#center(){|&br()ついに、ラダム樹が一斉開花し、&br()人類はオービタルリングに避難を開始した。&br()&br()一方、完成したカタパルトから、&br()最後の希望を賭けてブルーアース号が発進するが&br()来襲したソードの執念のボルテッカにより、&br()その夢は断たれてしまうのであった。&br()&br()そして今、2つの種族の未来を賭け、&br()ブラスター化に成功したエビルとブレードとの&br()雌雄を決する戦いが始まろうとしていた。&br()&br()|} #center(){|BGCOLOR(black):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&big(){&bold(){&i(){壮烈!エビル死す}}}}&br()&br()|} 宇宙空間を舞台に、テッカマンブレードとテッカマンエビルが、最後の戦いを繰り広げている。 オービタルリングに1人で取り残されたアキが、その戦いを窓から見守る。 アキ「Dボウイ…… (どうすることもできないの? 私には、本当に何もしてあげられないの……?)」 エビル「兄さん、とっても嬉しいよ! 今、俺は生きていることの素晴らしさを、この肌で感じているよ」 ブレード「シンヤ…… お前やケンゴ兄さんがラダムとなり、ミユキが死ななければならなかったのも、全て宿命で片付けられるのか!?」 エビル「嫌だなぁ、兄さん。俺はむしろ感謝しているのさ。ラダムになったおかげで、兄さんとの勝負にケリがつけられることをね!」 一歩も譲らない戦いの末、ブレードがオービタルリング壁面へ叩きつけられる。 エビル「覚悟おぉぉ!!」 エビルを突進をブレードがかろうじて回避し、反撃に転じる。 一方の地球上では、ラダムたちの侵略が始まっている。 スペースナイツ基地には、次々と世界中の情報が入ってくる。 「A-164地区、連絡が途絶えました!」「F-502地区もです」 「D-375地区、生存者20パーセントを切りました!」 ミリィ「チーフ、このままじゃ」 フリーマン「わかっている。だが今は、1人でも多くの人間をオービタルリングに脱出させる以外、手はない。ブルーアース号も、ソルテッカマンさえも失った我々には、今は他にできることはない。あとは、テッカマンブレードに託すしか」 ミリィ「お願い、Dボウイ……」 宇宙空間では依然、ブレードとエビルの激戦が続いている。 エビル「最高だぁ! 最高だよ、兄さん! こんなにも充実した時を過ごせるなんて。もう、ラダムも人間も関係ない!! この瞬間が俺のすべてだよ、兄さん!」 ブレード「シンヤ!」 地球上では、人々がラダムから逃れて、次々にオービタルリングへと駆け込んでいる。 兵士「待ってください! 落ち着いて! 落ち着いて、順番に! 一度には乗りこめません! 落ち着いてください!」 その中に母と幼い子供がおり、子供が転倒する。 子供「ママぁ!」 人々「どけどけぇ!」「邪魔だぁ!」「死にたいのか!?」 母親「坊やぁ!?」 人々に危うく踏みつぶされそうになる子供を、兵士が助け、抱き上げる。 兵士「大丈夫か、坊主?」 母親「どうも、ありがとうございます」 彼方に、侵略してくるラダムの姿が見える。 兵士「チッ、ついにここにも押し寄せて来たか」 子供「ぼくたち、みんなしんじゃうの?」 兵士「大丈夫さ、坊主。俺たちには、まだテッカマンブレードがいる!」 子供「てっかまんぶれーど……?」 宇宙空間での戦い。 ブレード「&bold(){ボルテッカアアァァ──ッッ!!}」 ブレードがテッカマン最強の武器、ボルテッカを放つ。 エビルはそれをかわそうとするが、かわしきれずに肩をかすってしまう。 怯んだエビルの隙を突き、ブレードが突進する。 ブレード「うぅおおぉぉ──っ!」 チャンスかと思われたそのとき、額のランプが点滅を始め、ブレードは苦しみ始める。 不完全なテッカマンであるブレードの、タイムリミットである30分が近づいていたのだ。 すかさずエビルの反撃。吹き飛ばされたブレードがオービタルリング壁面をぶち破り、内部に飛び込む。 アキ「Dボウイ!?」 タイムリミット間際で苦しむブレードに、エビルが近づいてくる。 エビル「フフフ。どうしたんだい、兄さん。もう息切れかい?」 ブレード「シンヤ……」 身動きができないブレードを目がけ、エビルがランサーを振り下ろす。 これで最期か──と思いきや、エビルはランサーを、ブレードの目の前で止める。 