SSSS.DYNAZENONの最終回

「SSSS.DYNAZENONの最終回」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

SSSS.DYNAZENONの最終回 - (2022/07/30 (土) 20:28:56) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

怪獣使いの集団・怪獣優生思想のシズムは、自ら体内で育てていた咬文嚼字怪獣ガギュラと一体化し、巨大怪獣となって暴れまわる。 ガウマは怪獣使いの能力を失った上に、シズマの攻撃も受けて、瀕死の状態となっている。 蓬「ガウマさん……」 2代目「蓬さん。少し、いいですか?」 2代目は、ダイナゼノンを直したときのバトンを出し、ガウマにかざす。 夢芽「治るんですか?」 2代目「いいえ。フィクサービームではないので、痛みを和らげることしかできません」 蓬「救急車なんて、呼べる状況じゃなさそうだし……」 2代目「がんばってください。ガウマさん、ナイトくん」 ナイト([[『SSSS.GRIDMAN』>SSSS.GRIDMANの最終回]]のアンチ)は、ダイナゼノンの4大メカと怪獣ゴルドバーンと合体してカイゼルグリッドナイトとなり、単身で怪獣ガギュラと戦う。 しかし、各メカにガウマや蓬たちが搭乗していないために戦力が落ち、苦戦を強いられている。 怪獣優生思想のジュウガ、オニジャ、ムジナが、それを見ている。 ムジナ「怪獣だ……」 オニジャ「どういうことだよ? 怪獣は二度と現れないんじゃなかったのか?」 ジュウガ「まだ、怪獣の世界は終わっていなかったんですよ!」 ジュウガがインスタンス・ドミネーションで怪獣を操ろうと、手をかざす。 オニジャ「どうした? ジュウガ」 ジュウガ「この怪獣は……?」 オニジャとムジナも、手をかざす。 オニジャ「はっ…… もしかして、シズムなのか!?」 ジュウガ「連れてってくれ、シズム! 怪獣の未来を、俺は見たいんだ!!」 怪獣ガギュラが、3人のもとへ迫る。 ジュウガ「いいですか? 2人とも」 オニジャ「俺は、より多くの人間を殺せる未来を選ぶ」 ムジナ「結局、私にはこれしかないから」 ジュウガたち3人が、ガギュラの巨大な口の中へ消える。 ガギュラはジュウガたちを吸収したことで、さらに強大な第2形態へと変貌する。 ナイト「なんだ!? こいつ、まだパワーが上がるのか!?」 ガウマが意識を取り戻す。 蓬「ガウマさん!」 夢芽「良かった……」 蓬「大丈夫ですか!?」 ガウマ「大、丈夫……かって…… ツラ、見て、もの言えよ…… 俺はもう、長くなさそうだ……」 夢芽「ちょっと!?」 蓬「何言ってるんですか!?」 ガウマ「蓬、夢芽…… 俺たち怪獣使いの面倒に、巻き込んじまって、悪かったな…… 5千年前のことなんて、お前たちには、関係ないもんな……」 蓬「関係なくないですよぉ!」 蓬が涙声で訴える。 蓬「ガウマさん、勝手に俺たちを巻き込んだんですよ。ダイナゼノンで、ガウマさんが、俺たちとの関係を作ってくれたんですよ!」 ガウマが力なく、かすかに頬を緩める。 ガウマ「すまなかったな…… いや、違うか…… ありがとう、だな…… 暦にも、伝えといてくれ……」 蓬「自分で言ってください…… ちゃんと生きて、自分の言葉で伝えてください!!」 ガウマ「……声、でけぇよ」 ナイト「&bold(){カイゼルナイトダブルストーム!}」 ガギュラは必殺光線を浴びたまま、平然と突進し、逆にグリッドナイトを吹き飛ばす。 ナイト「うわああぁぁ──っっ!!」 グリッドナイトは合体が解除され、ダイナゼノンの各メカ、ゴルドバーンが分離し、地上に叩きつけられる、 夢芽「行こう、蓬くん。私たちにできること、まだあるよ」 蓬「2代目さん。ガウマさんを、よろしくお願いします」 2代目「はい! お気をつけて」 蓬「じゃ、また後で」 蓬と夢芽は、自分たちのメカが落下した方へ走る。 暦が戦いの場へ走る。 目の前に、ダイナストライカーが落下してくる。 第1話で、自分がダイナゼノンに取り込まれた光景が、脳裏をよぎる。 暦「あの日と同じ、偶然なんだ。でも違うのは、俺は……!」 ガウマが必死に、身を起こそうとしている。 2代目「ちょっと! 何してるんですか!?」 ガウマ「くっ…… あの怪獣を、倒さないと…… 蓬たちのこれからが、無くなる…… きっと、ダラダラと長生きするために、甦ったわけじゃない」 2代目「だからって、その体じゃ……」 ガウマ「俺には、守らなきゃならない大切な、もの、が…… 3つある! 約束と、愛と……!」 蓬がダイナソルジャーのもとへ辿り着く。 前話で蓬は、夢芽に告白し、夢芽の返事の寸前にシズムが割って入っていた。 (蓬『好きです。