怪物くんの最終回 (カラーアニメ版)

「怪物くんの最終回 (カラーアニメ版)」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

怪物くんの最終回 (カラーアニメ版) - (2025/04/18 (金) 15:20:07) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

人間界に修行にやって来た怪物くん。ある日、突然の怪物ランドへの帰国命令が出た。 帰国の日、怪物くんは親友のヒロシと最後の思い出を作るため、力いっぱい一緒に遊ぶ。 しかし、最後まで別れを言いだすことはできずにいた。 #center(){|BGCOLOR(blue):COLOR(white):CENTER:&big(){&big(){&bold(){&br()さようなら怪物くん(後篇)&br()&br()}}}|} その夜。ヒロシは自宅アパートで、姉の歌子と共に夕食をとっている。 ヒロシ「やっぱりおかしいなぁ……」 歌子「どうしたの?」 ヒロシ「姉さん。怪物くん、もしかしたら怪物ランドに帰っちゃうのかも」 歌子「まさか! 帰るんだったら、真っ先にヒロシちゃんに教えてくれるはずでしょ?」 ヒロシ「そりゃ、そうだよね」 歌子「はい、お茶」 怪物屋敷。怪物くんが夜空を見上げている。 怪物くん「このままじゃ、なかなかうまく言い出せそうにないぞ。ヒロシ、ごめん。黙って行ってしまいそうだ……」 ドラキュラは、旅立ちの荷作りに励んでいる。 ドラキュラ「坊ちゃん! 坊ちゃま? どこ行ったんざます? まったく、この忙しいのに。あっ、そうか。ヒロシくんとお別れの挨拶をしているんざますか」 荷物の一つが、生き物のように動き出す。 ドラキュラ「ギャーッ! 何ざます、これは!?」 布を破って、オオカミ男が現れる。 ドラキュラ「オバケと思いきや、オオカミ男ざますか!?」 オオカミ男「フランケンの奴が張りきりすぎてね、あっしまで荷作りしたんでがんすよ」 フランケン「フンガ、フンガ、フンガ」 オオカミ男「何でがんす、毛皮のコートだと思ったんでがんすと!? 怒ったでがんす!」 オオカミ男がフランケンに飛びかかろうとして、フランケンの荷作りしていたドラキュラの棺桶を壊してしまう。 ドラキュラ「あ──っ!? その包みはもしかして、あたあた、あたくしのベッドざませんか!? このぉ!」 ドラキュラも加わり、3人が取っ組み合いの大ゲンカを始める。 怪物くん「みんな、やめろ──っ!!」 ドラキュラ「あ、坊ちゃん」 怪物くん「人間ランド最後の日ぐらい、静かにできないのか!?」 ドラキュラ「お察ししますざます。ヒロシくんにお別れを言って来たんざますね。うぅっ…… 『泣くなヒロシ、いつかきっとまた逢えるさ』」 オオカミ男「『本当に逢えるんだね、怪物くん。うぅ──っ』」 ドラキュラ「──なんて、涙に暮れたんざましょうね」 怪物くん「あいつには、言わないことにした……」 ドラキュラ「はい?」 怪物くん「ヒロシは泣き虫だから、さよならは言わない」 ドラキュラ「そ、そりゃあんまりざます。黙って帰ったら、ヒロシくんはもっと悲しむざます」 怪物くん「うん……」 フランケン「フンガ、フンガ」 怪物くん「えっ、もうそんな時間?」 時計の針は、出発時刻である0時へと近づいてゆく。 怪物くん「さようなら、ヒロシ……」 そして、ついに0時。ヒロシは寝床の中。 |夢の中。野球選手のヒロシが、新聞記者のドラキュラ、オオカミ男、フランケンらにインタビューを受けている。&br()&br()ドラキュラ「プロ野球本年度日本一、最高殊勲選手に選ばれましたヒロシくんにインタビューざます。おめでとうございます!」&br()ヒロシ「ありがとうございます」&br()ドラキュラ「この喜びを一番、誰に伝えたいざますか?」&br()ヒロシ「もちろん、怪物くんです!」&br()ドラキュラ「では、その怪物くんが、生まれ故郷の怪物ランドに帰ってしまうとすれば、あなたは泣くざますか? どうでしょう?」&br()ヒロシ「そ、そんなことが本当だったら、本当だったら…… 僕、泣きます!」&br()&br()なぜか、カエルが登場する。&br()&br()ドラキュラ「ではこれは何ざますか?」&br()ヒロシ「カエルです」&br()&br()場面がクイズ番組に代り、回答者のヒロシに、プレゼントとして大量のカエルが贈呈される。&br()&br()ドラキュラ「おめでとうございます! カエル1年分です、差し上げるざます!」&br()ヒロシ「えぇ~っ!?」&br()ドラキュラ「ほかの物とカエル?」&br()ヒロシ「カエル、替える!」&br()ドラキュラ「残念、替えれない!」&br()ヒロシ「そ、そんなぁ!?」&br()怪物くん「カエルの卵が孵ったぞ! 俺は泣かないで陽気に帰るぞ!」&br()ヒロシ「じゃあ本当に、怪物ランドに帰るの!?」&br()&br()今度は裁判の場面となる。被告はヒロシ、裁判官は怪物くん。&br()&br()怪物くん「静粛に! ヒロシ、お前は怪物くんが帰るときに泣くというのは本当か!?」&br()ヒロシ「はい、たぶん泣くでしょう」&br()怪物くん「それでは死刑!!」&br()ヒロシ「え~っ!? どうしてですか!?」&br()怪物くん「だって、日が暮れりゃ誰だって家に帰るだろう? だから死刑!」&br()ヒロシ「いやだあぁ! 泣かないから! 泣かないよぉ! 絶対泣かないから!」| ヒロシがうなされ、飛び起きる。 ヒロシ「はぁ、はぁ…… 夢か、良かった…… はっ、もしかしたら正夢!?」 怪物屋敷の門の前では、怪物特急モンスター号が出発の時を待っている。 怪物くんとお供たち3人、モンスター号の車掌が、屋敷の門の前に立っている。 ドラキュラ「ヒロシくんは来るざますか?」 怪物くん「来る、きっと来る」 ドラキュラ「どうやって報せたざます?」 怪物くん「夢の中に念力を送ったのさ。みんな、ヒロシはきっと泣かないと思うが、みんなも絶対泣くな! 俺も泣かない。ともかく、楽しく別れような。……ほら、来たぞ!」 ヒロシ「怪物くぅん!」 パジャマ姿のままのヒロシが駆けてくる。 ヒロシ「怪物くん…… やっぱり本当だったんだね」 怪物くん「本当だったんだ」 ヒロシ「夢かと思った……」 怪物くん「元気でな」 怪物くんの差し出す手を、ヒロシが固く握り返す。 ヒロシ「怪物くんも…… だけど、また逢えるよね? みんなにもね」 ヒロシが我慢しきれずに、涙ぐむ。 怪物くん「うん、必ず逢いに来る」 ヒロシ「きっとだよ!」 怪物くん「きっとだ!」 ヒロシ「ダメだ、怪物くん…… 僕、泣いちゃう……」 ヒロシが顔をそむける。怪物くんも大粒の涙を流しており、お供たちも貰い泣きの涙を拭っている。 怪物くん「ヒロシ、泣いたら死刑だぞ! みんなも!」 ドラキュラ「ぼ、坊ちゃん…… うぅっ、こりゃ泣かないほうが無理ざます」 怪物くん「よし、最後の念力! 声を消すから、みんな遠慮しないで泣け!」 怪物くんもヒロシもお供たち3人も、無音の泣き声を張り上げる。 車掌「王子様、お取込み中ですが、そろそろ出発のお時間です」 怪物くん「お姉さんにも、番野くん、キザ夫、アコちゃんにもよろしくな」 ヒロシ「うん。最後に一つだけ、お願いがあるんだけど」 怪物くん「わかってる。俺の帽子の中が見たいんだろ?」 ヒロシ「うん……」 怪物くん「恥しいから、後ろを向いてて」 ヒロシ「こうかい?」 怪物くん「──いいよ!」 後ろを向いていたヒロシが振り返ると、一同は姿を消している。 ヒロシ「あれ? 怪物くん!?」 門の陰から、怪物くんが顔を出す。帽子を脱いでおり、その下はカッパのようなハゲ頭。 怪物くん「じゃあ、本当にさようなら!」 ヒロシ「あら! ツルツル・カッパ頭!?」 怪物くん「へへっ!」 怪物くんが顔を引っ込める。ヒロシが怪物くんを追い、門の中へ。 ヒロシ「怪物くん!? 怪…… あぁっ!?」 ヒロシの目の前で、怪物くんたちを乗せたモンスター号が、宙へ浮いてゆく。 ヒロシ「さようなら──っ!! 本当に、楽しかったよぉ──っっ!!」 怪物くん「さようなら──っ!! ヒロシ──っ!!」 ドラキュラ「さらばざます、怪物屋敷!」 オオカミ男「さよならでがんす、人間ランド……」 フランケン「フンガ、フンガァ!」 モンスター号が人間界を離れ、怪物ランドへと飛び立つ。 怪物くん「ヒロシ、実はこいつもヘルメットなんだ。本当は、こうさ」 ハゲ頭を模したヘルメットを脱ぐと、真の怪物くんの頭には、父王とそっくりの触角が生えていた。 そして、怪物くんたちが帰国した怪物ランド。 怪物大王「長い間、よく辛抱した。偉いぞ、坊主。人間の大人どもはずる賢くて野蛮。愚かしい戦争を起こし、罪のない子供を殺す。そういう人間どもを、とくと見てきたろうな。この平和な怪物ランドを離れて、恐ろしい人間の国で暮らすのは大変だったろう?」 怪物くん「ドラキュラ、オオカミ男、フランケンがいてくれたから、全然」 怪物大王「3人とも、よくやってくれた。ありがとう。お前たちに褒美をやろう。ドラキュラにはトマトジュース10年分」 ドラキュラ「10年分!」 怪物大王「オオカミ男は宮殿のコック長をやってもらおう」 オオカミ男「コック長!」 怪物大王「フランケンには10万ボルトの電極付きベッド」 フランケン「フガ、フガ、フンガ!」 怪物大王「そして坊主。お前は今すぐ、幻の園へ出かけねばならん。そこでは、素晴しいことが待っているだろう」 怪物くん「お父様しか行けない、あの幻の園へ……」 怪物くんが白馬を駆って、禁断の地・幻の園へ辿り着く。そこは一面、花の咲き乱れた草原。 怪物くん「ここが幻の園か…… なんてきれいなところだろう!」 草原の彼方に、1人の女性がいる。 怪物くん「誰だ!?」 女性「太郎…… そうですね?」 怪物くん「太郎? そう呼んでくれる人は……」 女性「やっと来てくれましたね」 怪物くん「もしかしたら…… お母さん!?」 女性「太郎!」 その女性こそ、怪物くんの母・怪物王妃であった。怪物くんが涙を流しつつ、王妃に抱きつく。 怪物王妃「長い間、ご苦労様でした。これが掟だったのです。怪物ランドの王子は、人間の国を見て帰るまで、母親のそばを離れていなければならないのです。あなたに逢える日を、ずっと待っていました。その日がとうとう来たのです!」 怪物くん「お母さぁぁん!!」 その夜。怪物城では、怪物くんの帰国を祝う宴が開かれていた。 怪物くんが王妃と共に、テラスで夜空を見上げる。怪子と爺やが、その後ろ姿を見守っている。 爺や「そっとしておいてあげましょう。怪子姫もゆくゆくは、坊ちゃんのお妃様になるお方です」 怪子「はい…… 怪物くん」 怪物王妃「きれいなお月様ね」 怪物くん「うん。ヒロシに初めて逢ったときも、ちょうどこんな満月の夜だったな……」 日本では、ヒロシが歌子とともに、夜空の月を見上げている。 歌子「怪物くんも、この月、見てるかしら?」 ヒロシ「見てるよ。怪物く──ん! また来てね──!! きっとだよ──!! きっとね──!!」 ヒロシの声が、夜空にこだまする。 ヒロシ「また来てねぇぇ──っっ!!」 #center(){&big(){(終)}} ※ 本来は一部セリフに歌の歌詞が含まれていますが、著作権を考慮して割愛させていただきました。
人間界に修行にやって来た怪物くん。ある日、突然の怪物ランドへの帰国命令が出た。 帰国の日、怪物くんは親友のヒロシと最後の思い出を作るため、力いっぱい一緒に遊ぶ。 しかし、最後まで別れを言いだすことはできずにいた。 #center(){|BGCOLOR(blue):COLOR(white):CENTER:&big(){&big(){&bold(){&br()さようなら怪物くん(後篇)&br()&br()}}}|} その夜。ヒロシは自宅アパートで、姉の歌子と共に夕食をとっている。 ヒロシ「やっぱりおかしいなぁ……」 歌子「どうしたの?」 ヒロシ「姉さん。怪物くん、もしかしたら怪物ランドに帰っちゃうのかも」 歌子「まさか! 帰るんだったら、真っ先にヒロシちゃんに教えてくれるはずでしょ?」 ヒロシ「そりゃ、そうだよね」 歌子「はい、お茶」 怪物屋敷。怪物くんが夜空を見上げている。 怪物くん「このままじゃ、なかなかうまく言い出せそうにないぞ。ヒロシ、ごめん。黙って行ってしまいそうだ……」 ドラキュラは、旅立ちの荷作りに励んでいる。 ドラキュラ「坊ちゃん! 坊ちゃま? どこ行ったんざます? まったく、この忙しいのに。あっ、そうか。ヒロシくんとお別れの挨拶をしているんざますか」 荷物の一つが、生き物のように動き出す。 ドラキュラ「ギャーッ! 何ざます、これは!?」 布を破って、オオカミ男が現れる。 ドラキュラ「オバケと思いきや、オオカミ男ざますか!?」 オオカミ男「フランケンの奴が張りきりすぎてね、あっしまで荷作りしたんでがんすよ」 フランケン「フンガ、フンガ、フンガ」 オオカミ男「何でがんす、毛皮のコートだと思ったんでがんすと!? 怒ったでがんす!」 オオカミ男がフランケンに飛びかかろうとして、フランケンの荷作りしていたドラキュラの棺桶を壊してしまう。 ドラキュラ「あ──っ!? その包みはもしかして、あたあた、あたくしのベッドざませんか!? このぉ!」 ドラキュラも加わり、3人が取っ組み合いの大ゲンカを始める。 怪物くん「みんな、やめろ──っ!!」 ドラキュラ「あ、坊ちゃん」 怪物くん「人間ランド最後の日ぐらい、静かにできないのか!?」 ドラキュラ「お察ししますざます。ヒロシくんにお別れを言って来たんざますね。うぅっ…… 『泣くなヒロシ、いつかきっとまた逢えるさ』」 オオカミ男「『本当に逢えるんだね、怪物くん。うぅ──っ』」 ドラキュラ「──なんて、涙に暮れたんざましょうね」 怪物くん「あいつには、言わないことにした……」 ドラキュラ「はい?」 怪物くん「ヒロシは泣き虫だから、さよならは言わない」 ドラキュラ「そ、そりゃあんまりざます。黙って帰ったら、ヒロシくんはもっと悲しむざます」 怪物くん「うん……」 フランケン「フンガ、フンガ」 怪物くん「えっ、もうそんな時間?」 時計の針は、出発時刻である0時へと近づいてゆく。 怪物くん「さようなら、ヒロシ……」 そして、ついに0時。ヒロシは寝床の中。 |夢の中。野球選手のヒロシが、新聞記者のドラキュラ、オオカミ男、フランケンらにインタビューを受けている。&br()&br()ドラキュラ「プロ野球本年度日本一、最高殊勲選手に選ばれましたヒロシくんにインタビューざます。おめでとうございます!」&br()ヒロシ「ありがとうございます」&br()ドラキュラ「この喜びを一番、誰に伝えたいざますか?」&br()ヒロシ「もちろん、怪物くんです!」&br()ドラキュラ「では、その怪物くんが、生まれ故郷の怪物ランドに帰ってしまうとすれば、あなたは泣くざますか? どうでしょう?」&br()ヒロシ「そ、そんなことが本当だったら、本当だったら…… 僕、泣きます!」&br()&br()なぜか、カエルが登場する。&br()&br()ドラキュラ「ではこれは何ざますか?」&br()ヒロシ「カエルです」&br()&br()場面がクイズ番組に代り、回答者のヒロシに、プレゼントとして大量のカエルが贈呈される。&br()&br()ドラキュラ「おめでとうございます! カエル1年分です、差し上げるざます!」&br()ヒロシ「えぇ~っ!?」&br()ドラキュラ「ほかの物とカエル?」&br()ヒロシ「カエル、替える!」&br()ドラキュラ「残念、替えれない!」&br()ヒロシ「そ、そんなぁ!?」&br()怪物くん「カエルの卵が孵ったぞ! 俺は泣かないで陽気に帰るぞ!」&br()ヒロシ「じゃあ本当に、怪物ランドに帰るの!?」&br()&br()今度は裁判の場面となる。被告はヒロシ、裁判官は怪物くん。&br()&br()怪物くん「静粛に! ヒロシ、お前は怪物くんが帰るときに泣くというのは本当か!?」&br()ヒロシ「はい、たぶん泣くでしょう」&br()怪物くん「それでは死刑!!」&br()ヒロシ「え~っ!? どうしてですか!?」&br()怪物くん「だって、日が暮れりゃ誰だって家に帰るだろう? だから死刑!」&br()ヒロシ「いやだあぁ! 泣かないから! 泣かないよぉ! 絶対泣かないから!」| ヒロシがうなされ、飛び起きる。 ヒロシ「はぁ、はぁ…… 夢か、良かった…… はっ、もしかしたら正夢!?」 怪物屋敷の門の前では、怪物特急モンスター号が出発の時を待っている。 怪物くんとお供たち3人、モンスター号の車掌が、屋敷の門の前に立っている。 ドラキュラ「ヒロシくんは来るざますか?」 怪物くん「来る、きっと来る」 ドラキュラ「どうやって報せたざます?」 怪物くん「夢の中に念力を送ったのさ。みんな、ヒロシはきっと泣かないと思うが、みんなも絶対泣くな! 俺も泣かない。ともかく、楽しく別れような。……ほら、来たぞ!」 ヒロシ「怪物くぅん!」 パジャマ姿のままのヒロシが駆けてくる。 ヒロシ「怪物くん…… やっぱり本当だったんだね」 怪物くん「本当だったんだ」 ヒロシ「夢かと思った……」 怪物くん「元気でな」 怪物くんの差し出す手を、ヒロシが固く握り返す。 ヒロシ「怪物くんも…… だけど、また逢えるよね? みんなにもね」 ヒロシが我慢しきれずに、涙ぐむ。 怪物くん「うん、必ず逢いに来る」 ヒロシ「きっとだよ!」 怪物くん「きっとだ!」 ヒロシ「ダメだ、怪物くん…… 僕、泣いちゃう……」 ヒロシが顔をそむける。怪物くんも大粒の涙を流しており、お供たちも貰い泣きの涙を拭っている。 怪物くん「ヒロシ、泣いたら死刑だぞ! みんなも!」 ドラキュラ「ぼ、坊ちゃん…… うぅっ、こりゃ泣かないほうが無理ざます」 怪物くん「よし、最後の念力! 声を消すから、みんな遠慮しないで泣け!」 怪物くんもヒロシもお供たち3人も、無音の泣き声を張り上げる。 車掌「王子様、お取込み中ですが、そろそろ出発のお時間です」 怪物くん「お姉さんにも、番野くん、キザ夫、アコちゃんにもよろしくな」 ヒロシ「うん。最後に一つだけ、お願いがあるんだけど」 怪物くん「わかってる。俺の帽子の中が見たいんだろ?」 ヒロシ「うん……」 怪物くん「恥しいから、後ろを向いてて」 ヒロシ「こうかい?」 怪物くん「──いいよ!」 後ろを向いていたヒロシが振り返ると、一同は姿を消している。 ヒロシ「あれ? 怪物くん!?」 門の陰から、怪物くんが顔を出す。帽子を脱いでおり、その下はカッパのようなハゲ頭。 怪物くん「じゃあ、本当にさようなら!」 ヒロシ「あら! ツルツル・カッパ頭!?」 怪物くん「へへっ!」 怪物くんが顔を引っ込める。ヒロシが怪物くんを追い、門の中へ。 ヒロシ「怪物くん!? 怪…… あぁっ!?」 ヒロシの目の前で、怪物くんたちを乗せたモンスター号が、宙へ浮いてゆく。 ヒロシ「さようなら──っ!! 本当に、楽しかったよぉ──っっ!!」 怪物くん「さようなら──っ!! ヒロシ──っ!!」 ドラキュラ「さらばざます、怪物屋敷!」 オオカミ男「さよならでがんす、人間ランド……」 フランケン「フンガ、フンガァ!」 モンスター号が人間界を離れ、怪物ランドへと飛び立つ。 怪物くん「ヒロシ、実はこいつもヘルメットなんだ。本当は、こうさ」 ハゲ頭を模したヘルメットを脱ぐと、真の怪物くんの頭には、父王とそっくりの触角が生えていた。 そして、怪物くんたちが帰国した怪物ランド。 怪物大王「長い間、よく辛抱した。偉いぞ、坊主。人間の大人どもはずる賢くて野蛮。愚かしい戦争を起こし、罪のない子供を殺す。そういう人間どもを、とくと見てきたろうな。この平和な怪物ランドを離れて、恐ろしい人間の国で暮らすのは大変だったろう?」 怪物くん「ドラキュラ、オオカミ男、フランケンがいてくれたから、全然」 怪物大王「3人とも、よくやってくれた。ありがとう。お前たちに褒美をやろう。ドラキュラにはトマトジュース10年分」 ドラキュラ「10年分!」 怪物大王「オオカミ男は宮殿のコック長をやってもらおう」 オオカミ男「コック長!」 怪物大王「フランケンには10万ボルトの電極付きベッド」 フランケン「フガ、フガ、フンガ!」 怪物大王「そして坊主。お前は今すぐ、幻の園へ出かけねばならん。そこでは、素晴しいことが待っているだろう」 怪物くん「お父様しか行けない、あの幻の園へ……」 怪物くんが白馬を駆って、禁断の地・幻の園へ辿り着く。そこは一面、花の咲き乱れた草原。 怪物くん「ここが幻の園か…… なんてきれいなところだろう!」 草原の彼方に、1人の女性がいる。 怪物くん「誰だ!?」 女性「太郎…… そうですね?」 怪物くん「太郎? そう呼んでくれる人は……」 女性「やっと来てくれましたね」 怪物くん「もしかしたら…… お母さん!?」 女性「太郎!」 その女性こそ、怪物くんの母・怪物王妃であった。怪物くんが涙を流しつつ、王妃に抱きつく。 怪物王妃「長い間、ご苦労様でした。これが掟だったのです。怪物ランドの王子は、人間の国を見て帰るまで、母親のそばを離れていなければならないのです。あなたに逢える日を、ずっと待っていました。その日がとうとう来たのです!」 怪物くん「お母さぁぁん!!」 その夜。怪物城では、怪物くんの帰国を祝う宴が開かれていた。 怪物くんが王妃と共に、テラスで夜空を見上げる。怪子と爺やが、その後ろ姿を見守っている。 爺や「そっとしておいてあげましょう。怪子姫もゆくゆくは、坊ちゃんのお妃様になるお方です」 怪子「はい…… 怪物くん」 怪物王妃「きれいなお月様ね」 怪物くん「うん。ヒロシに初めて逢ったときも、ちょうどこんな満月の夜だったな……」 日本では、ヒロシが歌子とともに、夜空の月を見上げている。 歌子「怪物くんも、この月、見てるかしら?」 ヒロシ「見てるよ。怪物く──ん! また来てね──!! きっとだよ──!! きっとね──!!」 ヒロシの声が、夜空にこだまする。 ヒロシ「また来てねぇぇ──っっ!!」 #center(){&big(){(終)}} ※ 本来は一部セリフに歌の歌詞が含まれていますが、著作権を考慮して割愛させていただきました。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: