ハルキやヘビクラ、ストレイジ隊員たちが、地球防衛軍日本支部を奪還に向う。
作戦部長ユウキ マイが、武装した警備員たちを率い、守りを固めている。
両手を上げて降伏の意志を示すハルキたちに、警備員たちが銃を構える。
警備員「止まれぇ! それ以上、動くなぁ!」
マイ「ストレイジ……」
ヘビクラ「ただいま」
マイ「ヘビクラぁ!! その男は敵性宇宙人。クリヤマ長官襲撃も、ナカシマ隊員によるウルトロイドゼロ強奪も、そいつが首謀者よ!」
ハルキ「俺たちに戦闘の意志はありません! このままでは敵の思うつぼです! お願いします! 中に入れてください!」
マイ「撃ちなさい」
警備員「しかし、相手は丸腰です」
マイ「これは命令だ! 早く撃ちなさい!!」
警備員「し、しかし……」
マイが業を煮やし、自らの銃を放つ。
ヘビクラがジャグラスジャグラーに変身し、剣撃で銃弾を跳ね返す。
マイ「見なさい、これがあいつの正体よ。撃てぇ!!」
警備員「……撃てぇ!!」
警備員たちが一斉に発砲する。
ジャグラーは銃弾をすべて防ぎ、マイや警備員たちも倒して、変身を解く。
ヘビクラ「丸腰じゃなくて悪かったな」
一同「隊長!?」「隊長!?」
ヘビクラ「安心しろ、峰打ちだ」
ユカ「隊長!? 隊長が宇宙人!? ちょっと隊長、皮膚細胞のサンプル取らせてもらってもいいですか!? 髪の毛だけでも大丈夫です、お願いします!」
ヘビクラ「……行くぞ」
ハルキたち一同は基地を取り戻し、反撃の準備を開始する。
ユカ「デストルドス、全世界の主要都市を襲撃中。各国の防衛軍は軒並み壊滅状態」
イナバ「残ってるのは、俺たちだけか」
ユカ「デストルドス、こっちの動きに気づいたみたいです。まっすぐこっちにやって来ます」
ヘビクラ「敵はゲームをやってるんだ。当然、面白がってこっちに来ると思ってたぜ」
隊員「出撃準備、できました」
ヘビクラ「よし」
ヘビクラの前に、ストレイジ一同が準備を終えて勢揃いする。
ヘビクラ「ハルキはキングジョー、俺はウィンダムで出る。なんとしてもデストルドスからヨウコを救い出し、奴を殲滅する! ここが標的になるかもしれない。本部の連中が殺到する可能性もある! 俺は『怪しい宇宙人』だしな。危険を感じたらすぐ逃げろ。逃げていい。これが俺たちストレイジの最後の戦いだ!! 全員生きて帰って、パコさんのマグロで打ち上げするぞ!!」
ヘビクラが腕を差し出し、一同が手を重ねて合図する。
一同「ゴー・ストレイジ!!」
ハルキ「隊長。やっぱり俺、わかんないっす。なんで今まで、あんなことしてきたんスか?」
ヘビクラ「お前ら人類もセレブロも、調子に乗りすぎた。諦めもしないように調節してやってたんだ」
ハルキ「なんスか、それ?」
ヘビクラ「ま、それも全部パーだ」
ハルキ「隊長のこと…… 信じていいんスよね?」
ヘビクラ「知るか。自分で決めろ」
ハルキ「俺…… 信じます! 隊長は、隊長ですから」
ヘビクラ「元・隊長だ。それにどちらにしろ、俺はライザーが壊れちまったから、もう怪獣にはなれない」
ハルキ「自力で巨大化とか、できないんスか?」
ヘビクラ「前はできたんだけどな。それももう、力がねぇんだ」
ハルキ「俺ももう、次に変身したら体がもたないって、ゼットさんが……」
ヘビクラ「ってことは、俺たちに残された武器は、こいつらだけってことか」
ハルキの乗るキングジョーストレイジカスタム、ヘビクラの乗るウィンダムが、地上に降り立つ。
ヘビクラ「配置についた」
ユカ「半径10キロ圏内の民間人の避難、完了しました」
ハルキ「押忍!」
ユカ「デストルドス、作戦区域到達まで距離5千…… 来ます!」
殲滅機甲獣デストルドスが、空から舞い降りる。
寄生生物セレブロに取りつかれたヨウコが、コクピットで狂ったように笑っている。
ヨウコ(セレブロ)「ハハハハ!! お前らで最期だ…… 楽しませてもらうぞぉ!! アッハハハハ!!」
