ジャーク帝国のプロミネンス総統は、 ジャーク大帝を暗殺するために 「Z作戦」を実行した。 ギャリオを指揮官にして地球へ大攻撃をかけ その隙に、ジャーク大帝に毒入りのライフモスを 食べさせたのである。
Z作戦は見事に成功した。 ジャーク大帝は壮絶な最期を遂げたのである。
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地球侵攻に向かっていたジャーク艦隊が、月に引き揚げてくる。
ゲプラー「なぜ戻って来た? 帰還命令なぞ出しておらんぞ」
月に帰還していたギャリオに、ゲプラー参謀が詰め寄る。
ゲプラー「貴様が勝手に戻ってくるからだ! ただちに全艦隊を引き連れて、地球へ戻れ!」
ギャリオ「ジャーク大帝がお亡くなりになったのです。全軍そろって葬儀に参加すべきです」
ゲプラー「貴様、総統閣下に指図するつもりか!? 葬儀が終われば大帝となられるお方だぞ!」
ギャリオ「大帝……?」
ゲプラー「総統閣下を置いて、ほかに大帝にふさわしい人物はいない」
ギャリオ「……」
プロミネンス「ギャリオの考えにも一理ある。ジャーク大帝の葬儀は盛大に、より盛大に執り行う。準備にかかれ」
ギャリオ「はっ。……ガニメデ殿はどこに? カリスト殿、イオ殿の姿も見えません」
ゲプラー「あの3人は地球だ」
ギャリオ「地球?」
ゲプラー「そうだ。ライフモスを探すと言って出かけた」
プロミネンス「たわけた奴らだ」
ゲプラー「すべて手遅れだ。あんな奴らのことは放っておけ。それより葬儀だ」
ギャリオ「はっ (どうも腑に落ちん…… ガニメデ殿が地球へ行ったなんて。いくらなんでも、大帝の亡くなられた報告は届いているはず。それなのに、何の連絡もないなんて……)」
「あっ、ネコだ!」「おい、捕まえろ!」「ゴッドハイドのネコか?」「おぉ、そうだ!」
ギャリオがゲプラーのもとを去った後、兵士たちの間を、ゴッドハイドの飼いネコが飛び回っている。
床についたそのネコの足跡に、光る粉が付着している。
ギャリオ「あぁっ!? ライフモスだ!」
ギャリオが点々と続く足跡を追って行き、やがて、ライフモス貯蔵庫にたどり着く。
室内では、ガニメデたち3人がすでに、事切れている。
ギャリオ「ガニメデ殿……! カリスト殿、イオ殿!」
そばの成分表示機は、ライフモスに含まれている毒を示している。
ギャリオ「……毒物が混入!?」
足音が響く。
振り向くと、ゲプラー参謀がいる。
ギャリオ「ゲプラー閣下!? 大帝を殺したな……?」
ゲプラー「プロミネンスの仕業なのだ。わしは真実を話すためにここに来た」
ギャリオ「総統閣下が!?」
ゲプラー「大帝の座に目が眩んだのだ。そして、このような陰謀を……」
ギャリオ「……なんてことを!」
一方の地球、シークレットフォース。
シルベスタ「どう考えても理解できない。なぜ、彼らは引き揚げてしまったのか? 戦い半ばにして、いともあっさりと」
チャールズ「そう。世界各地で優勢に戦いを進めていたはずだ」
サハラ「レザリオンも、ギャリオに押されていたしね」
敬「うん、今でも夢見てるみたいだよ。あいつ、急にぼんやりして、それから慌てて引き揚げちゃったんだもんなぁ」
モンロー「急用ができたのよ、きっと」
ブルーハイム「モンローの言う通り、何かが月で起きたんじゃないかな。異変が」
エレファン「ジャーク大帝が死んだ……」
一同「……!」
ブルーハイム「なんて言った、エレファン?」
エレファン「ジャーク大帝が死んだのだ。ジャーク大帝は光るコケを食べて生きていた。地球でも光るコケを探していた」
サハラ「オリビアのパパも、その一員だったわ」
敬「光るコケは俺が月まで行って、全部叩き潰しちゃったし……」
シルベスタ「考えられるな。よほどのアクシデントが起こったのだ。だから、みんな引き揚げたのだ」
チャールズ「司令官、チャンスです! 攻めるなら今だ!」
ブルーハイム「そうじゃ! 攻め込まれる前に攻め込むのも兵法の一つじゃ。先手必勝というではないか」
シルベスタ「しかし……」
ブルーハイム「司令官!」
シルベスタ「無闇に突入したとして、どうなる? 月や火星の住民に、被害が及ぶことになっては……」
ブルーハイム「あぁ、そうか。うっかりしておった。月や火星に大勢の地球人がいることをな」
一同「……」