付き合ってください』) 蓬「返事、結局聞いてないし…… タイミング逃したな」 蓬が意を決して、ダイナソルジャーへと飛び込む。 暦の乗るダイナストライカーが、怪獣ガギュラ目がけて突進し、機関砲を連射する。 ムジナ「触らないでよぉ!」 暦「ム、ムジナさん!?」 夢芽が足をとられて、転倒する。 ストッキングが伝線し、血が滲んでいる。 姉の香乃の遺品である知恵の輪が、地面に転がる。 夢芽「痛…… 香乃、私は大丈夫だよ……」 蓬の乗るダイナソルジャーが現れる。 夢芽「蓬くん!?」 蓬「行こう、南さん!! きっと、みんなが待ってる!!」 夢芽「……うん!」 ちせも、戦いの場へと向かっている。 ゴルドバーンが倒れている。 ちせ「ゴルドバーン!? 死んでない……よね?」 ゴルドバーンが返事のように、翼を広げて宙を舞い、咆哮をあげる。 ちせ「やっぱり君は、世界で一番格好いい、私の友達だよ!」 怪獣ガギュラの攻撃が、グリッドナイトに迫る。 ゴルドバーンが盾となって攻撃を防ぐが、ゴルドバーンもまた倒れる。 暦のダイナストライカーが割って入り、再び機関砲を連射する。 暦「ちせの友達に死なれちゃ、困るんだよ! 法事が増えるからな!!」 蓬「ナイトさ──ん!!」 蓬のダイナソルジャーと夢芽のダイナウイングが合体した、ダイナソルジャーウイングコンバインが、頭上から急降下しつつ、ガギュラに蹴りを見舞う。 ナイト「麻中蓬か!」 さらにダイナダイバーのミサイルが、ガギュラに命中する。 ガウマが2代目に体を支えられつつ、必死にダイナダイバーを操縦している。 一同「ガウマさん!?」 ガウマ「暦にも…… 詫びと礼を入れに来た! 巻き込んじまって、悪かった……」 暦「ガウマさん…… 今これ、何の話ですか?」 ガウマ「そうか、お前にも言ってなかったな……」 ナイト「ガウマ、待っていろと言ったはずだ。何をしに来た?」 ガウマ「……余計な真似を、しに来たんだよ」 ナイト「ならば、後悔は無いな。再び全員の力を、合わせるときだ!!」 一同「おぅ!!」 グリッドナイト、ダイナソルジャーたち4体のメカ、そしてゴルドバーンが合体して、カイゼルグリッドナイトとなる。 一同「&bold(){超合体竜王! カイゼルグリッドナイトォォ!!}」 オニジャ「人間は皆殺しだぁ!! 怪獣よ、すべての人間を殺し尽くせぇぇ!!」 怪獣ガギュラの巨体での攻撃を、カイゼルグリッドナイトが拳で跳ね返す。 蓬「そんなこと、絶対にさせない!!」 ナイト「あぁ! その通りだ!! &bold(){カイゼルナイトサーキュラー!!}」 ジュウガ「ガウマさん! 俺はあなたに憧れていた! 俺にはあなたが、あなたには俺が必要なんだ! なのにあなたは裏切った! なのに前よりあなたが好きなんで──」 ガウマ「うるせぇ──んだよ──っ!! 俺の前に現れるなって言ったよな──っ!! 今度こそ俺が、きっちりお前を終わらせてやるぅぅ──っっ!!」 ムジナ「私には怪獣しかないんだ! 怪獣しかないってわかっちゃったんだ! 暦くんのせいで!!」 暦「俺が悪いんなら、謝ってやるよぉぉ──っっ!!」 ムジナ「もし謝ったりしたら、絶対許さないからぁ──っっ!!」 カイゼルグリッドナイトとガギュラの、強力な攻撃の応酬が続く。 シズム「──」 蓬・夢芽「シズムくん!!」 夢芽「シズムくんは、何も言わないんだね……」 ガギュラが口から、強烈な破壊光線を放つ。 一同「&bold(){レックスグリッドファイヤァ──!!}」 レックスグリッドファイヤーとガギュラの光線がぶつかり合う。 ガギュラの力が勝り、カイゼルグリッドナイトが光線を浴びて、徐々に押されてゆく。 ガウマ「くっ……! 堪えろ、みんなぁ!! 絶対押しのけるぞぉぉ!!」 蓬の乗るダイナミックキャノンが分離する。 ガウマ「蓬!? 何するつもりだぁ!?」 蓬には第8話から徐々に、怪獣使いとしての能力が目覚め始めている。 ダイナミックキャノンがダイナソルジャーに変形する。 蓬「あのとき、ただの偶然だったのかもしれないけど…… &bold(){インスタンス・ドミネーション!!}」 蓬の決死の能力で、ガギュラの光線が徐々に、軌道を外れる。 蓬「はぁ、はぁ……」 ナイト「今だ!」 カイゼルグリッドナイトが分離、さらにドラゴンソルジャーたち4体のメカが合体して、ダイナゼノンとなる。 一同「&bold(){合体竜人! ダイナゼノン!!}」「&bold(){バトル・ゴ──ッ!!}」 ダイナゼノンの巨大な拳でのパンチが、ガギュラを捉える。 ガウマ「さらに! &bold(){ダイナゼノン・フルバーストォォ!!}」 ダイナゼノンの全火器の零距離攻撃で、ガギュラが頭上に吹っ飛ぶ。 ナイト「来い、ゴルドバーン!」 グリッドナイトとゴルドバーンが合体して、グリッドバーンナイトとなる。 オニジャ「何ぃ!?」 ナイト「うぉぉ──っ!!」 