山中に雷鳴が轟く。
謎の声 (我が兄弟よ…… 来たれ、兄弟よ…… 我が兄弟よ…… 来たれよ、マーベラー…… 来たれ、レオパルドン! 来たれ、マーベラー!!)
宇宙から、何かが地球へと飛来してくる。
山城宇宙考古学研究所では、所長の山城博士と娘の新子が、その飛来物をキャッチする。
新子「お父さん! 流星でしょうか?」
山城博士の息子、オートバイレーサーの主人公・山城拓也は、レース場でバイクの練習をしていた。
弟の拓次が付き添い、カメラマンの佐久間ひとみがファインダーを向ける。
拓次「お兄ちゃん、すごいスピードターンだ!」
謎の声 (我が兄弟よ…… 来たれ、兄弟よ…… 我が兄弟よ…… 来たれ、マーベラー……)
拓也がその声に気づき、空を見上げる。上空から飛来する巨大母艦。街の人々もそれに気づく。
人々「おい、あれは何だ!?」「何、あれ!?」
巨大母艦がどこかの山中へと墜落する。
悪の組織、鉄十字団。首領のモンスター教授と、女幹部のアマゾネス。
アマゾネス「間違いなく『マーベラー』です」
モンスター「マーベラーは宇宙に飛び去ったはずだ。今から400年前…… だがついに、ガリアのテレパシーが通じたらしく、戻って来よった」
アマゾネス「しかし、ガリアは屍も同然。それより、山城博士を警戒したほうが」
モンスター「あの宇宙考古学者か」
アマゾネス「はい。山城博士は、マーベラーを発掘するに違いありません」
モンスター「わしが400年もかけて研究・開発したマシーンベムの、強敵を生むことになるな」
アマゾネス「はい」
モンスター「よし。山城博士を、血祭りに上げろ!」
アマゾネス「さぁ。暴君竜、おいで」
恐竜型の改造怪獣・暴君竜とともに、アマゾネスが出動する。
鉄十字団のリーダー・モンスター教授は、400年前に地球にやって来た。 そして、戦闘機械獣マシーンベムを完成させ、地球侵略作戦が開始されたのだ。 |
アマゾネスが、ひとみの勤務先の編集部の編集長・吉田冴子に変装し、編集部に現れる。
ひとみ「編集長! どこ行ってたんですか? 見てください! 『男が命を燃やす時』、スピードに生きる1人の男の孤独な戦いを……」
拓也の写真を差し出すひとみに、冴子はマーベラーの写真を見せる。
冴子「これを追いかけてほしいのよ」
ひとみ「……これを?」
冴子「それを持って、山城博士を訪ねなさい。徹底取材するのよ」
その夜。新子とひとみが拓也の部屋を訪れると、拓也はバイクを部屋の中へ持ち込んで整備している。
拓次「明日はいよいよレースなんだよ! 大目に見てやってくれよ」
新子「明日のレースは中止よ!」
拓也「中止ぃ?」
新子「隕石の発掘を手伝ってほしいのよ」
ひとみ「人手が足りないのよ」
拓也「なんだ、なんだ? 『男が命を燃やすとき』ってのは、どうなんだい?」
ひとみ「ごめんね…… 急に変更になっちゃったのよ」
新子「レースなんかより、お父さんの研究のほうが大切よ。わかんないの?」
拓也「わからないね! 宇宙人だの円盤だの。俺が信じるのは、ハラワタに響くこの音だけさ!」
拓也が派手にバイクのエンジン音を響かせる。
新子「きゃあっ! やめてよ、兄さん!」
そこへ父、山城博士が現れる。
山城「その代わり、優勝カップを見せてもらいたいな」
拓也「はい、約束します」
山城「山川くんたちに手伝ってもらうよ」
拓也「はい! 話せるぜ、親父!」
ひとみ「甘いのよ」
拓也「ハハハハ! ……ハッ!?」
部屋の壁に、クモのような影が映っている。
拓也「クモが!?」
謎の声 (兄弟よ…… 我が兄弟よ…… 来たれ、来たれ……)
拓也「誰だ!?」
声につられ、拓也が家の外へ飛び出す。
拓也「誰だぁ!? 出て来い、出て来ぉい!」
翌日。山城博士は、ひとみと新子、ほかの仲間たちを連れ、山中に隕石捜索に出かける。
山城「二手に別れて捜そう」
山城博士、ひとみ、新子の3人が山中へ入っていく。アマゾネスが密かに尾行している。
一方で拓也は、レースへの出発の準備をしている。
拓也「拓次!」
拓次「うん! 兄ちゃん、出かけようぜ!」
拓也「よぉし、行こうぜ!」
謎の声 (来たれ…… 兄弟よ…… 来たれ……)
拓也「またあの声だ。……はっ!?」
空一面に、クモの巣のようなものが浮かんで見える。
謎の声 (来たれ、兄弟よ…… 復讐の時は来たれり…… 来たれ、兄弟よ…… 復讐の時は来たれり……)
拓次「兄ちゃん、どうしたんだよ?」
