凌駕たちの元にいた謎の少女カスミは、リジェと一体化し、赤ん坊の姿となった。
杉下「でも不思議ですねぇ…… この赤ちゃんがあの女の子だなんて」
ワニ「そしてその赤ちゃんは、リジェ様でもあるってことです。あらぁ、ホッペぷくぷく」
らんる「よだれ垂らすなぁ!」
ワニ「だ、だからぁ、食べたいくらいに可愛いってことです」
恐竜やの司令室を通じ、トップゲイラーが仲代壬琴に話しかける。
トップ「デズモゾーリャと戦うのは、罪滅ぼしのつもりゲラ?」
壬琴「これは俺の個人的な復讐だ。気に入らないなら好きにしろ」
トップ「ニンゲン……」
凌駕の姪の舞が、笑里に連れられて帰宅する。
笑里・舞「たーだいまー!」
凌駕「お帰りなさい!」
舞「お姉ちゃん、ただいま!」
笑里「舞ちゃん、明日の卒園式でお遊戯会やるんですって」
凌駕「今度は絶対見に行かなきゃね」
舞「うん!」
一同「そっかぁ~ いよいよ小学1年生ね」「私も見に行かせてもらいますよ」
舞「うん! みんなもきっと見に来てね。幸人さんも、アスカのお兄ちゃんも」
アスカ「はい!」
舞「らんるちゃんも! 壬琴さんも!」
壬琴「……はぁ?」
舞「お遊戯会!」
凌駕が壬琴の手をとり、舞と指きりさせる。
壬琴「おい、お前!」
凌駕「指きりげんまん、ウソついたら針千本飲~ます♪」
微笑ましく見守る一同。
アスカ「あとは…… マホロさえいてくれたら」
エヴォリアンの本拠地「侵略の園」。
邪命神デズモゾーリャが、2大幹部のミケラとヴォッファの肉体を乗っ取り「デズモヴォーラ」となった。
デズモヴォーラ「許すまじアバレンジャー。我が怒り、我が怨み、我が憎しみ、今、最高潮に達したり」
ジャンヌが剣を抜く。
デズモヴォーラ「何のつもりだ?」
ジャンヌが剣でデズモヴォーラを貫くが、剣が砕け散る。
ジャンヌ自身も蔓草で縛り上げられ、破壊の使徒ジャンヌの姿から、竜人の姿に戻ってしまう。
デズモヴォーラ「馬鹿め! 愚かな竜人め、そこで我が復活を見届けるが良い」
マホロ「もはや、お前の復活のための肉体は失われた。その体は完全なものではないはず!」
デズモヴォーラの肉体の中のミケラとヴォッファが答える。
ミケラ「ところが、最高の肉体の用意が整っているんだなぁ~」
ヴォッファ「しかも、あの肉体なら、爆竜どもも手も足も出ま~い」
マホロ「何ぃ!?」
デズモヴォーラ「アナザーアースは今日滅び去るのだ」
恐竜やの司令室。
笑里「東京湾35街区に次元の扉反応! めっちゃめちゃ強力です」
ヤツデンワニがロープを手に暴れまわる。
ワニ「皆さぁ~ん、縛って縛ってぇ~」
らんる「何騒いでるのよっ!」
ワニ「デズモゾーリャが来ましたぁ! このままではワニも影響されて、またエヴォリアンに戻ってしまう!」
幸人「デズモゾーリャが来たのなら、お前は喜ぶんじゃないのか」
ワニ「喜ばない、ワニは今が幸せぇ!」
舞「幸せ?」
ワニ「そ~う! みんなとご飯食べたり、遊んだり、舞ちゃんが笑うの見てると、なんかわかんないけど、今これが幸せ! だからそれがなくなるのはイヤですぅ~。ねぇ、アバレキラー様?」
壬琴「一緒にするな」
壬琴の投げたダーツがワニの鼻に突き刺さる。
ワニ「わぁ、痛ぁ!! ……これも幸せ」
東京湾に、デズモヴォーラが現れる。
空へ光を放つと、空が赤い雲に包まれる。
デズモヴォーラ「この肉体にふさわしいものが、アナザーアースにただ一つだけ残されていた。甦れ、呪われた肉体よ!!」
赤い雲から海中へエネルギーが注がれ、海中で怪しい影が動き出す。
赤い雲は街中も埋め尽くし、赤い雪が降り出す。
人々「なんだ?」「赤い……雪?」
赤い雪に触れた人々が、次々に変貌する。
暴れまわり、物を壊したり、金を盗んだり、互いに傷つけあう。
凌駕たちが駆けつける。
幸人「どうなってるんだ、これは……?」
凌駕「何やってるんですか、やめてください!」
アスカ「どうやら、この赤い雪の仕業です。我々はダイノガッツのおかげで影響を受けないようですが」
