キカイダー兄弟の生みの親、光明寺博士がスイスから日本へ帰国して来る。 光明寺博士は空港から、タクシーで道路を行く。 光明寺「君、道が違うようだが?」 運転手「お客さん、この道でいいんですよ」 光明寺「君!? 君は誰だ!?」 運転手「フフフ。俺をお忘れかね? 光明寺博士」 運転手が、ハカイダーに姿を変える。 光明寺「ハ、ハカイダー!?」 #center(){|BGCOLOR(gray):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&big(){&bold(){よいこの友達&br()人造人間万才&i(){!}}}}&br()&br()|} アキラと兄ヒロシ、2人の姉貴分のミサオが、手紙を手にして光明寺家を訪れる。 ミサオ「あっ、ここだわ」 ヒロシ「光明寺? 変な名前だなぁ」 ミサオ「気味が悪いわ。誰が私たちを、こんなところへ呼んだのかしら?」 アキラ「うん。いったい、誰なんだろう? ──あっ、イチロー兄ちゃんだ!」 イチローがやって来る。 ミサオ「イチローさんも誰かに?」 イチロー「うん。こんな手紙をもらった」 イチローも、ミサオたちと同じ手紙を持っている。 ヒロシ「イチロー兄ちゃん、何だと思う? その手紙」 アキラ「あっ、あの音は!」 ギターの音と共に、ジローが現れる。 ヒロシ「キカイダー!」 ミサオ「ジローさん!」 イチロー「ジロー! ジロー、お前も呼ばれたのか?」 ジロー「光明寺博士が大変なことになった」 イチロー「──光明寺博士が、丸3日も行方不明?」 ジロー「たぶん、シャドウです。博士は、ロボット再生装置という大発明をしたんです。あれさえあれば、シャドウを完全に潰すことができたのに……」 イチロー「しかし博士はその発明ごと、どこかへさらわれてしまったというのか?」 ジロー「えぇ。ロボット再生装置が、もしもシャドウの手に渡ったら…… 兄さん、世界はとても恐ろしいことになってしまう!」 イチロー「うん。早くシャドウ基地を見つけ出して、一刻も早く博士を助け出さなければ!」 犯罪組織シャドウの基地。 ハカイダー「入れ!」 戦闘員のシャドウマンたちが、光明寺博士を首領ビッグシャドウのもとへ連行する。 ビッグシャドウ「ご苦労だったな、光明寺博士。できたか、ロボット再生装置は?」 ハカイダー「さんざん痛めつけて、やっと完成させた。これだ!」 光明寺博士の新発明、ロボット再生装置が鎮座している。 ビッグシャドウ「ハハハ! ふぅむ…… これだけじゃわからん! 実験してみろ!」 ハカイダー「言われなくても、今やるところだ。シャドウマン!」 ハカイダーが愛銃ハカイダーショットで、シャドウマンの1人を撃ち抜く。 ハカイダー「やってみせるんだ、光明寺博士」 光明寺「……」 ハカイダー「早くしろ!」 仕方なく光明寺博士が、装置を作動させる。 シャドウマンの残骸が装置に回収され、あっという間に元通りのシャドウマンが甦る。 シャドウマン「生き返りました!」 ビッグシャドウ「おぉ、さすがに光明寺博士だ! これでシャドウのロボットは、何度壊されても甦ることができる。もはやシャドウは滅びることはない。シャドウ帝国が世界を征服するのだ! ハッハッハッハ!」 ハカイダー「ゼロワンやビジンダーが束になってかかってきても、ノミに食われたほどにも感じません」 光明寺「ビッグシャドウ! 私をどうするつもりだ!?」 ビッグシャドウ「貴様にはもう用がない。死ね」 ハカイダー「ゼロワンとビジンダーをおびき出す囮となって、死んでもらうまでよ」 ビッグシャドウ「ゼロワンめ、ビジンダーめ、今度こそは生かして返さんぞ!」 その頃、ビジンダーことマリは、シャドウ基地に潜入している。 セキュリティをかいくぐり、シャドウマンたちを蹴散らしつつ、基地の奥へと進む。 しかし途中で罠にはまり、隠し部屋に閉じ込められてしまう。 無数のトゲの生えた壁が、次第にマリに迫る。 部屋の外で、シャドウマンたちがほくそ笑む。 そこにイチローが登場。シャドウマンたちを倒し、マリを救い出す。 イチロー「マリさん! さぁ、早く!」 光明寺博士は、ロボット再生装置に向かって工具を振るっている。 そこへ、ハカイダーがやって来る。 ハカイダー「何をしている!」 光明寺「あっ!?」 ハカイダー「何をした、貴様!? まさか、このロボット再生装置に、仕掛けでもしたんじゃあるまいな?」 光明寺「……何もしていない! 疑うなら、調べてみたらどうだ!?」 