エレファン「突撃だ! 月へ行くべきだ!」
モンロー「何万人もの人間がいるのよ。月や火星にはね。司令官の悩みがわからないの?」
エレファン「ジャークは今、ファイトを失くしている。ジャーク大帝が死んだとしたら、悲しみのほうが大きいはず。今度攻めて来るときは、それこそものすごいパワーだ。とても防ぎきれない」
ブルーハイム「つまり、弔い合戦でやって来るというんじゃな」
エレファン「はい。地球は征服されてしまう。とても防ぎきれない」
シルベスタ「……月だ。月へ突撃!」
シルベスタ最高司令官の命令が下った。
全地球連邦軍は月へ向かって出撃した。
敬がオリビアに出撃を告げる。
敬「楽しみにしててくれ。必ずパパを連れて帰る」
オリビア「……」
敬「じゃあな。行ってくるよ」
オリビア「敬…… 帰って来てね…… 必ず」
敬「たとえ地獄からでも帰ってくるぜ!」
地球艦隊が月基地へと接近する。
プロミネンス「迎撃しろ! 全軍出撃だ!」
兵士たち「……」
プロミネンス「この腰抜けども! ギャリオ、地球人だ! 地球人どもがやって来る! 蹴散らせ、蹴散らすのだぁ!」
ギャリオ「……」
プロミネンス「ギャリオ、なぜ命令に従わんのだ!?」
ギャリオ「……」
プロミネンス「な、何だ、その目は!?」
ギャリオ「……」
プロミネンス「う、うぅ…… わ、わしは総統だぞ! いや、間もなく大帝になる。そのわしに逆らうのか、貴様!?」
ギャリオ「……黙れぇ! 裏切り者!! ジャーク大帝の無念を、思い知らせてやる!」
プロミネンス「な、何のことだ!? 乱心者だ! こやつを討ち取れぇ!」
大帝暗殺に共謀したゲプラー参謀は、プロミネンス総統1人に罪をかぶせ、ほくそ笑む。
プロミネンス「ゲプラー……?」
ギャリオ「うおぉ──っ!」
プロミネンス「ゲプラー、図ったな!?」
ギャリオ「たあぁぁ──っ!!」
ギャリオの剣がプロミネンス総統の胸を貫き、総統の首が宙を舞う。
地球艦隊による砲撃が開始される。
ゲプラー「取りあえずわしが指揮を執る。全員、非常配備につけ! 地球人どもを生かして帰すな!」
ジャーク艦隊が迎撃する。
G型戦闘ロボットを駆るチャールズたちと、ジャークの戦闘ロボットたちとの地上戦も始まる。
ギャリオは格納庫で、専用ロボのギャリオ・サバンのコクピット内で黙している。
ゲプラー「ギャリオ、なぜ発進せんのだ? 行って、地球人どもを蹴散らして来い! レザリオンが来る前に……」
ギャリオ (俺はジャーク大帝に命を捧げてきた…… これから何を心の支えにすれば良いのだ?)
兵士「レザリオンです、レザリオンが来ました!」
ゲプラー「ついに来よったか!」
ギャリオ (レザリオン…… レザリオンか)
ゲプラー「ギャリオ、レザリオンを倒すのだ! どうした、怖気づいたのか!?」
ギャリオ (所詮は戦いの中でしか生きられぬ男か……)
囚人房の地球人たちにも、戦いの様子が届く。
インスパイア「地球人どもめぇ……」
被洗脳者たち「ジャークが完全に押されているぞ!」」
囚人たち「レザリオンだぁ!」「レザリオンが助けに来てくれたぞ!」「レザリオン!」「レザリオン!」
看守たち「静かにしろぉ!」「ったくもう、何の騒ぎだ!?」
看守たちが元反乱軍のインスパイアや、洗脳された地球人たちを房から出す。
看守たち「おい、奴らを静かにさせろ!」
インスパイア「任せろ。静まれ、静まれぃ!」
地球軍の攻撃に活気づいた囚人たちが、房のドアをぶち破り、あふれ出てくる。
インスパイア「わぁぁ──っ!?」
大勢の囚人たちが、一気に走り去って行く。
後に残されたのは、踏み潰されたインスパイアたち。
ゲプラー「囚人どもが暴動を起こしているだと?」
兵士「はぁ、なお、火星でも同じような暴動が起きており、双方とももはや鎮圧できません……」
ゲプラー「おのれ、地球人のウジ虫どもめ」
爆発音。
ゲプラー「こ、今度は何事だ!?」
兵士「ジャーク大帝の船が、爆破されました」
ゲプラー「何だと!?」
レザリオンの前に、ギャリオ・サバンが現れる。
サハラ「ギャリオだわ!」
チャールズ「心配するな! 敬はもう立派な戦士だ。あいつに任せろ!」
ゲプラー「何、ギャリオの奴が大帝の船を爆破しただと?」
兵士「はっ」「ゲプラー参謀、艦隊の一部がジャーク本星へ引き揚げて行きます!」
ゲプラー「何という腰抜けどもめ……」
兵士「ゲプラー参謀……」
ゲプラー「まだ何かあるのか!?」
兵士「基地が完全に包囲されました」
レザリオンとギャリオ・サバンの激しい戦いが繰り広げられる。
両者の実力はほとんど互角である。
敬「なぜだ! なぜ、こうまでして戦う!?」
ギャリオ「お前に勝つことだけが俺の支えとなった!」
敬「どういうことだ!?」
ギャリオ「ジャーク大帝が暗殺された今となっては、地球征服など無意味だ!」
敬「暗殺……? やはり死んだのか」
ギャリオ「権力に目が眩んだ奴らが仕組んだんだ。最低だ! 地球を征服する資格などない!」
敬「……」
ギャリオ「俺はこれからジャーク本星へ帰る。だがその前に、お前を倒す!」
シルベスタ「攻めろ、敬くん! 時間がないぞ!」
ブルーハイム「月では、バトルギア効果の時間も短い。それだけエネルギーを使うからじゃ。早く勝負したほうが有利だ!」
地球兵士「シルベスタ司令官! 月住民の救出に成功しました!」
シルベスタ「そうか、やったか!」
オリビア「パパ……!」
囚人房に1人残っている、洗脳されたオリビアの父スチーブのもとに、地球軍兵士が駆けつける。
地球兵士「おい、大丈夫か? 助けに来たぞ」
スチーブ「この地球人のウジ虫どもめ…… 私はジャークの栄えある尖兵なのだ! う、うぅっ……!?」
地球兵士「おい、大丈夫か? しっかりしろ!」
一方でチャールズたちは、基地内へ突入する。
チャールズ「エレファン、案内頼むぜ!」
エレファン「わかった、チャールズ」
ギャリオ・サバンは次第にレザリオンを押し始める。
レザリオンが攻撃を浴びて月面に叩きつけられ、レーザーバトルギアが解除される。
ギャリオ「これで最期だ、レザリオン!」
あわやというとき、ゴッドハイドのネコが舞い、ギャリオはそれに気を取られる。
敬「今だ!」
レザリオンが電送で瞬間移動し、ギャリオ・サバンの背後をとる。
ギャリオ「おぉ!?」
敬「だぁぁっ!」
レザリオンの剣が、ギャリオ・サバンの片腕を斬り落とす。
一方でチャールズたちは、基地内最奥の扉にたどり着く。
エレファン「ここだ。この奥に、基地の心臓部がある。しかし我々の星では、この扉を破ることはついにできなかった」
チャールズ「おぅおぅ、それじゃあ俺たちが破ってやろうじゃないの!」
サハラ「もし、破れなかったらどうする? ここをやれなきゃ、この基地は潰せないんだよ?」
チャールズ「先のことは考えるな。今はやるっきゃねぇだろ! 構いやしねぇ、ありったけの弾をぶっ放せ!!」
扉の向こうには、司令室のゲプラーたち。
大量の光弾を浴びた扉が、次第に赤熱化する。
ゲプラー「何だ!?」
兵士たち「扉が破られるぅ!?」「慌てるな、破られるものか!」
しかし、ついに扉が破られる。
ゲプラー「ぐぅわぁぁ──っっ!!」
膨大な量の光弾の中に、ケプラーたちが掻き消えてゆく。
月面上では、ギャリオ・サバンが片腕を失ってもなお、レザリオンを圧倒する。
ギャリオ「もらったぁ!」
しかし再び、ゴッドハイドのネコがギャリオを翻弄し、隙ができる。
敬「だああぁぁ──っっ!!」
渾身のレザリオンの剣がギャリオ・サバンの頭部を貫き、ギャリオのヘルメットが砕け散る。
ギャリオ「敬……」
敬「……」
ギャリオ「もっと違った出会いであれば、いい友達になれたかもしれないな……」
敬「ギャ……ギャリオ!?」
敬の目に涙が滲む。
ギャリオ・サバンがレザリオンを蹴りつけ、彼方へと飛び去る。
敬「ギャリオ──っ!?」
ギャリオ「さようなら…… 敬……」
ギャリオ・サバンが月の大地へと沈んで行き、そして、大爆発──!
敬は涙をためた目で、立ち昇る火柱を見つめる。
敬「ギャリオ…… 確かに君は、宇宙で一番の友達だった……」
地球連邦政府はクリーン化政策をやめた。
月も火星も、地球の廃棄物で汚されることはない。
近い将来、平和で美しい地球の衛星都市として
甦ることであろう……
番組テーマソングに乗せたエピローグ。
地球上は平和を取り戻し、エレファンが敬たちと別れるときがやって来た。
モンローがエレファンに、赤いバラを贈る。
見送りに集った敬やオリビア、シークレットフォースの面々、洗脳の解かれたスチーブたち。
一同に見送られながら、エレファンが宇宙船へ乗り込み、宇宙へと飛び立って行く──。
最終更新:2014年07月20日 13:36