}}&br()&br()|} なおも落雷に身を焼く流星と小夜子。 その叫び声に導かれたのか、流れ暴魔カシムもその場に姿を現す。 流星「流れ暴魔に…… 必ず、流れ暴魔に! 変身してみせるぞ──っ!!」 カシム「&bold(){嵐よ──っ!! 去ぁぁれ──っ!! 去れ──っっ!!}」 カシムが手にした杖を振り回し、暴魔力を放つと、たちまち雷雲が消えて快晴になった。 愕然とする流星。 流星「何をする!」 カシム「変身してはならん!」 流星「なんだとっ!?」 カシム「変身してはならんっ! 今のお前たちの、その姿こそが、真の流れ暴魔なんじゃ!」 小夜子「何を言うか! これでは戦えぬ!」 カシム「流れ暴魔とは、戦う者にあらず! 本当は、この世に愛と、平和をもたらす者なんじゃ!」 流星「じじい! 耄碌しすぎたんじゃないのか?」 カシム「光っ!!」 カシムの胸ぐらをつかむ流星を、逆にカシムが一喝する。 カシム「小夜子……」 そして小夜子の肩を優しく抱き、力たちの方にも向き直り── カシム「みんな、聞いてくれ! 今こそ流れ暴魔の真実を教えよう」 流星と小夜子が顔をこわばらせる。 カシム「遠い、遠い昔のことじゃ。暴魔百族が、人間や妖精たちと&ruby(いくさ){戦}を始めた時、1人の傷ついた暴魔を、1人の美しい娘が救ったんじゃ」 回想── 腕から緑色の血を流す暴魔獣を、娘が止血してやっている。 カシム「暴魔百族で一番凶悪な暴魔獣・キメンボーマは、その優しさに驚き、たちまち心を打たれてしまったのじゃ…… その娘は、暴魔の中にも心の通じる者がいることを知ったが、人々はキメンボーマを許さなかった!」 傷ついたキメンボーマを連れて、戦火の中を逃げ惑う娘。 カシム「そこで娘とキメンボーマは、深~い深い山奥へ身を隠し、いつの日か人間と暴魔が、仲良くなれることを願った……」 キメンボーマと娘の間には、いつしか子供が生まれていた。 我が子をあやすキメンボーマ。 カシム「やがて子供が生まれた。2人はその子供が、海のように広い心を持った、優しい子に育つことを祈ったんじゃ。それが…… 流れ暴魔一族の始まりなんじゃ」 カシムの言葉の重みに、力たちは言葉を失う。 カシム「流れ暴魔とは、人と暴魔とをつなぐ者なんじゃ。人と暴魔とが、仲良くすること…… それこそが、キメンボーマと美しい娘の願いだったんじゃ」 流星「黙れ…… 黙れっ!! 誰がそんな話を信じるものか!!」 流星がカシムに背を向け、あくまでカシムを拒絶するかのように晴天に向かって叫ぶ。 流星「稲妻よ!! 俺を打てっ…… 稲妻よ──っっ!!」 小夜子「……光っ!」 見かねた小夜子が流星に駆け寄る。 流星「嵐よ来い……!! &bold(){稲妻よ──っっ!! 俺を、変身させてくれ──っっ!!}」 流星の悲壮な叫びは、衛星軌道上の暴魔城に届いていた。 ネオラゴーン「そんなに変身したいか…… よーし、変身させてやろう! ……ズルテン!!」 ズルテンが巨大な壺を持って現れ、ネオラゴーンの目の前に恭しく壺を置く。 ネオラゴーン「ぬふははははは…… 今、出してやる」 ネオラゴーンが杖を壺に向けると、壺の中から粘液のような物体が湧き出てきた。 ズルテン「なんだ、これ!?」 ネオラゴーン「行くのだ…… フフフフフフ……!」 粘液が地球を目指して飛んでいき、そして流星に取り憑く。 苦しむ流星。 小夜子「光っ!!」 カシム「どうした!?」 力「あっ!?」 流星の体が粘液にまみれている。 流星「なんだこれはっ……!?」 粘液はたちまち流星の全身を包み込み、暴魔獣となった。 小夜子「光…… その姿は……!?」 力「流星っ!!」 カシム「もしや、ネオラゴーンが!!」 