凌駕が、1人の男を取り押さえる。
凌駕「あなたにもダイノガッツがあるはずです!」
男「俺は俺の好きなことをやってるだけだ! 文句あっか」
男に突き飛ばされた凌駕を、らんるが助け起こす。
らんる「大丈夫?」
凌駕「大丈夫……」
壬琴が、人々の暴挙を見つめる。
壬琴「こいつは俺だな」
凌駕「そんなことありません、あなたは俺たちと同じ……」
壬琴「俺は! お前とは違う……」
凌駕「でも……」
アスカ「見てください、あれを!」
人々から黒い煙が立ち昇り、赤い雲と共に、東京湾の海の中へ吸い込まれてゆく。
凌駕たちが、東京湾へ来る。
凌駕「一体…… ここで何が起ころうとしてるんだ!?」
らんる「この間の湖と似てない?」
幸人「またデズモゾーリャの体とやらを作ろうとしているのか?」
デズモヴォーラが登場する。
ミケラ「その通り! なんだなぁ~」
ヴォッファ「最強の肉体を見つけたのだ」
幸人「なんだあいつは?」
壬琴「デズモゾーリャだ…… 俺の中の片割れが騒いでいるからな」
らんる「じゃあ、ミケラとヴォッファの体を?」
アスカ「マホロの体は……? マホロはどうしたぁ!」
デズモヴォーラ「あの女はすでに抜け殻。そしてこの体もまた、仮の姿に過ぎん。我は我にふさわしい器を甦らせる。アナザーアース人たちの悪の心を使ってな。人のものを奪いたいと思う心」
ミケラたち「互いを憎み合う心」「ひたすらに壊したいと思う心」
デズモヴォーラ「それらはすべて、我が栄養となる」
凌駕「そんなもの…… 俺たちのほんの一部分でしかない! みんな、チェンジだ!」
一同「爆竜チェンジ!」「アバレンジャー!!」
壬琴も含めた5人が爆竜チェンジし、アバレンジャーとなる。
デズモヴォーラは、強力な力でアバレンジャーを翻弄する。
5人の攻撃も通用しない。
デズモヴォーラが突如、消える。
レッド「どこだ!?」
ミケラとヴォッファが現れ、攻撃を加える。
ブラックとキラーが突撃する。
ヴォッファ「おっ、来た来た」
2人がかりの攻撃も、難なく跳ね返される。
レッド「アスカさん! 仲代先生!」
ブルー「マックスだ、凌駕!」
レッド「はい」
ブルーとイエローの力を受け、レッドが強化変身してアバレマックスとなる。
マックス「大気爆裂マックスフィールド」
アバレマックスの作り出した異空間マックスフィールドで、マックスとデズモヴォーラが激突する。
デズモヴォーラ「その程度の力で、我を倒せるとでも思っているのか」
マックス「何っ!?」
マックスフィールドが解け、アバレマックスはアバレッドに戻る。
レッド「マックスフィールドが…… 破られるなんて!?」
ブルー、イエロー、ブラックがデズモヴォーラに挑むが、難なく吹き飛ばされる。
レッド「みんな……!」
デズモヴォーラ「覚悟するがいい、アバレッド」
デズモヴォーラの触手が鋭く伸びてレッドに迫る。
アバレキラーが自ら盾となり、触手に胴を貫かれる。
キラー「ぐわぁっ!!」
一同「仲代先生!?」「あぁっ!?」
デズモヴォーラ「馬鹿め…… 死にに来たか」
キラー「死ぬ……? 俺は今ほど…… 心の底から生きたいと思ったことはない…… 俺は生きたい…… お前と戦うぅっ!!」
キラーが触手を引きずり出すと、胴の傷跡はひとりでに消える。
レッドたち「あぁっ!?」「傷が消えたわ!?」
デズモヴォーラ「貴様ぁ~っ!!」
キラー「お前らが言ったはずだ。俺の命は、俺の思うままにはならないと」
ミケラ「お前の中にはアナザー・デズモゾーリャ様がおわす」
ヴォッファ「その生命力がお前の命を守り、ダイノマインダーの暴走をも停止させている」
キラー「言わば、今の俺は不死身…… 違うか!?」
アバレキラーが目にも留まらぬ速さで、デズモヴォーラを連続攻撃する。
デズモヴォーラ「くそぉ……」
キラー「今だぁ!!」
一同「スーペリアダイノボンバー!!」「必殺!」「スーペリアァ!」「ダイノダイナマイト!!」
スーペリアダイノボンバーが炸裂、デズモヴォーラが倒れる。