グリッドバーンナイトが光の矢の如く宙を舞い、空中のガギュラに拳を見舞う。 ダイナゼノンは4体のメカに分離、再合体してダイナレックスとなる。 一同「&bold(){合体強竜! ダイナレックス!!}」 さらにダイナレックスの上に、グリッドバーンナイトが飛び乗る。 ジュウガたち「滅びろぉ!! 怪獣もどきがぁぁ──!!」 ガギュラが一際強力な破壊光線を放つ。 ガウマ「決めるぞ、グリッドナイト!」 ナイト「あぁ! 共に行くぞ!」 ガウマ&big(){「&bold(){必焼ぉ──! 灼熱大火炎! バ──ニングゥ!}」} ナイト&big(){「&bold(){グリッドォ!}」} 一同「&big(){&bold(){レックス──ロアアアァァ──ッッ!!}」} レックスロアーとガギュラの光線がぶつかり合う。 今度はレックスロアーの方が勝り、ガギュラが炎に包まれる。 ジュウガたち「まだだぁ!」 ガウマ「いや! &bold(){これで終わりだああぁぁ──っっ!!}」 グリッドバーンナイト、ダイナレックスが光の中を突進、2大パンチがガギュラの顔面に炸裂する。 ジュウガたち「グワアアァァ──ッッ!!」 オニジャ、ムジナ、ジュウガ、シズムの4人が光に包まれる。 オニジャ「フッ…… もう一度死ぬとは思わなかったぜ」 ムジナ「これで、良かったのかな……」 オニジャ「いや、怪獣たちの未来は、まだ……」 シズム「──」 ガギュラが大爆発し、最期を遂げる。 2代目「ガウマさん!?」 蓬「えっ!?」 ガウマが力尽きて、倒れる。 2代目「ガウマさん!」 夢芽「蓬くん、このまま病院に!」 蓬「うん!」 ガウマ「いや…… これ以上、厄介になるわけには……」 ダイナレックスの瞳の光が弱まり、機体が徐々に、色褪せてゆく。 2代目「え……?」 ガウマ「この世界で、あなたとは逢えなかったけど…… あいつらと出逢えた……」 ガウマのかすむ視界の中、蓬、夢芽、暦の3人の姿が映る。 ガウマ「なんで、ダイナゼノンを俺に託したのか…… ようやくわかった気がするよ……」 戦いの終わった空に、光が瞬き、6つに分かれる。 ちせは歓喜の表情で、それを見上げている。 ダイナレックス、ゴルドバーン、グリッドナイト、そして光に包まれた蓬たちが、空から降りて来る。 ガウマの姿は無い。 蓬「あれ…… ガウマさんは?」 #center(){|BGCOLOR(black):COLOR(white):CENTER:&br()3 months later&br()&br()|} スタッフロールと共に、エピローグ。 蓬、夢芽、暦、ちせ、ナイト、2代目の6人が、ガウマが寝床としていた河川敷を見つめている。 暦は、これまでの無職姿とは一転、スーツ姿で、髪も整えている。 ゴルドバーンが顔を出して、咆哮をあげる。 暦「びっくりしたぁ……」 ちせ「『いつまでも引きずってんじゃねぇ』って、言ってるんスよ」 暦「ちせの友達、元気になったんだ?」 2代目「はい。だいぶ、回復したみたいです」 ナイト「……お前は、誰だ?」 暦「え? いい加減、慣れてくださいよ」 夢芽「ガウマさん、世の中には守らなきゃならないものが」 蓬・夢芽「3つあるって」 蓬「言ってたよね」 蓬・夢芽「約束と、愛と」 蓬「えぇっと……」 ナイト「俺たちには次の使命のため、この世界から去る」 2代目「皆さん、お世話になりました」 蓬「こちらこそ、ありがとうございました。ナイトさん、2代目さん」 夢芽「ありがとう…… ダイナゼノン」 ナイトと2代目が、船を出して、川を行く。 ゴルドバーンが、動かない石像のようになったダイナレックスを掴んで、追っていく。 蓬たちが手を振って見送る。 ちせが、我慢しきれない様子で、ゴルドバーンを追って走る。 ちせ「ありがとう、ゴルドバーン! 君は、私の、最っ高──の友達だからぁ!!」 ナイトたちとゴルドバーンが、パサルート(コンピューターワールドへの通路)の中へと、姿を消す。 蓬「行っちゃったね」 夢芽「うん」 蓬「俺らも行こ、そろそろ」 夢芽「えぇ~……」 蓬「えぇ、じゃなくてさぁ。──!?」 河川敷にガウマの姿──? 蓬が気配を感じて振り返るが、そこには誰もいない。 夢芽「どうした?」 蓬「うぅん」 夢芽「本当、行きたくないんだけど」 蓬「まだ言うじゃん……」 夢芽「だって……」 蓬「そこはうまくやってこうって、約束じゃないっスか」 夢芽「まぁ、蓬がそう言うなら……」 いつしか夢芽は、蓬を呼び捨てで呼んでいる。 暦とちせが、半壊した中学校の前で佇んでいる。 ちせ「先輩。面接、何回落ちたんでしたっけ?」 暦「……21回」 ちせ「で、結局、元カノの旦那のとこで働くんですよね──」 暦「元カノじゃない。友達だよ」 ちせ「ずるい手段使ったんスか?」 