銀の福音に追いつめられた箒達の前に、復活した一夏が駆けつけた。
箒(一夏!?)
「一夏・・・一夏なのか?」
一夏「ああ・・・待たせたな・・・もう大丈夫だ」
箒「よか・・・良かった・・・本当に・・・」
箒が泣き出した。
一夏「なんだよ、泣いてるのか?」
箒「なっ、泣いてなど・・・」
一夏「・・・・リボン駄目になっちまったな」
箒「え?ああ・・・・」
一夏「でも丁度よかったのかもしれないな、ほらこれ」
一夏が箒に新しいリボンを渡した。
一夏「誕生日おめでとう。箒、今日お前の誕生日だろ」
箒(七月七日・・・覚えていたのか・・・)
一夏「じゃあ・・・俺は行ってくる。まだ決着がついてないからな」
一夏が銀の福音に向かっていく。
真耶「あれは・・・白式の第二形態!?」
千冬「雪羅・・・!!」
銀の福音が白式を狙ってエネルギー弾を連射する。
一夏「雪羅、シールドモードに切り替え!」
一夏は右腕のガントレット「雪羅」でエネルギー弾を切り払っていった。
シャルロット「エネルギーを打ち消してる・・・!!」
鈴「まさか零落白夜のシールド・・・!?」
ラウラ「攻守共に相手のエネルギーを無効化できるようになったのか!」
セシリア「ですが・・・もし零落白夜と同じ原理の物であるならエネルギーの消費が・・・!!」
箒(私は守りたい・・・今度こそ自分を見誤らず一夏を・・・!!)
その時、箒の紅椿が光り出した。
箒「!?、これは・・・!?紅椿のエネルギーが回復していく・・・!?`絢爛舞踏‘・・・?紅椿のワンオフ・アビリティ!?」
(私はまだ戦えるのか?ならば―――)
箒が一夏から貰ったリボンで髪を結んだ。
真耶「福音、警戒して射撃で距離を稼いでますね・・・零落白夜で決めるなら織斑君はエネルギーを警戒しないといけないのに」
一夏(エネルギーが・・・)
箒「一夏っ!!」
一夏「箒!?お前怪我は・・・」
箒「大丈夫だ、それよりこれを受け取れ!」
箒が一夏の手を握ると、白式のエネルギーが回復しだした。
一夏「これは・・・エネルギーが回復・・・!?」
箒「絢爛舞踏・・・紅椿のワンオフ・アビリティだ!一夏!奴を倒しに行くぞ!」
シャルロット達4人も合流した。
シャルロット「僕達も一緒だよ、一夏」
ラウラ「すまない、回復に時間がかかった」
鈴「さっさと終わらせちゃおうよ、一夏」
セシリア「行きましょう、一夏さん」
一夏「ああみんな・・・行くぞ!!」
セシリアのライフルとシャルロットのマシンガンの射撃が福音の脚を止めた所を、
鈴が青竜刀で殴りつけた。
ラウラがワイヤーブレードを福音の脚に絡ませ、
箒がエネルギー波、「空裂」(からわれ)で福音の両腕を弾いた。
一夏「おおおおおお!!」
そして、一夏の零落白夜が炸裂し、福音は浜辺に叩き付けられ動きを止めた。
箒「終わったな」
一夏「ああ・・・・やっと・・・な」
千冬「作戦完了―――と言いたいところだが・・・お前達は独自行動により重大な違反を犯した。帰ったら反省文の提出と懲罰用のトレーニングを用意してやるからそのつもりでいるように」
一夏「はい・・・」
真耶「お、織斑先生、そのあたりで・・・」
千冬「・・・しかしまあ、よくやった・・・全員よく無事に帰ってきたな」
真耶「さあ皆さん、怪我の具合を診察しますよ!織斑くんはあとで見ますからね」
一夏(仲間を守れたよな・・・俺と・・・白式は・・・)
クラスメイト「ねーねーってば~!結局何が起こってたの?教えてよ~!!」
シャルロット「ダメ!機密なんだから」
クラスメイト「ええ~!そこをなんとか~!」
鈴「大体あたし達だってまだ詳しく聞いていないんだし」
ラウラ「それに、詳細な情報を知ればお前たちにも行動の制限がつくぞ」
クラスメイトたち「あ~~~・・・それは勘弁かも」
「あれ?そういえば織斑君と篠ノ之さんは?」
鈴「え?あれ、そういえば・・・」
シャルロット「まさか二人で一緒に・・・」
束は崖の上で一連の戦いの映像を見ていた。
束「それにしても白式には驚かされるなあ。操縦者の生体再生まで可能だなんて、まるで―――」