そのとき突如、海面が光り、膨れ上がる。
レッド「何だ!?」
デズモヴォーラ「時が来たか」
デズモヴォーラが立ち上がる。
光の触手が放たれ、キラーを捕らえて引き寄せる。
キラー「がぁっ!!」
アバレキラーの爆竜チェンジが解除されてしまい、壬琴の口からデズモゾーリャの声が漏れる。
壬琴「ワザワザ迎エニ来テクレタカ 我ガ分身ヨ」
デスモヴォーラ「我らは元々一つの存在 器となりし肉体に入らん」
壬琴「……ぐっ…… やめろぉ!! 俺の中で騒ぐなぁっ!!」
レッド「仲代先生を放せ!!」
デズモヴォーラ「出でよ」
海面より出現したのは──
かつてアバレンジャーを苦しめた爆竜巨人、バクレンオー。
笑里「あ…… あれは、バクレンオー!?」
杉下「この夏、日本を冷夏に陥れた凶悪合体爆竜……」
イエロー「奴の言ってた肉体って、バクレンオーのこと!?」
ブルー「冗談じゃないぞ!」
デズモヴォーラが壬琴を捕らえたまま、バクレンオーの頭部に搭乗する。
レッド「仲代先生!?」
ブラック「ブラキオ!」
ブラキオ「1人じゃないブラ、みんなで行くのだブラ」
ティラノ「倒すのは、今しかないテラ!」
レッドたち「爆竜合体!!」
ブラック「スティラコ、行くぞ! 爆竜合体!!」
爆竜合体でアバレンオーとマックスオージャが完成、マックスオージャにはブラックが乗り込む。
レッドたち「完成・アバレンオー!!」
ブラック「完成・マックスオージャ!!」
レッド「行くぞっ!」
アバレンオーらが2体がかりで挑むが、逆にバクレンオーの反撃を浴びる。
レッドたち「うわぁっ!!」
バクレンオーのコクピットで、壬琴が目を覚ます。
デズモヴォーラの触手は壬琴に突き刺さり、彼の体内からエネルギーを吸い続けている。
壬琴「うぁぁっ……!?」
デズモヴォーラ「動くな! お前の中の我が分身は、すべて我に吸収される」
壬琴「何だとぉ!?」
デズモヴォーラ「6500万年前、2つに分かれた我が、このバクレンオーを肉体として1つになる! それこそ、完全なる邪命神の誕生」
ミケラたち「その力は一瞬にしてアナザーアースを滅ぼし尽くし」「邪命体だけの世界を作り上げるのだぁ!」
壬琴「何ぃっ!?」
壬琴が必死に、触手を体から引き抜こうとする。
デズモヴォーラ「やはり抵抗するか。ただの人間には戻りたくないのだな」
壬琴「違ぁう!! 俺は…… お前のおかげで…… 子供の頃から、おかしな力を持ち…… 友達の1人も、いやしなかった…… 許されないことも…… たくさん、してしまった…… だがそれを、お前のせいにしようとは思わない! これも俺だ…… 俺の一部だぁっ!! 教えてやろう、デズモゾーリャ!!」
レッドたち「この声……」「仲代壬琴の声だ」「仲代先生も、戦っているんです!」
壬琴「人の中には…… 大なり小なり…… バケモノがいるのかもな。だが人はそれと戦い続け、いつかは勝利することができる」
壬琴の脳裏に、凌駕たちの姿が浮かぶ。
壬琴「(少なくとも、あいつらはそう信じている…… だから俺も信じる! あいつらのことを!) 俺の中のデズモゾーリャと、戦い続ける!!」
レッドたち「そうだ。俺たちは…… 人間は負けない!!」「あぁ!」「うん!」「受け取ってください、私たちのダイノガッツを!」
レッドたち4人が、渾身のダイノガッツを込める。
壬琴「感じるぜ、あいつらのダイノガッツが!! そして、俺のダイノガッツがぁぁ──っ!!」
壬琴がダイノガッツを浴びて、光に包まれる。
壬琴「ときめくぜぇ……!」
デズモヴォーラ「やっ、やめろぉ……やめるんだ!! そんな強烈なダイノガッツを浴びたら、我が分身がぁ……!」
壬琴の中のデズモゾーリャが、悲鳴を上げる。
デズモゾーリャ「助ケテクレ、早クココカラ出シテクレェ~ッ!!」
絶叫の末に、やがて光が消える。
デズモヴォーラ「あぁっ、我が分身が消滅してしまったぁ~っ」
壬琴がニヤリと笑うと、触手を一気に引き抜き、ダイノマインダーを構える。