拓也は拓次を残して1人、バイクで駆け出す。
山中を捜索中の山城博士たちのもとに、暴君竜が襲ってくる。
ひとみたち「きゃあっ!」「恐竜!?」
山城「逃げなさい、逃げなさい!」
拓也がバイクで山中に到着。ひとみと新子がいる。
ひとみたち「お父さぁん!「博士ぇ!」「……お兄ちゃん!?」
拓也「どうした!?」
新子「お兄ちゃん、大変よ!」
ひとみ「博士が!」
拓也「えっ!?」
バイクを走らせると、山城博士が川辺に倒れている。
拓也「父さん!? 父さん!」
山城「拓也か……」
拓也「どうしてこんなことに!?」
山城「近頃、しきりと暗躍するインベーダーの一団がある…… 正体は、定かではないが…… 突き止める必要がある。た、拓也…… それを、やって……くれ……」
拓也「俺が!?」
山城「私が、それをやる……つもりだった…… だ、が……」
拓也「父さん!? 父さぁん!」
山城博士はそのまま、息絶える。
拓也「父さん…… 父さん……! 俺を1人にしないでくれ、父さん……」
涙をこぼしつつ、拓也が父を抱きしめる。ふと見ると、地面に奇妙な足跡。
拓也「恐竜の足跡だ!」
足跡を辿って行くと、黒十字団の戦闘工作員であるニンダーたちが現れる。
拓也「貴様らだな、父さんをこんな目に遭わせたのは!?」
ニンダーたちが剣を抜いて襲いかかり、拓也が首に傷を負い、血が滴る。
なんとか追っ手をまきつつ、拓也がふらつく足取りで、そばの洞窟へ逃げ込む。
突然、足元が崩れる。
拓也「わあぁ──っ!?」
洞窟の地底の空間に落ちた拓也。その奥から、奇妙な服装の老人・ガリアが姿を現す。
ガリア「来てくれたか、兄弟よ……」
拓也「だ、誰だ、貴様は」
ガリア「私はガリア。スパイダー星人だ」
拓也「お前はインベーダー!? よくも父さんを!」
ガリア「違う! きみの父を殺したのは、悪魔の科学者モンスターが率いる鉄十字団だ」
拓也「貴様も仲間だろうが! 許さん! う!? うぅっ……」
拓也は首から血を流しつつ、そのまま倒れてしまう。
ガリア「しっかりしろ! このままでは死んでしまう…… スパイダーエキスを!」
ガリアが拓也の腕に、機械仕掛けのブレスレットをはめる。
ブレスレットの裏側から注射針が飛び出して拓也の腕に刺さり、薬液が注入され、体に浸透してゆく――
拓也「わあぁぁ──っっ!?」
やがて気づくと、拓也は元通り元気になっており、首の傷もない。
拓也「俺は剣で刺され、死んだはずだ……」
ガリア「スパイダーエキスのおかげで甦ったのだ。私のテレパシーを受ける者は、全宇宙にたった1人しかいない。それが君だ。君は、私と友達になれるただ1人の人間なのだ。私は、君の来るのを待っていた。長い間……」
拓也「なぜ、俺を?」
ガリア「復讐を頼みたかった」
拓也「復讐?」
ガリア「スパイダー星は、モンスター教授に征服された…… 私は復讐するために、この地球までモンスター教授を追ってきた。ところがワナにはめられ、この毒グモの洞窟に叩きこまれた」
拓也「……」
ガリア「だが、私は死ななかった。毒グモの毒に耐えた。耐えて、耐えて生き続けた…… 400年間……」
拓也「400年間!?」
ガリア「拓也よ、君は『スパイダーマン』としての能力を身につけた。スパイダーマン……我が400年の怨み、晴らしてくれ! 頼んだぞ、兄弟よ…… うっ……」
そう言い残すと、ガリアは倒れ、砂と化して消え去ってしまう。
ガリアの消えた後には、1匹のクモが残されている。
拓也は、ガリアによってスパイダーマンとしての能力を授けられた。 ガリアはクモに姿を変え、その復讐の怨念を山城拓也に伝えたのだ。 |
山城家。拓次が拓也の部屋を覗くと、拓也はベッドに寝転んだまま、天井を見つめている。
台所で食事の支度をしている新子。
拓次「じっとしたまま、天井を見つめているよ」
新子「そう…… お父さんが亡くなってから、急に変わったわ」
ガリアの声「拓也…… 何をモヤモヤしている?」
拓也の頭上に1匹のクモがおり、ガリアの声が響く。
ガリアの声「早くスパイダーマンになれ。そして鉄十字団と戦うのだ」
拓也「鉄十字団……」
ガリアの声「君の腕にはまっているのは『スパイダーブレスレット』だ」
拓也を救ったあのブレスレットが、まだ拓也の腕にはまっている。
ガリアの声「ピンチの時に、マーベラーに呼びかけるがいい。その中に『スパイダープロテクター』が収めてある。スパイダープロテクターを着て、スパイダーマンになるのだ。さぁ、プロテクターを!」
