ウルトラマンギンガSの第1話

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ウルトラマンギンガSの第1話 - (2016/01/03 (日) 16:49:55) のソース

メキシコ、ユカタン半島。

[[前作>ウルトラマンギンガの第1話]]の主人公・&ruby(らいどう){礼堂}ヒカルが、広大な大自然に目を見張る。

ヒカル「すっげぇ~!」

 美鈴。
 俺は今、世界一の冒険家を目指して未知なる冒険の真っ最中だ!
 この世界には、まだ俺たち人間の知らない謎が山ほど眠っている。
 その謎を解き明かすのが、俺の目標だ!

突如、地面が揺れ、鳥たちが騒ぎ出す。
ヒカルが足場を踏み外し、崖下に転がり落ちる。

ヒカル「痛ぁ…… あ!?」

目の前に、水晶のような巨大な柱。

ヒカル「何だぁ、これ?」

脳裏に浮かぶ映像。
未知のウルトラマンのシルエット、青年、水晶のペンダント──
衝撃でヒカルがひっくり返る。

ヒカル「うわっ! ……今のは?」

懐のギンガスパークが、ぼんやりと光を放っている。

ヒカル「俺を呼んでいるのか? ギンガ……」


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地方都市、雫が丘。
丘の上に立つアンドロイド少女、ワンゼロ。
その視線の先に、工事現場がある。

ワンゼロ「こちらワンゼロ。ターゲットを発見」

どこかで、かつてのウルトラセブンの敵・チブル星人のエクセラーが応える。

エクセラー「グレイト! ゲームを開始する」
ワンゼロ「了解」

地面を突き破り、ヒカルの見たものと同じ水晶状の石柱が出現。
真上の虚空に穴が開き、石柱が次第に空へ昇ってゆく。

作業員「何なんだ、ありゃあ!?」


地上の人間そっくりの地底人、ビクトリアンたちが住む地底世界の空間。
その神殿の、女王のキサラ、側近のカムシンたち。

キサラ「またしてもビクトリウムが……!」

そこへもう1人の主人公、ビクトリアンの勇者・ショウが現れる。

ショウ「お呼びですか、キサラ女王!」
キサラ「ショウ! 我らビクトリアンの命の源、ビクトリウムが奪われようとしています。これより、あなたに使命を与えます。地上へ行き、ビクトリウムを奪おうとする者の正体を暴き、この世界を救うのです」

キサラが真紅のアイテム・ビクトリーランサーをショウに渡す。

キサラ「古来より受け継がれし力、ビクトリーランサー。これがあなたに力を授け、あなたを導いてくれるでしょう」
ショウ「必ず守ってみせます。古代の勇者の名に恥じぬよう」

キサラが手をかざすと、ショウの頭上に様々な映像が浮かび上がる。

ショウ「これは?」
キサラ「地上の世界。その知識をあなたに授けました。一つ、約束があります。くれぐれも、地上の生き物を傷つけてはなりません」
ショウ「心して……」


地上では、特捜チームUPGの隊員、杉田アリサと松本ゴウキが、特捜車両シュナウザーで異変の場に駆けつける。

ゴウキ「みんな、作業は中止だ!」
アリサ「UPGの者です。安全確認ができるまで、現場一帯を封鎖します」
ゴウキ「ひとまず有害物質はなし、っと」
アリサ「凄まじいエネルギーを秘めてる……」

ヒカルが顔を出す。

ヒカル「これ、メキシコで見たのと同じ奴だ」
アリサ「えっ?」
ヒカル「いや、あの……」
アリサ「あなた、誰よ? ここで何してるの? 何か知ってるわけ?」

突如、地面が激しく揺れる。

アリサ「地底から巨大な生命反応!?」

地面を突き破り、巨大な怪獣が現れる。

ヒカル「怪獣……!?」
ゴウキ「みんな逃げろ! 早く!」
アリサ「こちらアリサ! 隊長、怪獣です! 怪獣が出現しました!」

UPG基地で、隊長の陣野義昭が通信で応える。

陣野「ついに、訓練の成果が試されるときが来たか。UPG、攻撃開始!」
ゴウキ「&ruby(Got it){ガレット}!」

アリサたちが怪獣を銃撃する。

ヒカル「ギンガはもういない…… どうすりゃいい?」

アリサたちの乗っていたシュナウザーにヒカルが気づき、乗り込む。

アリサ「ちょっと、あんた!?」
ゴウキ「おい!」
ヒカル「ついて来い、怪獣!」
アリサ「待ちなさい!」

ヒカルがシュナイザーで発車し、怪獣が追ってくる。

ヒカル「こっちだ! ついて来い!」

怪獣が熱線を吐くが、ヒカルは巧みにかわす。
やがて怪獣が足場を踏み外して山肌に激突し、気を失う。

ヒカル「よっしゃ!」
ゴウキ「おい!」
アリサ「あなた、素人が何勝手に……」
ヒカル「カッコいいじゃん、その制服」
ゴウキ「何?」
アリサ「バカにしてるでしょ…… こっちはプロなのよ、プロ」

しかし怪獣が息を吹き返し、再び向かって来る。

ゴウキ「おいおい、余計怒らせちまったじゃねぇか!」
アリサ「下がってて」

怪獣の放つ熱線で、ヒカルたちが吹っ飛ばされる。
水晶柱が空の穴へと消えてゆく。
そこへショウが現れる。

ショウ「ビクトリウムが……! シェパードン、地底へ帰れ!」

シェパードンと呼ばれた怪獣が地面を掘り、地中へ潜ってゆく。
丘の上に立つワンゼロを、ショウが見つける。

ワンゼロ「転送完了」
ショウ「あいつか!」

ワンゼロを追って駆け出すショウ。

ヒカル「おい…… 待てよぉ!」


陣野「誰なんだ? あの勇敢な青年は」
アリサ「例の水晶体について、何か知っているようでした」
陣野「アリサ、その青年の行方を追ってくれ」
アリサ「でも、怪獣は?」
陣野「大至急だ」
アリサ「……ガレット」

通信『陣野隊長。水晶体の解析結果が出ました』
陣野「ほぉ、さすが仕事が早いな」
通信『世界各地で発生している未知の水晶体の消失事件、それと同一のものです。放射性年代測定によると、数万年前にさかのぼることは間違いありません』

UPG基地の研究室で、若い研究員が陣野に通信を送っている。顔は見えない。

陣野「数万年前…… で、あの怪獣は?」
研究員「現在解析中ですが、水晶体を守るために出現した── 僕にはそんなふうに見えました」


ショウを追い、ヒカルは町外れまでやって来る。

ヒカル「あれ? どこ行った?」

背後からショウが現れる。

ショウ「なぜ、俺をつけ回す?」
ヒカル「おぉ! 何か捜してんのか?」
ショウ「お前には関係ない」

ショウの腹の虫が鳴る。
ヒカルが笑い、チョコ菓子を差し出す。

ヒカル「食えよ」
ショウ「……いらん」

またショウの腹の虫が鳴る。

ヒカル「ハハッ! だから食えって。ほら」

無言のままショウが菓子を受け取り、齧りつく。

ヒカル「あんた、この街は初めてなのか?」
ショウ「だったら?」
ヒカル「奇遇だな。俺も今日、来たばかりなんだ。雫が丘か、いい街だよなぁ。空気はうまいし、空はきれいだし」
ショウ「……」
ヒカル「俺は世界中を旅して、いろんな国のいろんな人と触れあってきた。遠く離れた地球の裏側だって、この空で繋がってる。すげぇと思わねぇか? みんな、同じ空の下で暮してる仲間なんだぜ」
ショウ「お前にはわかるまい! 空を知らずに生きてきた、俺たちの気持ちが」
ヒカル「えっ?」

ヒカルの懐にギンガスパークが見える。

ショウ「……お前、まさか!?」

地面が激しく揺れ、再びあの水晶柱が地上にせり出す。
ショウが駆けだす。

ヒカル「おい、待てって!」


アリサ「隊長、ポイントG7に新たな水晶体が!」
陣野「何かが起きているんだ」

草原に立つワンゼロのもとへ、ショウが駆けつける。

ショウ「ビクトリムを奪っているのはお前か」

たちまちワンゼロの指示で、アンドロイド兵・チブロイドが無数に出現する。

ワンゼロ「消去」

襲いかかるチブロイドを、ショウは巧みな体術で次々に蹴散らす。
そこへヒカルも駆けつける。

ヒカル「おい!」

ワンゼロが強烈な電撃を放ち、ヒカルとショウが吹っ飛ばされる。
大地を割り、怪獣シェパードンが再び出現する。

ショウ「シェパードン!? 地底へ帰れと言っただろう!」

シェパードンはショウの言葉に耳を貸さず、チブロイドたちを熱線で蹴散らす。

ショウ「怒りに我を忘れてる……」

ワンゼロが怪獣の人形を取り出す。

ヒカル「まさか、スパークドールズ!?」

音声『&i(){モンスライブ! EXレッドキング!}』

怪獣EXレッドキングが巨大な姿となって登場する。
ワンゼロはそれに一体化し、内部でEXレッドキングを操る。

ヒカル「そんな……!?」

シェパードンとEXレッドキング、怪獣同士の戦いが始まる。
巨体と巨体とのぶつかり合いの末、大地を伝って炎を放つレッドキングの必殺技・フレイムロードが炸裂する。

ショウ「シェパードン!?」

ショウがビクトリーランサーを構える。

ヒカル「それ……!?」
ショウ「お前は言ったな? みんな同じ空の下で暮す仲間だと」
ヒカル「……あぁ」
ショウ「だが、俺はお前たちとは違う!」

音声『&i(){ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!}』

ビクトリーランサーからウルトラマンの人形が出現して巨大化する。
ショウが一体化し、大地に降り立つ。

ワンゼロ「お前は?」
ショウ「ウルトラマンビクトリー!」
ヒカル「あいつも、ウルトラマン!?」

カムシン「伝説が甦った……」

神野「ウルトラマン……ビクトリー!?」

ショウ「来い、俺が相手だ」

ビクトリーと名乗ったウルトラマン、の強力なパンチ、キックが次々に怪獣に炸裂する。

ヒカル「強い……!」
ショウ「シェパードン、地底へ戻るんだ!」

ヒカルのもとへ、アリサとゴウキが駆けつける。

アリサ「あんた、こんなところにいたの!?」
ゴウキ「若造、邪魔だから引っ込んでな!」
アリサ「まずいわね、この先には民家がある」
神野「半径2キロ圏内に避難勧告を発令した。絶対に食い止めろ!」
アリサたち「ガレット!」

だがビクトリーたちの戦いで岩礫が飛び散り、アリサたちは大岩の下敷きになり、気を失ってしまう。
ヒカルが必死に岩をどかそうとするが、びくともしない。
降り注いだ岩でヒカルが吹っ飛ばされ、ギンガスパークが転がる。
ヒカルはとっさに、ギンガスパークに訴える。

ヒカル「ギンガ…… お前なんだろう? 俺をこの街へ呼んだのは。未来は変えられる、そう教えてくれたのはお前じゃないか!? 頼む…… もう一度、俺と戦ってくれ! 俺に…… 切り拓く力を!!」

ギンガスパークがその声に応えるように、眩い光を放ち始める。

音声『&i(){ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!}』

ヒカル「ギンガ──っ!!」

ヒカルが数年ぶりにウルトラマンギンガとなり、巨大な姿となって大地に降り立つ。

神野「あれは、降星町に現れたという巨人!?」
研究員「そうです! 彼の名はウルトラマンギンガ!」

ヒカル「久しぶりだな、ギンガ! よっしゃ、行くぜ!」

ウルトラマンギンガが゙EXレッドキングに挑み、巨体同士がぶつかり合う。

アリサ「助けてくれたの……? あの巨人が」

EXレッドキングの必殺技、フレイムロードが炸裂する。
大地を伝う業火が、ギンガを襲う。

ヒカル「&bold(){ギンガサンダーボルト!}」「&bold(){ギンガクロスシュート!!}」

フレイムロードを跳ね返して、ギンガの2大必殺光線が炸裂し、EXレッドキングが大爆発する。

ゴウキ「よし!」
アリサ「やった!」

ワンゼロは爆発の中から光球となって飛び出し、大地に降り立つ。
スパークドールズの姿に戻ったEXレッドキングに、ギンガが手を伸ばす。

ショウ「ビクトリウムスラッシュ!」

ビクトリーがギンガを牽制する。
その隙にスパークドールズはビクトリーに吸い込まれ、ショウの手に渡る。

音声『&i(){ウルトランス! EXレッドキング・ナックル!}』

ビクトリーの右腕がEXレッドキングと同じ剛腕と化す。

ヒカル「怪獣の腕を!?」

ビクトリーがEXレッドキングの剛腕を大地に叩きつけ、フレイムロードの業火がギンガを襲う──!


#center(){&big(){(続く)}}