超獣戦隊ライブマンの第30話


バイソンライナーとサイファイヤーは
合体してライブボクサーとなった。
ライブボクサーの捨て身の攻撃で、
ライブロボは空中張りつけの刑から
抜け出すことができたのであった。



ライブマンたちは窮地を脱して、移動基地グラント―タスに撤退する。
回路の破損したバイソンライナーを稼働させるため、自らを回路の一部としたコロンは、激しいダメージを負っている。

めぐみ「コロン、がんばってね!」
(じょう)「すぐに直してやるからな!」
勇介「しっかりするんだ!」
コロン「うぅっ…… もう…… 駄目みたい……」

勇介たちのかつての学友・矢野卓二の弟の鉄也、同じく相川麻里の弟の純一。

鉄也「くッ! これでもう、ライブボクサーは完全に動かなくなってしまった」
純一「鉄ちゃん! 仇も取らないうちに、こんなことになっちまうなんて…… 俺は! 俺はもう、姉ちゃんに申しわけなくて…… 悔しいよぉ! 悔しいよぉ……」



今ここに5人の戦士が




ボルトの傑作ロボ・ギガボルトは、ライブボクサーの反撃で、ギガフィールドにより空中に張りつけになっている。

ケンプ「おのれぇ、こんなもの!」

ビアス「ギガフィールド、解除」

大教授ビアスがギガフィールドを解除し、ギガボルトは張り付けを解かれる。
操縦していたケンプは、地面に投げ出される。
そこに、ドクター・アシュラが。

アシュラ「選手交代だ」
ケンプ「何っ!?」
アシュラ「自分で作ったギガフィールドにはまってしまうような間抜けには、操縦を任せるわけにはいかんということさ。フッ!」

アシュラがケンプに代ってギガボルトに乗り込み、飛び立つ。

ケンプ「……このまま引っ込む俺ではないぞ!」

アシュラの操るギガボルトが街中に出現する。
家やビルが次々に破壊され、炎に包まれる。

アシュラ「ハハッ! ギガボルトはこうやって操縦するのさ!」


グラント―タスの勇介たちのもとにも、その様子が伝わっている。

勇介「ボルトめぇ……」
純一「こうなったら、コロンの体をもう一度借りるしかない! 頼む、コロン!」
めぐみ「無茶なこと言わないで! 今度そんなことをしたら、コロンは死んでしまうわ!」
純一「でも、コロンの体を使わないと、ライブボクサーは動かないんだ!」
勇介「コロンはただのメカじゃないんだぞ! ロボットでも、命があるんだ。大切な俺たちの仲間なんだ!」
鉄也「じゃあ一体、どうすりゃいいんだ!? 一体どんな方法があるっていうんだよ!?」
勇介「……みんなの力を合せるんだ。それしかない。5人の力を合せることによって、必ず打ち勝つ(すべ)が見つかるはずだ!」
鉄也「ゆっくり考えてる暇はないんだ! 俺たちはどんなことをしても、兄貴たちの仇を取りたいんだぁ!」
純一「鉄ちゃん!?」

鉄也が飛び出し、純一もそれに続く。

丈「早まるな! 2人とも待つんだ!」


鉄也たちはライブロボに乗り込んで、ギガボルトに挑む。
しかし2人は、ライブロボの操縦に慣れず、まともに攻撃を食らってしまう。

鉄也たち「うわぁぁ──っ!」
アシュラ「やけに手応えがねぇなぁ?」

そこへ変身したライブマン、レッドファルコンたち3人が乗り込んで来る。

ファルコン「しっかりしろ!」
ライオン「まったく、なんてことしてくれんだ!?」
ドルフィン「さぁ、早く!」

ファルコンたちが操縦を代り、再びライブロボがギガボルトに挑む。

アシュラ「そうでなきゃ倒し甲斐がないぜ。ハハハ!」

必殺の超獣(ちょうじゅう)剣が炸裂──
と思いきや、ギガボルトの装甲の前に、剣身が真っ二つに折れてしまう。

ファルコンたち「超獣剣が!?」「折れた!?」
アシュラ「スーパーギガゾメタルは何物にも負けぬウルトラ超合金だ」

ライブロボは、折れた超獣剣でなおも挑む。
ライブロボとギガボルトの剣がぶつかり合い、激しい電磁波が飛び散る。
そのとき──
突然の奇妙な信号音と共に、急にギガボルトの動きが鈍りだす。

アシュラ「むっ!? どうしたことだ!?」

操縦席のコンピューターが、何らかの信号を示している。

アシュラ「この信号は何だ!?」

ビアス「……急ぐのだ、アシュラ! もしやそのコンピューターからの信号、ギガボルトの命取りになるやもしれぬ」

ライブロボの側でも、その信号を捉えている。

ライオン「何だ、こりゃ?」
ドルフィン「コンピューターのコード番号よ! どこからか信号を送ってるんだわ!」
ファルコン「みんな、忘れたのか? このコード番号を……」
ライオン「これは、アカデミア(とう)の!?」


勇介たちはかつての学び舎、アカデミア島へやって来る。
武装頭脳軍ボルトによって破壊された科学アカデミアの廃墟。
その奥で、1基の機械が音と光を放っている。

勇介「やっぱり、スーパーコンピューターだ! スーパーコンピューターは生きてたんだ!」
純一「スーパーコンピューター?」
めぐみ「半年前、スペースアカデミア号を打ち上げるときに働いてくれたコンピューターなの」

かつて科学アカデミア一同の夢を乗せた宇宙衛星スペースアカデミア号の打ち上げ──
しかしボルトの急襲によりスペースアカデミアは撃墜され、科学アカデミアも全滅してしまったのであった。

丈「あの攻撃を受けながら、よく無事でいてくれたもんだぜ…… でも、どうして急に動き出したんだ?」
めぐみ「あのとき、強力な電磁波が発生したわ!」

ライブロボとギガボルトの剣のぶつかり合いで生じた電磁波──

めぐみ「きっと、あの電磁波にこのスーパーコンピューターが反応したんだわ」
勇介「これは人工知能を持った、世界最高のコンピューターだ。その人工知能が甦ったんだ……」
丈「こいつには、科学アカデミアの知恵と夢、青春のすべてが注ぎ込まれてるんだ!」
めぐみ「きっと、卓二や麻里、死んでしまった多くの仲間たちの願いが、このスーパーコンピューターを甦らせたんだわ」
勇介「これこそ救世主になるかもしれない……! いや、必ず俺たちを助けてくれるはずだ!」

そこへアシュラが現れる。

アシュラ「ハハハハハ! 『困ったときのコンピューター頼み』か。それほど優れもののコンピューターなら、すぐに答を出してくれるはずだ。『貴様らの運命もジ・エンド』とな!」
勇介「なんだとぉ!?」
アシュラ「サイバー分身!」
勇介たち「ライブマン!」

アシュラはサイバー分身でシュラー3人衆を繰り出す。
勇介たち3人は、ライブマンに変身して応戦する。

ファルコン「早く人工知能を! ──トリプルライブラスター!」

鉄也たちはスーパーコンピューターから人工知能を取り出し、廃墟の外へ脱出する。
しかし、そこへ現れたドクター・マゼンダの銃撃が炸裂する。

鉄也たち「うわぁ──っ!」
マゼンダ「貴様らごとき、指1本で十分ね。フィンガーガン!」

ライブマンたちが駆けつけ、自らを盾として銃撃を浴び、鉄也たちを連れて飛び立つ。

マゼンダ「逃がすな、追え!」


変身を解いた勇介たちが、島の片隅に身を隠す。
鉄也たちは銃撃を浴び、血を流している。

鉄也「も、もう駄目だ…… 俺たちにはかまわないで、行ってくれ……」
勇介「何を言ってるんだ!? 命は大切にするもんだぜ」

マゼンダ「捜せ! 逃がすな!」

マゼンダが、ロボット兵ジンマーたちを引き連れて捜索を続ける。
勇介たちはどうにか、岩陰でやり過ごす。

勇介「いいか? もし卓二と麻里が生きていたら、俺たちはきっと5人の戦士として戦っていたと思うんだ。その卓二と麻里の弟である君たちが現れたときから考えていた。今こそ5人で戦うべきだと」

めぐみが人工知能を抱きしめる。

めぐみ「こうしていると、聞こえるの。みんなの声が。『応援してるよ』って…… そして『いつの日か、みんなの夢を叶えてちょうだい』って」
鉄也たち「……」
丈「そのためにも、俺たち5人はがんばらなくちゃならねぇんだ!」
勇介「大切な使命を持った、かけがえのない命。1人でも欠けるわけにはいかないんだ」
鉄也「……すまない。みんな、そこまで考えていたなんて…… 俺たちは仇を取ることしか考えず、迷惑ばかりかけてしまって……」
純一「……がんばるよ。もう決して、弱音は吐かない!」


グラント―タスへ帰還した一同は、科学アカデミアの人工知能を使い、ライブボクサーの解析に取りかかる。

めぐみ「さすが人工知能だわ。三次元解析が自由自在よ」

画面の中、ライブボクサーが分解して7つのパーツとなり、その中央にライブロボが表示される。

丈「おっ? おい勇介。これ何だ?」
勇介「──これだ! 俺が捜していたのはこれだ!」

ライブボクサーのパーツがライブロボに装着され、超巨大ロボットの姿となる。

勇介「ライブロボとライブボクサーは、合体するんだ!」
一同「……!?」
鉄也「まだ合体システムがあったのか!」
勇介「やはり、5つの力をひとつに合せる方法があったんだ!」
純一「でも、ライブボクサーは動かない!」

突然の警報音。

丈「侵入者だ!」
めぐみ「ここにまで!?」
勇介「行こう!」

基地の出入口で勇介たちが侵入者を待ち受ける。
金髪の女性が現れる。

純一「ドロテ博士!?」

それは鉄也と純一の協力者、ドロテ博士であった。

ドロテ「テツヤ! ジュンイチ!」
純一「どうして、ここに?」
鉄也「ドロテ博士は、バイソンライナーとサイファイヤーを製作するときに協力してくれた人たちの、リーダーなんです」
ドロテ「初めマシテ、ライブマン。バイソンライナーのA1回路を届けに来たんデス」
鉄也「A1回路を!? これでライブボクサーは動くぜ!」
純一「ドロテ博士、ありがとう!」
ドロテ「どういたしマシテ」
勇介「……僕たちからも、お礼を申し上げます」
ドロテ「当然のことをしたマデデス」

