激走戦隊カーレンジャーの第32話

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激走戦隊カーレンジャーの第32話 - (2024/05/31 (金) 01:25:15) のソース

※ ここまでのあらすじは[[激走戦隊カーレンジャーの第31話]]をご覧ください。


カーレンジャーはいろいろあってリッチリッチハイカーを倒し、しばらくは平和な日々が続いていた。
そんなある日の午後、自動車会社ペガサス本社ガレージの屋根で、恭介が歌を歌っている。

洋子「恭介、何やってんのよ! お茶にするよ、お茶」
恭介「よし、じゃあ俺VRVマスター呼んでくるよ」


ペガサス本社地下にあるカーレンジャー秘密基地には誰もいない。
そして冬眠中のダップはまだ起きない。

恭介「VRVマスター? なんだ、いないのか」

恭介が1本のビデオカセットを発見。

恭介「ん? なんだこりゃ」

ビデオデッキにカセットを入れる。
中身はVRVマスターのビデオレターだった。

|&I(){この星の夕日は俺にはまぶしすぎるので、地球を去る。&Br()追伸──ビクトレーラーは置いていく。そして……&br()RVロボを取り返せるかどうかは、レッドレーサーの&br()カーレンジャーのリーダーとしての自覚次第だ!}|

恭介「カーレンジャーのリーダーとしての、自覚……!」


#center(){|BGCOLOR(#00000f):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&big(){&bold(){&i(){RVロボ大逆走!}}}}&br()&br()|}


恭介「カーレンジャーのリーダーとしての、自覚……」
実「恭介? おいおい、恭介」

恭介は上の空。

実「恭介!」
恭介「うわっ!」
実「どないしたん」
恭介「VRVマスターが、地球を去った……」
実たち「ええっ!?」
恭介「シグナルマンはポリス星へ帰り、ダップが冬眠して…… そして今、VRVマスターは訳の分からないことを言い残して、地球を急に去った」

恭介が4人に向き直る。

恭介「地球の平和を守る者は、俺たちカーレンジャーだけとなり! 俺は、リーダーとして大きな責任を感じ!」

心労のあまり、恭介が卒倒。
実たちが駆け寄る。

洋子「大丈夫!?」
恭介「興奮して…… 緊張して…… 体が硬くなったの……」

洋子が恭介の体を叩く。

洋子「ほんとだ」


その頃、リッチリッチハイカーを失ったボーゾックは──

ゼルモダ「リッチリッチハイカーがいない今、総長は俺だ!」
グラッチ「え~? 俺だよ」
ゼルモダ「何言ってるんだ、俺様だよ!」
グラッチ「俺だってば!」
ゼルモダ「俺だよ!」
グラッチ「お前、頭長いだけじゃんかよ!」
ゼルモダ「お前、体丸いだけじゃねぇか!」
グラッチ「何だって!? やるか!?」

その時、BBサロンの入り口に強烈な光が。

グラッチ「この光は!?」
ゼルモダ「ま、まさか!?」

逆光の中から出てきたのは、もちろんガイナモとゾンネットだ。

ガイナモ「いいか、野郎ども! 今日からこのガイナモ様が、ボーゾックを仕切るぞ」
ゾンネット「よろしくね」
ゼルモダ「ガイナモ……」
グラッチ「ゾンネット……」

すっかり縮み上がるゼルモダとグラッチ。

ガイナモ「ゼルモダ、グラッチ! 文句ねぇよな?」
ゼルモダ「あ、あるわきゃねぇだろ……」
グラッチ「待ってたんだよ?」
ガイナモ「よーし!! リッチリ~ッチハイカーの頭でっかちなボーゾックなんて、ボーゾックじゃねぇ。このガイナモが戻ったからには、今までより荒々しく、力強く、たくましいボーゾックに……」
ゾンネット「うわーん!」

いきなりゾンネットが泣き出した。

ガイナモ「あら!? ど、どうしたのよ、ゾンネットちゃん?」
ゾンネット「&ruby(チーキュ){地球}の焼肉屋で食べたオイキムチの味が、忘れられなくて…… あれ以来、オイキムチを食べなくてはいられない体になってしまった! オイキムチ~!!」
ガイナモ「わかったわかった! 今すぐ&ruby(チーキュ){地球}から、おいち~いオイキムチを、奪ってきてやるからね」