暦「そりゃ、使うでしょ」 ちせ「私、先輩みたいにはなりたくないっスね」 暦「……なんない方がいいよ」 ちせ「スーツ、全然似合ってないっスね」 暦「ちせも制服、似合ってなかったよ」 ちせ「……ククッ、あんなもん、似合ってたまるか」 ちせが腕のボディペイントを隠していたカバーは外され、新たにゴルドバーンのペイントが描かれている。 フジヨキ台高校の学園祭。 鳴衣の写真部では、夢芽の写真が展示されている。 夢芽「ねぇ。『使わないで』って言ったじゃん」 鳴衣「そうだっけ?」 夢芽「言った」 鳴衣「夢芽さん、ここいていいの? お当番あるんでしょ」 夢が鳴衣と、2ショットで自撮りをする。 夢芽「お母──さん、うるさい」 鳴衣「変わったな──」 蓬たちのクラスの出し物のホラーカフェに、蓬の母と上条が訪れる。 上条「蓬くんのお当番、そろそろでしょ?」 蓬「はい。お金は、入口のとこで」 上条「はぁい」 蓬の母「ねぇ。ガウマさんは、来てないの?」 蓬「……来ないよ」 蓬の母「ん?」 蓬「あの人、うちの学校、出禁になってるから」 蓬の母「えっ!? なんで!? 何したの?」 淡木「蓬~」 らんか「ヨモく~ん」 蓬「どうしたの?」 金石「南さん、来てないんだって」 らんか「なんなのあの人! 準備だって全然手伝ってなかったし。当日くらいちゃんと仕事してよね」 なずみ「次のシフト入ってるのに、連絡取れないみたい」 淡木「蓬、捜してきてよ」 らんか「南さん係でしょ!」 蓬「……わ、わかった」 蓬は夢芽を捜して、学校中を走り回る。 学校の片隅で、夢芽が鼻歌を歌っている。 蓬「いた、南さん。お店、俺らの班の番だから、そろそろ行かないと」 夢芽「やっぱり……行きたくない」 蓬「わかるけどさ、うちのクラスの人とも合わせてくださいよ。行こ! はい!」 夢芽が、蓬へ手を差し出す。 夢芽「じゃあ、連れてって」 蓬の脳裏に、シズムとの会話が甦る。 シズムは最後の戦いの最中、終始無言のようだったが、蓬がガギュラにインスタンス・ドミネーションを決行したとき、蓬はガギュラ=シズムと繋がり、2人だけの会話を交わしていた。 (シズム『やっぱりわからないな。君も怪獣使いになれる可能性があったのに、惜しいことをした』) (蓬『俺は怪獣がわからない。だから、そっちには行かないんだ』) (シズム『人が理解できないものこそ、怪獣なんだ。彼らは常に、人の理の外にある。怪獣は何かに縛られたりはしない。君だって見たんだろ? 怪獣の力さえあれば、時間や空間、生きることや死ぬことからも解放される。もう少しで無上の自由に辿り着けたのに、後悔はないの?』) (蓬『俺にはまだわからない。これから嬉しいこととか、苦しいこととかを繰り返して、生きていきたいから』) (シズム『君たちはそうやって、無自覚に自由を失い、やがて自分自身を縛っていくんだ』) (蓬『俺は自由を失うんじゃないよ。かけがえのない不自由を、これから手に入れていくんだ』) (シズム『……やっぱりわからないな』) 夢芽「蓬? ……ん?」 蓬が夢芽の手を取り、立たせる。 夢芽「よくできました」 蓬「南さんって結構、冗談言うよね」 夢芽「……ねぇ」 蓬「ん?」 夢芽「まだ、『南さん』なんだ」 蓬は頬を赤らめ、顔をそむける。 蓬「……みんな待ってるから。行くよ、夢芽!」 夢芽「プッ! アハハハ! ハハハハ! よくできました」 蓬「恥ずかしくない?」 夢芽「恥ずかしいぐらいがちょうどいいんだよ」 学園祭が和やかに営まれる。 蓬はミイラ男、夢芽は幽霊のコスプレで、ホラーカフェで来客たちを迎える。 蓬たちクラス一同が、記念写真を撮る。 蓬と夢芽は、隣同士。 蓬の右手、夢芽の左腿に、ガウマの顔の傷、暦の負った傷と同じく、S字の傷跡が残っている。 蓬「傷、治んないや」 夢芽「ずっと消えない痕になるといいね」 蓬「なんでよ?」 夢芽「何十年経っても、きっと忘れないと思うから」 蓬と夢芽が、互いのコスプレ姿を見て吹き出す。 蓬・夢芽「プッ! アハハハ!」「アハハハハ!」 #center(){|BGCOLOR(black):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&big(){託されたものって、なに?}}&br()S S S S . D Y N A Z E N O N&br()─ 最 終 回 ─&br()&br()|} ナイトと2代目が、コンピューターワールドに帰還する。 ナイトの手には、ガウマの遺した麻袋がある。 2人の目の前で、ダイナレックスが再び起動し、その瞳に光が宿る── #center(){|BGCOLOR(darkblue):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&big(){&bold(){SSSS.DYNAZENON}}}&br()&br()| |BGCOLOR(black):COLOR(white):CENTER:&br()&big()NEXT GRIDMAN UNIVERSE&br()&big(){GRIDMAN × DYNAZENON}&br()&br()|}
