巨獣特捜ジャスピオンの第45話


サタンゴースは脱皮して、
大サタンゴースになった。
大サタンゴースは都会をジャングルに変えて
巨獣帝国の建設を開始した。
マッドギャランは、人々をさらって来て
ジャングルに放り出し、
巨獣たちの餌食にした。

かの子、久美子、大作、浩の
4人の子供たちは、
自分たちだけで黄金の鳥を
出現させようと努力するが
失敗に終わり、危機一髪、
ジャスピオンに救出された。

ブリマとギョールはジャスピオンと対決し
ついに命尽きた。



あちこちの町が次々に、木々に飲まれ、建物が地に沈み、ジャングルに変えられてゆく。
無人のジャングルと化した街並みを、ジャスピオンが見つめる。

ジャスピオン「何もかも消えてしまった…… ビルも、学校も、団地も」
南原「ジャスピオン! 困りました。植木町も、その隣の朝日町も、誰もいません。避難命令が出たんです」
ジャスピオン「わかりました。南原さんは、エジンの里へ帰ってください。この一帯も、もうすぐ……」
南原「残念です。4人まで捜し出したのに、もう1人は……」
ジャスピオン「あとは僕に任せてください。なぁに、必ず見つけ出してみせますよ」



おれはサタンゴースの
息子だ




荒れ果てた無人の街を、消防署の車がサイレンを鳴らしながら走る。

『こちらは消防署です、こちらは消防署です。この一帯は危険地区に指定されました。大至急、避難してください。ここに留まることは、とても危険です! 大至急、避難してください。大至急、避難してください!』

ジャスピオン「大サタンゴースを倒すには、光に打たれし5人の子供が必要なんだ」


その頃、マッドギャランは、
ジャスピオン打倒を目指して
父・大サタンゴースの力を借り
特訓を続けていた。

マッドギャランが、大サタンゴースの魔力を前に、必死に剣を振るう。

サタンゴース「今日はこれまで──」
マッドギャラン「ありがとうございました、父上!」

特訓を終え、マッドギャランが戦闘態から人間態となる。

サタンゴース「息子よ──」
マッドギャラン「父上!」
サタンゴース「我らはブラックホールからはじき出された負のエネルギー体から誕生した、れっきとした生命体なのだ」
マッドギャラン「私は誇りに思っています。この銀河宇宙は、炭素生命体である人類だけのものではありません」
サタンゴース「その通りだ。我らは新しい生き物、超生命体なのだ」
マッドギャラン「超生命体……!」
サタンゴース「我らとて、この美しい惑星で生きる権利がある。巨獣たちがはでる、のどかな巨獣帝国──」
マッドギャラン「父上はこの地球で、超生命体の歴史を作り上げようとしているのですね」
サタンゴース「もう一息なのだ。我らの夢が実現するのだ。わしは夢のために、命を賭けておる」
マッドギャラン「素晴しい夢です!」
サタンゴース「わしは日本中をジャングルに変えてみせる。人間共の文化を、根こそぎひっくり返してやるのだ!」
マッドギャラン「では私は、あの目障りな奴を成敗いたしましょう」
サタンゴース「ジャスピオンか! よぉし…… お前はやがてサタンゴースに脱皮する。そして大サタンゴースに、無敵の王者となるのだ!」
マッドギャラン「奴はたかが人類、私は超生命体です。ハハハハハ!」
サタンゴース「ワハハハハハ!」

そこへ、女幹部のギルマーザが現れる。

ギルマーザ「マッドギャラン様! 行きましょう、ジャスピオンを倒しに!」
マッドギャラン「では父上──」


一方で、町を探索中のジャスピオンのもとに、アンリから連絡が入る。

アンリ「こちらアンリ。ジャスピオン、応答願います」
ジャスピオン「アンリ、どうした」
アンリ「町がどんどん消えていくわ。東京の約半分と、横浜の全地区がジャングルにされてしまったわ。何とかして、ジャスピオン。このままだと、日本中が……」
ジャスピオン「そんなことはさせない。俺が必ず食い止めてみせる」