千冬「―――まるで‘白騎士‘のようだな。コアナンバー001、お前が心血を注いだ一番目の機体にな」
束「やあ、ちーちゃん、どうかしたの?」
千冬「・・・・例えばの話がしたい。とある天才がとある男子を高校受験の日にISのある場所に誘導できるとする。そこにあったISをその時だけ動くようにしておく。すると男が使えないはずのISが動いたように見える―――」
束「でもそれだよ継続的に動かさないよねえ、実のところ白式がどうして動くのか私にもわからないんだよねえ。いっくんはIS開発に関わってないはずなのにね」
千冬「・・・まあいい、次のたとえ話だ。とある天才が大事な妹を晴れ舞台でデビューさせたいと考える。そこで用意するのが専用機ととあるISの暴走事件だ。暴走事件に際して新型の高性能機を作戦に推薦する。妹は華々しく専用機持ちとしてデビューというわけだ」
束「・・・・へえ、不思議なたとえ話だねえ、すごい天才がいたものだね」
千冬「ああ・・・かって十二カ国の軍事コンピュータを同時にハッキングし、約二千発ものミサイルを発射させ、それをたった一機のパワードスーツで撃墜・・・その結果、ISの名を世界に轟かせた天才がな」
束「・・・ねえちーちゃん、今の世界は楽しい?」
千冬「・・・・そこそこにな」
束「・・・・そうなんだ」
次の瞬間、束は姿を消していた。
千冬「・・・・」
一夏は一人、海岸に座り込んでいた。
そこに箒が来た。
箒「一夏・・・?」
一夏「箒?お前も泳ぎにきたのか?」
箒「・・・・少し頭を冷やしたくてな」
「その・・・・あ、あまり見ないでほしい・・・」
一夏「あ、す、すまん・・・水着・・・似合ってると思って・・・」
箒「そ・・・そうか・・・」
一夏「えっとだな・・・髪、大丈夫だったか?ちょっと焼けただろ・・・」
箒「ああ・・・大事ない。リボンも新しいのをもらったしな・・・」
一夏「お前の方こそ本当に大丈夫なのか?あれほどの怪我が・・・簡単に回復するとは思えないが・・・」
一夏「良くわかってないんだけど・・・目が覚めて、ISを起動した時にはもう治ってたんだよ。見た目ほど大した怪我じゃなかったんだと?だからお前も気にしなくていい・・・」
箒「よくない!私のせいでお前を怪我をしたんだぞ!一歩間違えれば命を落としたかもしれない!!だから・・・簡単に許されると・・・困るのだ・・・」
一夏「箒・・・わかった。じゃあ、今から罰を与える」
箒「罰?望むところだ!」
一夏が箒の額にデコピンをした。
箒「!」
一夏「はい終わり!これに懲りたら自信過剰と独断専行は控えろよ」
箒「っ!!バカにしているのか!?」
一夏「お、落ち着けって!興奮するなよ」
箒「黙れ!私は武士だ!誇りを怪我されて落ち着いてなど・・・」
一夏「いや、ほ、箒・・・当たってるんだけど」
箒の胸が一夏の胸に当たっていた。
箒「・・・っ!!」
「その・・・なんだ・・・い、意識するのか・・・?」
一夏「は・・・はい!?」
箒「だからだな!!」
箒が一夏の手を取った。
箒「私を異性として意識するのか訊いているのだ」
一夏「うっ、うん・・・まあ・・・・な・・・」
箒「そうか・・・そうなのだな・・・」
一夏「箒・・・・」
一夏と箒。二人きりの時間が過ぎていく・・・
と思われたが、一夏の額にブルーティアーズの砲台が突き付けられていた。
一夏「ぬぁああっ!?」
その射撃を間一髪で一夏がかわした。
セシリア「あら・・・残念、外してしまいましたわ・・・」
ISを装着したセシリア達が上空にいた。
ラウラ「全く二人して姿が見えないと思えば・・・」
シャルロット「一夏、何をしてるのかな・・・?」
鈴「―――よし、殺そう」
セシリア「ふふっ・・・うふふふふっ・・・」
一夏「ほっ、箒!逃げるぞ!!」
箒「えっ・・・きゃあ!」
シャルロット・鈴・セシリア・ラウラ「「「「待て――――ッ!!」」」」」
一夏は箒を抱きかかえて、4人の攻撃から逃げていく。
最終更新:2018年04月02日 10:25