さらにズルテンが姿を現す。 ズルテン「ひゃはは、いかにも! ただ殺したのではもったいないからな。ネオラゴーン様の手で、暴魔獣ゴムゴムボーマとされたのだってんだ!! かかれぃっ!!」 流星を取り込んだゴムゴムボーマが口から火炎弾を連射。 力「&bold(){ターボレンジャー!!}」 力たちがターボレンジャーに変身しつつ攻撃をかわす。 そこにウーラー兵たちも現れ、たちまち乱戦になる。 イエローターボ「行くぞ、ピンク!!」 ピンクターボ「OK!!」 2人のWキックが炸裂──しかしゴムゴムボーマの弾力ある体に跳ね返されてしまう。 レッド、ブラック、ブルーがターボレーザーを抜くが── 小夜子「やめてっ!!」 小夜子がゴムゴムボーマをかばう。 小夜子「撃たないで!!」 レッドターボ「……撃てない! &ruby(流星){あいつ}はもうヤミマルじゃない…… 無力な姿に戻ったあいつを撃つなんて、できないっ……!」 しかし、ゴムゴムボーマは背後から小夜子を突き飛ばす。 レッドターボ「あっ!」 カシム「小夜子っ!!」 ゴムゴムボーマの口から放たれる光線を浴び、ターボレンジャーのスーツがみるみるうちに腐食していく。 ズルテン「でへへ~、思い知ったか、ネオラゴーン様の恐ろしさ!」 苦しみ、膝をつく5人。 ズルテン「ズルパッチン!!」 ズルテンのスリングショットから放たれる爆弾の爆発がターボレンジャーを苛む。 ズルテン「今だ、行け、ゴムゴムボーマ!」 ゴムゴムボーマが全身から蒸気を噴き出し、猛烈な勢いでターボレンジャーに駆け寄る。 そしてレッドターボに抱き着き、そのまま5人全員を巻き込んで大爆発した。 ターボレンジャーもろとも吹き飛ぶゴムゴムボーマ── カシム「光っ……!」 小夜子「光──っ!!」 小夜子がゴムゴムボーマを探して森を駆けずり回っている。 やがて満身創痍のゴムゴムボーマを発見。 小夜子「光!」 ゴムゴムボーマに駆け寄ろうとする小夜子をカシムが制止する。 カシム「やめとけ、行くな! 無駄じゃ……」 小夜子「光は…… ヤミマルは、この世で私のたった1人の仲間なのよ!?」 カシムを振り払う小夜子。 カシム「小夜子っ!」 小夜子「ヤミマル、しっかりして! ヤミマル……」 ゴムゴムボーマを抱き起す小夜子。 しかし、ゴムゴムボーマは小夜子を突き飛ばす。 小夜子「ヤミマル、やめて! 私よ、私! キリカよ? キリカなのよ!?」 カシム「危ない! やめろーっ!!」 カシムが小夜子をかばってゴムゴムボーマの前に立ちはだかり、ゴムゴムボーマが吐いた光線をまともに浴びる。 倒れるカシム。 小夜子「ヤミマル、私を忘れたの? 流れ暴魔2人、共に手を取って戦おうと誓った私を!!」 カシム「小夜子……」 そこにズルテンが姿を現す。 ズルテン「にゅっふっふ! ゴムゴムボーマ、小夜子もゴムゴムボーマにしてしまえってんだ!」 ゴムゴムボーマが小夜子に粘液を浴びせたのと同時に、力たちもその場に駆けつける。 粘液にまみれ、苦しむ小夜子。 カシム「&bold(){小ぁぁ夜ぉぉ子──っっ!!}」 カシムが首から提げているペンダントから光線を発射。 光線を浴びて、小夜子の体にまとわりついた粘液が跡形もなく消え去る。 カシム「はぁ──っ!!」 さらにゴムゴムボーマにも光線を浴びせるカシム。 流星の体からゴムゴムボーマが離れる。 小夜子「光!!」 抱き合う小夜子と流星。 小夜子「ヤミマル……」 流星「……キリカ!」 小夜子「ヤミマル……」 安堵するカシム。 だが、次の瞬間、上空から流れ暴魔2人に光線が浴びせられる。爆発── カシム「小夜子!! 光っ……!!」 