ハルキ「先輩…… 絶対救出します!」
ヘビクラ「行くぞ、ハルキ!」
ハルキ「押忍! これより、攻撃を開始する!」
キングジョーとウィンダムが、ミサイルで先制攻撃を加える。
デストルドスはそれを意にも介さず、反撃を繰り出す。
キングジョーとウィンダムが格闘で応戦するが、苦戦を強いられる。
ヘビクラ「ユカ! ヨウコの位置解析、どうだ!?」
ユカ「こいつ、温度も波長も滅茶苦茶で、全然解析できない! なんとか動きを止めてください!」
ヘビクラ「レーザーショット」
ハルキ「ペダニウム粒子砲!」
2人「発射ぁ!!」
キングジョーらが強力な砲撃を同時に繰り出すが、やはりデストルドスには通用しない。
ユカ「ヨウコ、どこ!? ヨウコ、どこなのぉ!?」
デストルドスの猛攻の前に、キングジョーもウィンダムも倒れる。
ハルキ「動け、動いてくれぇ!!」
デストルドスが2体をめがけて、攻撃の構えをとる。
ヘビクラ「おい、D4レイを撃とうとしてるぞ! ハルキ、動けるか!?」
ハルキ「右脚部をやられました!」
ヘビクラ「分離して回避しろ!」
ハルキ「エラーで分離ができないっス!」
ウィンダムもバッテリーの警報が鳴り響いている。
ヘビクラ「チッ、こっちも駄目か……」
ユカ「ヨウコぉ……」
あわやというとき、鉄拳が飛来してデストルドスに命中、窮地を救う。
攻撃の主は、現役を引退したはずのセブンガー。
ハルキ「あれは…… セブンガー!?」
コクピットには、イナバが搭乗している。
イナバ「骨董品だってな、まだまだ役に立つんだよ!」
ヘビクラ「遅いですよ、パコさん」
イナバ「間に合ったんだからいいだろ」
一同「班長~!!」
ユカ「よっしゃぁ!! 見つけたぁ!! ヨウコ発見! ハルキ、ヨウコは胸の主砲の奥にいる!」
ハルキ「押忍! 先輩、今行きます!」
セブンガーがウィンダムに、バッテリーを装填する。
イナバ「ほら、追加バッテリーだ!」
ヘビクラ「あざっす、パコさん! ハルキ、俺たちで奴の動きを何としても止める。絶対ヨウコを救出しろ!」
ハルキ「押忍!!」
セブンガー『超硬芯回転鉄拳、装着』
イナバ「よし、行くぞぉ!」
デストルドスの攻撃が、キングジョーに炸裂する。
爆炎の中から、タンクモード(戦車形態)に変形したキングジョーが突進する。
キングジョー『キングジョー ストレイジカスタム・タンクモード』
ハルキ「ペダニウム粒子砲、発射ぁ!!」
キングジョーの砲撃で、デストルドスの胸のコクピットが露出する。
ウィンダムとセブンガーが左右から、デストルドスを押さえる。
ヘビクラ「今だ、ハルキ!!」
ハルキ「押忍!!」
キングジョー『キングジョー ストレイジカスタム・ロボットモード』
ハルキ「ロボットモード! チェストォォ!!」
キングジョーがデストルドスの胸をめがけて、拳を突き立てる。
ハルキ「先輩、絶対に助け出しま──す!! うおぉ──!!」
ヨウコ「やめろおぉ──!!」
デストルドスがウィンダムとセブンガーを吹き飛ばし、キングジョー共々、空高く上昇してゆく──
光に満ちたストレイジ基地の光景。
ハルキが、呆けた様子のヨウコと対峙している。
ハルキ「ヨウコ先輩!?」
ヨウコ「──どなたですか?」
ハルキ「俺ですよ、ハルキです!」
ヨウコ「ハル……キ……?」
ハルキ「……あ、腕相撲でもしませんか?」
ヨウコ「腕相撲……」
ハルキ「好きっすよね、腕相撲」
ヨウコ「まぁ…… いいですけど」
ハルキがヨウコと、腕相撲で対決する。
ハルキ「レディ・ゴー!」
互いの力の応酬の末、徐々にヨウコの力が勝ってゆく。
ハルキ「先輩、勝ち逃げは無しっすよ。俺、負けっぱなしで悔しくて、ここんとこ、ずっと特訓してたんスから!」
ヨウコの脳裏に、これまでのハルキとの腕相撲勝負の記憶が甦り、徐々にもとの表情が戻ってゆく。
