FIVE FACES OF DARKNESS PART1
新たなる戦い
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地球歴2005年── サイバトロン対デストロンの宿命の対決は 宇宙の破壊者ユニクロンも加わって、 壮絶な戦いを展開した。
その結果、サイバトロンは リーダーのコンボイ司令官を失い デストロン側も、メガトロンが 謎の失踪を遂げてしまう。
さらに、サイバトロンのニューリーダー・ ロディマスコンボイの手で 新破壊大帝ガルバトロンは 宇宙の果てに追放され、 ユニクロンも破壊されて、長い長い戦いは サイバトロン側の勝利に終わった。 勝利を祝うニューリーダー・ ロディマスコンボイ。
かくして、 敗れ去ったデストロンの生き残りは、 エネルギー不足に悩み、 仲間割れを繰り返しながら、 辺境の惑星で生きながらえることとなった。
それからさらに5年── 地球暦2010年の、ここは惑星ジャール……
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傷だらけのスペースシャトルが、空からフラフラと舞い降りてくる。
その様子を、地上でビルドロン部隊の兵士たちが見ている。
デストロンのアストロトレインだ。
アストロトレイン「うわぁっ! エ、エネルギーが切れる……もう飛べない」
ビルドロンたち「おい、アストロトレインが帰って来た」「もちろん、エネルギーを持って帰って来たんだろうな?」「でなきゃ、ぶっ飛ばしてやるまでよ」
アストロトレイン「ト、トランスフォーム!」
アストロトレインがSLに変形して着陸、積んでいたエネルゴンキューブがこぼれ落ちる。
アストロトレインは、
シャトル・SLに変形するトリプルチェンジャーだ。
ビルドロンたち「エネルゴンキューブだ! あれは俺んだぞ、誰も触るな!」「やんねぇよ、俺んだよ!」「へへっ、そんじゃ俺様が」「こっちによこしな!」
たちまち、ビルドロン同士で奪い合いが始まった。
アストロトレイン「いや、俺のだ…… 俺が持って来たんだ」
ビルドロンたち「おい、奴に取られちまうぞ!」「デバスターの誕生だ!」
ビルドロン6体が合体して巨大ロボット・巨人兵デバスターとなり、アストロトレインを殴り飛ばす。
デバスター「そいつは俺たちのもの、渡せ!」
アストロトレイン「うわぁっ!」
デバスター「貴様などデバスター様の敵ではないわ!」
だが──
合体兵士メナゾールが現れ、エネルゴンキューブを奪いにかかる。
メナゾール「よこせぇ!」
デバスター「お前は!?」
メナゾール「メナゾール様よぉ!」
スタントロン部隊の合体兵士、それがメナゾールである。
デバスターがメナゾールの攻撃で倒れるが、なおも立ち上がる。
メナゾール「まだ逆らうのか? よし、鉄クズに変えてやる」
デバスター「何だとぉ!?」
さらなるメナゾールの攻撃で、デバスターの合体が解け、6体のビルドロンの姿に戻ってしまう。
ビルドロンたち「畜生!」「逃げろぉ!」
奪い合いはなおも続いた。
昆虫部隊インセクトロンの登場だ。
そのとき──
インセクロトン部隊がエネルゴンキューブを奪おうとするが、銃撃がそれを阻む。
インセクロトンたち「うわっ、何しやがる!?」「ずらかろう!」
数機の宇宙戦闘機が飛来する。
「着陸するぞ、スウィープスども。戦いをやめさせるんだ。トランスフォーム!」
紹介しよう。
デストロン軍団の航空参謀サイクロナスと、
その親衛隊スウィープスだ。
サイクロナス「これがかつて恐怖の軍団と恐れられたデストロンか? エネルゴンキューブのかけらごときで醜い争いをしおって。ガルバトロン様がご覧になったら、どんなにお嘆きになることか。栄えあるデストロン軍団の誇りは、どこに失せてしまったのだ!?」
アストロトレイン「確かに、メガトロン様の時代はこうではなかった……」
サイクロナス「だが今はガルバトロン様の時代」
スウィープスたち「ハイル・ガルバトロン! ハイル・ガルバトロン! ハイル・ガルバトロン!」
アストロトレイン「そのガルバトロンってのは、どこにいるんだい」
サイクロナス「くッ…… こやつら、再教育せねばならぬな」