ネオラゴーン「思い知ったか、ネオラゴーンの力を!!」 光線は、ネオラゴーンが暴魔城から放ったものだった。 煙が晴れる──そこには、変身を遂げた流れ暴魔の姿が。 ネオラゴーン「おおっ!!」 ズルテン「なんだぁ~!?」 力「ああっ……」 カシム「変身してしまった……!」 ネオラゴーン「あのパワーに耐えるとは!」 ヤミマルが天を睨む。 ヤミマル「ネオラゴーン、見たか!! 今こそパワーを取り戻したぞ!! 流れ暴魔ヤミマル!!」 キリカ「キリカ!!」 2人が互いの武器を交差させる。 あくまで戦いをやめないヤミマルを悲しみ、顔を曇らせるカシム。 力「なんという奴だ……」 ヤミマルが気を放って粘液に戻ったゴムゴムボーマを支配し、ズルテンに取り憑かせる。 ズルテン「い、嫌だぁ~っ!!」 ズルテンの体が粘液に覆われて、新たなゴムゴムボーマとなった。 ヤミマル「世界を支配するのは誰か、見せてやる!!」 カシム「違うぞ!!」 カシムがヤミマルの脚にしがみつき、懸命に動きを封じる。 カシム「流れ暴魔は、人と暴魔をこそつなぐ者なんじゃ!」 ヤミマル「……しつこいぜ!」 ヤミマルは必死に訴えるカシムを冷たく見下し、下流に蹴り落とした。 力「カシムっ!!」 川岸に叩きつけられたカシムの体が光を放つ。 はるな「あっ! この姿は……?」 力たちがキメンボーマの姿に戻ったカシムに駆け寄る。 力「もしや、キメンボーマでは!?」 キメンボーマ「……これを」 キメンボーマは力なくうなずくと、力にペンダントを差し出した。 力がペンダントを開けると、その中には少女の写真が。少女の顔は、小夜子に瓜二つ── 洋平「月影 小夜子……!?」 大地「違う。きっとキメンボーマを助けたという、美しい娘だ!」 キメンボーマ「ああ…… 小夜子の母じゃ……」 俊介「なんだって!? じゃあ、月影 小夜子はお前の……」 キメンボーマ「娘じゃ……」 力、洋平、俊介「えっ……!?」 はるな「……だったら、なぜ? なぜ黙っていたの?」 キメンボーマ「いかに暴魔の血を引くとはいえ、わしのような暴魔百族が父と知ったらば、いかにあの子でもショックが大きいと思ってな……」 一陣の風が吹き抜け、枯れ木に残った木の葉を散らしていく。 あたかもキメンボーマの命を散らすかの如く── キメンボーマ「……小夜子を助けてやってくれ…… 流れ暴魔の本当の心を、わからせてやってくれ……」 キメンボーマが力の手を強く、強く握りしめる。 キメンボーマ「頼む…… あの、若い流れ暴魔たちをな……」 それが、キメンボーマの末期の言葉だった。 キメンボーマが杖とペンダントを残して消滅する。 力「キメンボーマ……」 キメンボーマの形見のペンダントを握りしめる力。 その目は、ヤミマルへの怒りに満ちている。 流れ暴魔2人は圧倒的なパワーでウーラー兵の群れを蹴散らし、ゴムゴムボーマを追い詰めていた。 そこに力たちが現れる。 力「ヤミマル!!」 ヤミマル「んっ?」 力「2人ともよく見るんだ…… カシムが2万年間、胸に抱いていたものを!!」 力がキメンボーマのペンダントを開き、小夜子の母の写真を見せつける。 力「カシムの正体こそ、キメンボーマだったんだ。この人は、暴魔獣を初めて愛した人間の娘…… そして、その間に生まれた子供が、キリカ…… 君なんだ! これは君のお母さん…… お母さんなんだ!!」 もう一度、キリカに向けて写真を突きつける力。 力「カシムは君のお父さんだ」 キリカ「嘘だ!」 力「嘘じゃない!! 親子でありながら、君の受けるショックを思って黙っていた…… その気持ちこそ、本当の親心だと思わないか?」 キリカが顔を伏せる。 ゴムゴムボーマから自分を救った時、「小夜子」の名を叫んだカシムの姿がその脳裏をよぎる。 ヤミマル「キリカ! 俺たちの約束を忘れたのか? 2人で世界を支配するという約束を……」 キリカの手を握るヤミマル。 しかしキリカの表情は晴れない。 力たちは、キリカが心を改めることを祈りながら見守っている── キリカ「…………」 キリカがヤミマルから顔をそむける。 力とキリカの目が合う。 力が緊張を解いた、その瞬間── キリカ「……月光剣!!」 キリカの剣から放たれた光線が力たちを襲った。 すかさずジャンプしてターボレンジャーに変身し、流れ暴魔2人を攻撃する5人。 ゴムゴムボーマとウーラー兵が横槍を入れるが、ターボレンジャーはターボレーザーの一斉射撃を浴びせて難なく撃破した。 ズルテンからゴムゴムボーマが離れる。 ズルテン「助かったぜってんだ!」 ズルテンが放り捨てた半固形状のゴムゴムボーマがウーラー兵の1人に取り憑き、新たなゴムゴムボーマとなる。 ズルテン「悪く思うなよ」 そのままレッドに襲い掛かるゴムゴムボーマだったが、GTクラッシュであっけなく倒された。 ズルテン「あらら~! よーし……」 ズルテンがほら貝状の武器を吹き鳴らし、暴魔再生巨大化光線を照射。 ゴムゴムボーマが巨大な姿となって蘇生される。 レッドターボ「ラガーファイター、発進!!」 ターボビルダーの上部ハッチが開き、ラガーファイターが出撃。 レッドターボ「&bold(){変形シフト・ターボラガー!!}」 すぐさまラガーファイターが4つのブロックに分かれ、ターボラガーへと再合体・変形してゆく。 レッドターボ「&big(){&bold(){セットアップ! ターボラガー!!}}」 ターボラガーが巨大ゴムゴムボーマの前に舞い降りた。 レッドターボ「バトルボール、キックオフ!!」 ラグビーボール型爆弾・バトルボールを取り出し、巨大ゴムゴムボーマめがけて蹴りつけるターボラガー。 巨大ゴムゴムボーマはヘディングでバトルボールを返すが、ターボラガーもバトルボールを上空へトス。 そのまま跳躍し、電撃的なスパイクを巨大ゴムゴムボーマに叩き込む。 バトルボールが巨大ゴムゴムボーマの口の中に納まる。 すかさずパンチ、キックの連続攻撃を繰り出すターボラガー。巨大ゴムゴムボーマは手も足も出ない。 レッドターボ「ラガージャンプ!!」 最後に大きく飛び上がり── レッドターボ「&big(){&bold(){スクリューラガーキ──ック!!}}」 エネルギーを込めた両足蹴りで巨大ゴムゴムボーマを粉砕した。 力たちはキメンボーマの杖を墓標として砂浜に立て、花を手向けた。 キメンボーマ(小夜子…… 海のように、広~い心を持った、優しい子に育つんだぞ……) 力「キメンボーマよ。必ず君の気持ち、ヤミマルとキリカに伝える」 決意を新たに、水平線を見据える5人。 その後ろ姿を、キリカがじっと見つめる──。 #center(){|CENTER:&br()ついに、ヤミマルとキリカも変身した。&br()だが、同時にキリカは、思いもかけぬ出生の秘密を知った。&br()果たして、その胸に去来する思いは?&br()&br()誰も、うかがい知る術もなかった……。&br()&br()|} #center(){|BGCOLOR(#000006):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&big(){&bold(){つづく}}}&br()&br()|} ※ この続きは[[高速戦隊ターボレンジャーの第49話]]をご覧ください。

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