しかし、再びギガボルトが街中に出現する。
スクリーンに、ギガボルトの街中での暴挙が映し出されている。

ドロテ「なんてヒドイことを…… 許せナイ!」

勇介は決意を固め、自分たちと同じ変身アイテム・ツインブレスを、鉄也と純一の腕にも装着させる。

鉄也「勇介……!? これは!」
ドロテ「テツヤ、ジュンイチ、良かったネ」
勇介「よし、行くぞ!」
鉄也たち「はい!」


ギガボルトの暴れる場に、勇介たち5人が駆けつける。
ケンプが待ち受けている。

ケンプ「貴様らを殺すのは、この美獣ケンプだ! 死ね、ライブマン!」

ロボット兵ジンマーたちが無数に現れる。

勇介「みんな、行くぞ!」
一同「よし! ──ライブマン!!

閃光とともに勇介たちが、そして鉄也と純一もライブスーツに身を包み、ライブマンへと変身を遂げる。
鉄也は黒のスーツのブラックバイソンに、純一は緑のスーツのグリーンサイとなる。

ケンプ「あぁっ……!? ライブマンが、5人に!?」

ファルコン「レッドファルコン!」
バイソン「ブラックバイソン!」
サイ「グリーンサイ!」
ライオン「イエローライオン!」
ドルフィン「ブルードルフィン!」
一同「超獣戦隊ライブマン!!

5人となった新生ライブマンの名乗りが決まる。

ケンプ「えぇい、かかれぇ!」
ドルフィン「ドルフィンアロー!」
ライオン「行くぜぇ! ライオンバズーカ!」

ファルコンたちがジンマーを次々に蹴散らす。
ブラックバイソンもボクサー戦法で、グリーンサイはパワー戦法で奮戦する。
そのまま勢いづき、2人の同時攻撃でケンプを吹き飛ばす。

バイソンたち「だぁぁっ!」
ケンプ「うわぁぁっ!?」

アシュラの駆るギガボルトの巨体が、ライブマンたちに迫る。

ファルコン「ライブロボ!」
バイソン「ライブボクサー!」

ファルコンたち3人はライブロボ、バイソンたち2人はライブボクサーに乗り込み、ギガボルトに立ち向かう。

アシュラ「貴様らごときのロボット、いくつ出て来ても敵ではない!」

ギガボルトの攻撃がライブロボたちに炸裂。

ファルコン「ライブロボ・ジャンプ!」
バイソン「ライブボクサー・ジャンプ!」

2体が同時ジャンプからパンチを繰り出す。
ギガボルトが大きく吹き飛び、間合いが空く。

ファルコン「今だ! 頼むぞ、ライブボクサー!」
サイ「OK!」
バイソン「合体! スーパーライブディメンション!

ライブボクサーの全身が分解して7つのパーツとなり、ライブロボの全身に装着。
ギガボルトを上回る体躯の超巨大ロボ、スーパーライブロボが完成する。

ファルコン「完成! スーパーライブロボ!!
アシュラ「スーパーライブロボ!?」

ギガボルトの攻撃の降り注ぐ中を、スーパーライブロボは臆せずに敢然と突き進む。

ファルコン「スーパービッグバースト!!

必殺の強力光弾が、ギガボルトに炸裂する。
ギガボルトが炎に包まれる。

アシュラ「おのれぇ!」

やむを得ずアシュラが脱出する。
直後、ギガボルトが大爆発──!


ボルトの本拠地ヅノーベース。
ビアスが拳をわなわなと振るわせ、部下たちが恐れおののいている。

ビアス「私のコンピューター・メモリーに、敗北という言葉はインプットされていない……!」


勇介たち5人が、5人での初勝利を決め、夕陽を見つめる。
勇介の手には、今は亡き卓二と麻里と共に5人で撮った写真がある。

勇介「卓二、麻里…… 俺たちに、すばらしい仲間が加わったよ!」
鉄也「兄貴たちの果たせなかった夢…… いつの日か必ず、俺たちが果たしてみせるよ」
純一「うん。それは、命あふれるこの地球を守り、育てることなんだよね」

夕陽を見つめるめぐみの視界に、元気だったころの卓二と麻里の姿がだぶる。

めぐみ「本当に…… みんな、がんばろうね!」

鉄也と純一が力強く頷き、勇介は笑顔で応える。

丈「あぁ、もちろんさ! 俺たち5人が力を合せれば、天下無敵だぜ!」
めぐみ「アハハハハ!」



ついに、5人の戦士が誕生した!
この美しい星を守り抜き
友の夢、兄弟の夢を引き継ぎ、
いつの日か花咲かせることを
固く誓ったのであった!



つづく

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最終更新:2014年07月30日 07:11