ガイナモの命を受け、BBサロンの奥から漬物樽のような姿をしたボーゾックが姿を現す。

ギューリー「ボーゾック一のキムチ好き・&ruby(ヅケヅケ){ZZ}ギューリー!!」


下校中の市太郎に、ZZギューリーが近づく。

ギューリー「子供さん、おいしいオイキムチを食べさせる焼肉屋を教えるギューリー」
市太郎「OKギューリー!」


恭介はまだ体が硬直したまま。
実たちが懸命に恭介をマッサージしている。

恭介「VRVマスターの奴、何も俺がカーレンジャーのリーダーであることを意識して体が硬くなるようなことをわざわざ言い残していかなくてもいいのに!」

その時、アクセルチェンジャーがボーゾック発生を知らせるコール音を鳴らす。

実「ボーゾック発生や!」

実たちが次々にガレージを出ていくが、恭介だけは思い悩んでいた。

 「カーレンジャーのリーダーとしての自覚次第だ」

恭介「カーレンジャーのリーダーとしての自覚…… 自覚……!! うおおおおっ!!!」

恭介が過剰にやる気をみなぎらせて立ち上がる。

恭介「&bold(){激走!! ア~~~クセルチェンジャー!!!}」

恭介がレッドレーサーに変身。変身しようとしていた実たちを押しのけ、無駄に絶叫しながら飛び出していく。

菜摘「恭介!?」
直樹「恭介さん……」
実「あいつ、なんや何か1人で張り切り始めたぞ」


市太郎とZZギューリーは、焼肉屋「宝苑」へ。

市太郎「ここがおいしいオイキムチを食べさせる焼肉屋です」
ギューリー「ありがとギューリー」
市太郎「バイバーイ」
ギューリー「バイギューリー」

市太郎が去り、ギューリーが入店しようとする。

ギューリー「オイキムチを出せギューリー!」
レッドレーサー「待ちやがれ!!」

そこへレッドレーサーが登場。

レッドレーサー「&bold(){戦う交通安全!! 激走戦隊、&big(){カ~~~~、レンジャー!!}}」

レッドレーサーが1人で名乗りを決める。
遅れて残りの4人が姿を見せた。

グリーンレーサー「あんたが『待ちやがれ』や、もう」
ブルーレーサー「カ~~、レンジャー」
イエローレーサー「もう、1人で出てっちゃうんだから!」
ピンクレーサー「カーレンジャーのリーダーなんでしょ?」
レッドレーサー「リーダー……」

 「カーレンジャーのリーダーとしての自覚次第だ」

レッドレーサー「リーダー…… リーダー…… リーダー!!!」
ギューリー「な、何だ?」
レッドレーサー「うおお、行きまーす!!」
4人「あっ……」
ギューリー「ワンパー!!」

またも1人で突っ走るレッドレーサーが、襲い来るワンパーの大群を1人だけで迎え撃つ。

イエローレーサー「熱く戦うレッドレーサー……」
ブルーレーサー「1人で張り切っているようにも見えます」
グリーンレーサー「とりあえず俺らも戦うぞ!」

4人も戦いに加わるが、レッドレーサーが次々に見せ場を横取りしてしまう。

レッドレーサー「危ない、ブルーレーサー!!」
ブルーレーサー「わたくしの敵です! ちょっと…… お任せくださいってば……」
レッドレーサー「イエローレーサー、大丈夫か!?」
イエローレーサー「レッドレーサー……」
レッドレーサー「ピンクレーサー、大丈夫か!? 下がって!!」
ピンクレーサー「あっ…… 全然危なくないのに!」
グリーンレーサー「オート」
レッドレーサー「パニッシャー!!」
グリーンレーサー「おい、パニッシャーは俺が撃つつもりやったのに……」
ギューリー「今の内だギューリー」

ZZギューリーが再度、宝苑へ。

ギューリー「オイキムチを出せギューリー!」
店主「ああ、待ってください! 韓国に行けば、うちの店よりもっとおいしいオイキムチがありますよ」
ギューリー「韓国?」
店主「うん。あっ、そうだ」

店主が地球儀を見せる。

店主「こう行って、」

日本列島から右へ指を進め──

店主「ここです!」

韓国ではなく、北朝鮮・ピョンヤンの位置を指さす店主。


それから、BBサロン──

ガイナモ「よーし、待ってろZZギューリー! ゼルモダ、用意はいいか?」

バリバリアン内のドックでは、鹵獲されたRVロボの改修作業が続いている。

グラッチ「ボーゾック乾電池、オーライ!」

RVロボの腰に、ボーゾック乾電池を入れたケースがセットされた。
RVロボの両目が邪悪な光を発する。

グラッチ「よし、OKだ」
ゼルモダ「よっしゃ。ガイナモ、こちら準備OK」
ガイナモ「よし! RVロボ、発進!!」

ボーゾックの手先となったRVロボが&ruby(チーキュ){地球}へ飛んで行った。

ガイナモ「地獄で眠るリッチリ~ッチハイカー教授! 本当のボーゾックの総長は、RVロボをこう使うんだ!」

悪のRVロボが地上に降り立つ。

レッドレーサー「あっ、RVロボが!」

ZZギューリーと4人のワンパーが悪のRVロボに乗り込んだ。

ギューリー「行くぞギューリー!」
ワンパーたち「チース!」
ギューリー「いざ韓国へ、ギューリー!」
ブルーレーサー「大変です! RVロボが、韓国へ向かってしまいます」
グリーンレーサー「韓国って…… えぇ……?」
レッドレーサー「何としても阻止するんだ。VRVマシン、出動!!」

ビクトレーラーからVRVマシンが全車出撃。すぐさまVRVロボに合体して悪のRVロボに対峙する。

レッドレーサー「韓国には行かせねぇぞ!! それから、RVロボを返してもらうぜ」
ギューリー「待て! お前たちにこのRVロボは攻撃できない。なぜなら、RVロボを動かしているボーゾック乾電池は、強力な爆弾でもあるからギューリー」
イエローレーサー「えっ!?」
ピンクレーサー「えぇ……」
レッドレーサー「何だと……!?」
ギューリー「これだ!」

悪のRVロボは予備のボーゾック乾電池を投げつけて攻撃してくる。

グリーンレーサー「こらぁ下手に攻撃したらマジでRVロボは自爆してまうぞ」
ピンクレーサー「どうしたらいいの!?」
ブルーレーサー「レッドレーサー!」
レッドレーサー「…………」

膠着状態に陥ったまま数時間が経ち、すっかり日が暮れていた。
静まり返った町に、ムクドリの群れが鳴きわめく声だけが聞こえる。

ギューリー「にらめっこしてたら日が暮れてきた。一刻も早くカーレンジャーを倒し、韓国へ行くギューリー!!」
ワンパー(青)「プラグネードスパーク!」

悪のRVロボが攻撃を開始。

レッドレーサー「みんな、かわせ!!」

VRVロボが紙一重で回避。プラグネードスパークを受けて背後のビルが爆発する。

ギューリー「ビークル回転キーック!!」

悪のRVロボの飛び蹴りが炸裂する。

ギューリー「RVソード!!」

RVソードで切り付けられながらも防戦一方のVRVロボ。

ブルーレーサー「戦うこともできないなんて!!」
グリーンレーサー「どないせぇ言うねん!!」
レッドレーサー「…………」

 「カーレンジャーのリーダーとしての自覚次第だ」

レッドレーサーがいきなり立ち上がる。

レッドレーサー「うおお、俺はカーレンジャーのリーダーだ!!」
グリーンレーサー「突然何なの?」
イエローレーサー「レッドレーサー!」
ピンクレーサー「何!?」
ブルーレーサー「どうしたのでございますか?」
レッドレーサー「みんな、落ち着け、落ち着け!」
ブルーレーサー「一番落ち着いていないのはレッドレーサーでございます!」

レッドレーサーは聞く耳を持たない。

レッドレーサー「RVロボは俺が取り戻す!!」
イエローレーサー「どうやって!?」
レッドレーサー「俺はカーレンジャーのリーダーだ。俺は俺を信じる!! みんなも俺を信じてくれ!!」

レッドレーサーが絶叫しながらVRVロボのコクピットを出ていく。

ブルーレーサー「レッドレーサー!」
グリーンレーサー「あー、もう、あいつまた勝手に出て行きよった!」
ブルーレーサー「4人でVRVロボを操縦するなんて、無理でございます!」
イエローレーサー「でも、やるしかないでしょ!?」
ピンクレーサー「あ~、危ない!」

悪のRVロボの追撃。ボロボロのVRVロボ。

ギューリー「悪のRVソード・激走斬りギューリー!!」

悪のRVロボの必殺技を受け、VRVロボは登場から2話目にしてなすすべなく倒れ伏した。
一方、レッドレーサーはペガサスサンダーでRVロボの下へ向かっていた。

レッドレーサー「待っててくれ、みんな。俺はカーレンジャーのリーダーだ! 俺が必ず、RVロボを取り戻してみせるぜ!!」

悪のRVロボが、VRVロボにRVソードを突き付ける。

グリーンレーサー「うわっ、来よるぞ!」
ブルーレーサー「どうすればいいんですか!?」
イエローレーサー「やっぱり、4人じゃ駄目よ!」
ピンクレーサー「キャーッ!!」
ギューリー「とどめだギューリー!!」

悪のRVロボがRVソードを振り上げた、その時──

レッドレーサー「とあぁっ!!」

レッドレーサーが、ペガサスサンダー(フライトモード)からRVロボへ飛び移り、コクピットへ向かう。

ギューリー「何だっ!?」
レッドレーサー「お前たちの好きにはさせねぇぞ!!」

RVロボのコクピット内で乱戦が始まる。
悪のRVロボは動きを停止。

グリーンレーサー「レッドレーサー! やりよったか!!」
イエローレーサー「助かった!」
ピンクレーサー「よかった~」
ブルーレーサー「頼みましたよ、レッドレーサー。みんな!」
グリーンレーサー「おう!!」

VRVロボが復活。
悪のRVロボの中ではレッドレーサーの孤軍奮闘が続く。

レッドレーサー「カーレンジャーのリーダーをなめんなよ!!」

レッドレーサーのバイブレードとZZギューリーの剣がぶつかり合う。

レッドレーサー「リーダーの力、思い知れっ!!」

戦いの舞台はレンジャービークルの非常口からボーゾック乾電池ケースの上へ。

レッドレーサー「こいつを外せば!」
ギューリー「待てぇ! そうはさせんギューリー!!」

レッドレーサーの戦いを固唾を飲んで見守る4人。

グリーンレーサー「しっかりせんか!」

外は完全に夜になっている。
ZZギューリーの攻撃でバイブレードを地上に落としてしまうも、オートブラスターで立ち向かうレッドレーサー。

レッドレーサー「&bold(){俺たちのRVロボを! 絶対返してもらうぜ!!}」

ZZギューリーが地上に蹴り落とされる。

レッドレーサー「&bold(){シフトアップ!! &big(){オートパニッシャー!!}}」

オートパニッシャーで切り離されたボーゾック乾電池ケースは、ZZギューリーの頭上へ落下。

ギューリー「ギューリ~~~~!!」

そのままボーゾック乾電池ケースが大爆発!

レッドレーサー「よっしゃ!」

RVロボの目が元に戻る。

4人「やったぁ!!」
グリーンレーサー「RVロボを取り戻したんやな!!」
ブルーレーサー「うれしいでございます!」
ピンクレーサー「やったぁ!」
イエローレーサー「やったね!」

レッドレーサーがVRVロボのコクピットに戻ってきた。

レッドレーサー「みんな、喜ぶのはまだ早い。RVロボを連れて帰るんだ!」
ピンクレーサー「そうね」
グリーンレーサー「う~ん、さすが俺らのリーダーだけのことはある。うん、偉い偉い!」
ブルーレーサー「こんなことができるのは、レッドレーサー…… 恭介さんしかいません!」
レッドレーサー「…………」

 「カーレンジャーのリーダーとしての自覚次第だ」

レッドレーサー「そうか…… きっとVRVマスターは、俺の性格を計算に入れて、あんな言葉を言い残したんだ」

しかし、ZZギューリーはまだ生きていた。

ギューリー「芋長の芋羊羹、ギューリー……!!」

巨大化したZZギューリーがVRVロボに立ちはだかる。

レッドレーサー「俺たちは無敵だぜ!! 行くぜぃっ、みんな!!」
4人「おう!!」
カーレンジャー「&big(){&bold(){ビクトリーツイスター!!}}」

ビクトレーラーからVバルカンとVバズーカが転送される。
そしてVバルカンとVバズーカの同時砲撃が巨大ZZギューリーを一気に粉砕した。

レッドレーサー「よっしゃあ!! 今度こそ俺たちの勝利だ!!」


VRVロボのコクピットから、朝焼けを眺めるカーレンジャー。

イエローレーサー「う~ん、綺麗」
レッドレーサー「この星の朝焼けは、まぶしすぎるぜ」
グリーンレーサー「あら? なんか、VRVマスターみたいなこと言いよんな」
ピンクレーサー「ねぇ、もう眠いし帰ろう?」
ブルーレーサー「居眠り運転してしまうでございます」
レッドレーサー「戦いの後に見る朝焼けには、眠気を覚ましてくれるコーヒー牛乳が合うかもね」
4人「もうええっちゅーねん」

そして今日もまた、平和な1日が始まるのだった。


#center(){|BGCOLOR(#000006):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&big(){&bold(){&i(){つづく}}}}&br()&br()|}