その頃、アセニア星では、
長かったユニクロン戦争がサイバトロンの勝利に終わり
この平和な星アセニアは、
すっかり落ち着きを取り戻していた。
こうしたある日、サイバトロン戦士の発案で、
オリンピック大会が開かれることになったのである。
オリンピック競技場で、入場行進が行なわれている。
アナウンス「続いて、ナルタ星より参加のアルタトロイド人の行進です。斜面の滑走競技を大の得意としております」
サイバトロンのナンバー2、シティコマンダー・ウルトラマグナスが司会を行なう。
ウルトラマグナス「では選手諸君、今日のオリンピック・ゲームが銀河系の平和と協調のための、輝かしき第1歩とならんことを祈る! それではゲーム開始に先立って、かのユニクロン戦争におけるヒーローをご紹介します。我らサイバトロンのニューリーダーにして、マトリクスの所有者!」
サイバトロン基地では、情報員バンブルと戦士ワーパスが、その模様をテレビで見ている。
ワーパス「待ってました!」
バンブル「我らがニューリーダー!」
ウルトラマグナス「そしてこの第1回銀河系オリンピック大会の組織委員長でもある、ロディマスコンボイです!」
サイバトロン新総司令官ロディマスコンボイが現れ、観客たちから声援が上がる。
ロディマス「では早速始めよう!」
ウルトラマグナス「宇宙の平和とか、異星人の相互理解について一席打たなくてもいいのか?」
ロディマス「そんな堅苦しいのは無しだ。さぁ、ゲーム・スタート!」
バンブル「よ──っ、いいぞ、ロディマス司令官!」
ワーパス「新人類ならぬ新ロボット類、ユニークなリーダーですねぇ~」
バンブル「そこがいいの。ヤッホー、ロディマス!」
ワーパス「おぉっと、始まりますよ!」
さぁ、スタートだ!
サイバトロンもまじえたビークルたちによるレースが開始される。
バンブル「ねぇねぇ、ワーパス、ブラーもこのレースに出てなかったっけか?」
ワーパス「いやそれが、急な任務ができてエントリーを外されたって聞きましたよ」
最初の種目は、3000メートル障害である。
選手たちがビークルに、ロボットにと変形して障害物を乗り越えていく。
セイバートロン星──
サイバトロン基地。
前作でも登場した科学者のパーセプター、新メンバーの情報員ブラーと、サバイバリストの小兵ウィーリー。
ブラー「いや私は本当はスタジアムにいたいのにここにいる、いたいとこにいたいのに、いたくないとこにいて、いったい私は何すりゃいいの何すりゃいいのぉ?」
パーせプター「ブラー。君とウィーリーには、非常に重要な任務についてもらおうと思っているんだよ」
ウィーリー「おたくはちっぽけな物を大きく見せる顕微鏡。だから言うことがいつもオーバーでさぁ」
パーセプター「いやオーバーじゃないよ、ウィーリー。スクランブルシティの運命は、君らの手にかかってるんだ」
彼らの前には、小さな装置がある。
パーセプター「これはスクランブルシティのトランスフォーム・コグで、オリジナルはデストロンとの宇宙大戦争の際、壊されてしまった。だから大急ぎでこのコグをスクランブルシティに取り付けないと、スクランブルシティはメトロフレックスにトランスフォームすることができなくなってしまうんだ」
ブラー「だったら、送ればいい送ればいい送ればいい」
パーセプター「そしてデストロンに横取りのチャンスを与えてやるのかい? そんなことできないね」
オリンピック会場。
アナウンス「ただいまの勝者は、オルジェノンクラスター星のマンカスタンカでした」
サイバトロンの新メンバー・スプラングと、恋人のアーシーが拍手を送る。
スプラング「素晴らしかったよ、マンカスタンカ。いや最高、痺れたね!」
ロディマス「諸君、その調子でガンガン行こう!」
だが──
謎の人物たちが、モニターでオリンピックの様子を見ている。
「サイバトロン…… お前たちは今、栄光と破滅という2本のロープの上を歩いておる。だがその2本は、じきに交わる」
「左様、生と死は隣り合わせにあるものだ。このことをこれからたっぷりと思い知らせてやる」
彼らの発した指令電波を、オリンピック会場の隅にいる1人のエイリアンが受け取る。
謎の人物から発せられた指令。
その指令とは一体何なのか?