封鎖地区で男女2人が、警官たちに制止されている。

「お願いします、お願いします!」
「危険ですから、早く避難してください」
「もう一度、もう一度捜してください!」

ジャスピオン「どうしたんですか?」
女性「娘の美加の姿が見えないんです! うちに帰ったん違いないんです」
男性「避難する途中で、コロがいないって騒いでたんです」
ジャスピオン「コロ?」
男性「猫の名前です」
警官たち「捜したけど、見つかりませんでしたよ」「えぇ、家の隅まで捜しました」
ジャスピオン「僕に行かせてください」
警官「駄目だ!」
ジャスピオン「見殺しにしろと言うんですか!?」


その美加は、ジャングルと化した町を走り、自宅を目指していた。
自宅マンションに辿り着き、必死に猫を捜す。

美加「コロ! コロ! コロ!」

マンション中を捜し回った末、地下の倉庫の片隅にうずくまっている猫を見つける。

美加「コロ! こんなところにいたの? 捜したのよ。さぁ、行こ」

猫を抱いてマンションから脱出しようとする。
しかし、壁を砕いて無数のツタが飛び出し、その衝撃で温水パイプが砕け、熱い蒸気が吹き出す。

美加「きゃああぁぁ──っっ!? 助けてぇ! 誰か、助けてぇぇ!!」

やがてジャスピオンも、そのマンションにたどり着く。

ジャスピオン「美加ちゃん! 美加ちゃん! どこへ行ったんだろう……」

壁を砕いて無数のツタが飛び出すが、ジャスピオンがそれをかわし、美加を捜し続ける。

ジャスピオン「美加ちゃん! 美加ちゃん!」

やがて、地下の猫を、そして気を失っている美加を見つけ出す。

ジャスピオン「美加ちゃん!? しっかりしろ! 美加ちゃん、しっかりするんだ。ケガはなかったかい?」
美加「……コロ! どうもありがとう、助けてくれて」
ジャスピオン「心配しているよ、お父さんとお母さんが」

ふと、美加が妙な気配を感じ、顔が曇る。

ジャスピオン「どうした?」
美加「黒い影がやって来る──」
ジャスピオン「えっ!?」

2人がマンションの外へ出ると、マッドギャランが待ち受けている。

ジャスピオン「マッドギャラン!?」
マッドギャラン「勝負の時が来たようだな、ジャスピオン。地球は我ら、超生命体のものだ! 貴様に邪魔はさせん」

マッドギャランが光線で先制攻撃を加え、ジャスピオンと格闘となる。
マッドギャランが一瞬にして、漆黒の装甲姿の戦闘態へ姿を変える。
ジャスピオンも強化服メタルテックスーツを装着し、立ち向かう。

美加「きゃあっ!」

ギルマーザとコマンダー(戦闘員)たちが現れ、美加を人質に取っている。
しかし、アンリが駆けつけて銃を放ち、美加を救い出す。

ジャスピオン「アンリ、美加ちゃんはもしかして、5人目の子供かも」
アンリ「えっ!?」
ジャスピオン「さぁ、早く逃げるんだ」
アンリ「わかったわ」

アンリが美加を抱いて宙を舞い、安全な場所まで脱出する。

アンリ「大丈夫?」
美加「えぇ」
アンリ「ねぇ、美加ちゃん。ちょっと手を出してくれる?」
美加「えっ?」

言われるがままに美加が手を差し出し、アンリはその手に銀河バイブルの破片を握らせる。
破片から黄金の鳥が実体化し、宙を舞い、光と化して破片の中へと戻る。

アンリ「あなた、5人目よ! 光に打たれし、5人目の子供!」


一方のジャスピオンとマッドギャランの戦い。
ギルマーザとコマンダーたちが加勢し、ジャスピオンを取り囲む。

マッドギャラン「手を出すなぁ! これはジャスピオンと俺との勝負だ!!」

ギルマーザたちが、やむを得ず引き下がり、ジャスピオンたちの一騎打ちとなる。

ジャスピオンとマッドギャランの
雌雄を決する時が来た。

マッドギャランが専用機ジャルドブーマに乗って宙を舞い、ビームを見舞う。

ジャスピオン「アイアンウルフ!」

ジャスピオンも超惑星戦闘マシーン・アイアンウルフに乗り込み、空中戦となる。
アイアンウルフとジャルドブーマが、互いに空を飛び交い、ビームを撃ち合う。

アイアンウルフが険しく切り立った岩場を旋回して、マッドギャランを翻弄する。
ジャルドブーマは岩場を避けきれずに激突し、マッドギャランが地上に投げ出される。
ジャスピオンも地上に降り立ち、再び格闘戦となる。

ジャスピオンとマッドギャランの剣と剣とのぶつかり合い、一歩も引かない戦いが続く。
マッドギャランが手からビームを放ち、ジャスピオンもビームスキャナーガンで反撃する。

マッドギャランがジャスピオンをビームで牽制しつつ、大ジャンプから剣を振り下ろす。
危ういところでジャスピオンが剣を避け、カウンターで繰り出した剣が、マッドギャランの急所を貫く。

マッドギャラン「ぐおおっ! うおぉ…… うおぉっ!」

マッドギャランが全身から煙を吹き出し、その視界がしだいに霞んでゆく。
ガックリと膝をつきそうになるものの、剣を地面に突き立て、かろうじて持ち堪える。

マッドギャラン「俺は、俺は超生命体だ…… その超生命体が、虫ケラ同然の人間に負けるはずがない。俺は勝つぅ──っ!!」

マッドギャランは、今にも倒れそうな足取りで、なおもジャスピオンに斬りかかろうとする。

ジャスピオン「プラズマブレーザーソード!」「コズミックハーレー!!
マッドギャラン「ぐわああぁぁ──っっ!!」

ジャスピオンの、とどめの必殺剣がマッドギャランに炸裂する。
マッドギャランが爆炎に包まれ、断末魔の悲鳴が響く。

マッドギャラン「俺は…… 俺はサタンゴースの息子だ! 大サタンゴースの息子なのだ! よく聞け。俺は父上と2人で巨獣帝国を建設する。この地球は、この地球は我らの物だぁぁ!! 偉大なるサタンゴースは俺の父上だ! 俺は、俺はサタンゴースとなり、やがて大サタンゴースとなる!! 無敵の王者にぃぃ!!」

マッドギャランが苦痛に喘ぎ、全身の装甲に次第に亀裂が入ってゆく。
体中から不気味なエネルギーが吹き出し、膨れ上がり、ついにサタンゴースそのものの姿となる。

サタンゴースと化したマッドギャランが、ジャスピオン目がけ、巨大な剣を振り下ろす。
しかし、すでに必殺剣を受けて満身創痍の身、あと一歩で力及ばず、全身から火花を吹いて地に倒れ伏す。
倒れたマッドギャランが、サタンゴースの姿から元の姿へ戻り、事切れる。

ギルマーザ「マッドギャラン様……!?」

大地を震わせ、大サタンゴースが姿を現す。

サタンゴース「息子よ──」

事切れているマッドギャランを、大サタンゴースがその手に抱く。
大サタンゴースの手の中で、マッドギャランが無数の粒子となって消滅する。

ジャスピオン「ダイレオン!」「戦闘巨人ダイレオン!」

超惑星戦闘母艦ダイレオンが飛来、さらに戦闘巨人に変形し、大サタンゴースに立ち向かう。

ジャスピオン「さぁ来い、大サタンゴース!」



いよいよ、大サタンゴースと
対決するときが来た。
ジャスピオンに、大サタンゴースを倒す
チャンスはあるのか!?



つづく


※ この続きは本家エンディングドットコムをご覧ください。

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最終更新:2017年11月30日 06:28