怪獣使いの集団・怪獣優生思想のシズムは、自ら体内で育てていた咬文嚼字怪獣ガギュラと一体化し、巨大怪獣となって暴れまわる。 ガウマは怪獣使いの能力を失った上に、シズマの攻撃も受けて、瀕死の状態となっている。 蓬「ガウマさん……」 2代目「蓬さん。少し、いいですか?」 2代目は、ダイナゼノンを直したときのバトンを出し、ガウマにかざす。 夢芽「治るんですか?」 2代目「いいえ。フィクサービームではないので、痛みを和らげることしかできません」 蓬「救急車なんて、呼べる状況じゃなさそうだし……」 2代目「がんばってください。ガウマさん、ナイトくん」 ナイト([[『SSSS.GRIDMAN』>SSSS.GRIDMANの最終回]]のアンチ)は、ダイナゼノンの4大メカと怪獣ゴルドバーンと合体してカイゼルグリッドナイトとなり、単身で怪獣ガギュラと戦う。 しかし、各メカにガウマや蓬たちが搭乗していないために戦力が落ち、苦戦を強いられている。 怪獣優生思想のジュウガ、オニジャ、ムジナが、それを見ている。 ムジナ「怪獣だ……」 オニジャ「どういうことだよ? 怪獣は二度と現れないんじゃなかったのか?」 ジュウガ「まだ、怪獣の世界は終わっていなかったんですよ!」 ジュウガがインスタンス・ドミネーションで怪獣を操ろうと、手をかざす。 オニジャ「どうした? ジュウガ」 ジュウガ「この怪獣は……?」 オニジャとムジナも、手をかざす。 オニジャ「はっ…… もしかして、シズムなのか!?」 ジュウガ「連れてってくれ、シズム! 怪獣の未来を、俺は見たいんだ!!」 怪獣ガギュラが、3人のもとへ迫る。 ジュウガ「いいですか? 2人とも」 オニジャ「俺は、より多くの人間を殺せる未来を選ぶ」 ムジナ「結局、私にはこれしかないから」 ジュウガたち3人が、ガギュラの巨大な口の中へ消える。 ガギュラはジュウガたちを吸収したことで、さらに強大な第2形態へと変貌する。 ナイト「なんだ!? こいつ、まだパワーが上がるのか!?」 ガウマが意識を取り戻す。 蓬「ガウマさん!」 夢芽「良かった……」 蓬「大丈夫ですか!?」 ガウマ「大、丈夫……かって…… ツラ、見て、もの言えよ…… 俺はもう、長くなさそうだ……」 夢芽「ちょっと!?」 蓬「何言ってるんですか!?」 ガウマ「蓬、夢芽…… 俺たち怪獣使いの面倒に、巻き込んじまって、悪かったな…… 5千年前のことなんて、お前たちには、関係ないもんな……」 蓬「関係なくないですよぉ!」 蓬が涙声で訴える。 蓬「ガウマさん、勝手に俺たちを巻き込んだんですよ。ダイナゼノンで、ガウマさんが、俺たちとの関係を作ってくれたんですよ!」 ガウマが力なく、かすかに頬を緩める。 ガウマ「すまなかったな…… いや、違うか…… ありがとう、だな…… 暦にも、伝えといてくれ……」 蓬「自分で言ってください…… ちゃんと生きて、自分の言葉で伝えてください!!」 ガウマ「……声、でけぇよ」 ナイト「&bold(){カイゼルナイトダブルストーム!}」 ガギュラは必殺光線を浴びたまま、平然と突進し、逆にグリッドナイトを吹き飛ばす。 ナイト「うわああぁぁ──っっ!!」 グリッドナイトは合体が解除され、ダイナゼノンの各メカ、ゴルドバーンが分離し、地上に叩きつけられる。 夢芽「行こう、蓬くん。私たちにできること、まだあるよ」 蓬「2代目さん。ガウマさんを、よろしくお願いします」 2代目「はい! お気をつけて」 蓬「じゃ、また後で」 蓬と夢芽は、自分たちのメカが落下した方へ走る。 暦が戦いの場へ走る。 目の前に、ダイナストライカーが落下してくる。 第1話で、自分がダイナゼノンに取り込まれた光景が、脳裏をよぎる。 暦「あの日と同じ、偶然なんだ。でも違うのは、俺は……!」 ガウマが必死に、身を起こそうとしている。 2代目「ちょっと! 何してるんですか!?」 ガウマ「くっ…… あの怪獣を、倒さないと…… 蓬たちのこれからが、無くなる…… きっと、ダラダラと長生きするために、甦ったわけじゃない」 2代目「だからって、その体じゃ……」 ガウマ「俺には、守らなきゃならない大切な、もの、が…… 3つある! 約束と、愛と……!」 蓬がダイナソルジャーのもとへ辿り着く。 前話で蓬は、夢芽に告白し、夢芽の返事の寸前にシズムが割って入っていた。 (蓬『好きです。付き合ってください』) 蓬「返事、結局聞いてないし…… タイミング逃したな」 蓬が意を決して、ダイナソルジャーへと飛び込む。 暦の乗るダイナストライカーが、怪獣ガギュラ目がけて突進し、機関砲を連射する。 ムジナ「触らないでよぉ!」 暦「ム、ムジナさん!?」 夢芽が足をとられて、転倒する。 