そして このエイリアンの正体は?
エイリアンが会場の聖火台を狙撃する。
聖火台が大爆発、会場が光と煙で包まれ、光線が飛び交う。
たちまち戦場と化したスタジアム。
競技場内は大混乱に陥った!
アーシー「おかしいわ? センサーがまるで働かないんだもん」
スプラング「あぁ、こっちもご同様」
アーシー「あれは!? ねぇ、見て!」
煙の満ちて視界がふさがれる中、宇宙船が飛んでいる。
ウルトラマグナス「何も見えない!」
ロディマス「敵は一体どこなんだ? おい、油断できないぞ。おっ、あれは!?」
宇宙船が、地表にカプセルを落とす。
ロディマス「よぉし!」
ロディマスが宇宙船目がけ、銃撃を放つ。
正体不明の宇宙船から飛び出してきたカプセル。
果たして、この中身は何なのか?
カプセルの中から数人の者たちが現れ、次々に銃を乱射する。
「行くぞ!」「皆殺しにしろ!」
なんと、これは殺人部隊なのだ!
もうもうたる煙幕の中に踊る、黒い影。
会場の観客たちが次々に、謎の殺人者たちの銃撃の餌食になる。
ウルトラマグナス「大丈夫か、アーシー!?」
アーシー「えぇ!」
会場には、以前からのサイバトロン協力者である地球人スパイク、妻のカーリー、息子のダニエルもいる。
カーリー「あなた!?」
スパイク「心配するな。さぁ来い、化け物ども! 地球人の力を見せてやる!」
スパイクが銃を撃つが、謎の殺人者には通じない。
カーリー「ダメだわ、弾をはね返してしまう」
スパイク「くそぉ!」
ダニエル「パパ、あいつら何者なのぉ!?」
戦いは、なおも続いた。
それにしても、敵の正体は何か? そして目的は?
しかも、忍び寄る影は不死身なのだ!
爆炎があがり、スパイクたちを飲み込む。
スパイク「わぁぁ──っ!」
爆発がやむと、スパイクの姿は消えている。
ダニエル「パパ!?」
カーリー「スパイク、どこ!?」
スプラング「こいつはキツい戦いになったぜ!」
アーシー「えぇ、相手が全然見えないんだもん!」
スプラング「これじゃ戦いようがない!」
苦しい戦いを強いられたサイバトロン戦士たち。
戦いは、いつ果てるとも知れなかった。
ロディマスもウルトラマグナス、老兵のチャーとともに必死に応戦する。
ロディマス「どこなんだ、出て来い!」
ウルトラマグナス「ロディマス司令官、焦ったほうが負けだよ」
チャー「焦る? いつも沈着冷静なわしだって、走り出したくってウズウズしとるよ!」
スプラング「援護してくれ。この煙幕の元を断って来る」
アーシー「了解!」
スプラングがヘリコプターに変形し、空に舞い上がる。
サイバトロンの新メンバー・スプラングは、
あるときはヘリに、あるときは車にトランスフォームする
トリプルボットだ。
スプラング「援護だ! アーシー、腹を狙え!」
アーシー「わかったわ!」
アーシーの銃撃で、謎の殺人者が倒れる。
アーシー「うふふ! どう、これでご満足?」
スプラング「あんがとさん!」
スプラングが聖火台を破壊する。