トップ「やめろ、ニンゲン! チェンジしてはいかんゲラ!」
壬琴「……爆竜チェンジ」
壬琴がアバレキラーに爆竜チェンジを遂げ、バクレンオーから飛び降りる。
キラー「みんな今だぁっ!!」
レッド「はい! 爆竜電撃ドリルスピン!!」
ブラック「マックスクラッシャー!!」
2大必殺技を浴び、バクレンオーが爆発に包まれる。
レッドたち「よっしゃぁっ!」「やった!」
しかし、爆発の中から巨大デズモヴォーラが現れる。
レッドたち「何っ!?」「そんな!?!」
アバレンオーとマックスオージャが、デズモヴォーラの反撃を食らう。
キラー「来い! トップ、ステゴ!」
ステゴ「壬琴さん、やっぱり、オラたちと一緒に戦ってくれるテゴ!?」
トップ「ニンゲン…… ステゴ……」
キラー「爆竜合体!!」
トップゲイラー、ステゴスライドンが合体して、キラーオーとなる。
キラー「完成・キラーオー!!」「ヒレストライクゥッ!!」「ゲイルスピアァッ!!」
キラーオーが、デズモヴォーラに猛攻を加える。
ミケラたち「やめてぇ~」「こんなやられ方は、芸術的ではないぃ~」
キラー「爆竜必殺・デススティンガァ──ッ!!」
キラーオーの放ったゲイルスピアが、デズモヴォーラを貫く。
遂にデズモヴォーラが、爆発四散する。
街で暴挙を振るう人々も、正気を取りもどす。
人々「何してたんだ?」「あれぇ?」
杉下「やりました…… デズモゾーリャの最期です」
笑里「すごい…… すごい!」
舞「みんな大好きぃ!」
海岸に立つ壬琴に、凌駕たち4人が駆け寄る。
凌駕たち「仲代先生──!」「壬琴さぁん!」「やりましたねぇ!」
壬琴が口から血が滴らせつつ、崩れ落ちる。
服の隙間からは、すでに大量の血が流れ落ちている。
凌駕たち「仲代先生、仲代先生!?」「壬琴さん!」
凌駕たちが、倒れた壬琴を助け起こす。
壬琴が傷だらけなのに気づく。
凌駕たち「その傷は……!?」「なぜなんですか!?」
壬琴「さっきの…… ダイノガッツで…… 俺の中にいた邪魔者は…… 綺麗さっぱり、消えちまったのさ……」
幸人たち「不死身の力も…… 消えたということか!」「そんな!?」
凌駕「仲代先生、どうすればあなたを救えるんですか!?」
壬琴は、静かに首を横に振る。
壬琴「早くここから離れろ…… ダイノマインダーが暴走し…… 爆発する……」
すでにダイノマインダーから、火花が飛び散っている。
壬琴が皆を振りほどき、フラフラと歩き出す。
凌駕「仲代先生!」
壬琴「来るなっ! お前には…… 娘との、明日の約束が…… あるんだろうが」
咆哮と共に、トップゲイラーが飛来する。
翼のはためきの勢いで、凌駕が砂漠に倒れる。
見上げると、すでに壬琴の姿は消えており、トップゲイラーが空へ飛び立ってゆく。
上空で、トップゲイラーの上に、壬琴が力なく横たわっている。
壬琴「来てくれたか…… トップゲイラー…… 宇宙まで出たら…… 俺を…… 放り出して…… 帰れ……」
トップ「ニンゲン…… 俺はお前と一緒だと言ったはずゲラ」
壬琴「……物好きな奴だ」
ダイノマインダーが限界に近づく。
壬琴「皮肉なもんだ…… 生きたいと思った、この俺が…… だが不思議と…… 悪い気分じゃない……」
トップ「お前は俺たちを十分にときめかせたゲラ。お前はもう、ときめきを探す必要はない」
すでに壬琴は動かない……
トップ「さらばだ…… 壬琴……」
トップゲイラーが初めて、壬琴の名を口にする。
ダイノマインダーがまばゆい光を放ち、トップゲイラーが光に包まれる。
上空を見上げる一同。空が激しい閃光に包まれ……
そして、閃光が消え去る。
凌駕「仲代先生…… あなたは、前に言いましたよね。『お前と俺は似てる』って…… その言葉、絶対に忘れません!」
ブラキオ「さらば戦士よ……
君は僕の胸に生きているブラ」
侵略の園。どこからか不気味な光が飛来する。
唸り声と共に、神殿全体が大きく脈動を始める。
マホロ「デズモゾーリャは……まだ……!?」
最終更新:2022年02月18日 18:47