ハルキが力をこめて、ヨウコの腕を押し返し、ついに腕相撲で勝利する。
ハルキ「よっしゃあ…… よっしゃあ!! やっと勝ったぁ…… あ、あれか…… だったら、俺、ヨウコ先輩と結婚しなきゃいけないのか…… マジか……」
ハルキが涙ぐみ、ヨウコも泣き笑いしている。
ヨウコ「あんた、なんで泣いてんのよ……」
ハルキ「先輩こそ……」
ヨウコがデストルドスの中で、我に返る。
セレブロが、ヨウコから分離して実体を現す。
ヨウコが慌ててセレブロを振りほどき、セレブロはデストルドスの中に消え去る。
セレブロがハルキから奪ったベリアルのメダルが、こぼれ落ちる。
デストルドスからコクピット部分が分離し、ヨウコが空中に投げ出される。
ハルキは意を決して、キングジョーから宙へ飛び降りる。
沈黙したウィンダムとセブンガーから、ヘビクラとイナバが、ストレイジ一同により救出される。
一同「ハルキ!?」「ヨウコさん!?」
ヨウコがなすすべもなく落下してゆく。
ハルキが空中で、必死にヨウコを追う。
ハルキ「ヨウコ先輩──!!」
ヨウコ「ハルキぃ──!!」
ヨウコ「え……!?」
ハルキ「ゼットさん! もう一度、一緒に戦おう! 俺の体はどうなっても構わない! 皆を守りたいんだぁぁ!!」
ライザー『Haruki ! Access granted !』
ハルキ「ゼロ師匠、ジード先輩! ヨウコ先輩、そのメダルをここに!」
ヨウコ「わかったぁ!」
ハルキとヨウコが空中で、必死に手を伸ばし合う。
ヨウコがベリアルのメダルを、ハルキの持つライザーに装填する。
ヨウコ「ハルキ──! 頼んだぁ!!」
ハルキ「押──忍!!」
ライザー『Zero beyond !』『Geed !』『Belial Atrocious !』
ゼット「ご唱和ください、我の名を!!」
ハルキ「ウルトラマ──ン!!」
一同「ゼ──ット!!」
ライザー『Ultraman Z Delta Rise Claw !』
ハルキがウルトラマンゼット・デルタライズクローに変身し、ヨウコを救い、無事に地上に降ろす。
ストレイジ一同が駆けよる。
一同「ヨウコ!」「ヨウコ!」
ユカ「ハルキがウルトラマンゼット……!?」
ヘビクラ「行け! 終わらせて来い、ハルキぃ!!」
ハルキ「行こう、ゼットさん!! 俺たちの覚悟を、見せてやろう!!」
ゼット「よっしゃぁ! ウルトラ暴れるぞ、ハルキ!!」
ハルキ「押忍!!」
幻界魔剣ベリアロクが飛来し、ゼットの手に収まる。
ゼット「あ、危ねぇ!」
ベリアロク「また面白い奴と戦ってるな。俺にも斬らせろ」
ゼットはベリアロクの剣撃で、そして徒手空拳でデストルドスに挑む。
デストルドスが、D4レイ発射の構えをとる。
ゼット「まずい!」
異次元破壊光線、D4レイが発射される。
ゼットはベリアロクでD4レイを防御する。
ベリアロク「フン、お前らこんなもんか」
ハルキ・ゼット「んなわけ、無いだろぉ!!」
ゼットとハルキは、強烈な光線の威力を必死に堪える。
ベリアロク「色々と面白いものを斬った…… 楽しかったぜ」
ハルキ「え……!?」
ベリアロクが自ら、デストルドスの体に深々と突き刺さり、粉々に砕け散る。
ハルキ「ベリアロクさぁ──ん!?」
ゼットは、メダルの力を持たないオリジナルの姿に戻ってしまい、そばのビルに痛烈に叩きつけられる。
デストルドスはなおも、D4レイ発射の構えをとる。
ユカ「あいつ、またD4レイを撃とうとしてる!?」
ヨウコ「ハルキぃ!! 立ってぇ!!」
一同「立てぇ!」「ハルキぃ!!」
ハルキは、ゼットの体内のインナースペースで、気を失っている。
ヨウコ「立ってぇ──!!」
一同「ウルトラマンゼット──!!」
皆の声援がゼットのカラータイマーに集まり、ゼットとハルキに、これまでにない新たな力が漲ってゆく。
ハルキ「うぅおお──!! まだまだいけますね、ゼットさん!!」
ゼット「もちろんでございますよ! ハルキぃ!!」
ゼットがオリジナルの姿のままで、果敢にデストルドスに挑む。
ゼット「これが最後だ、ハルキ! ウルトラ気合い入れていくぞぉ!!」
ハルキ「押ぉ──っ忍!!」
またもD4レイの破壊光線が放たれる。
ハルキ「ゼスティウム光──線──!!」
ゼットのゼスティウム光線と、デストルドスのD4レイが、空中で激突する。
ヨウコ「ゼット様、ハルキぃ!!」
ハルキ「うぉおおぉぉ──!! チェストぉぉ──!!」
渾身の気合いと共に、ゼットの体にハルキの姿がだぶる。
ゼスティウム光線の軌道が「Z」の字を描き、D4レイを力技で押し戻す。
デストルドスが爆発四散、ゼットは最強の敵を相手に、ついに勝利をおさめる。
一同「やったぁ!」「ハルキぃ!!」
皆が沸き返り、ヘビクラとイナバが固く握手を交わす。
勝利をおさめたゼットが、空の彼方へと飛び去る。
──と思いきや、ゼットが姿勢を崩し、地上に墜落する。
ストレイジ一同が慌てて、駆けつける。
変身の解けたハルキが倒れている。
一同「ハルキ!」「大丈夫か!?」
ヨウコ「ハルキ、ハルキ!」
ハルキ「恰好よく決めるつもりだったのに、ちょっと無理した…… ハハ」
ヨウコ「馬鹿ぁ!! よくやったぞ、ハルキ!!」
ヨウコがハルキに抱きつく。
ハルキ「お、押忍……」
ハルキがストレイジ一同にもみくちゃにされ、手荒い歓迎を受ける。
無人の街角。
黒焦げになったセレブロが、コソコソと動いている。
ヘビクラが、剣を突き付ける。
ヘビクラ「ゲームオーバーだ、セレブロ。コンティニューは無しだ」
そこへ、ユカとカブラギが、虫取り網でセレブロをとらえる。
カブラギ「やったぁ!!」
ユカ「捕ったぞ──!!」
カブラギ「間違いありません、こいつです! こいつが犯人ですよ!」
ユカ「隊長、こいつと戦ってたんですね!」
ヘビクラ「ハハ……」
ヘビクラが背を向ける。
ユカ「隊長! ……また、逢えますよね」
ヘビクラは答えをはぐらかすかのように、視線を反らしつつ、意味深に笑む。
ヘビクラ「じゃあな」
ヘビクラが立ち去る。
ユカ「フフ、さぁ、解剖の時間だよ──!!」
カブラギ「よっしゃぁ!! 姐さん、手伝いますよ!!」
後日。
旅荷物をまとめたハルキを、ストレイジ一同が見送る。
隊員たち「やっぱ、行っちゃうんだな……」「淋しくなりますね……」
ハルキ「宇宙では、まだまだいろんな人が困ったり、苦しんだりしてる。俺、ゼットさんと一緒に、そういう人たちも救いたいんです」
ヨウコ「ハルキらしいね。私たちも宇宙用ロボット出来たら、手伝いに行くから」
ユカ「頑張りますか! 私たちも」
イナバ「簡単に言うな……」
一同「ハハハハハ!」
ヨウコが進み出て、手を差し出す。
ヨウコ「じゃあね」
ハルキはその手を、力強く握り返す。
ハルキ「じゃ…… 皆さん、お元気で! あ、盆と正月には帰ってきますね」
ヨウコ「フフ…… 実家みたいに言うな!」
ハルキ「それじゃ」
ハルキが変身し、ウルトラマンゼットの巨体が地上に降り立つ。
ヨウコたちストレイジ一同が姿勢を正し、敬礼を決める。
ゼットも姿勢を正して、一礼し、空へと飛び立つ。
どこからかベリアロクが飛来し、ゼットの手に収まる。
ゼット「わぁ、危ねぇって!」
ハルキ「ベリアロクさん!?」
ゼット「生きたのか!?」
ベリアロク「俺様は不死身だ。それにお前らといれば、まだまだ面白いものが斬れそうだからな」
ハルキ「押忍! この手が届く限り、皆の命、守るぜ!!」
ゼット「よぉし!! それじゃ行くぞ!! ハルキ!!」
ハルキ「シュワッチ!!」
ウルトラマンゼットがベリアロクを手に、「Z」の字を描きつつ、宇宙の彼方へと飛び去る。
平和を守るためゼットとハルキは旅立つ ゼットの地球での日々を忘れないでね |
最終更新:2022年04月10日 12:08