拓也が立ち上がり、ブレスレットのスイッチを入れる。
クモの模様の強化服・スパイダープロテクターが飛び出し、体を覆い、拓也はスパイダーマンとなった。
スパイダーマン「ん? 新子と拓次?」
ガリアの声「拓也…… 君はクモの能力を有するのだ」
スパイダーマンが壁に手足をつくと、クモのように壁を這い、天井を自在に這うことができる。
スパイダーマン「まさにクモになったようだ」
新子と拓次が食事を持って、部屋に現れる。
拓次「あれ?」
新子「あら? どこ行っちゃったのかしら? おかしいわね…… 拓次、本当にいたの?」
拓次「いたんだけどなぁ……」
新子「いないじゃない」
スパイダーマンは新子たちの頭上で天井を這っており、新子たちは気づかない。
ガリアの声「拓也…… 君はもう立派にスパイダーマンだ。さぁ、行け、スパイダーマン。私の復讐を、父の復讐を! 討て、モンスター教授を! 鉄十字団を!!」
ひとみが山城家へ訪ねて来る。
新子「ひとみさん!」
ひとみ「藤田博士が誘拐されたわ」
新子「えっ!? あの、電子物理学者の藤田博士が?」
ひとみ「そう。恐竜のようなものが、さらったそうよ」
スパイダーマン「鉄十字団の仕業だ!」
ガリアの声「スパイダーマン…… 『スパイダー感覚』で敵を感知せよ!」
スパイダーマン「スパイダー感覚? ──スパイダー感覚に感知あり。南東50キロの地点!」
スパイダーマンがブレスレットから糸を放ち、建物と建物の間を飛び回り、ビルの壁を自在に這い、敵の居場所を目指す。
とある山中の施設内の一室。物理学者・藤田博士が捕われ、アマゾネスに拷問されている。
藤田「イヤだ! そんな恐ろしい兵器を作ることは、私の良心が許さない」
アマゾネス「悪魔の科学者になるのだ」
そこへ、スパイダーマンが登場。
アマゾネス「誰だ、お前は!?」
スパイダーマン「地獄からの使者、スパイダーマン! 父とガリアの復讐は俺が果たす!!」
ニンダーたちが襲ってくるが、スパイダーマンは自在に壁を這って逃れ、藤田博士を救い出す。
スパイダーマン「スパイダーストリングス!」
ブレスレットから放つ無数の糸を壁に張り巡らせ、ニンダーたちを足止めし、スパイダーマンが藤田博士を連れて外へ逃げる。
なおも、ニンダーたちが追ってくる。
スパイダーマン「逃げてください、藤田博士! スパイダーネット!」
藤田博士が逃げ、スパイダーブレスレットから放たれた網がニンダーたちを捕える。
さらに追って来るニンダーたちを、スパイダーマンは体術で蹴散らす。
アマゾネス「暴君竜、おやり」
アマゾネスの指示を受け、暴君竜がスパイダーマンの前に立ちふさがる。
スパイダーマン「何者だ!?」
暴君竜「鉄十字団マシーンベム、暴君竜だ! 行くぞ!」
暴君竜が怪力で大暴れ。さらに、身長数十メートルの巨体に巨大化する。
スパイダーマン「スパイダーストリングス!」
ブレスレットから放つロープを巨大な暴君竜に絡めるが、さすがにその巨体には通用しない。
スパイダーマン「マーベラー!」
戦闘母艦マーベラーが空から飛来。
アマゾネス「かかれ!」
ニンダーたちの残党がスパイダーマンを取り囲む。暴君竜が大地を揺らし、スパイダーマンは苦戦。
マーベラーから特殊自動車・スパイダーマシンGP-7が飛び出し、スパイダーマンが飛び乗る。
スパイダーマン「ミサイル発射!」
スパイダーマシンGP-7から、暴君竜めがけてミサイルの砲撃。さらにGP-7がマーベラーに再合体。
スパイダーマン「マーベラー・チェンジ・レオパルドン!!」
マーベラーが変形。身長数十メートルの巨大ロボット、レオパルドンとなる。
暴君竜が激しい砲撃。爆炎の上がる中、レオパルドンは敢然と突き進む。
スパイダーマン「アークターン!」
レオパルドンの額パーツがブーメランとなり、暴君竜に炸裂。
スパイダーマン「レオパルドン・ソードビッカー!!」
さらにレオパルドンの必殺剣が突き刺さり、暴君竜は大爆発。スパイダーマンは初勝利をおさめる。
モンスター「おのれ、スパイダーマン……レオパルドン! 鉄十字団の、最大の敵が出現した!」
スパイダーマン「どんと来い、鉄十字団! 俺は戦うぞ……命ある限り!!」
スパイダーマンと、モンスター教授をリーダーとする鉄十字団との熾烈な戦いの幕が切って落とされたのだ。 負けるな、スパイダーマン!! |
最終更新:2016年04月10日 14:29