ブレード「なぜだ……? なぜ、止めた?」 エビル「フン、こんな形で終わらせたくはないのさ。兄さんとの戦いをね。そんな弱々しい兄さんに勝っても、嬉しくも何ともないさ。対等の条件でぶつかって勝たなきゃね。テックセットを解きなよ、兄さん。決着は、1時間後だ」 ブレード「シ、シンヤ……」 エビル「フフフ…… ハッハッハッハ!」 エビルが高笑いしながら、去って行く。 ブレード「ペガス!」 アキがDボウイのもとへ急ぐ。壁にもたれかかって倒れている人影が見える。 アキ「Dボウイ!? Dボウイ!」 Dボウイと思いきや、それはテッカマンエビル・シンヤ。 アキは銃を抜き、銃口をシンヤへ突きつける。 シンヤ「気丈だね…… さすがは、兄さんが愛する女性だけのことはあるな。死んだ母さんにそっくりだ」 アキ「え……?」 シンヤ「死んだ母さんは、決して俺たちを、甘やかしはしない人だった。よく言われたよ、男の子は泣くんじゃないって」 アキ「なぜ、そんなことを私に?」 シンヤ「フッ、さぁね。ただ、誰かに無性に話したくなっただけさ。ぐぅっ!」 懐から血が、ポタポタと滴り落ちる。 シンヤ「ブラスター化した代償さ。でも、これで兄さんと互角に戦える……」 アキ「Dボウイは、あなたのお兄さんなのよ。どうしてそこまで、ボロボロになってまで戦うの? そんなにお兄さんが憎いの?」 シンヤ「憎い? フッ、憎いわけじゃないよ。むしろ、愛しているんだ。愛するゆえに、憎い。血の宿命さ」 アキ「血の宿命?」 シンヤ「テッカマンにならなくても、いずれは戦うことになったはず。元々一つだったものが引かれあい、元に戻ろうとする戦いなんだから。俺と兄さんの戦い、邪魔をしないでくれ!」 シンヤが、よろよろと立ち上がる。 アキ「行かせないわ! Dボウイは殺させない。今の私にとって、Dボウイは全てよ。Dボウイを守るためだったら、私はどんなことだってする。今ここで、あなたを……!」 シンヤ「できるかい? 兄さんと同じ顔の俺を」 銃を握るアキの手が震える。 シンヤは臆することなく、アキに近づいてくる。 アキはついに、引き金にかけた指に力を込める。 声「やめるんだ! アキ!」 暗がりの中から、Dボウイが現れる。 アキ「Dボウイ!」 Dボウイ「アキ、これは俺とシンヤの戦いだ。下がっていてくれ」 アキ「駄目! 私は、私は……私は!」 Dボウイ「下がるんだ! 頼む、下がってくれ!」 アキ「嫌……」 Dボウイ「下がれ!」 アキはとうとう銃を落とし、膝を折って崩れ落ちる。 タカヤ「シンヤ……」 ブレードとエビルの戦いが再開される。 ブレードはもちろん、エビルもまた満身創痍である。 互いにランサーの攻撃は狙いを外れ、体中に傷を負い、攻撃のたびに息を切らす。 エビルがついに決意し、最後の手段に出る。 エビル「うぅぅおおぉぉ──っっ!!」 突然の咆哮と共に、エビルの全身が赤い光に包まれる。 上半身の装甲が鋭角的に変貌し、背からは異様な尾を備えた姿へと変わってゆく。 ブレード「エビルが、ブラスター化を!?」 悪魔を思わせる異様な姿となったブラスターテッカマン・エビルが姿を現す。 ブレード「うぅぅおおぉぉ──っっ!!」 ブレードもまたブラスターテッカマンへと進化する。 ブラスターテッカマンブレードとエビル、進化したテッカマン同士の死闘が幕を開ける。 ブレードとエビルが二筋の光と化し、地球の大気圏内へと舞い降り、超高速で地球上空を駆け抜ける。 砂漠の上、山々、オーロラの光の中。 アラスカのスペースナイツ基地からも2人の姿は見え、ミリィは祈るように戦いを見守る。 人々「ブレードだ!」「テッカマンブレードだぞ!」 レビン「Dボウイ! 負けるんじゃないわよ!」 子供たち「テッカマンブレード、がんばれ!」 「ブレード!」 戦いの場は再び宇宙空間に移り、ブレードとエビルは、アキの目の前に躍り出る。 エビル「これで最後だ……! ブレード!」 ブレードとエビルが互いに、ボルテッカの発射態勢に入る。 エビル&bold(){&big(){「ボルテッカアアァァ──ッッ!!」}} ブレード&bold(){&big(){「ボルテッカアアァァ──ッッ!!」}} ブラスターテッカマン同士による、最大出力のボルテッカが放たれる。 壮絶な光と衝撃がぶつかり合い、わずかに力負けしたブレードが、全身の装甲を砕かれつつ吹き飛ばされてしまう。 凄まじい光の奔流の中、エビルが同じく全身の装甲を砕かれつつ、ランサーを構えて突進して来る。 