ストッキングが伝線し、血が滲んでいる。 姉の香乃の遺品である知恵の輪が、地面に転がる。 夢芽「痛…… 香乃、私は大丈夫だよ……」 蓬の乗るダイナソルジャーが現れる。 夢芽「蓬くん!?」 蓬「行こう、南さん!! きっと、みんなが待ってる!!」 夢芽「……うん!」 ちせも、戦いの場へと向かっている。 ゴルドバーンが倒れている。 ちせ「ゴルドバーン!? 死んでない……よね?」 ゴルドバーンが返事のように、翼を広げて宙を舞い、咆哮をあげる。 ちせ「やっぱり君は、世界で一番格好いい、私の友達だよ!」 怪獣ガギュラの攻撃が、グリッドナイトに迫る。 ゴルドバーンが盾となって攻撃を防ぐが、ゴルドバーンもまた倒れる。 暦のダイナストライカーが割って入り、再び機関砲を連射する。 暦「ちせの友達に死なれちゃ、困るんだよ! 法事が増えるからな!!」 蓬「ナイトさ──ん!!」 蓬のダイナソルジャーと夢芽のダイナウイングが合体した、ダイナソルジャーウイングコンバインが、頭上から急降下しつつ、ガギュラに蹴りを見舞う。 ナイト「麻中蓬か!」 さらにダイナダイバーのミサイルが、ガギュラに命中する。 ガウマが2代目に体を支えられつつ、必死にダイナダイバーを操縦している。 一同「ガウマさん!?」 ガウマ「暦にも…… 詫びと礼を入れに来た! 巻き込んじまって、悪かった……」 暦「ガウマさん…… 今これ、何の話ですか?」 ガウマ「そうか、お前にも言ってなかったな……」 ナイト「ガウマ、待っていろと言ったはずだ。何をしに来た?」 ガウマ「……余計な真似を、しに来たんだよ」 ナイト「ならば、後悔は無いな。再び全員の力を、合わせるときだ!!」 一同「おぅ!!」 グリッドナイト、ダイナソルジャーたち4体のメカ、そしてゴルドバーンが合体して、カイゼルグリッドナイトとなる。 一同「&bold(){超合体竜王! カイゼルグリッドナイトォォ!!}」 オニジャ「人間は皆殺しだぁ!! 怪獣よ、すべての人間を殺し尽くせぇぇ!!」 怪獣ガギュラの巨体での攻撃を、カイゼルグリッドナイトが拳で跳ね返す。 蓬「そんなこと、絶対にさせない!!」 ナイト「あぁ! その通りだ!! &bold(){カイゼルナイトサーキュラー!!}」 ジュウガ「ガウマさん! 俺はあなたに憧れていた! 俺にはあなたが、あなたには俺が必要なんだ! なのにあなたは裏切った! なのに前よりあなたが好きなんで──」 ガウマ「うるせぇ──んだよ──っ!! 俺の前に現れるなって言ったよな──っ!! 今度こそ俺が、きっちりお前を終わらせてやるぅぅ──っっ!!」 ムジナ「私には怪獣しかないんだ! 怪獣しかないってわかっちゃったんだ! 暦くんのせいで!!」 暦「俺が悪いんなら、謝ってやるよぉぉ──っっ!!」 ムジナ「もし謝ったりしたら、絶対許さないからぁ──っっ!!」 カイゼルグリッドナイトとガギュラの、強力な攻撃の応酬が続く。 シズム「──」 蓬・夢芽「シズムくん!!」 夢芽「シズムくんは、何も言わないんだね……」 ガギュラが口から、強烈な破壊光線を放つ。 一同「&bold(){レックスグリッドファイヤァ──!!}」 レックスグリッドファイヤーとガギュラの光線がぶつかり合う。 ガギュラの力が勝り、カイゼルグリッドナイトが光線を浴びて、徐々に押されてゆく。 ガウマ「くっ……! 堪えろ、みんなぁ!! 絶対押しのけるぞぉぉ!!」 蓬の乗るダイナミックキャノンが分離する。 ガウマ「蓬!? 何するつもりだぁ!?」 蓬には第8話から徐々に、怪獣使いとしての能力が目覚め始めている。 ダイナミックキャノンがダイナソルジャーに変形する。 蓬「あのとき、ただの偶然だったのかもしれないけど…… &bold(){インスタンス・ドミネーション!!}」 蓬の決死の能力で、ガギュラの光線が徐々に、軌道を外れる。 蓬「はぁ、はぁ……」 ナイト「今だ!」 カイゼルグリッドナイトが分離、さらにドラゴンソルジャーたち4体のメカが合体して、ダイナゼノンとなる。 一同「&bold(){合体竜人! ダイナゼノン!!}」「&bold(){バトル・ゴ──ッ!!}」 ダイナゼノンの巨大な拳でのパンチが、ガギュラを捉える。 ガウマ「さらに! &bold(){ダイナゼノン・フルバーストォォ!!}」 ダイナゼノンの全火器の零距離攻撃で、ガギュラが頭上に吹っ飛ぶ。 ナイト「来い、ゴルドバーン!」 グリッドナイトとゴルドバーンが合体して、グリッドバーンナイトとなる。 オニジャ「何ぃ!?」 ナイト「うぉぉ──っ!!」 グリッドバーンナイトが光の矢の如く宙を舞い、空中のガギュラに拳を見舞う。 ダイナゼノンは4体のメカに分離、再合体してダイナレックスとなる。 一同「&bold(){合体強竜! ダイナレックス!!}」 さらにダイナレックスの上に、グリッドバーンナイトが飛び乗る。 ジュウガたち「滅びろぉ!! 