ハカイダーが光明寺博士を殴り飛ばし、さらに見張りのシャドウマンを殴り飛ばす。 ハカイダー「目を離すなと言ったはずだ! もし妙な真似をされたら、どうするつもりだ!?」 ハカイダーがシャドウマンを、ハカイダーショットで撃ち抜く。 ロボット再生装置を作動させると、破壊されたシャドウマンが元通りに甦る。 ハカイダー「よし。別に仕掛けはしなかったようだな、光明寺。二度と変な気を起こすな、いいな!?」 イチローたちが、陰から様子を窺っている。 マリ「見張りの数を増やしたわ」 イチロー「ここでヘタに博士に近づくと、博士の命が危ない」 ハカイダー「連れて行け!」 マリ「もしかすると、光明寺博士を別の場所に連れ出すつもりなのね」 イチローはゼロワンに、マリはビジンダーにチェンジし、基地の外に出る。 ゼロワン「奴らは光明寺博士を囮に使うつもりだ。必ず何か動き始める」 ビジンダー「えぇ。──あっ、出て来たわ!」 ハカイダーとシャドウマンたちが、光明寺博士を引き連れて現れる。 ハカイダー「処刑準備!」 光明寺博士がギロチン台にかけられる。 頭上には、ギロチンの刃がロープで吊るされている。 ゼロワン「ビジンダー、あのロープの先はどうなっている? 見えるか?」 ビジンダー「望遠回路をセットしてみるわ」 ゼロワン「よし、倍率を20倍に上げてみよう」 ロープの片方の端には籠があり、先端にリンゴが仕掛けられ、籠の中でハムスターがリンゴを齧っている。 ビジンダー「ひどい、ひどすぎる! ビッグシャドウ!」 ゼロワン「あのハムスターがリンゴを食べ終わると、ロープが切れる仕掛けだ」 ハカイダー「ゼロワンめ、ビジンダーめ、もうどこからかここを見ているだろうが、このハムスターがリンゴを食い尽くすとロープが切れ、ギロチンが落ちる。フフフ。ハムスターの餌が無くなったときが、光明寺の首が飛ぶときだ。早く助けに来ないと間に合わんぞ! いつでも来い! 丁寧に歓迎してやるぞ!」 シャドウマンたちの大群と、二体一身のシャドウ幹部ザダムが、ゼロワンたちを待ち受ける。 ゼロワン「この平原には、どんな仕掛けがしてあるかわからない。ビジンダー、死ぬかもしれんぞ」 ビジンダー「光明寺博士を、殺させるわけにはいかないわ」 ゼロワン「行こう!」 声「待て!」 ジローが登場する。 ビジンダー「キカイダー!」 ジロー「光明寺博士は僕たちの生みの親だ。兄さんたちにだけ任しておくことはできない!」 ゼロワン「うん。3人のうち2人が殺されても、1人が生き残れば何とかなる」 ビジンダー「えぇ」 ジロー「チェーンジ・スイッチオン! ワン・ツー・スリー!」 ジローがキカイダーにチェンジする。 ゼロワンたちと共に、それぞれの愛車でハカイダーたち目がけて発進する。 ハカイダー「フフフ、来たか!」 ゼロワン「よし、左右に分かれて突っこもう!」 シャドウマンたちが銃撃で迎えるが、ゼロワンたちの反撃で、シャドウマンたちが次々に倒される。 ロボット再生装置により、シャドウマンたちの残骸は回収され、元通りに甦り、再び出撃してゆく。 ビッグシャドウ「行けぃ! ハハハ、暴れろ! 好きなだけ暴れ回って、エネルギーを使い果たせ! こちらには、この再生装置がある。シャドウマンはいくらでも生き返るぞ!」 ゼロワンたちは敵陣の懐へ入り込み、シャドウマンたちとの肉弾戦となる。 ビジンダー「ビジンダーキック!」「ビジンダーレーザー!」 ハカイダー「わぁぁ──っっ!」 ビジンダーの攻撃で、ハカイダーが爆死する。 しかし、やはりロボット再生装置により、ハカイダーは基地内で甦る。 ビッグシャドウ「おぉ、ハカイダー。安心して戦って来い」 ハカイダー「今度はゼロワンを倒す!」 ビッグシャドウ「行けぃ!」 戦いの最中、ゼロワンとビジンダーは罠にはまり、檻に閉じ込められてしまう。 ザダム「かかったな!」 ゼロワン「あっ、しまった!」 キカイダー「電磁エ──ンド!!」 キカイダーが電磁エンドで檻を破壊する。 3人が光明寺博士を助けようとする。 ゼロワン「光明寺博士──っ!」 光明寺「来てはいかん! この周りには地雷が仕掛けてある! 近づくと、君たちの体はバラバラになるぞ!」 キカイダー「博士!?」 光明寺「命を粗末にするな! 私は君たちをロボットとは思っていない!」 ビジンダー「でも、それでは博士の命が!?」 光明寺「私はいい! シャドウを道連れに死ぬなら本望だ!」 ゼロワン「シャドウを道連れ!?」 光明寺「私はロボット再生装置に爆破装置を組み込んできた! あの機械が30体のロボットを再生すると、自動的に地下のシャドウ基地が大爆発を起こすようになっている!」 ゼロワン「それじゃ、博士は!?」 光明寺「君たちは17体を倒した! あと13体のロボットを倒せばいいんだ! がんばってくれ!」 ゼロワン「博士ぇ──っ!」 ゼロワンたちの前にシャドウマンが倒され、ロボット再生装置で甦ってゆく。 光明寺「あと5体だ! もう少しだぞ!」 ザダムが自ら、ゼロワンたちのもとへ現れる。 ザダム「しぶとい奴らめ! 俺が相手してやろう!」 ゼロワン「行くぞ、化け物! そんな体をして、まともに戦えるか!?」 ザダム「ハハハ! 俺にはこういう奥の手がある。ザダム分離術!」 二身一体のザダムが左右に分離、2体のザダムとなる。 甦ったハカイダーも参戦する。 ザダム「死ね、ゼロワン!」「死ね、キカイダー!」 ハカイダー「死ね、ビジンダー!」 ゼロワン「ブラストエ──ンド!!」 キカイダー「電磁エ──ンド!!」 ビジンダー「ビジンダーレーザー!!」 ハカイダーたち「グワァァ──ッッ!!」 ザダムとハカイダーが爆死。 またもや再生装置が作動し、基地内にザダムが、そしてハカイダーが甦る。 ビッグシャドウ「またお前かぁ!? 行けぃ!」 甦ったザダムとハカイダーが、三たびゼロワンたちのもとに現れる。 ゼロワン「ブラストエンド!」 キカイダー「電磁エンド!」 ビジンダー「ビジンダーレーザー!」 しかしゼロワンたちの必殺技は、いずれも発動しない。 ハカイダー「フフフ、バカめ! お前たちの決め技はもう効かん!」 ザダム「もうそろそろエネルギーが切れる時間だ!」「今度はこっちから行くぞ!」 光明寺「もう一息だ! あと2体だ! あきらめるなぁ!」 ハカイダー「トドメだ! ザダム・ハカイダー三位一体攻撃!!」 ゼロワン「こっちも行くぞ!」 ゼロワン、キカイダー、ビジンダーの3人がフォーメーションを組む。 ゼロワンたち「キカイダー・トリプルサークライン!!」 3人が一体となった最後の超必殺技、トリプルサークラインが炸裂する。 ハカイダーたち「グワァァ──ッッ!!」 超必殺技を食らい、ザダムとハカイダーたちが爆死する。 しかしその直後、光明寺博士の頭上のギロチンの刃が落ちる。 ゼロワン「あっ、危ない!」 すんでのところで、ゼロワンが刃を食い止める。 光明寺「危ない、爆発するぞ!」 基地内では、ザダムとハカイダーが再生装置にかけられるものの、なかなか再生が行なわれない。 ビッグシャドウ「どうした、なぜ止まった!? どうしてザダムとハカイダーは出て来ん!?」 再生数30体に達した装置が、光明寺博士の思惑どおり、火を吹き始める。 ビッグシャドウ「わ、わああぁぁ──っっ!?」 ビッグシャドウが炎に包まれる。 シャドウ基地が大爆発し、木端微塵となる。 大犯罪組織シャドウの世界制服の野望は、ここに潰えた── 光明寺家。 光明寺博士のもとで、ミサオ、ヒロシ、アキラの3人がケーキにありつく。 アキラ「おいしいね」 ミサオ「うん!」 ミサオはガツガツとケーキを頬張る。 ヒロシ「よせよ、姉御。お嫁さんの貰い手がないぜ!」 ミサオ「何!?」 光明寺「ハッハッハ!」 アキラ「でも、僕たちだけで食べるなんて、なんだか申し訳ないみたい」 ミサオ「……マリさんや、イチローさんのこと?」 ヒロシ「馬鹿。兄貴たちはロボットだもん、食べられるわけないだろう?」 アキラ「……可哀そうだね。イチロー兄ちゃんたち」 ミサオ「……うん」 光明寺「ロボットは強い、歳はとらない。しかしね、だからといって、それが幸せとは限らないんだよ」 一同「……」 光明寺「イチローだってジローだって、完全なロボットになるより、不完全でも、本当は人間になりたいんだ」 イチロー、ジロー、マリの3人が、どこかの荒野を行く。 堅く握手をかわし、笑顔をかわし、それぞれの道を力強く突き進んで行く。 #center(){|CENTER:&br()平和は来た。しかし君たちの周りに、&br()何か変わったことは起きていないだろうか?&br()よく注意してみてほしい。&br()それは、次なる悪の組織の犯罪なのだから。&br()&br()そして、もし変わったことを見つけたら、&br()すぐに知らせてほしい。&br()&br()イチローやジローやマリは、&br()ほら、君たちのすぐそばにいる!&br()&br()|} #center(){&bold(){&big(){おわり}}}