ブレード「何っ!?」 エビル「さらばだ、ブレードぉぉ!! うぅおおぉぉ──っ!!」 ブレードがとっさに身構えるものの、エビルの方が一手早く、絶体絶命── エビル「──ぐぉっ!?」 突如、エビルの動きが鈍る。無理なブラスター化による肉体への反動が、ついに限界に達したのだ。 エビルのランサーの狙いは外れ、ブレードの肩を貫く。 そしてブレードの反撃のランサーは、エビルの腹を貫く。 2人のテッカマンはそのまま、オービタルリングへと落下してゆく。 オービタルリング内。 火の手が上がる中、ブレードがかろうじて、致命傷を逃れている。 しかしエビルはブレードのランサーにより、急所を貫かれている。 エビル「うぅおおぉ……」 ブレード「エビル!? ……!?」 エビルが力尽き、倒れ伏す。 ブレード「エビル!? エビル!」 エビルの頭部のクリスタルが光り出し、中から小さな虫が外へ飛び出し、焼けつく床の上で力なく蠢く。 テックセットが解除され、シンヤの姿に戻る。 ブレードがシンヤを助け起こす。 ブレード「シンヤ!」 シンヤ「兄さん…… 悪い夢を、見ていたみたいだよ……」 ブレード「シンヤ!? お前、元に!?」 シンヤの顔からは険しさが消え、穏やかな表情に戻っている。 シンヤ「あれが、ラダムの本体さ…… ラダムは、寄生生物なんだ。体を持たない、脳髄だけが高度に進化した知的生命体かもしれない。どんな環境だろうと、高等生物の体を奪うことによって、星そのものを支配できるからね……」 ブレード「こいつが、お前を……!? もっと早くこいつの存在に気付いていれば、お前を元に戻すことも!」 シンヤ「無理だよ…… 僕がもうすぐ死ぬから、ラダムは僕を見捨てたんだ。仕方ないことだったんだ…… うぅっ!」 ブレード「シンヤ!?」 シンヤ「今、世界中で生み出されている素体テッカマンは、彼らの体なのさ…… 勝った、よね……?」 ブレード「う……」 シンヤ「僕は兄さんに、勝ったんだよね……? ブラスター化の限界が、あそこで来なければ、あのとき確実に、兄さんの心臓を捉えてたよ…… ようやく、兄さんに勝ったんだ…… 素晴らしいよ、兄さんは…… 本気で、僕と戦ってくれたんだもの…… うぅっ!」 ブレード「もう喋るな!」 シンヤ「嬉しい、はずなのに…… 悲しいな…… いつまでも、兄さんと…… 戦っていたかった…… 目標、なくなっちゃったじゃないか……」 ブレード「シンヤ……」 シンヤが力ない手で、自らのクリスタルを差し出す。 シンヤ「これで、月へ行きなよ…… ケンゴ兄さんが、待っている……」 ブレード「シンヤ!」 シンヤ「ごめんね…… 兄さん……」 シンヤが兄の腕の中で、事切れる。 床を這い回るラダム虫を、ブレードが踏み潰す。 ブレード「こいつのために……! こいつの、こいつのためにぃ!!」 怒りと憎しみを込めるように、ブレードはラダム虫を何度も、跡形ないまでに踏み潰す。 ブレード「……うううおおぉぉ──っっ!!」 そこへ、アキが駆けつけてくる。 アキ「Dボウ──イ! Dボウイ、良かった!」 ブレード「来るな! アキ!」 アキ「う……!?」 ブレード「来るな」 アキ「Dボウイ……!? はっ!」 ブレードの手にしているエビルのクリスタルに、アキが気づく。 アキ「それは!?」 ブレード「アキ、俺は今から月へ行く!」 アキ「えっ!?」 ブレードが通路壁面のレバーを倒す。 通路の隔壁が閉じてゆく。 アキ「待って、Dボウイ!」 ブレード「来るな!」 ブレードは次第に、隔壁の向こうへと消えてゆく。 アキは必死に駆け寄ろうとする。 アキ「Dボウイ! もう一度、もう一度、顔を見せて! Dボウイ!!」 ブレード「Dボウイも相羽タカヤも今ここで死んだ! 俺はテッカマンブレードだ!!」 アキ「Dボウ──イ!! Dボウイ、Dボウ──イ!!」 完全に閉じてしまった隔壁にアキがすがりつき、泣き崩れる。 ペガスに乗り込んだブレードは、シンヤのクリスタルを掲げ、オービタルリングを飛び立つ。 アキ「Dボウ──イ!!」 ブレード「オメガ…… これですべて、終わりにしてやる!!」 ブレードが月面のラダム基地を目指し、宇宙空間を突き進む。 この世にたった1人残った肉親のもとへ。 その、たった1人の肉親を、自らの手で殺すために…… ※ この続きは[[本家エンディングドットコム>http://neoending.web.fc2.com/anime/agyou/tkblade-ed.htm]]をご覧下さい。