怪獣もどきがぁぁ──!!」 ガギュラが一際強力な破壊光線を放つ。 ガウマ「決めるぞ、グリッドナイト!」 ナイト「あぁ! 共に行くぞ!」 ガウマ&big(){「&bold(){必焼ぉ──! 灼熱大火炎! バ──ニングゥ!}」} ナイト&big(){「&bold(){グリッドォ!}」} 一同「&big(){&bold(){レックス──ロアアアァァ──ッッ!!}」} レックスロアーとガギュラの光線がぶつかり合う。 今度はレックスロアーの方が勝り、ガギュラが炎に包まれる。 ジュウガたち「まだだぁ!」 ガウマ「いや! &bold(){これで終わりだああぁぁ──っっ!!}」 グリッドバーンナイト、ダイナレックスが光の中を突進、2大パンチがガギュラの顔面に炸裂する。 ジュウガたち「グワアアァァ──ッッ!!」 オニジャ、ムジナ、ジュウガ、シズムの4人が光に包まれる。 オニジャ「フッ…… もう一度死ぬとは思わなかったぜ」 ムジナ「これで、良かったのかな……」 オニジャ「いや、怪獣たちの未来は、まだ……」 シズム「──」 ガギュラが大爆発し、最期を遂げる。 2代目「ガウマさん!?」 蓬「えっ!?」 ガウマが力尽きて、倒れる。 2代目「ガウマさん!」 夢芽「蓬くん、このまま病院に!」 蓬「うん!」 ガウマ「いや…… これ以上、厄介になるわけには……」 ダイナレックスの瞳の光が弱まり、機体が徐々に、色褪せてゆく。 2代目「え……?」 ガウマ「この世界で、あなたとは逢えなかったけど…… あいつらと出逢えた……」 ガウマのかすむ視界の中、蓬、夢芽、暦の3人の姿が映る。 ガウマ「なんで、ダイナゼノンを俺に託したのか…… ようやくわかった気がするよ……」 戦いの終わった空に、光が瞬き、6つに分かれる。 ちせは歓喜の表情で、それを見上げている。 ダイナレックス、ゴルドバーン、グリッドナイト、そして光に包まれた蓬たちが、空から降りて来る。 ガウマの姿は無い。 蓬「あれ…… ガウマさんは?」 #center(){|BGCOLOR(black):COLOR(white):CENTER:&br()3 months later&br()&br()|} スタッフロールと共に、エピローグ。 蓬、夢芽、暦、ちせ、ナイト、2代目の6人が、ガウマが寝床としていた河川敷を見つめている。 暦は、これまでの無職姿とは一転、スーツ姿で、髪も整えている。 ゴルドバーンが顔を出して、咆哮をあげる。 暦「びっくりしたぁ……」 ちせ「『いつまでも引きずってんじゃねぇ』って、言ってるんスよ」 暦「ちせの友達、元気になったんだ?」 2代目「はい。だいぶ、回復したみたいです」 ナイト「……お前は、誰だ?」 暦「え? いい加減、慣れてくださいよ」 夢芽「ガウマさん、世の中には守らなきゃならないものが」 蓬・夢芽「3つあるって」 蓬「言ってたよね」 蓬・夢芽「約束と、愛と」 蓬「えぇっと……」 ナイト「俺たちには次の使命のため、この世界から去る」 2代目「皆さん、お世話になりました」 蓬「こちらこそ、ありがとうございました。ナイトさん、2代目さん」 夢芽「ありがとう…… ダイナゼノン」 ナイトと2代目が、船を出して、川を行く。 ゴルドバーンが、動かない石像のようになったダイナレックスを掴んで、追っていく。 蓬たちが手を振って見送る。 ちせが、我慢しきれない様子で、ゴルドバーンを追って走る。 ちせ「ありがとう、ゴルドバーン! 君は、私の、最っ高──の友達だからぁ!!」 ナイトたちとゴルドバーンが、パサルート(コンピューターワールドへの通路)の中へと、姿を消す。 蓬「行っちゃったね」 夢芽「うん」 蓬「俺らも行こ、そろそろ」 夢芽「えぇ~……」 蓬「えぇ、じゃなくてさぁ。──!?」 河川敷にガウマの姿──? 蓬が気配を感じて振り返るが、そこには誰もいない。 夢芽「どうした?」 蓬「うぅん」 夢芽「本当、行きたくないんだけど」 蓬「まだ言うじゃん……」 夢芽「だって……」 蓬「そこはうまくやってこうって、約束じゃないっスか」 夢芽「まぁ、蓬がそう言うなら……」 いつしか夢芽は、蓬を呼び捨てで呼んでいる。 暦とちせが、半壊した中学校の前で佇んでいる。 ちせ「先輩。面接、何回落ちたんでしたっけ?」 暦「……21回」 ちせ「で、結局、元カノの旦那のとこで働くんですよね──」 暦「元カノじゃない。友達だよ」 ちせ「ずるい手段使ったんスか?」 暦「そりゃ、使うでしょ」 ちせ「私、先輩みたいにはなりたくないっスね」 暦「……なんない方がいいよ」 ちせ「スーツ、全然似合ってないっスね」 暦「ちせも制服、似合ってなかったよ」 ちせ「……ククッ、あんなもん、似合ってたまるか」 ちせが腕のボディペイントを隠していたカバーは外され、新たにゴルドバーンのペイントが描かれている。 フジヨキ台高校の学園祭。 鳴衣の写真部では、夢芽の写真が展示されている。 夢芽「ねぇ。『使わないで』って言ったじゃん」 鳴衣「そうだっけ?」 夢芽「言った」 鳴衣「夢芽さん、ここいていいの? お当番あるんでしょ」 夢が鳴衣と、2ショットで自撮りをする。 夢芽「お母──さん、うるさい」 鳴衣「変わったな──」 蓬たちのクラスの出し物のホラーカフェに、蓬の母と上条が訪れる。 上条「蓬くんのお当番、そろそろでしょ?」 蓬「はい。お金は、入口のとこで」 上条「はぁい」 蓬の母「ねぇ。ガウマさんは、来てないの?」 蓬「……来ないよ」 蓬の母「ん?」 蓬「あの人、うちの学校、出禁になってるから」 蓬の母「えっ!? なんで!? 何したの?」 淡木「蓬~」 らんか「ヨモく~ん」 蓬「どうしたの?」 金石「南さん、来てないんだって」 らんか「なんなのあの人! 準備だって全然手伝ってなかったし。当日くらいちゃんと仕事してよね」 なずみ「次のシフト入ってるのに、連絡取れないみたい」 淡木「蓬、捜してきてよ」 らんか「南さん係でしょ!」 蓬「……わ、わかった」 蓬は夢芽を捜して、学校中を走り回る。 学校の片隅で、夢芽が鼻歌を歌っている。 蓬「いた、南さん。お店、俺らの班の番だから、そろそろ行かないと」 夢芽「やっぱり……行きたくない」 蓬「わかるけどさ、うちのクラスの人とも合わせてくださいよ。行こ! はい!」 夢芽が、蓬へ手を差し出す。 夢芽「じゃあ、連れてって」 蓬の脳裏に、シズムとの会話が甦る。 シズムは最後の戦いの最中、終始無言のようだったが、蓬がガギュラにインスタンス・ドミネーションを決行したとき、蓬はガギュラ=シズムと繋がり、2人だけの会話を交わしていた。 (シズム『やっぱりわからないな。君も怪獣使いになれる可能性があったのに、惜しいことをした』) (蓬『俺は怪獣がわからない。だから、そっちには行かないんだ』) (シズム『人が理解できないものこそ、怪獣なんだ。彼らは常に、人の理の外にある。怪獣は何かに縛られたりはしない。君だって見たんだろ? 怪獣の力さえあれば、時間や空間、生きることや死ぬことからも解放される。もう少しで無上の自由に辿り着けたのに、後悔はないの?』) (蓬『俺にはまだわからない。これから嬉しいこととか、苦しいこととかを繰り返して、生きていきたいから』) (シズム『君たちはそうやって、無自覚に自由を失い、やがて自分自身を縛っていくんだ』) (蓬『俺は自由を失うんじゃないよ。かけがえのない不自由を、これから手に入れていくんだ』) (シズム『……やっぱりわからないな』) 夢芽「蓬? ……ん?」 蓬が夢芽の手を取り、立たせる。 夢芽「よくできました」 蓬「南さんって結構、冗談言うよね」 夢芽「……ねぇ」 蓬「ん?」 夢芽「まだ、『南さん』なんだ」 蓬は頬を赤らめ、顔をそむける。 蓬「……みんな待ってるから。行くよ、夢芽!」 夢芽「プッ! アハハハ! ハハハハ! よくできました」 蓬「恥ずかしくない?」 夢芽「恥ずかしいぐらいがちょうどいいんだよ」 学園祭が和やかに営まれる。 蓬はミイラ男、夢芽は幽霊のコスプレで、ホラーカフェで来客たちを迎える。 蓬たちクラス一同が、記念写真を撮る。 蓬と夢芽は、隣同士。 蓬の右手、夢芽の左腿に、ガウマの顔の傷、暦の負った傷と同じく、S字の傷跡が残っている。 蓬「傷、治んないや」 夢芽「ずっと消えない痕になるといいね」 蓬「なんでよ?」 夢芽「何十年経っても、きっと忘れないと思うから」 蓬と夢芽が、互いのコスプレ姿を見て吹き出す。 蓬・夢芽「プッ! アハハハ!」「アハハハハ!」 #center(){|BGCOLOR(black):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&big(){託されたものって、なに?}}&br()S S S S . D Y N A Z E N O N&br()─ 最 終 回 ─&br()&br()|} ナイトと2代目が、コンピューターワールドに帰還する。 ナイトの手には、ガウマの遺した麻袋がある。 2人の目の前で、ダイナレックスが再び起動し、その瞳に光が宿る── #center(){|BGCOLOR(darkblue):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&big(){&bold(){SSSS.DYNAZENON}}}&br()&br()| |BGCOLOR(black):COLOR(white):CENTER:&br()&big()NEXT GRIDMAN UNIVERSE&br()&big(){GRIDMAN × DYNAZENON}&br()&br()|}

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: