中立国オーブ スペースコロニー「ヘリオポリス」 そこに軍用の赤いノーマルスーツを着た少年達が潜入していた。 イザーク「平和そのものだな・・・外は戦争の真っただ中だっていうのに・・・」 ディアッカ「まったくのんきなもんだぜ!」 その中の一人、アスラン・ザラは風に舞う桜の花びらを手に取った。 アスラン(・・・桜?春でもないのに・・・) キラ(アスラン・・・) アスラン(そういえば・・・三年前のあの日も桜の花が舞っていた・・・別れ際・・・あいつはずっとうつむいたままだった・・・) (キラ・ヤマト、お前は今・・・どこで何をしている・・・?今の俺の姿を見たら・・・お前は何と言うだろうな・・・) イザーク「お!出て来たぞ・・・情報通り・・・ってワケだ」 イザーク達は三台の巨大なトレーラーを見ていた。 イザーク「地球軍の新兵器の開発を手伝っておいて、中立だと?聞いてあきれる・・・」 「一・・二・三、残り二機はまだ中か・・・?」 アスラン「そっちは俺とラスティの班が行こう」 イザーク「OKアスラン!まかせよう!では・・・作戦開始だ!突撃!!」 イザーク達が先行して、銃を撃ちながらトレーラーの方に向かった。 イザーク「目標はあくまで敵モビルスーツ奪取!!運べない部品はすべて破壊しろ!!」 アスラン「ラスティ!俺たちは右から回り込むぞ!」 ラスティ「OK!」 アスラン「行くぞ!!」 アスラン(キラ・・・お前は今何をしている・・・俺は戦争をしている・・・お前が嫌いだったあの戦争を・・・!!) #center(){|&big(){&bold(){第1章「再会、そして・・・」}}|} C.E.71年——地球連合とプラント間の戦争は新たな局面をむかえようとしていた。 それまでプラント側(ザフト軍)独自の兵器であったモビルスーツ(MS)の開発に地球軍が成功したのだ。 その計画の情報を得たプラント側は戦慄した。地球軍の開発したMSの性能はザフト軍の持つどのMSをも遙かに凌駕するものであったからである。 ザフト軍は地球軍MS開発計画の阻止とその試作MS五機を奪取するため、その秘密工場があった中立国オーブのスペースコロニー「ヘリオポリス」を襲撃。 作戦は難なく成功するかに見えた・・・——だが。 イザーク達3人は、新型モビルスーツ、`G`に乗り込んだ。 イザーク「ほう?すごい物じゃないか!」 ディアッカ「OKイザーク!動ける!」 イザーク「ニコル!」 ニコル「待って下さい!もう少し・・・」 イザークの乗るデュエル、ディアッカの乗るバスター、ニコルの乗るブリッツがそれぞれ立ち上がった。 ディアッカ「アスランとラスティは?遅いな・・・」 イザーク「ふん!ヤツらなら大丈夫さ!ともかくこの三機、先に持ち帰る!クルーゼ隊長にお渡しするまでこわすなよ!」 ラスティ「うっ」 アスラン「ラスティ!!」 ラスティが連合兵に頭を撃ち抜かれ、倒れた。 アスラン「くそおおおっ!!」 連合兵「ぐっ」 アスランが銃を撃ちながら、突撃し、一人の連合兵を撃ち倒した。 連合兵「え?」 アスランは跳躍し、もう一人の連合兵の首をナイフで切り裂いた。 そのまま、女性士官に切り掛かろうとしたが・・・ アスラン「キ・・・・キラ・・・?」 キラ「アス・・・・ラン・・・?」 その女性士官の横にキラが居た。 アスラン(目の前の光景を俺は受け入れられずにいた・・・・信じられる訳がない・・・・あのキラがこんな所に・・・・敵軍のモビルスーツの上にいるなんて万に一つもありえない!) (――――だが・・・・・) アスラン「キラ・・・・キラ・ヤマト!」 キラ「アスラン・・・アスラン・ザラ!」 ヘリオポリスが崩壊する中、アスランの乗るイージスとキラの乗るストライクが相対する。 アスラン(それは夢でも見間違いでもなかった・・・あの幼なじみのキラが・・・敵軍のパイロットとして俺の前にいた・・・) ナスカ級戦艦ヴェサリウス。アスランは隊長のクルーゼにキラの事を報告した。 クルーゼ「そうか・・・戦争とは皮肉なものだ・・・君の動揺もしかたあるまい。仲の良い有人だったのだろう?」 アスラン「キラは・・・あいつはナチュラルにいいように使われているんです!優秀だけどぼーっとしていて、お人好しだから・・・・だから、私は説得したいんです!!あいつだってコーディネイターなんだ!こっちの言うことがわからないはずありません!」 クルーゼ「君の気持ちはわかる・・・・・だが・・・・それでも聞き入れない時は?」 アスラン「そ・・・・その時は・・・・私が・・・・討ちます!」 オペレーター「熱源感知!!敵戦艦と推測、MS隊発進させよ!!」 クルーゼ「先の言葉、信じるぞ。アスラン・ザラ」 アスラン「はい!アスラン・ザラ出撃る!!」 ヴェサリウスからイージスが発進した。 イージスとストライクが戦う。 キラ「アスラン!」 アスラン「キラ!!コーディネイターのお前がなぜ地球軍にいる!?なぜナチュラルの見方をするんだ!?」 キラ「ボクは地球軍なんかじゃない!!けど、あの艦には友達が乗ってるんだっ!!君こそ・・・君こそなんで、ザフトになんか————なんで戦争をしたりするんだ!?」 アスラン(なぜだと!?それを話せと言うのか!?キラ!!) 「キラ・・・ユニウスセブンを知っているか?」 キラ「え・・・?あの血のバレンタインの・・・?」 アスラン(あそこは軍事施設など何もないただの農業プラントだった。おだやかで心やすらぐ平和な土地だったんだ!---なのに地球軍は・・・・!) アスラン「二十四万三千七百二十一名もの命が一瞬で失われた!たった一発の核ミサイルで!こんな事が許されていいはずがない!」 キラ「だからって・・・・君が・・・!」 アスラン「キラ・・・!ここまで言ってまだわからないのか!?俺の母の職業が何だったのか・・・忘れたのか!?」 キラ「アスランのお母さんの職業・・・・?、・・・・あっ!」 アスラン「あの時、俺の母もあそこに・・・ユニウスセブンにいたんだ!!」 イージスがストライクに斬りかかる。 イザーク「何をモタモタやっている!?アスラン!!」 キラ「くっ」 イザークのデュエルが割って入り、ストライクとデュエルが戦い始めた。 アスラン「イザーク・・・」 (キラ・・・ムダ弾が多すぎる!そんな戦い方をしていたら・・・!) ストライクのビームライフルが弾切れを起こし、ストライクのPS装甲が解除された。 キラ「あ・・・・」 イザーク「ふん!自分の機体の特性も知らないどシロウトがっ!!」 そこへデュエルが斬りかかる。 アスラン「くそっ」 イージスがMA形態に変形し、ストライクに組み付き、そのままデュエルから離れていく。 イザーク「!?何をする!?アスラン!!」 キラ「どういうつもりだ!?アスラン」 アスラン「このままお前を連行する!お前はコーディネイターだ!俺たちの仲間なんだ!」 キラ「違う!!僕はザフトなんかじゃ・・・」 アスラン「いいかげんにしろ!!このまま来るんだキラ!・・・でないと俺は・・・お前を撃たなきゃならなくなるんだぞ・・・!」 そこへ、MA、メビウス・ゼロの射撃がイージスに当たった。 アスラン「うぐっ!?ぐっ・・・あっ」 その隙にストライクはイージスから離れていった。 アスラン「キラ!!待てっ!!行くなっ!!」 アスラン(思えば、あれが最後のチャンスだったのかも知れない・・・・) イザーク「くそっ!逃がすかよっ!!」 アスラン「キラ・・・」 帰艦したアスランがイザークに壁に叩き付けらる。 イザーク「キサマっ!!」 アスラン「ぐっ・・・」 イザーク「どういうつもりだ!お前があそこで余計なマネをしなければ・・・!」 ニコル「何をやっているんですか!?やめて下さい、こんな所で!!」 イザーク「四機でかかったんだぞ?それで仕留められなかった、こんな屈辱があるか!?」 ニコル「だからと言って—--」 アスラン「・・・・・」 アスラン(あの時なぜ俺達は出会ってしまったのだろう?・・・ この再会に何の意味があるというのか・・・・ストライクのパイロットがあいつと知らなければ、俺は・・・・) キャスター「———この艦にはラクス・クライン嬢も乗っており、安否が気づわれています」 アスラン「ヴェサリウスが彼女の捜索を!?」 パトリック「アスラン・・・ラクス嬢とお前が定められた者同士だという事は、プラント中が知っている。彼女は国民のアイドルなのだ・・・・頼むぞ、クルーゼ!アスラン!」 クルーゼ・アスラン「「はっ」」 アスラン「・・・彼女を助けてヒーローのように戻れ、という事ですか」 クルーゼ「もしくは、号泣しながらその亡骸を抱いて戻れ・・・か。いずれにせよ、君が行かなくては話にならないとお考えなのさ。君の父上・・・いやザラ委員長閣下は!」 アスラン「しかけるのですか!?しかし・・・我々には・・・」 クルーゼ「我々は軍人だアスラン!いくらラクス嬢捜索の任務があるからといって、あれを見逃せば私は後世の歴史家に笑われてしまうだろうよ!」 パトリックの演説が流れる中、イージスとジン達が地球軍の艦隊に攻撃を仕掛け、次々に撃破していく。 パトリック「平和に、穏やかに、幸せに暮らしたい・・・我々の願いはそれだけだったのです。だがその願いを無残にも打ち砕いたのは誰です!?自分たちの都合と欲望のためだけに我々コーディネイターを縛り・・・利用し続けたのはっ!!」 「我らは忘れない・・・あの`血のバレンタイン`。ユニウスセブンの悲劇を!!あの忌まわしい事件から一年・・・それでも我々は最低限の要求で戦争を早期に終結すべく、心を砕いてきました・・・」 「だがナチュラルはその努力をことごとく無にしてきたのです!我々は我々を守るために戦う・・・戦わねば守れないならば・・・」 アスラン「!!来たか`足つき`!!」 ストライクとアークエンジェルが来た。 パトリック「戦うしかないのです!!」 アスラン(そう!戦うしかないんだ!) アスラン「キラ!!」 キラ「アスラン!!」 イージスとストライクが戦う中、ウェサリウスの主砲が地球軍の最後の戦艦を貫いた。 キラ「!!」 戦艦が大爆発し、ジン達はアークエンジェルに向かう。 キラ「アークエンジェル!!」 アスラン「行かせるか!!」 ナタル「ザフト軍に告ぐ!!こちらは地球連合軍所属艦アークエンジェル!当艦は現在、プラント最高評議会議長シーゲル・クラインの令嬢——ラクス・クラインを保護している!」 アスラン「何!?」 アデス「ラ・・ラクス嬢!?」 ナタル「偶発的に救命ポッドを発見し、人道的立場から保護したものであるが・・・以降、当艦へ攻撃が加えられた場合、それは貴艦のラクス・クライン嬢に対する責任放棄と判断し・・・当方は自由意志でこの件を処理するつもりである事をお伝えする!」 アスラン「救助した民間人を人質にするだと?卑怯なっ!」 「キラ・・・わかったか!?これが連中のやりクチだ・・・!こんな卑怯者と共に戦うのが・・・・お前の正義か!?彼女は助け出す・・・必ずな!」 アスラン達はウェサリウスに帰投した。 アデス「ラクス嬢がむこうにおられたままでは、このままついて行ったとてどうにもなりますまい・・・」 クルーゼ「連中も月艦隊との合流を目指すだろうしな・・・」 アスラン(ラクス・・・・キラ・・・・) オペレーター「`足つき`からのMSの発進を確認!!」 アデス「何!?」 キラ「後続のザフト艦応答せよ!こちらアークエンジェル所属MS、ストライク!」 アデス「敵のMSから通信!?」何のつもりだ!?」 キラ「当機は現在、ラクス・クラインを同行している!今から彼女をそちらに引き渡す!」 クルーゼ「ほう・・・」 アスラン(この声は・・) キラ「ただし貴艦は機関を停止!イージスのパイロットが単独で来る事が条件だ!!」 アスラン(キラ・・・!) アスラン(キラ・・・!これがお前の本心なんだな) イージスが発進し、ストライクの元に向かう。 キラ「アスラン・ザラか!?」 アスラン「・・・そうだ」 アスラン(心まで支配された訳ではないと・・・・と) キラ「コクピットを開け!」 アスラン(ならばまだ望みはあるのか!?) キラ「彼女を連れて行け、アスラン・・・・!」 ラクス「いろいろとありがとう、キラ」 ラクスがイージスのコクピットに移った。 アスラン「キラ!もう一度だけ言う!お前も一緒に来い!」 キラ「僕だって・・・できるなら君と戦いたくなんてない・・・・」 「でもあの艦には僕を信じて待っていてくれる友達がいるんだ!彼らを見捨てて行く なんて・・・僕にはできない!!」 アスラン「ならばしかたまい・・・次に戦う時には・・・・俺がお前を討つ!!」 キラ「僕もだ・・・・!」 ストライクがアークエンジェルに帰って行った。 アスラン(すべての望みの糸は絶ち切られた・・・明日からはお前は俺の倒すべき敵!俺とキラの間に真空の闇が広がって行く・・・どこまでも広く・・・・どこまでも黒く・・・、---さらばだキラ!) (続く)