ようやく、会場に満ちていた煙がやむ。
ロディマス「やっと煙幕が消えたか。おい、奴らの姿がないぞ?」
アーシー「バラバラに吹っ飛んだか、消え失せたか、どっちかじゃないかしら」
ロディマス「チャー、君はどう思うね? チャー? ……おい、どこだ!? ウルトラマグナス、どこへ行ったんだ!?」
カーリー「スパイクもいないわ!」
ダニエル「パパ、どこなの?」
アーシー「本当。3人の姿がどこにもないわ」
スプラング「トランスフォーム!」
スプラングが、ロボットモードに変形して着陸する。
スプラング「3人は誘拐されたんだ!」
アーシー「ということは、誰の仕業かおよそ見当つくわね」
ロディマス「よぉし、今からこのアセニア星は封鎖する。そして何としても、スパイクたち3人を見つけ出すんだ」
アーシー「もし見つからなかったら?」
ロディマス「そのときは…… そのときは生き残ったデストロンどもを、全員鉄クズに変えてやる!」
そのとき──
地面を割り、宇宙船が空へ飛び立つ。
アーシー「宇宙船よ!」
スプラング「もう封鎖の必要はないですね! 俺はあとを追います!」
ロディマス「おい、スプラング!」
スプラング「トランスフォーム!」
アーシー「待って、私も一緒に行くわ!」
ロディマス「気をつけてな、アーシー!」
アーシー「えぇ。トランスフォーム!」
スプラングとアーシーがビークルに変形し、走り去る。
スプラング「よぉし、飛ばすぜ!」
アーシー「いいわよ、お先にどうぞ!」
ロディマス「サイバトロンのリーダーとして、もっと私がしっかりせねば……」
セイバートロン星を飛び立つ宇宙船──
ブラーとウィーリーが、宇宙船で地球を目指す。
ブラー「私ゃこの手の任務には何度も何度もついてる、ってことは慣れてる、理屈こんなの軽い軽い軽い」
ウィーリー「ちょい待ち、油断は大敵。デストロンを嘗めると痛い目に遭わされるかもね。ほら見なよ、ユニクロンの首が来た。あんなふうにはなりたくないだろ?」
超巨大トランスフォーマー・ユニクロンが、破壊されて首だけとなった姿で、衛星軌道上を漂っている。
だが、そのユニクロンの首には、
デストロン軍団復活のために立ち上がった
サイクロナスがいた。
サイクロナス「スウィープスども、中に入るぞ。俺のあとに続け。おい、グズグズするな!」
そして──
サイクロナスと、参謀スカージ率いるスウィープスたちがユニクロンの首の中に入り込む。
サイクロナス「恐れることはない。ユニクロンはとっくに死んでいる」
唸り声のような音が響く。
サイクロナス「う……? いや、今のは風の音だろう」
スカージ「宇宙に風は吹いてませんぜ」
サイクロナス「えぇい、うるさい! メモリーバンクがここにあるはずだ。──見ろ、あったぞ」
メモリーバンクに、いったい何の用があるというのか?
サイクロナス「ガルバトロン様がどうなったか、こいつが知っているはずなのだ!」
新破壊大帝ガルバトロンの秘密──!
かつてユニクロンの首の中で繰り広げられた、両軍の新リーダー・ロディマスコンボイとガルバトロンの戦いが映し出される。
ロディマスに投げ飛ばされたガルバトロンが、宇宙空間へと放逐されてゆく。
サイクロナス「そうか! 放り出された軌道から計算して、ガルバトロン様の体は巨大な火山の星ハイドランの惑星のひとつ、スラルに落下しているはずだ。スカージ、探るのだ。惑星スラルを隅から隅まで。ガルバトロン様は必ずどこかにいる!」
そして──
惑星スラル。
地表の溶岩の海の中から、ガルバトロンの腕が突き出ている。
サイクロナス「ガルバトロン様は生きておられる……」
スカージ「リーダーは滅びていなかったぞ!」
その頃、地球では──
サイバトロンの飛行機がカルボンビア国に近づく。
航空管制塔から声が響く。
「余はアブドゥル・ファカディだ! 軍の最高司令官にして、カルボンビア社会民主連邦共和国の大統領。王の中の王、独裁者の中の独裁者である! 余は着陸許可を出しておらんぞ! 早々に立ち去れ、無礼者!」
飛行機に乗っているのは、サイバトロンの通信員ブロードキャストと、射撃員アウトバック。
ブロードキャスト「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ。私はサイバトロンのブロードキャスト。お宅の国でいうなら、地球防衛軍所属の上級将校でしてね。ここへ来たのはほかでもありません。デストロンがお宅の国に逃げ込んでいないか、捜しに来たんですよ」
ファカディ「我が国はいかなる犯罪者も受け入れておらんぞ! 嘘ではない、余の名誉に賭けて誓ってもいい!」
ブロードキャスト「わかりました、あなたのお言葉を信じましょう。しかしデストロンは、変装が実に巧みですからね」
ファカディの背後で、2人の男たちが笑っている。
ファカディ「この馬鹿もん! 嘘がばれるではないか! 生意気なサイバトロンめ、余の権威を無視しおって! 許さぁん!」
ブロードキャスト「さぁて、どうやってデストロンを見つける? 何かいい知恵があるかい、アウトバック?」
アウトバック「この通り、一応デストロン探知機は持って来たけどな」
ブロードキャスト「そんなの、当てにならんさ」
アウトバック「それでも、ないよりはマシだって思うけどな」
ブロードキャスト「ま、いいでしょ」
ブロードキャストたちが、地上に降り立つ。
ファカディ「余の国にはデストロンなど1人もおらんといったろうが! どうしても余を信じんというのか!?」
アウトバック「あぁ、待った。そんなにカッカすると血圧に悪いけどな。ほんじゃ、探らしてもらうかな」
ブロードキャストたちの任務は、
生き残ったデストロン軍団の全員逮捕であった。
アウトバックの探知機が、飛行場の戦闘機に反応する。
「おい、やばい! キャッチされたらしいぞ」
アウトバック「なぁんか匂うけどな。うぅん、臭いな」
「こんなときどうすりゃいいか知ってるか? ラムジェットよ」
「あぁ、わかってるとも、ダージ。昔からよく言うじゃねぇか。『逃げるが勝ち』ってな! あばよ、サイバトロンども!」
飛行場にまぎれていたデストロンの航空兵ラムジェットとダージが、空へ飛び去る。
アウトバック「ところがどっこいさ、それっ!」
アウトバックが武器を投げると、一面に煙がふりまかれる。
ラムジェット「畜生、前が見えねぇ!」
ダージ「それにスピードが落ちてく! どうしてなんだぁ!?」
2人がふらふらと墜落してゆく。
「トランスフォーム!」
2人がロボットモードに変形し、かろうじて着陸する。
ラムジェット「ブロードキャスト!?」
ブロードキャスト「さぁ、スクラップになりたくなければ、俺の質問に正直に答えてもらおうかね?」
アウトバック「惑星ジャールの位置は……?」
ロディマスコンボイのもとに、アウトバックからの通信が入る。
アウトバック「──座標軸90Bのマーク8です」
ロディマス「待て、アウトバック。その座標に、星なんてないぞ? ──いや待て、あったぞ! スクリーンの染みかと思ったが……」
アウトバック「えぇ、どうせシミったれた星でしょ」
ロディマス「よくやってくれたな! では以上で交信を終わる」
ここは、アセニア星司令室──
オリンピック会場の謎の殺人者の残骸を、パーセプターが調べている。
パーセプター「せめてもう少し完全な形で残っていれば、正体がわかったんですけどね」
ロディマス「どこかで見たことがあるような形なんだが、デストロンとは違うようだが」
パーセプター「でもロディマス司令官、今日の襲撃がデストロンの仕業でないという証拠はないんですよ」
ロディマス「よし。パーセプター、それを確かめる方法が一つある。惑星ジャールに行ってくる」
パーセプター「いえ、1人では危険です。私も行きましょう」
ロディマス「忘れたのか? 今日我々を襲った相手は、一筋縄でいく奴らではないんだ」
パーセプター「それでしたら頼りになるボディガードを連れて…… グリムロックをね」
その頃、スプラングとアーシーは、
アセニア星を飛び立った謎の宇宙船を追っていた。
スプラングとアーシーが宇宙船で、敵宇宙船を追う。
アーシー「どこまで逃げるつもりなのかしら?」
スプラング「どこまでだろうと、絶対逃がすもんか。宇宙の果てまでだって追いかけてやるぜ!」
相手の宇宙船には、オリンピック聖火台を破壊したエイリアンが乗っている。
「まったくもって、しつこい奴だな。よぉし、今に見てろよ!」
宇宙船が、目の前の小惑星の陰に隠れる。
スプラング「あっ、あの小惑星を利用して撒くつもりだな? そうはいくか!」
アーシー「気をつけて。何かの罠かもしれないわよ」
果たして──
小惑星から巨大な鉄の爪が飛び出し、スプラングたちの宇宙船を捕える。
船体がどんどん歪み、亀裂が走る。
スプラング「しまった! 君の言う通りだった!」
アーシー「あぁっ、助けて! スプラング──!」
恐るべき、巨大な鉄の爪!
砕かれるのは時間の問題である。
スプラング「早いとこ脱出しないと!」
アーシー「えぇ、そこをどいて!」
アーシーがビームガンで壁を撃ち、穴があく。
アーシー「出口はできたけど、降りられる?」
スプラング「ためらってる場合じゃない。さぁ、行くぜ!」
アーシー「いいわよ!」
2人が小惑星の地表へ飛び降りる。
スプラング「危ない、逃げろっ!」
宇宙船が砕け散り、破片が地表に飛び散る。
アーシー「これ、何だかただの小惑星じゃないみたい」
スプラング「俺も同感。調べてみようぜ」
そして──
「うまくいきやした。はい」
アーシー「何、この声!?」
スプラング「地下からだ!」
スプラングが地面を撃つと、穴があき、地下室が覗く。
スプラング「よし、降りてみよう」
アーシー「えぇ」
2人が地下室に降りると、操縦機器があり、そばにはあのエイリアンがいる。
「さぁて、出発するか。これでボーナスは…… だ、誰だ!? お、お前たち、いつの間に!? 降参だ、降参だって」
両手を上げたエイリアンに、スプラングが銃を向けて迫る。
エイリアン「やめろ! 銀河協定で、降伏した相手を撃ってはいけない約束になっているはずだろうが!」
スプラング「あぁ、その協定ならよぉく知ってるぜ」
エイリアン「助かった……」
スプラング「だが、守る気はさらさらないんだ」
エイリアン「か、金をもらって頼まれたんだ!」
アーシー「デストロンから?」
エイリアン「デストロン? ……あ、そう! もち! へへっ、デストロンからだ」
アーシー「いいわ。詳しくは、アセニア星に戻ってから聞くから。ねぇ、この小惑星は星ごと宇宙船じゃないの?」
エイリアン「はい、あの…… 教えてたまるかよぉ!」
エイリアンが、2人の隙を突いて逃げ出す。
スプラング「おい、待て! 待たないか!」
エイリアン「うるせぇ! あばよっ、マヌケども!」
エイリアンが小型宇宙船で脱出する。
スプラングたちはやむなく、その小惑星の操縦機器に向かう。
アーシー「これの動かし方、わかる?」
スプラング「こんな宇宙船、軽い軽い。まずこのレバーを手前に引きまして、と」
小惑星がデタラメに飛び回り始める。
アーシー「フフッ、あっきれた。達者なのは口だけみたい」
スプラング「お粗末なのは俺の腕じゃなくて、この宇宙船だよ」
エイリアンは脱出に成功して、オリンピック会場で自分に指示を下した人物たちに連絡をとる。
エイリアン「サイバトロンどもは、デストロンの仕業と勘違いしとりますぜ」
謎の人物「それでいいのだ。すべては予定通り」
エイリアン「これも、あっしがうまくやったから。さぁ、ボーナスをくだせぇ」
謎の人物「欲張るな。その代り、奴らみたいに殺しはしない」
彼らの傍らにあるスクリーンに、地下道を歩くスパイクたちが映し出されている。
スパイクたちだ!
エイリアン「そりゃひどい、ひどすぎる! それじゃ約束が違う! 約束では……」
その頃、惑星ジャールでは──
デストロン兵士たちの話し合いが行なわれている。
フレンジーたちカセットロン部隊。
オンスロートたちコンバットロン部隊。
モーターマスターたちスタントロン部隊、
ダージたちジェットロン部隊、その他大勢の者たち。
フレンジー「どんなことをしてもサイバトロンどもをぶっ倒し、デストロン帝国を再建するんだぁ!」
オンスロート「おいチビ。その情熱は買うがな、今の俺たちに何ができるってんだい? こっちにはエネルゴンキューブのかけら一つないんだぞ」
モーターマスター「それだけじゃない。俺たちには強いリーダーが欠けている」
ダージ「そうだ、リーダーがいねぇぜ!」
モーターマスター「かつての我がデストロンの破壊大帝メガトロン様のような、な」
そのときである!
サイクロナスとスウィープスたちが飛来する。
サイクロナス「トランスフォーム!」
航空参謀サイクロナスと、その親衛隊だ。
デストロンたち「それよか、まずエネルギーを手に入れようぜ」「どうやってだ?」「その…… わかりゃ苦労しねぇ」
サイクロナス「聞けぃ! ガルバトロン様は生きておられたぞ!」
デストロン兵士たちが、一気に沸き返る。
サイクロナス「従って、充分なエネルギーがあればガルバトロン様を助け出し、デストロン軍団を甦らすことができるのだ」
アストロトレイン「このエネルゴンキューブを、ガルバトロン様救出にお使いください」
アストロトレインが手持ちの数個のエネルゴンキューブを差し出す。
サイクロナス「おぉ…… 偉いぞ、アストロトレイン。お前のこの献身ふりが、やがてはデストロン帝国を復活させるだろう。そして憎きサイバトロンを滅ぼし、銀河系の征服に繋がるのだ。さぁ、忠実なるデストロン軍団の兵士よ、ほかにアストロトレインに続く者はいないのか!?」
先ほどから、この様子を窺っている者がいた。
ロディマスコンボイだ。
ロディマスコンボイとダイノボットのグリムロックが、岩山の上で様子を窺っている。
デストロンたち「けどエネルギーを寄付すりゃ、こっちがくたばっちまうぜ」「まったくだ」「だが、しなきゃデストロンは滅びるぜ」「この際、言う通りにするか」
モーターマスター「おい、みんな。何をグズグズしてるんだよ? 俺は軍団に命を捧げるぜ。これもデストロン再建のため……」
だが──
モーターマスターがエネルゴンキューブを差し出しつつ、力なく倒れる。
ロディマス「あんなにも弱っていたとは…… 生まれて初めて、私はデストロンに同情を覚えたよ」
グリムロック「俺、グリムロック、同情なんかしない。俺、グリムロック、笑う。ワハハハハハ!」
ロディマス「いや、違うな。あんな有様では、誘拐なんてできるわけがない」
グリムロック「違うだぁ? あいつらでなければ、やったの誰? 誰やった?」
ロディマス「グリムロック、シッ!」
サイクロナス「おい、サイバトロンがいるぞ!」
グリムロック「俺、グリムロック、デストロン怖くない。来るなら来い!」
デストロンたち「奴らを破壊しろ!」「お──っ!」
危うし、ロディマスコンボイ!
デストロンたちの銃撃で、岩山が崩れる。
ロディマスたちが、地上に転げ落ちる。
さらにデストロンたちが、一斉に襲いかかる。
次回、お楽しみに!
TO BE CONTINUED...
この続きは 次回へ!!
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最終更新:2024年04月18日 16:20